4.13グローバルアクション 「STOP汚染水の海洋放出」

「これ以上海を汚すな!市民会議」(コレウミ)が呼びかけ、全国各地、世界各地で、スタンディング等がとりくまれました。その一部を紹介します。
【各地の多くの写真】 → https://www.facebook.com/koreumi

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フィリピンの漁業者と反原発団体が福島原発の汚染水の海洋放出に反対

(Philstar 4月13日)
沿岸地域の漁業者と「非核・非石炭バターン運動」などの団体が13日、マニラの日本大使館とフィリピン外務省の前で、130万トンの放射能汚染水の太平洋投棄に反対する抗議アクションを行った。漁師のパブロ・ロサレス氏は「日本の計画は、フィリピンの消費者に漁獲物の購入を警戒させ、漁業者の生活に影響を及ぼします」と警告した。「放射能汚染水を海に放出する日本の計画は、人々に食料を供給し、何百万人もの人々に生計の源を提供している海をゆっくりと殺すでしょう」と、日本大使館前で述べた。非核・非石炭バターン運動のコーディネーターであるデレック・チャベ氏は、フィリピン政府に対して、環境への脅威をもたらす日本の計画に反対するよう求めた。

マニラ(日本大使館前)

韓国の市民団体「尹錫悦政権は福島第一原発の汚染水放出に明確な立場を表明せよ」

(ハンギョレ新聞 4月14日)
プサンの複数の市民団体が13日、尹錫悦政権に対して、福島第一原発の放射能汚染水の海洋投棄阻止に積極的にとりくむよう求めた。「汚染水の海洋放出は、日本に近いプサン市民の安全と命を脅かし、漁業者と水産業従事者の生存権を奪うだろう」
プサン(日本領事館前)
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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信181号
(23年4月20日発行、B5-32p)もくじ

福島の教訓を生かせ、バターン原発を解体せよ (デレック・チャベ)
 
・「老朽化した原発を延長するな」韓国で集会 (キム・グァンス)

       
・安全な世界、コリ2号機の閉鎖から! 核のない世界へ行進しよう!

      
・ネッカーヴェストハイム原発前に300人のデモ隊が集結 (イェンス・ニシング)


・ドイツ「脱原発」達成

                          
・放射性廃棄物処分場論争がオーストラリア連邦裁判所で開始 (ミシェル・マディガン)

 
・オーストラリアに原子力潜水艦、その多くのリスク (デイブ・スウィーニー)


・台湾第二原発廃止にあたっての全国廃核行動平台意見書

           
・4.13 グローバルアクション「STOP汚染水の海洋放出」

          
・福島汚染水放流阻止のための韓国 YWCA声明


・強行して作った概要調査前の寿都町住民投票はいつ (槌谷和幸)

      
・年度末、柏崎刈羽原発をめぐる状況 (小木曽茂子)

            
・3.10 島根原発2号機運転差止仮処分申し立て (芦原康江)

        
・「被災原発」である女川原発を再稼働してはならない (多々良哲)

      
・ストップ!川内原発20年延長運転、塩田知事に県民投票を望む (鳥原良子)


・高浜原発4号機事故と原発回帰 (宮崎宗真)

              
・老朽原発うごかすな! 関電本店~高浜原発リレーデモ (木戸惠子)

    
・GX脱炭素電源法の問題点 (満田夏花)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisuke アット rice.ocn.ne.jp

YouTube『アジアの原発と反原発運動』 佐藤大介

さよなら原発神戸アクションが、録画を公開
http://sayogenkobe.blog.fc2.com/blog-entry-226.html
または https://www.youtube.com/watch?v=DJ4W3tXiaro&t=5610s

タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、トルコ、
韓国、台湾で、原発をとめる人びと、200枚の写真。約90分
(最初の50秒は、とばしてください)

 
■ アジアの原発どうなっているの?@ZOOM茶話会 2021年9月4日
『アジアの原発と反原発運動』
お話:佐藤大介(ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン事務局)
主催:さよなら原発神戸アクション

http://sayogenkobe.blog.fc2.com/blog-entry-223.html

チェルノブイリ事故のあと、ドイツをはじめとするヨーロッパの人びとが広範な反原発運動を展開したように、福島原発事故のあと、アジアの人びとも大きく立ち上がり、デモなどを繰り返しました。結果、台湾では、日立・東芝が原子炉を輸出した第四原発の建設を凍結し、2025年原発ゼロ、アジア初の脱原発に向かっています。韓国政府も脱原発宣言し、新規原発建設と老朽原発の寿命延長をしないとしました。ベトナム・トルコへの、日本からの原発輸出計画は中止となり、フィリピン、タイ、インドネシアの原発計画はとん挫しています。インドや中国では依然として原発が建設されていますが、エネルギー転換は時代の趨勢です。日本ではあまり知られていないアジアの反原発運動を伝えます。

★ノーニュークス・アジアフォーラムとは:
 韓国の反原発活動家から「原発推進派が活発に国際連携しているので、反対派も国際連帯しなければなければならない」と提案され、1993年に第1回ノーニュークス・アジアフォーラムを日本で開催、全国28か所で集会を行ないました。以後、フォーラムは持ち回りで、韓国、台湾、インドネシア、フィリピン、タイ、インドで、19回開催されています。フォーラムは、常に原発現地を重要視することとしています。

 また、インドネシア・台湾・ベトナム・インド・トルコへの原発輸出に反対するキャンペーンも行ってきました。

震災翌年の1996年には、神戸での「環太平洋原子力会議」(原発推進の国際会議)に対抗し、「さよなら原発・神戸ネットワーク」のみなさんとともに「環太平洋反原子力会議」を開催しました。
★ 『市民による環太平洋[反]原子力会議』報告/記録
http://japan.nonukesasiaforum.org/japanese/pbnc/index.htm

老朽原発うごかすな

(宮下正一・木戸惠子・中嶌哲演・藤本泰成・林広員・草地妙子・東山幸弘・井戸謙一・小橋かおる・末田一秀・滝沢あつこ・笠原一浩)
*ノーニュークス・アジアフォーラム通信・号外(2020年3月20日発行)より

■ 全国のみなさんの参加を心よりお願いします

 宮下正一(原子力発電に反対する福井県民会議)

2019年9月27日に、関西電力の会長や社長など幹部役員20名に3億2000万円ものお金が工事請負会社から還流されていたことが明らかになった。

この報道にとてもビックリした。「原発マネー」は、原発を建設・運転するために自治体首長や地域の有力者あるいは国会議員などに使われているものと思っていたからだ。

わかっているだけでも3憶2000万円の巨額資金が、こともあろうに発注者である関電幹部役員に還流されているとは思いもよらなかった。

電力会社は私企業であるが、市民一人一人が電気料金として支払っていることから極めて公共性が高い。さらに、電力事業者は、決して赤字にならないように法律によって守られている。

そのような関電の幹部役員たちのなかで、私腹を肥やす行為が蔓延していたのだ。「こんなこと絶対許せない!」と全国から集まった3,371名により2019年12月13日(翌年の1月31日も含め)、大阪地方検察庁に「事実を明らかにして関係者を処罰してほしい」と告発した。

3月14日に行なわれた関電の第三者委員会の最終報告では、森山氏から関電役員たちに渡された金品により、吉田開発などに不正な工事発注がなされていたことを認めている。

告発状は受理されていないが、ここまで来たからには、大阪地検に対して「直ちに告発状を受理し、捜査を開始すべき」と要請を強めていく。私たちは、今回せっかく掴んだ巨悪の尻尾は絶対離さず、その正体を見るまで、闘い続けよう。

関西を中心とした反原発団体は、高浜1・2号機や美浜3号機など、運転から40年間を超える老朽原発の再稼働を絶対許さないと、昨年11月からリレーデモなどを行ない、運動を強めている。

そして、大阪市の中之島公園で、「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」を1万人以上の参加を求めて行ない、老朽原発再稼働反対のうねりを大きく広げていきます。全国のみなさんの参加を心よりお願いします。

■ いまこそ、老朽原発を止めるチャンス

 木戸惠子(若狭の原発を考える会)

●若狭の老朽原発再稼働は、全原発の60年運転への道

福島原発事故は、人の営みを根こそぎ奪い去ることを、尊い犠牲の上に教えました。避難者は今でも故郷を追われて、苦悩の生活を強いられています。

それでも関電は、45年、44年、43年超え老朽原発、高浜1・2号機、美浜3号機の再稼働を画策しています。老朽原発では、取り替えることのできない圧力容器が大量の放射線に長期間曝されて脆化(固く脆くなり壊れやすくなる)し、配管の減肉(やせ細ること)や腐食が進み、事故の確率は格段に高くなります。全国に先駆けて関電が企てる老朽原発再稼働を許せば、全国の原発の60年稼働への道を拓くことになります。なんとしても止めねばなりません。

●40年超え運転は約束違反

「若狭の原発を考える会」では、原発立地・若狭の集落から集落へ反原発を訴えるチラシを配り歩く活動「アメーバデモ」を月2回、各回1泊2日で行なっています。アメーバデモが5年目になる昨年は主として老朽原発再稼働反対を訴えましたが、「関電は45年にもなる危険な高浜1号機を動かそうとしています」と言ってチラシを渡すと、地元の方から「約束違反やな」「若狭の原発は40年で廃炉になると聞いていた」「アカン、アカン、あんなもん動かしてどうするんや!」「政府も40年超え運転は“例外中の例外”と言っていたはず」など、老朽原発再稼働への怒りの声が数多く返ってきました。

昨年9月、私たちの電気料金で支払われた工事費が、関電幹部に還流され、福井県職員、小浜警察所幹部、元高浜町長などにも金品として贈与されていたことが明らかになりました。また、4月から電力会社の思いのままの原発稼働を可能にする「新」新検査制度が始まります。金にまみれ、企業倫理が地に落ちた関電に、危険な老朽原発をうごかせる能力も資格もありません。

●老朽原発を止めるのは、市民一人ひとりの行動

老朽原発うごかすな!の怒りの声は、昨年10月から11月の「老朽原発うごかすな!キャンペーン期間」に各地で行なわれた集会やデモ、11月23日から16日間の「高浜原発-関電本店リレーデモ」「12.8関電本店包囲全国集会」(161号参照)へと続きました。

「大飯原発運転差し止め」の仮処分を命じた樋口英明元裁判長は、「原発を止めるのは、首相や立地自治体の首長に原発を断念させること、裁判で原発を差し止めること」、そして「最も大切なのは市民一人ひとりの行動」と話されています。

安倍政権や関電の原発60年運転の野望を打ち砕くために、1万人を超える総結集で「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」を成功させましょう!

■ 第二のフクシマを未然に防ぐために

 中嶌哲演(原子力発電に反対する福井県民会議)

関西圏の大量の電力消費のために若狭に集中した15基もの原発群のうち、7基の廃炉は決定しているが、まだ8基の再稼働・延命が強行、画策されている。8基中7基は関西電力のそれ、とくに40年超の老朽炉の美浜3号機と高浜1・2号機の延命は許しがたい。

4000億円近くの巨費を投じた「安全対策工事」も終盤にさしかかっており(私が昨春12日間の断食で訴えたのは、その工事中止だったのだが)、高浜1号が6月ごろ、美浜3号が8月ごろに再稼働を強行突破しようというもくろみのようだ。

原発マネーの関電への不正還流を大々的に報道したメディアのはたらきと、それを告発した広範な世論と運動が、ついに関電経営陣のトップを辞任にまで追い込んだ。

老朽原発の廃炉をめざす「老朽原発うごかすな!大集会in大阪」が開催される。その大結集へ向けて、あらゆる大中小の団体・グループ、個人有志がこれまでに地道にとりくみ続けてきた個別の課題とも結びつけながら、共同・協働の輪を一気に広げよう。

地震や火山爆発は止められなくても、原発や核燃料サイクルを止めることはできる!

第二のフクシマの惨禍を未然に防ぐために!

■ ここに、日本の悲劇がある

 藤本泰成(原水爆禁止日本国民会議)

関西電力による会社ぐるみの収賄事件の第三者委員会の最終報告が出た。記者会見で但木敬一委員長は「刑事告訴は困難」と述べた。「不正の請託」が立証できないとの趣旨を述べているが、関電による「森山関連企業」への不正発注は事実であり、公共性の高い電気を独占的に販売してきたことを考えるならば、会社法による収賄罪や特別背任にあたるのは当然ではないか。明らかになった多くの事実があっても何らの処罰も受けないのは、電気を関電から買わされてきた市民にとっては納得がいかない。

電力業界は納得のいかないことばかりではないか。福島原発事故から来年は10年を迎える。巨大津波の可能性を指摘されていたにもかかわらず、何ら対策をとらずに事故を引き起こした経営陣は、無罪だという。フクイチは、未だに人を寄せつけない。事故収束の目処など全く立たない。周辺地域には住むこともできない。フレコンバックがあちこちに置かれている中に、一部住民は帰還を余儀なくされている。原発の危険性は明らかなのに、政府や電力会社は原発をあきらめない。

世間は原発などもってのほかと考えるから、どこにも新規原発はつくれない。つくれないとなると今度は、驚くことに、もっと危険な老朽原発を動かそうとする。しかも、40年を超えて60年超も認めようとの声が聞こえる。開いた口が塞がらない。

安倍政権に、将来を見据えた展望は全くない。原発などない方が良いし、石炭火力もない方が良い。そんなことは自明の理だ。であれば、10年、20年後のエネルギーをどう賄っていくのか誰しもが考えるが、考えない。あげくは、恥ずかしげもなく「日本の原発は世界一安全」を謳い文句に、売れないにもかかわらず、世界に原発を売り歩く。先を見る目が全くないのか見ないのか、今だけの政治がまかり通る。そこに、日本の悲劇がある。

■ 関西電力に原発を動かす資格なし

 林広員(オール福井反原発連絡会)

「関電問題は福井の恥です」と福井県民に怒りが広がっています。この怒りは、原発マネーを基に関電と立地自治体と政界が「持ちつ持たれつ」で、私たちの税金や電気料金を食い物にしているところからです。

第三者委員会報告では、役員報酬カット分を後で補填していることが明らかになりました。国民には電気料金を上げて負担を増やし、自らは内々に報酬を戻している関電の姿に、一般の企業のモラルなどありません。このような金まみれの関西電力に原発を動かす資格などありません!

金品の流れは福井県にも広がり、顧問弁護士を委員長にする内部の「調査委員会」が結果を発表。県の幹部109人が金品を受領したことや、杉本知事、西川前知事は贈答品を含めて金品の授受はなく栗田元知事は中元や歳暮を受け取っていたと公表。

これでは身内が身内を調べたもので不十分と、私たちは第三者委員会を設置せよと迫りました。しかし福井県は内部調査の発表で打ち切りにしています。

「老朽原発動かすな!福井県実行委員会」が県内の各自治体議長あてに「関電の原発マネー還流問題の真相究明を求める」請願を行ない、高浜町、勝山市、越前市、鯖江市で採択され全県で問題となっています。

このような腐敗構造を生んだ根本には、安倍政権の原発推進政策があります。「国策」として「原発推進政策」を行なう安倍政権は、エネルギー基本計画で原発をベースロード電源と位置づけ、将来全電源の20~22%を原発が占めるように策定。その中心を担わせた関電の問題に対して、安倍総理は「関電は民間企業だから。第三者委員会の調査に委ねる」との態度に終始。国として真相究明に背を向けています。

大集会を成功させて、関電と国・規制委員会、立地自治体首長など「原発推進共同体」を包囲し、世論と運動を盛り上げ、追い詰めましょう!

■ 見過ごせない!老朽原発の杜撰な審査

 草地妙子(老朽原発40年廃炉訴訟市民の会)

私たちは名古屋地裁で、関西電力の老朽原発3基に出された「運転期間延長認可」の取り消しを求めて裁判をしています。原子力規制委員会が杜撰な審査で認可していたことを明らかにし、当該原発を廃炉にすることをめざしています。

老朽原発が潜在的に危険なことはだれの目にも明らかです。それをあたかも「特別な審査」をしたかのように装い、お墨付きを与えているのが規制委員会です。老朽化最大の懸念事項である原子炉容器の劣化に関する審査においてさえ、試験の元データを見ることなく、関西電力の審査書の結果を鵜呑みにしていました。指摘されると、あろうことか「関西電力の品質保証体制を確認しており、信頼できるから問題ない」と開き直る始末です。関西電力の金銭不正受領事件で、企業としてのガバナンスやコンプライアンスの欠如が明らかにされた今、市民の納得はとうてい得られない本当に苦しい反論だと思います。

提訴からまもなく4年が経ちます。裁判が行なわれている間にも、関西電力は再稼働に向けた工事を進めてきました。進捗状況の詳細はわかりませんが、関西電力が再稼働するにあたっての障壁は少なくない状況に追い込まれてきていると思います。

あらゆる方面から様々な手段でさらに追い込んでいくために私たちの力を結集していきたいと思います。福井・関西の皆様をはじめとする全国的な運動に、名古屋からも参与できますことを大変意義あることと受け止めています。この輪をさらに大きく広げていくために共に頑張りたいと思います。

■ 危険な原発は廃炉に

 東山幸弘(ふるさとを守る高浜・おおいの会)

1月6日に定期検査のため高浜3号機は停止しました。前回定検のときに見つかった蒸気発生器細管の傷を原因不明のまま運転していました。そして、昨年10月に定検に入った4号機でも3台ある蒸気発生器のすべてから計5つの損傷が見つかりました。これも傷付けた原因不明のまま、栓をすることで原子力規制委員会は「良し」と許可し、早々に1月30日に起動してしまいました。何よりも恐れたことは、再度3号機の蒸気発生器細管に傷が見つかると、もう4号機は運転できません。そのため起動を急いだのです。やはり、またもやというべきか、2月18日に2つの蒸気発生器で各1本、2カ所に損傷が見つかりました。安全など二の次で、一日でも多く動かすことしか頭にありません。許すことができません。

加圧水型原発の最大の弱点は「蒸気発生器」で、1器3千本以上ある細管が応力割れや支持金具部での磨耗損傷を起こしており、「栓をする」ことで切り抜けています。しかし、1本でも破断すれば、一斉に制御棒が挿入されて緊急停止するとともに、緊急冷却装置ECCSが働き、冷却水が補給されます。現に1991年2月9日、美浜2号機で細管破断(支持金具との接触摩耗が原因と発表あり)によってECCSが働くという日本で初めての経験をしています。核燃料棒が溶解するメルトダウン一歩手前の状況でした。

関電は老朽原発延命のため、取り替えられるものすべてを取り替えているから「安全」だと宣伝していますが、一番重要な「原子炉圧力容器」は取り替えられません。長年の運転による中性子照射のため脆性化しており、ECCSが作動すると、強固なはずの圧力容器が、あたかも熱せられたガラスコップに冷たい水を注げばパリッと割れることと同じ状況になります。

原子炉破壊の危険度ワーストテンを順に並べると、玄海1号(廃炉)、高浜1号(40年超)、大飯2号(廃炉)、美浜2号(廃炉)、美浜1号(廃炉)、川内1号、高浜4号、伊方1号(廃炉)、美浜3号(40年超)、高浜2号(40年超)となります。近々稼働予定の高浜1号は日本一、危険な原発です。何としても再稼働させない、廃炉にすることです。

■ 壮大なウソ

 井戸謙一(福井原発訴訟<滋賀>弁護団)

福島地裁で行なわれている子供脱被ばく裁判、2020年2月14日には福島県立医大鈴木眞一教授の証人尋問が、3月4日には福島県健康管理アドバイザー山下俊一氏の証人尋問がそれぞれ行なわれました。

鈴木氏は、福島県民健康調査で発見された小児甲状腺がん患者の大部分の摘出手術を担当した医師ですが、すべては手術が必要な症例であったと証言し、過剰診断、過剰治療であるとの考え方を明確に否定しました。他方、福島県で小児甲状腺がんが多発しているとの見方を否定しましたが、「他の都道府県でも同じ割合で小児甲状腺がん患者が潜在しているとすれば、全国で1万人をこえる子どもたちが手術を待っていることになる、その子どもたちを救わなくてもいいのか」という質問に対しては、明確な回答はなされませんでした。

山下氏は、福島原発事故直後に行なわれた福島県内の講演会で、「100ミリシーベルト以下の被ばくでは健康被害がない」と言ったのは誤りで、正しくは「証明されていない」であること、「水道水からセシウムが出ない」と説明したのは誤りで、検出されること、「1ミリシーベルト被ばくをすると遺伝子が1か所傷つく」と説明したのは誤りで、「1ミリシーベルトの被ばくをすると遺伝子が37兆か所で傷つく」が正しいこと、すなわち37兆分の1の過小評価であったことを認めました。当時、未知の不安にさいなまれていた多くの人たちが、壮大なウソによって被ばく地に縛り付けられたことが明らかになった瞬間でした。

被ばく問題についてのウソ、それは今も大手を振ってまかり通っています。

■ 老朽原発を動かすな

 小橋かおる(さよなら原発神戸アクション)

高浜原発1・2号機、美浜原発3号機は、それぞれ運転より45年、44年、43年を超える原発です。本来の原則では、運転から40年を超えた時点で、廃炉となっていなければならない老朽原発です。この原則を外して老朽化した原発を動かすことがいかに危険であるかは、東京電力福島第一原発1号機を見れば明らかでしょう。

福島第一原発1号機は、1971年3月26日より営業運転を始めました。2011年には運転より40年を迎えるため、本来は廃炉になる原子炉でした。しかし、2010年3月から定期点検・点検停止していた1号機は10月に再稼働。そして、経済産業省原子力安全保安院は2011年2月7日、さらに10年間運転を延長する保安規定の変更を東京電力に認可し、3月11日、東日本大震災発生。そしてあの3月12日の水素爆発が起きたのです。

2010年当時の私は、その数年前から六カ所村の再処理工場に関心を持ちだし、原発については少し知っている程度でしたが、福島第一原発1号機の40年超えを認める再稼働には、とても憤りを感じていました。そして、福島第一原発事故。あの再稼働さえなければ、40年超えさえなければ、1号機が事故を起こすこともなく、2号機、3号機という連鎖的な事故も起きなかったのではないかと、今でも悔やみます。

同じ後悔をするわけにはいきません。私が住む神戸からも90キロほどしか離れていない高浜原発、そして美浜原発。あの40年超えの老朽原発を動かしてはなりません。関西電力という企業の経営収支のために、なぜ私たちの故郷、暮らし、健康、人生、未来が危険にさらされなければならないのでしょう? いったん事故が起きれば、近畿だけでなく、周辺何百キロもの地域が放射能汚染されかねません。

東京電力福島第一原発事故という人類史上でも最悪の原発事故をくり返さないために、また自分の住む町を放射能汚染で失わないために、老朽原発を動かすな。この災害列島で、どの原発も動かすな。

原発のない、そして無用な被ばくのない日本を、皆で実現したいと強く思っています。

■ 関電第三者委員会の報告を受けて

 末田一秀(はんげんぱつ新聞編集委員・関電の原発マネー不正還流を告発する会)

関電役員らが高浜町元助役森山氏らから金品を受領していた問題について調査していた第三者委員会が、3月14日に調査結果を公表した。関電の金品受領者は、当初の社内調査委員会が明らかにしていた20人から75人に変わり、総額も3億6千万円相当になった。森山氏の求めに応じて、関連会社に入札を経ずに工事発注をしていたことなど、様々な便宜行為や不正行為が認定されている。

関電が第三者委員会に提出した1994年の資料には、森山氏の10数件の関電への「貢献」が記されており、「公開ヒアリングを取り仕切って成功させた」「チェルノブイリ事故に際し、地元団体からの陳情書を町限りにとどめ公にしなかった」「原発内での業者の圧死事故に際し、警察・地元関係に対する無言の圧力により穏便に済ますことができた」などが挙げられている。関電が被害者でないことは明らかだ。

関電自体の企業統治が崩壊していたと断じざるをえず、関電に原発運転の資格はない。関係した役員や隠蔽に手を貸した監査役らの責任は極めて重く、関電は関係役員らの責任追及訴訟を提起すべきである。

関電は社外取締役を活用した会社形態「指名委員会等設置会社」への移行などの再発防止策を検討していると報じられているが、企業統治の強化は委員会など形を作ることだけでは達成できない。情報公開と説明責任の徹底を図り、市民の監視下に企業経営が置かれるべきである。

第三者委員会の報告書をもってしても、なお私たちの疑問には解消しない点がある。不当な金品により工作された全容は解明されたのか? 原発関連マネーが政治家へ流れていなかったのか? 寄付金名目で流されたお金は適正だったのか? などである。

これらの解明には、捜査権限を持つ検察が動く必要がある。12月13日に3000人を超える市民が行なった告発を、本稿執筆時点で大阪地検は受理すらしていない。直ちに受理して捜査を尽くし、実態を解明すべきである。

■ とことん腐敗している関電を許さない

 滝沢あつこ(脱原発へ!関電株主行動の会)

昨年発覚した関電原発マネー不正還流は怒りが頂点に達するできごとでした。私たち株主は年1回の株主総会で、名前があがっている役員の顔を見、答弁を聞いています。寄付金や報酬額の質問には答えません。森山氏に国税庁が入った一昨年も、内部告発文書が取締役に届けられた昨年も、株主には何も公表されませんでした。今年厳しく追及する所存です。

いま関電の不正を糺すために株主だからできること、それは株主代表訴訟です。昨年11月27日、株主のメンバー5人で関電監査役に対して「取締役に対する責任追及訴訟提起請求書」を提出しました。これは 取締役が会社に損失を与えたので、監査役として取締役を提訴しなさいというものです。請求後60日以内に提訴しなければ、私たち株主が監査役に代わって株主代表訴訟を起こします。期限は今年1月末でしたが、監査役から代理人弁護士に「第三者委員会の報告を待ってから決定する」と返答がありました。

3月14日、関電原発マネー不正還流の調査にあたった第三者委員会の報告がありました。精査はこれから行なわれると思いますが、放漫な金の使い方が露わになりました。報告書によると関電は、福島事故後の赤字に際して行なわれた役員報酬カットの分を業績回復時には補填すると決定していました。また高額の金品を受け取っていた豊松、森中、鈴木、大塚の各氏の追加納税分を会社が肩代わりすると決定していました。実際、豊松氏に昨年6月から報酬補填分90万円、追加納税分30万円、報酬と合わせて毎月490万円が支払われています。責任を問われ退任した元副社長豊松氏はエグゼクティブフェローという肩書きで報酬を受けていたのです。

とことん腐敗しているとしか言いようがありません。取締役は会社の社会的信頼を失墜させました。会社が損なった利益を取締役に請求し、会社に返却させることができるのは株主代表訴訟です。これから提訴の準備をしていきます。

■ 関電は再エネ先進企業として再生を

 笠原一浩(大飯原発差止訴訟・福井弁護団)

●歴史的な福井地裁判決

福井地方裁判所は、2014年5月21日、大飯原発3・4号機の運転差し止めを認める歴史的判決を言い渡しました。判決が言い渡された瞬間、弁護団や原告団事務局のメンバーが、それぞれ「差し止め認める」「司法は生きていた」という垂れ幕を掲げましたが、とくに後者について、深い共感を寄せた市民は多かったことでしょう。

この判決は、仮処分決定を別とすると、福島第一原発事故後初めての、原発裁判における司法判断です。福島第一原発事故の被害をふまえ、行政庁の判断を追認してきた裁判所の姿勢に変化が生じることが、多くの市民から期待されていましたが、この判決は、その期待に十二分に応えるものとなりました。

残念ながらこの判決は、4年後、名古屋高等裁判所金沢支部により覆されてしまいました。しかし、高裁判決も、福井地裁判決の事実認定そのものは否定していません。むしろ、地震に関する科学の限界について、福井地裁判決の指摘や島崎先生の知見を肯定しています。高裁判決は、私たちの訴えについて「立法論であって司法の役割ではない」と逃亡することによって、福井地裁判決の結論を覆してしまいましたが、両判決のいずれが正しかったのかは、翌年、歴史が証明することになりました。

●関電スキャンダルが意味すること

現在、関電スキャンダルが大問題となっていますが、この問題も結局のところ、原発という発電手段は、正常な方法では実現できないということを意味しています。

私たちが7年前に大飯原発差止訴訟を始めたのも、決して関西電力を倒すことをめざしたものではなく、より地域(関西一円)に愛される企業になっていただくことをめざしたものです。

私はこの裁判と無関係に一般業務で関西電力の関係者と接することも少なくありません。個々の従業員を見る限りでは、優秀で誠実な人が多いといえます。むしろ、今までのエネルギー政策では、この春に学校を出て関西電力に就職した人が、定年まで勤められないおそれが高いといえます。

再エネに舵を切ってこそ、関西電力にとっても今後50年、100年にわたって存続できるようになるといえますし、国のエネルギー政策に最も必要なことも、電力会社のそのような転換を応援することです。

私は刑事告発の弁護団にも加わりましたが、この事件を通じて、「再エネ先進企業としての新しい関西電力」の展望が開かれることを強く期待します。

 

日本の原発輸出計画、全滅!― ベトナム・トルコ・ウェールズ、現地の人々の視点から―

「日本の原発輸出計画、全滅! ― ベトナム・トルコ・ウェールズ、現地の人々の視点から―」大阪で開催しました

★記録映像 https://youtu.be/R_vWWWgnM-A

安倍政権が「成長戦略」の重要な柱として官民一体で推進してきた原発輸出政策が、すべて頓挫するという事態が起きています。

三菱のトルコ・シノップ原発計画、日立の英・ウイルヴァ原発計画、そのどちらもが、安全対策のため1基1兆円以上に膨れ上がった建設費によりビジネスとして採算がとれなくなったとして中止されたのです。ベトナム政府も2016年11月に、日本が輸出予定だった原発建設計画を中止しました。

2月15日、表記の集会を行ない、ベトナムへの原発輸出反対に尽力してきた沖縄大学の吉井美知子さんと、トルコの原発反対運動を取材してきた森山拓也さんからお話を伺いました。森山さんの昨年のトルコ写真展のパネルも展示しました。

吉井美知子さんは「ベトナムのニントゥアン第一原発はロシアの、同第二原発は日本の受注が決まっていましたが、中止になりました。中止の一番の理由は財政難と言われていますが、それ以外にも、2016年春に海洋汚染の大公害事件で住民運動が起こったこと、海外に住むベトナム人や、日本など外国人による情報提供、言論活動なども影響したと思います。チュオン・タン・サン前国家主席は白紙撤回の背景について『国民、特に建設予定地の住民の心配が大きくなった』と述べました(共同通信2017.12.2)」と。

森山拓也さんは「トルコ・シノップでは、住民の多くが原発に反対で、政府がシノップを原発予定地と正式に発表した2006年以降、毎年大規模なデモを行なってきました。日本政府と三菱の計画断念については『現地の反対運動も懸念材料』(産経新聞 12.6)と報道されています」と。

さらに、吉井さんから、昨年10月、英・ウェールズの日立による原発建設予定地を訪問し、原発に反対する人々と交流してきた内容も報告されました。
輸出先の現地で繰り広げられてきた粘り強い運動と、それをとりまくさまざまなネットワークの力も、計画中止に大きな影響を与えてきたのです。

(ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.156より)

毎日新聞 2.5

 

ウェールズにて(右から2人目が吉井さん)

 

昨年の森山さんの写真展のチラシより

 

写真展「原発とたたかうトルコの人々-日本の原発輸出、現地の声は?」

日本が原発輸出を計画するトルコでは、原発への反対運動が40年以上続いています。トルコの人々はチェルノブイリ原発事故による深刻な汚染被害も経験しており、原発に厳しい目を向けています。
原発
に反対するトルコの人々の声や運動の様子を、写真や説明パネルの展示を通じて紹介します。
トルコ写真展チラシ
9 1130
会場:立命館大学国際平和ミュージアム2 階常設展示室内(京都市北区等持院北町56-1
開館時間:9 30 分~16 30 分  見学資料費:大人400
主催:森山拓也
共催:立命館大学国際平和ミュージアム
協力:ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン

 

 

英ウェールズ・アングルシー島での原発反対運動に福島から応援団

大倉純子(アイルランド在住)

日立が原発を輸出しようとしているウィルヴァの地元アングルシー島でフォトショップを営む写真家のジュリアンさん作成のポストカード。同島内の古代遺跡の写真。説明文は「この青銅器時代のスタンディングストーンから1マイルと離れていないウィルヴァで作られる日立の放射性廃棄物、それは、このストーンが過ごした年月の百倍の時間をかけないと消えない」「私たちの子どもたちのために、そして何世代にもわたる子孫のために、今こそ核の悪夢を止める時だ」

英ウェールズ北西部アングルシー島に、日立が原発輸出を計画している(事業者は現地子会社ホライズン)。

5月末、ウィルヴァ原発の地元住民反対運動団体PAWB(People Agianst Wylfa B)の代表3名が日本政府への反対署名提出のために訪日した際、福島県農民連代表の根本敬氏らが「福島の経験に学んでほしい」とウィルヴァ現地訪問を申し出た。7月半ば、アングルシー島および周辺地域計5ヶ所での講演会、記者会見、農業関連の話題を紹介する地元テレビ番組のインタビュー、アングルシー州議員との面談、農場訪問などが行なわれた。

アングルシー州議会にて(写真提供:藍原寛子)

訪問メンバーの一人、馬場績氏は福島原発から30kmの浪江町津島地区で畜産・米畑作を行なうとともに、この28年間町議を勤めてきた。帰還困難区域にある自宅・田畑の荒れ果てた現状や、避難時の混乱について話された。事前合意にもかかわらず東電から事故の連絡は何もなく、浪江町独自の判断で住民は津島地区へ避難したが、実はそこは高線量地区であったこと、食料も医薬品もガソリンもない状況で、避難の最中に亡くなった方がたくさんいることを写真を見せながら話された。また、アングルシーから本土に行くには二本の橋しかないことから「緊急事態になったらどんな混乱が起こるか」と懸念を表された。

根本さんは二本松市で米畑作を営む農家。事故後、福島の農民で自殺した人が何人もいること、人間だけでなく家畜たちも悲惨な末路をたどらざるをえなかったことを話された。農民連の太陽光発電事業を紹介し、「百姓たるもの食とエネルギーは自給すべし、後世に廃炉や廃棄物の負担を押し付けるな」と熱く語った。

故郷の福島から情報発信を続けるフリージャーナリストの藍原寛子さんは、ご自分も編纂にかかわった「福島10の教訓」を説明し、また、マーシャル諸島大統領が核推進側を評した言葉「Lie, Deny, Classify(うそ、否定、機密扱い)」(今、PAWBの間で流行っている)や、アイリーン・美緒子・スミスさんの「水俣と福島に共通する10の手口」を紹介された。

ところで、この原発の名前のアルファベット表記はWylfa Newydd。発音はウィル「ヴ」ァ・ニューイッ「th」。英語ではなく、ウェールズ語だからだ。「イギリス」は、実は国政の中心イングランドと、ケルト文化圏に属するウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国からなる連合国で、それぞれが独自の文化・言語を持つ。そのうち、明確に脱原発を打ち出し、独立の機運も高いスコットランドや、紛争の後遺症が続き、また隣のアイルランド共和国も関わってくる北アイルランドは、ヘタに刺激できないからか、原発関連のお荷物はウェールズに押し付けられがちのようだ(セラフィールドのあるカンブリアも、現在はイングランドだが地名の語源はウェールズ語)。

地図でもわかるように、アングルシーはウェールズの北西の端だ。島の住民の大半がウェールズ語で生活しており、自分たちの言語・文化への強い誇りがある。30年前にPAWBが結成されたときも、その母体はウェールズ語協会だったそうだ。一方、人口・産業は200km以上離れた首都カーディフがある南部に集中している。

実際の政策決定は、第一にロンドンの英国会(与党:保守党)、次にカーディフのウェールズ議会(与党:労働党。支持母体の労働組合が雇用を理由に原発に賛成しているため、労働党も賛成)のトップダウン。日本の原発に見られる中央-周辺の差別構造が、ここでも顕著に現れている。

ウェールズにはプライド・カムリ(ウェールズ党)という民族政党があるが、原発への意見は党内で分かれている。「PAWBにはプライド・カムリ支持者が多いが、党の上層部は支持者や一般党員の意見を聞かない」とPAWB設立メンバーのディランさんは歯噛みする。現にアングルシー州議会はプライド・カムリが与党だが、明確に反対を表明するのは1人か2人。福島の訪問団との面談でも「自分たちにはなんの決定権もない」と言い訳ともつかない発言をしていた。しかし、緊急避難計画策定責任はアングルシー州にある。このような危機感のなさで、どんな計画ができるのか心配だ。

アングルシーの主要産業は農業と観光。美しいビーチやヨットハーバー、貴重鳥類の営巣地があり、世界一長い名前で有名な駅やアイルランド共和国へのフェリー港もある。内陸は広々とした牧草地が広がり、吹き渡る風が気持ちいい。人々はとてもフレンドリーで、落ち着いた穏やかさが印象的だ。それでも経済的に「貧しい」地域とされ、「雇用創出」が第一の政策課題とされる。

カルナーヴァンにてPAWBメンバーと。後ろに見える龍の旗はウェールズ国旗(写真提供:藍原寛子)

英国では原発立地への政府からの交付金制度はないが、日立・ホライズン社のばら撒き工作は始まっている。私の宿泊先にもホライズン社のPRパンフが配布されてきていた(英語とウェールズ語半々。現地の文化軽視批判への対策らしい)。コミュニティ支援としてサッカー施設などに3千万円を寄付したことや、アングルシー出身者のホライズン社への幹部登用、若者たちの日本への招待旅行などが載っていた。

地元の小中学校ではホライズン社員による授業がカリキュラムに組み込まれ、昨日の新聞には、ウィルヴァ原発建設に必要な技術習得コースを地域の専門学校内に設ける、という記事が出ていた。

PAWBのロブさんは「地域の開発計画はすべて『ウィルヴァ』ありき。原発に限らずたった一つのプロジェクトに地域の将来をかけるのは無謀」と指摘する。

実は、記者会見会場に予約してあったホテルから、前日になってキャンセルされる事件があった。「過激な人たちが抗議行動をしようとしている」という電話があったとのこと。「このホテルはこれまでいろんなイベントで使ってきたのに」とPAWBメンバーは残念がる。日本の原発予定地が味わってきた、露骨で汚いコミュニティ分断工作がここでも行なわれるのかと思うと胸が痛む。

原発予定地で唯一ホライズンへの土地売却を拒否したジョーンズ夫妻との面談では、農業や原発への世代間の意見の相違など、国を超えた共通の話題が出た。ジョーンズ家では息子さんが後を継ぐことを明言しており家族の結束は固いが、多くの若者は他の仕事をやりたがるという。ジョーンズ家には2011年夏に土地売却の打診があった。非常に高圧的で、断ると様々な嫌がらせがあったが、地元新聞が報じたことでやっと収まったという。同地ですでに廃炉になったウィルヴァA原発による健康被害に関しては、ご自身の娘さんが悪性リンパ腫、また孫の親友は白血病だという。この地域はガンの割合が非常に高いと病院などでも言われるが、行政は否定する。人口も少ないため証明が困難とのこと。「実は原発に反対している人はたくさんいるのに、メディアは報じない」と苦言を呈する。敷地の一部をリゾート会社に貸し出そうとしたが、原発に近すぎるということで断られたそうだ。

英国全体でも原子力への逆風は激しい。高騰する費用、見通しのつかない地層処理、一方で再生可能エネルギーのコスト低下。しかし英政府は原子力に不合理なほど執着している(ロブさんは「軍用核技術保持のため」と推測する)。

「私たちが土地を所有するのではない、私たちが土地に属しているのだ」(注)というジョーンズ夫妻の言葉に共感できる者同士の連帯。これしか核の狂気を止める方法はないのかもしれない。
*注:元はアボリジニの、彼らと大地のスピリチュアルな関係を表す言葉

(7月31日記。英国の原発計画や今回の訪問は、東京新聞・朝日新聞のデジタル・サイトに関連記事が出ているので、チェックしてほしい)

(ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.153より)

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信153号(8月20日発行、B5-24p)もくじ

・慶州市民の汗と涙が成し遂げた、月城1号機の廃炉決定 (イ・サンホン)
・台湾第四原発で呉文通さん楊貴英さんに会う (さとう大)
・台湾における原発推進派の巻き返し (陳威志)             
・英ウェールズ・アングルシー島での原発反対運動に福島から応援団 (大倉純子)
・原発に関するトルコでの報道 (森山拓也)
・東電刑事裁判 ― 驚くべき新事実も次々明らかに (佐藤和良)
・東海第二原発の20年運転延長を認めない!~首都圏連絡会のとりくみ~
埼玉県議会の意見書に抗議する県民のとりくみ (白田真希)
・島根原発3号機「新規稼働」申請と周辺自治体の権限を考える (水藤周三)
・ほろのべ 核のゴミを考える全国交流会 報告 (衛藤英二)

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「福島原発事故体験者・木幡ますみと過ごした5日間」

Pınar Demircan プナール・デミルジャン(Yeşil Gazete 4月29日)

4月22日、トルコ・シノップ、野外記者会見。木幡ますみさん、プナール・デミルジャンさん

福島原発事故の影響は7年間続いており、10年後も、そしておそらく何百年後も続く、人間が引き起こした悲劇だ。この悲劇が起きたとき、原発からわずか6kmの距離で家族と共に暮らしていた木幡ますみが、体験を伝えるためにトルコを訪問し、チェルノブイリ原発事故32周年のイベントに参加した。No Nukes Asia Forum Japanとnukleersiz.orgが協力して準備し、シノップでシノップ反核プラットフォーム、サムスンで電気技師会議所と建築家会議所、イスタンブールでは電気技師会議所の主催するイベントで講演を行なった。木幡ますみは、福島原発事故の体験を話し、トルコで建設が予定されている原発について警告した。

福島原発事故経験者の木幡ますみが福島での体験を伝えるための5日間のイベントに、原子力物理学者のハイレッティン・クルチュ教授をはじめ地元の様々な団体や個人が参加した。木幡ますみは「福島原発事故を起こした国が他国に原発を輸出しようとする企てが恥ずかしい」「日本政府は使えない技術をトルコへ売りつけようとしている」と述べた。

世界で2番目に大きな原発事故を経験した木幡ますみ、2011年3月11日に起きた地震と津波から7年が経った今も、放射能汚染のため生活が完全に変わってしまった人々、14年と15年に緑の思想協会とNükleersiz.orgから2度招かれ、昨年もトルコ弁護士会環境都市委員会が企画した「原子力と法シンポジウム」で講演した守田敏也などトルコを訪れてくれた人たち、原発輸出に反対する日本人たち、映像作家の丹下紘希のような人々が、私たちに、「どうか、原発を建てるという考えに慣れないでください」と警告している。

全ての話が悲劇だ。家々を捨てなければならなかった日の体験へと話を移す。

「あの日」

福島では2011年3月11日のことを「あの日」と言う。木幡ますみが忘れることのできない光景は、住民が避難した日の光景だ。避難しようとする人々で道が渋滞し、身動きがとれなかった。

「トルコで原発を建設する者たちは、道路に関心を寄せていない」
「パニック状態でした。あの日を忘れることができません」

木幡ますみは、シノップの道路が緊急時避難のために十分でないことから、原発建設を決定した者たちは避難について重視していないと述べた。

驚くべきことではない。なぜなら、アックユ原発の環境影響評価レポートでは、緊急時の避難計画が話題にもなっておらず、専門家調査で話題にあげても真剣に議論されなかった。

「原発事故が起きたことで人生が変わりました」

福島原発から6kmの大熊町で夫と共に農業と塾を経営していた木幡ますみの生活は、原発事故によって完全に変わってしまった。原子炉で爆発が起きてからそこは避難区域となり、11km先の体育館へ避難させられた。しかし体育館のインフラは大勢の避難者のために十分ではなく、水道が使えず、道路も壊れており外から水や食料を運ぶこともできなかった。木幡ますみはその後、夫と共に100km離れた会津若松市へ移った。

「病気になった人や自殺した人が大勢いる」

救助活動が十分に行なえずに亡くなった人、避難先の劣悪な環境や被曝のために自殺した人、避難中に薬が飲めずに病気が悪化して亡くなった人の合計は2227名だが、実際はこの2~3倍ではないかと予想される。

腎臓を一つ、夫に移植した

原発事故前に治療を受けていた木幡ますみの夫は、長い避難生活で薬を飲むことができず、きれいな水も飲むことができなかった。一つの腎臓だけでは生活が難しくなり、残っている腎臓も摘出しなければならなくなった。夫に腎臓を一つ与えたと話す木幡ますみの目は笑っていた。

「原発事故を予想していた」

木幡ますみは、結婚して夫が住む大熊町に来てから、福島原発を見てきた。何度も「原発モニター」に応募したが叶わなかった。しかし2005年に委員長が交代し、「原発モニター」に就任することができた。たとえば、津波を防ぐ防波堤が低いことや、非常用発電機の設置場所が適切ではないことなどを指摘した。しかし回答はいつも同じで、「予算がない」と言われた。提案は予算不足という理由で東京電力の経営陣によって拒否された。木幡ますみはこのときに、原発には他にも問題があり、放射能漏れや欠陥が人々から隠されていると主張していた。

「そんなことをすれば大変なことになる」

木幡ますみは、福島原発に関する決定を行なう者たちや国に対して苦しい闘いを行なっている。町議会議員として、除染活動などについての決定にも関わっている。たとえば、貯蔵タンクに集めた100万トンの放射能汚染水を海へ流すことに対し、「そのようなことをすれば大変なことになる」と言った。

「私が死んでも、自殺ではありません」

福島原発から7年間、海へ毎日流れる放射能汚染水は、カリフォルニアの海岸まで届いた。これには世界中が注目している。

13人の町議会議員のうち、原発に反対なのは木幡一人だけだ。原発事故が起きても、国の政策に反対する勇気を持たないのだ。

原発のリスクと危険性について話し、様々な地域で放射能汚染の恐ろしさを説明して真実を語り、原発再稼働や原発輸出に反対する木幡ますみは、批判されることも多い。それを気にせず、世界に真実を伝える木幡は、友人たちにこう伝えている。「私の話すことを不快に思う者が大勢いる。もし私が死んだら、自殺だとは思わないでください」

「政府は放射性物質に汚染された地域への帰還を呼びかけている」

木幡ますみが最も怒っていることは、東京電力と政府が放射能汚染はないと主張して人々を自宅に戻そうとしていることだ。2020年の東京オリンピックのために、福島の放射能汚染は終わり、全てが通常に戻ったという国際的プロパガンダが行なわれている。しかし、大熊町を含め原発から近い地域の放射線量は通常の10倍から100倍に達する。なぜなら、放射性物質がほぼなくなるまで何百年もかかるのだ。以前に農業を行なっていた木幡は、大熊町では二度と米や野菜、果物を育てられないことを悲しげに話した。

緊急時の強制労働

毎日、5000人の労働者が原発内で収束作業をしている。木幡ますみは、原発事故後に被曝労働に従事したくないため逃げた労働者が脅しによって原発へ戻されたと説明した。

新しく建てられた学校でも似たようなことが起きている。役所の職員の子供が、汚染区域にある学校へ避難先の家から強制的に通わされている。

「家畜を自分の手で殺した」

福島原発事故のもう一つの悲惨な結果は、福島は農業の盛んな地域だったため、人々は家畜を持っており、それらを捨てなければならなかったことだ。地域に入ることが禁止されたため、長期間、家に戻って家畜の世話をすることができなかった。さらに、ひもでつながれたり、小屋の中に残されたまま、家畜たちは逃げ出すことができず餓死した。原発事故の発生からしばらく後、家畜の世話のために一時帰宅した人の中には、被曝した家畜に毒を与えて殺さなければならなかった者もいる。木幡ますみは「私の犬と猫も放射能の犠牲となった」と言った。

「ああ、あの山と森」

原発の爆発により放射能汚染された山と森は除染が不可能なため、永久に危険なままである。風や雨によって放射性物質は移動する。木幡ますみはこのように表現した。「この状況で政府は私たちを山のふもとの家に戻そうとしている。しかし、私は抵抗します。このようなシステムに反対するために元気でいる必要があります」

「漁業はもうできない。放射線測定のために魚を捕っている」

福島県の浜通り地区では漁業に従事する者が多かったが、全てが変わってしまい、漁師たちは職業を変えるか漁業のために他の地域へ移ったと木幡ますみは説明した。

木幡ますみがくり返し語るのを辛抱強く聞く。なぜなら、彼女の経験を私たちは誰ひとり経験していない。彼女をトルコへ招いたのも、彼女の経験したことをくり返さないため、彼女の経験したことの原因を説明するため、悲劇から教訓を得るためである。

「原発の建設を許さないでください。最後に泣くのはあなたたちです」

これは前にも聞いたことだ。決して忘れられない警告は、私が日本を訪問したとき、ある女性が話した「これらはすべて、私たちが政治家に任せきりにしたから起きた」という言葉だ。別の一人は、「一つ原発が建てば、さらに建設が続く」と言った。既存の原子炉の隣に新しい原子炉を加えることは法的インフラの面で整備が簡単であり、世論でも議題となりにくいため、政権にとって都合がよい。

「最も安全な原発は、建てられなかった原発だ」

商業原発を持たないトルコで、どの方向へステップが踏まれるのか?

ここ2年で、アックユ原発の環境影響評価に対して市民社会が訴えた裁判で、法が政権によっていかに取り除かれたのかを見てきた。

次の選挙は、原発建設に関する政治決定に影響することが確実だ。したがって、誰に投票するのか、重要性は大きい。

福島原発事故から得た教訓は、最も安全な原発は、建てられなかった原発だということだ。

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■ シノップ反原発集会に禁止令

シノップで続けられてきた反原発集会が内務省によって初めて禁止された。シノップではチェルノブイリ原発事故のあった4月26日に合わせ、毎年4月下旬に大規模な反原発集会が開催されてきた。今年もシノップ反核プラットフォームの呼びかけで4月22日に反原発集会が計画されていた。

4月19日、内務省はシノップ反原発集会の禁止を命じた。禁止の明確な理由は示されなかった。

前日の18日にはエルドアン大統領が、2019年11月に実施予定だった大統領選挙と議会選挙を、1年半前倒しで6月24日に実施する方針を示した。

昨年4月に行なわれた国民投票で、行政権限を大統領に集中させ議院内閣制から実権大統領制に移行するための憲法改正が決まった。次の大統領選挙で当選した候補は初の実権型大統領となる。シノップ反原発集会の禁止は、選挙に向けて政権への反対派が勢いづくのを防ぐ意図があると考えられる。集会の禁止と合わせ、集会前日にシノップで開催が予定されていた木幡ますみさんによる福島の現状についての講演会も禁止された。

集会の禁止を受け、シノップ反核プラットフォームは22日の集会当日にシノップ中心の広場で抗議の記者会見を行なった。記者会見には野党・共和人民党の国会議員をはじめ、300人ほどが集まった。会見では木幡ますみさんも福島の現状を報告し、原発に反対するメッセージを語った。同日にイスタンブールとメルスィンでも、反核プラットフォームや環境団体が原発に反対する記者会見を行なった。4月26日にはアックユ原発から近い北キプロス・トルコ共和国の首都でもアックユ原発への抗議行動が行なわれた。
(トルコ現地紙からのまとめ)

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■ イスタンブール反核プラットフォーム・声明
2018年4月22日

チェルノブイリ原発事故32周年にシノップで開催が予定されていた集会とシンポジウムが、内務省によって「挑発行為と安全」の理由によって禁止されました。シノップ反核プラットフォームの呼びかけに応じてトルコ各地からシノップへ向かおうとした原発反対派は妨害を受けました。

シノップで13年間続いてきた「シノップに原発はいらない」集会を禁止した内務省の決定は受け入れられません。

資本を代表する公正発展党(AKP)政権は、アックユ原発の派手な起工式(4月3日)を行ない、ノーベル賞受賞者のアズィズ・サンジャルを使ったテレビ広告によって原発のメリットを宣伝し、原発事業を推し進めようとしています。シノップ原発の市民公聴会(2月6日)では、原発に反対するシノップ住民の参加が暴力を用いて妨害されました。

似たような圧力と妨害は、アックユ原発の環境影響評価レポートの結果に反対する司法プロセスでも絶え間なく続いています。トルコを核の暗闇にとどめようとする者たちに反対する声を、これまでよりもさらに強める必要があります。

1986年4月26日以来、チェルノブイリ原発事故による汚染、死者の増加、破壊は続いています。今もここで続き、さらに何世代にもわたって続くこの災害と、変わらない考え方に対して抗議するために私たちは集まりました。

32年にわたって語られてきた「原発に関する嘘」を信じていないと叫ぶために、
私たちは集まりました。そして、どんな妨害や圧力があろうとも、原発を建設させません。

チェルノブイリ原発事故から32年の今、ジェラーテッペ、イスタンブール北部森林、ファトサ、アラクル、ムンズル、フルトゥナ、チャナッカレ、バルトゥンなど各地で自然環境と生活環境を脅威にさらす開発に、生活環境や公有地を企業に売り渡すための法案に、「エネルギーと発展」についての嘘に、自然環境の破壊に、反対します。

私たちの全ての権利を行使して、アックユ、シノップ、イイネアダで、原発を受け入れません。
(以上すべての翻訳:森山拓也)

(ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.152より)

★★★★★★★★★★★★★★★★★

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■ ノーニュークス・アジアフォーラム通信(No.1~144)
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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信152号(6月20日発行、B5-28p)もくじ

・「福島の声をトルコへ」トルコ訪問報告(木幡ますみ)
・「福島原発事故体験者・木幡ますみと過ごした5日間」(プナール・デミルジャン)
・シノップ反原発集会に禁止令
・イスタンブール反核プラットフォーム・声明
・2018年トルコ総選挙 各党の原発政策(森山拓也)
・誰のための原発輸出? 日英市民に押し付けられるコストとリスク(深草亜悠美)
・人々の命より生産性を優先させるのか?
バングラデシュの原発開発の問題点(モヒミーン・レイエス)
・インドとパキスタンよ 今すぐ核兵器を放棄せよ!
核実験から20年目の市民アピール
・インドネシア・西ジャワ州チレボンおよびインドラマユ石炭火力発電所への
日本の公的融資停止を求める国際要請書を日本政府に提出(波多江秀枝)
・「とめよう!東海第二原発 首都圏連絡会」結成(柳田真)

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★NNAF通信・国別主要掲載記事一覧(No.1~153) https://nonukesasiaforum.org/japan/article_list01

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「福島の声をトルコへ」― トルコ訪問報告 ―

木幡ますみ (6.2大阪集会での報告より抜粋、構成)

4月25日、イスタンブール

<日程>
4月21日 シノップ原発建設予定地へ
22日 シノップ集会中止・抗議の野外記者会見
23日 サムスンで講演会
24日 イスタンブールでラジオ出演
25日 イスタンブールで公開記者会見

■ 4月21日

シノップでの、21日の私の講演会と、22日の大集会・デモが、政府・内務省の19日の命令で中止させられたとのことで、入国を拒否されるのではないかと心配していました。しかし入国審査では、カウンターの高さがとても高いので、身長の低い私が飛び跳ねながら審査を受けようとする姿を見て、係の人が笑顔で入国手続きをしてくれました。

プナール・デミルジャンさん、森山拓也さん、佐藤大介さんと私は、イスタンブールから国内線の飛行機で、トルコ北部、黒海沿岸のシノップへ行きました。

チェルノブイリ事故の放射能が降り注いだシノップでは、2006年以降、毎年4月、原発建設反対の大集会・デモが行なわれてきました。2015年は4万人が参加したそうです。

昼ごろシノップの市街地に到着しました。シノップ市は人口約5万人、シノップ県では約20万人です。まずメティン・ギュルブズさん夫婦が経営する小さいけどすごくステキなホテルに荷物をおろしました。メティンさんは、SNKP(Sinop Nükleer Karşıtı Platform/シノップ反核プラットフォーム)のメンバーで、2年前、福島で行なったノーニュークス・アジアフォーラムに、プナールさんとともに参加した方です。

シノップは漁業町です。漁港には漁船がたくさん並んでいます。すぐそばに、市街地があり、ホテルやレストランや魚屋さんがあります。私は、3.11までにぎやかだった浪江町の請戸漁港を思い出しました。思い返せば、とてもぜいたくなことでした。双葉郡ではサケがたくさんとれます。とれすぎるとおすそ分けでたくさんもらって、ご飯のおかずにしても、味噌汁にしても食べきれず、「しゃけ、いらないよねえ」なんて言ったりするほどでした。もう絶対に戻ってこない暮らしです。

原発建設予定地

私たち4人と、SNKPのメンバー6人は、市街地から約15キロの原発建設予定地に、車で行きました。

周辺に自然保護地域も存在する、たいへん美しい地域なんですが、国有林の木が200万本も伐採されていて、無残な風景でした。森山さんが「1年前に来たときは一面、緑豊かな森だったのに。環境影響評価も完了していないのに」と言いました。

そこで、悲しい光景がありました。ずっと向こうから一頭の牛がこちらへ歩いてくるのです。不思議に思って聞いてみると、森林が伐採されたこの場所に、あの牛が飼われていた家があったんだそうです。だから、自分がかつて住んでいたところを思い出し、牛が自分の故郷に戻ってきているのでした。今の双葉郡を見ているような気がしました。

予定地の近くで、佐藤さんが持ってきた放射線測定器で空間線量をはかると、SNKPのメンバーたちが大注目でした。シノップ市街地よりだいぶ高いです。「32年前の放射能が樹木に残っているんだ」との声があがりました。

「こっちはウクライナ製。こっちは日本製、福島県では持っている人が多い」と説明すると、「値段はいくらか?」「どうしたら買えるのか?」と聞いてきました。佐藤さんがSNKPに贈呈しました。

SNKPの人たちと。左から2人目佐藤、4人目木幡 (撮影:森山、他の写真も)

予定地のとなり、トルコ最北端の灯台に行きました。黒海の景色もよく、観光客もたくさん来ていました。私は、灯台のある富岡町の小良ヶ浜漁港を思い出しました。

夜は、SNKPのメンバーたちと夕食会。テーブルにおかれているパンがおいしいので食べ過ぎてしまい、料理が出てくる前に、おなかがいっぱいになってしまいました。「地球の歩き方」によると、トルコのパンは世界一おいしいらしいです。みなさん、トルコに行ったら、食事のときにパンを食べすぎてはいけませんよ。トルコは、魚も肉も野菜も何でもおいしいです。

■ 4月22日

シノップでは2月6日に、原発の環境影響評価に関する市民公聴会が、推進側だけの参加で開催され、参加しようとしたシノップ市民たちやジャーナリストが警察によって排除されたそうです。

また、トルコ南部、地中海沿岸で、ロシアが建設するアックユ原発の起工式が4月3日に開催され、エルドアン大統領とプーチン大統領が共に出席しましたが、このとき、アックユ原発のあるメルスィン県では県知事がデモや集会の禁止令を出したということです。

このように、公正発展党(AKP)政権は、強権的に原発を推進するようになってきています。

4月22日、野外記者会見

22日のシノップ大集会・デモも中止させられたのですが、抗議の野外記者会見が行なわれました。市街地の広場のアタチュルク像の前で、数百人が参加しました。アタチュルクはトルコ共和国建国の父です。警察の妨害、規制などはなかったです。

記者会見で私は、福島原発事故被害の状況を伝え、最後に「シノップのような海の恵みにあふれた地域では、決して原発を作らせては駄目です。事故が起きなくても、原発周辺の魚の汚染が心配されて売れなくなります。事故が起きれば、生活も仕事もできない死んだ町になってしまいます。原発の建設は決してしてはいけません。だまされてはいけません。最後に泣くのはそこに住んでいる住民たちです。福島原発事故を起こした日本が、この美しいシノップに原発を輸出するなんて、絶対に許せません。なんとしても止めましょう」と訴えました。私の話を、皆さん一生懸命聞いてくれました。

トルコの皆さんはとても力づよく「座りこみでもなんでもやる!」と言っておられました。トルコでは女性も男性も同等の数くらい参加しており、明るさと強さが備わった国民性に感銘を受けました。

最大野党の共和人民党(CHP)の国会議員や、アンカラやイスタンブールからの著名人など、他のスピーカーの人たちは、原発反対のアピールとともに、集会・デモの中止に抗議し、「民主主義を守れ」などと、力強く訴えていました。

広場には、トルコのどこででも目にする、ゴマを大量にまぶしたリング状のパン「シミット」を売り歩くお兄さんがいて、私は、目が合ってしまうたびに何回も買ってしまいました。

記者会見には、高校生や大学生も、手作りのプラカードやバナーをもって、たくさん参加していました。デモがないので、記者会見のあと、大学生たちが「旧刑務所民俗博物館」に案内してくれました。1877年から1997年まで刑務所として使用されていて、投獄されていた学者、作家、政治家などについての展示もありました。刑務所をそのまま残し、こうした歴史を継承していくことは、とても大切だと感じました。日本の場合は、なんでも壊してきれいに作り変えてしまう気がします。そのまま実物を残して、負の遺産、歴史の影の部分であっても、伝えていこうとすることは重要ですね。国民性の違いが出ているのかなと思います。

デモの警備のために遠方から来ていた警官たちも刑務所の見学に来ていました。私が転びそうになったら、その警官の人たちが手を貸してくれたりしたのが印象的でした。

私が独房に入った写真は、フェイスブックでトルコの人たちに広まっており、人気です。

4月22日、野外記者会見

夜は、交流宴会です。魚がおいしいです。SNKP代表のカイハンさん、前代表のゼキさん、佐藤さん、おっさんたちは、トルコの蒸留酒「ラク」で乾杯しました。ラクは、無色透明ですが水を加えると白濁します。アラビア語圏ではアラックです。

トルコのみなさんは、歌って、踊って、陽気です。どんな方が来ても、一緒に歌おう、踊ろうで、誰が来ても仲間に迎え入れているようでした。福島原発事故で避難を強いられた人々は、作られた明るさ、作られた陽気さ、強いられる復興ではなく、本当の意味での楽しさ、明るさを奪われてしまっているのではないかと感じました。復興住宅などに慰問の人たちが来てくれますが、このような陽気さはありません。最後に「ふるさと」の歌ばかり歌わされて、楽しくない。自主避難の方々からも、「笑っても、心からの笑いじゃないんだよね」と言われたりします。こうした楽しさ、陽気さというのは、人間が生きていくために絶対に欠かせない基本的なもので、なくしてはならないということを、他国に行って改めて考えさせられました。

森山さんは、大学生たち6名と店をかえて夜中2時まで話し込んだそうです。未来の希望ですね。

日本人は、自分たちが原発事故で被害を受けたのに、なんでトルコに原発を輸出しようとするのでしょうか。トルコの人たちは、1890年に和歌山県沖で遭難したエルトゥールル号に乗っていた人たちを救助してくれたということで、日本の人々に対してとても親しみと恩義を感じておられます。しかし今回、「日本が建設した原発で事故が起きたら、私たちは日本人を恨みます」と言われてしまいました。福島原発事故の収束のめども立たないのに、なぜこんな自然豊かなところに原発を立てるのでしょうか。再生エネルギーを推進するために協力していく方が正しいのに、日本は全く逆のことをしようとしています。

■ 4月23日

朝、ホテルに、ハーレさんが訪ねてきてくれました。森山さんの映画「沈黙しない人々」にインタビューで登場した女性です。彼女と話し込みました。当初は運動を呼びかける立場だったそうですが、今は運動の中心から離れているようです。そういえばきのうの宴会もおっさんばかりでした。佐藤さんが「女性が前に出れば勝てます。アジアではどこでもそうです」と言いました。

シノップ在住の画家のセイットさんもホテルに訪ねてきてくれて、原発反対の風刺画をプレゼントしてくれました。

メティンさん夫婦に「また来ます」と、お礼をのべました。

バスで移動し、シノップ県のとなりのサムスン県へ行きました。サムスン市は人口40万人、サムスン県では120万人です。シノップと比べると大都会です。サムスンでも、シノップ原発反対運動が行なわれてきたとのことです。

トルコの反原発運動を支えている組織のひとつが、電気技師会議所(EMO)だそうです。そのサムスン支部主催で講演会が行なわれました。会場にはシノップ原発計画の危険性を示す大きなパネルが数枚展示されていました。50名ほどの参加でした。若者たちもけっこう参加していました。

私は、福島の原発事故被害の状況を、スライドで写真を見せながら報告しました。

■ 4月24日

イスタンブールへもどり、FM放送局の「アチュックラジオ」で、インタビューを収録しました。26日に放送されたそうです。

町会議員をやっている私が、いろいろな場所に呼ばれて講演したりすることを、他人からよく批判されます。「なんであんなことを発言したんだ?」「なんでそんなところに行ったんだ?」と、あれこれ言われるんです。あまりにも頻繁に言われているので、だんだんと気にならなくなってきました。ですから今回は、「トルコ、いいところだったよ~」と話してやったら、相手は羨ましがっていました。

反原発ドキュメンタリー映画「ニュークリア・アラトゥルカ(トルコ原子力狂騒曲)」の製作チーム、監督のジャン・ジャンダンさんや、プロデューサーのアイシェさんらと、シリア料理店で昼食を食べました。佐藤さんによると、日本の147名から、66万円の支援金を送ってあったのですが、完成は2年以上先の見込みとのことです。ジャン監督は「原発には、隠れた目的、つまり、核開発があるのではないか」と言ってました。

観光もしました。ヨーロッパとアジアを分けるボスポラス海峡のクルーズ船に乗りました。

繁華街を歩いていると、何やら人だかりです。まわりに多くの警官がいて、放水車も来ていました。しばらく様子をうかがい、弾圧はなさそうだと判断してから近づくと、百人ほどの人が「顔写真」などを掲げながら座り込んでいます。今日は「アルメニア人虐殺の日」なのです。1915年4月24日、イスタンブールに住んでいた250人ほどのアルメニア人知識人らが逮捕・追放されました。これを機にオスマン帝国領内でアルメニア人への弾圧が強まったため、この日は当時犠牲となったアルメニア人の追悼記念日になっているんだそうです。追悼集会をしている勇気に感銘を受けました。やった方は忘れても、やられた方は絶対に忘れないのです。

夕食は、イスラムについての著書が多い内藤正典先生御用達のレストランでした。

■ 4月25日

電気技師会議所(EMO)の事務所で、公開の記者会見がありました。70名ほどの参加者で満員でした。

私は、気合を入れて福島を伝えました。プナールさんも迫力で通訳してくれました。佐藤さんもノーニュークス・アジアフォーラムについて紹介しました。いくつかのメディアで報道されました。

1000軒もの店が入るグランドバザールへ行って、森山さんの提案で、黒海沿岸産の紅茶1kg、ヘーゼルナッツ1kg×2種、乾燥イチジク1kgを購入しました。持ち帰って、いわき市の放射能測定所「たらちね」で測定してもらいました。セシウム137、単位はKgで、紅茶は、36.1ベクレル、ヘーゼルナッツは、2.5ベクレルでした。32年経っても、紅茶にこれだけ含まれている事実がわかりました。恐いですね。

6月24日に、大統領選挙と、国会議員選挙がありますが、「もし、エルドアンと公正発展党(AKP)が大勝したら、昨年の国民投票で権限が強化された大統領となるエルドアンは、さらに強権的に原発を推進するだろう」と、トルコの人たちは言っていました。「反対の声が上げづらくなり、逮捕されることもあるだろう」「法改定され、トルコの反原発運動を支えてきた電気技師会議所も解散させられることになるだろう」とも言っていました。

三菱とアレバの「アトメア1」(110万kW)4基で、4~5兆円かかるそうです。伊藤忠は離脱しました。事業化に向けた調査は夏に終了予定です。原発輸出反対の声を広げたいと思います。

4月22日、野外記者会見

★ Q&Aより

私は大熊町でポチという名前の犬を飼っていました。2011年3月に避難するときには連れていくことができなくて、6月の一時帰宅の際に連れだしました。しかし保健所で診てもらったときに心臓疾患の可能性を指摘され、獣医さんに連れていくと、血管が細くなって心臓が弱っていると言われました。最終的には全身にがんができて2015年に亡くなりました。

火葬にしまして、最近、その遺骨を、やはり「たらちね」で測定してみたところ、3.39ベクレルのストロンチウム90が出ました。これは自然界にはないものです。東電の職員に事情を話して「これは原発事故で出た放射性物質なのではありませんか?」と問い詰めると、その人は下を向いてしまいました。

うちのポチは、一緒に飼っていたニャーニャーという猫たちを守ろうとしていたようで、動物たちだけで残された後、猫たちから離れず家の周りにずっといたようです。山の中などをあちこち出歩いてはいません。それでもストロンチウムが出たのです。原発で働いている人たちはどうなのでしょうか。これまでにも作業員だった方が病気になったりしていますし、亡くなった方もいます。恐ろしいことです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

すべての人が帰れるようにするというのではなく、帰りたい人が帰れるように環境を整えることが大事です。

原発のデブリをこれから取り出すといいます。取り出してどうするのかと聞いたら、どこにも持っていく場所はありません。格納容器に入れて大熊町に置いておくのではないかと東電の職員に聞いてみたところ、その人はうなずいていました。デブリの持って行き先がないのもそうですが、デブリを取り出せるかどうかもわかりません。危険なことはやめたほうが良いのです。一番先に被曝して、一番先にひどい目に合うのは、地元の人たちなのです。今、福島原発の収束作業員として働いている労働者の中には、大熊町など地元の人たちが多いのです。安く使えるからです。半分以上が地元の人たちです。給料をやるから文句を言うな、と言われています。だから彼らは何もしゃべりません。

双葉郡の人たちも、トルコの人たちと同じように、よく歌ったり踊ったりしていたのです。相馬盆歌などですね。しかし今では、涙で踊って、涙で歌っていると話してくれた人がいました。

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●トルコでの木幡さんのスピーチからの抜粋

私は、福島県の原発事故が起きた地元大熊町で、原発から6キロのところに住んでいました。私はそこで農業をしていました。しかし原発事故によって家を追われました。今は、会津若松市で暮らしています。

大熊町は、今も放射能が高くて、一部分を除いてほとんど誰も住めません。私は原発事故後、国の「故郷に帰りましょう」という帰還政策に怒りを持ち、町民の命と暮らしを守らなければと思い、町議会議員に立候補して、現在、大熊町の議員として活動しています。大熊町役場と町議会は、100キロ離れた会津若松市にあります。

私は各地域に行って、原発事故後の大熊町や近隣町村の実態を知ってもらいたく時々お話をしています。私は原発は絶対反対です。これは私の基本理念です。

原発事故から7年が経ちましたが、原発に近い町村の人々はほとんど戻って来ていません。福島県全体の避難者は、最初16 万5000 人、現在でも5万人以上です。2017年春に政府が避難指示を解除した原発周辺の4町村では、約1年たっても住民の帰還率は4.3%(31501人のうち1364人が帰還)です。高齢者が多いです。

日本政府は、除染といわれる放射線量を下げる作業をしたからと言って、次から次と人々を帰還させ、復興、復興と喚いています。しかし、放射線量は下がったと言われますがでたらめです。山々の木々や草花にふり積もった放射能は取り除くことはできません。農作物、コメや野菜は作れません。放射能が高い地域でも、帰還しなさいと、国は脅しをかけているような状況です。

人々は7年間の年月の中で、身も心も疲れ果て、自ら命を絶ったり、病に倒れた方々がたくさんいます。病気や自殺などの原発関連死者は2227人です。

原発の廃炉作業は先が見えません。現在、福島原発内で毎日5000人の労働者が被ばくしながら作業しています。壊れた原発の1号機から3号機までのデブリ(とけ落ちた核燃料)の取り出しはこれからで、とても高い放射線量の中での作業です。できるのでしょうか? 50年以上かかると言われています。またできたとしてもその核廃棄物は何処にも持って行きようがありません。それに、放射能汚染水は、タンクに、今、100万トンたまっています。放射能汚染水を海に流す訳にはいきません。

子供たちの甲状腺癌の多発が大きな問題になっています。福島県で甲状腺癌になった子供は197人(疑いを含め)です。甲状腺癌の手術を施した後でも癌が消えず、肺癌に移行している子供がいます。これからもまだまだ多くの病気が出てくるでしょう。

漁業は、原発事故後、海水の放射能汚染でできませんでした。今は操業再開されましたが、福島県では一部地域、それも一部の限られた海産物しか捕れませんし、捕れたとしても厳しい放射能検査があり、簡単に捕って売れる訳ではありません。福島県の漁師さんたちは、漁業をあきらめ、別の仕事を求めていかれた方が多いです。

トルコの人たちは日本に好意をもってくれていますが、原発が輸出されたら、日本をきらいになってしまうでしょう。私は原発輸出に反対します。

原発の建設は決してしてはいけません。だまされてはいけません。福島原発事故を起こした日本が、美しいシノップに原発を輸出するなんて、絶対に許せません。なんとしても止めましょう。

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★木幡さんについての報道記事

<4月25日>

Fukuşima tanığı Masumi Kowata ile 5 gün…


http://bianet.org/bianet/ekoloji/196526-fukusima-tanigi-sinop-ve-akkuyu-bizim-kasabamiza-benzemesin
http://www.cumhuriyet.com.tr/haber/cevre/964406/Fukusima_tanigi_Masumi__Birlikte_hareket_etmemiz_gerekiyor.html
http://www.emo.org.tr/genel/bizden_detay.php?kod=123326&sube=6(動画)
https://www.rtigercek.com/japonlar-sinop-taki-nukleer-santralden-cekilecek-iddiasi
https://jinnews.com.tr/EKOLOJ/content/view/82170

Basın açıklaması ve söyleşi I Çernobil faciasının 32. Yılında, nükleer santralların etkileri

<4月24日>
http://acikradyo.com.tr/etiket/masumi-kowata(Açıkラジオ)

<4月22日>
http://hbr.haber57.com.tr/genel/nukleer-santral-protesto-edildi/6617/

“Nükleer santral istemiyoruz” diyen Sinoplular, miting yasağına rağmen bir araya geldi: Buradayız!


https://www.birgun.net/haber-detay/yasam-savunuculari-nukleere-karsi-tek-ses-izin-vermeyecegiz-213197.html

SANTRALİN KURULACAĞI BÖLGE DEPREM BÖLGESİ


http://www.hurriyet.com.tr/nukleer-karsiti-platform-uyeleri-sinopta-bir-a-40813478

(ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.152より)

★★★★★★★★★★★★★★★★★

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PDF 4996ページ
・インドネシア・台湾への原発輸出反対運動の記録他
・国別目次をクリックすると記事に飛べます

■ ノーニュークス・アジアフォーラム通信(No.1~144)
■ ストップ原発輸出キャペーン通信
■ 第1回NNAF報告集(全国28ヶ所で集会。高木仁三郎・藤田祐幸・金源植など各国からの発言)
■ 神戸・環太平洋反原子力会議報告集
■ 第8回NNAF報告集

定価10000円 (NNAFJ会員価格3000円)送料共
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参考:NNAF通信・主要掲載記事一覧.国別 https://nonukesasiaforum.org/japan/article_list01

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信152号(6月20日発行、B5-28p)もくじ

・「福島の声をトルコへ」トルコ訪問報告(木幡ますみ)
・「福島原発事故体験者・木幡ますみと過ごした5日間」(プナール・デミルジャン)
・シノップ反原発集会に禁止令
・イスタンブール反核プラットフォーム・声明
・2018年トルコ総選挙 各党の原発政策(森山拓也)
・誰のための原発輸出? 日英市民に押し付けられるコストとリスク(深草亜悠美)
・人々の命より生産性を優先させるのか?
バングラデシュの原発開発の問題点(モヒミーン・レイエス)
・インドとパキスタンよ 今すぐ核兵器を放棄せよ!
核実験から20年目の市民アピール
・インドネシア・西ジャワ州チレボンおよびインドラマユ石炭火力発電所への
日本の公的融資停止を求める国際要請書を日本政府に提出(波多江秀枝)
・「とめよう!東海第二原発 首都圏連絡会」結成(柳田真)

年6回発行です。購読料(年2000円)
見本誌を無料で送ります。事務局へ連絡ください
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★NNAF通信・国別主要掲載記事一覧(No.1~153) https://nonukesasiaforum.org/japan/article_list01

★本『原発をとめるアジアの人々』推薦文:広瀬隆・斎藤貴男・小出裕章・海渡雄一・伴英幸・河合弘之・鎌仲ひとみ・ミサオ・レッドウルフ・鎌田慧・満田夏花http://www.nonukesasiaforum.org/jp/136f.htm

旧刑務所の独房

 

Declaration of protest against the House of Councilors approving the India-Japan Nuclear Cooperation Agreement

Declaration of protest against the House of Councilors approving the India-Japan Nuclear Cooperation Agreement

7 June 2017

To: Mr. Shinzo Abe, Prime Minister of Japan
: Mr. Fumio Kishida, Minister of Foreign Affairs, Japan

From: Campaign Opposing the Ratification of the India-Japan Nuclear Cooperation Agreement by the Japanese Parliament
Today the coalition government (Liberal Democratic Party and Komeito) voted to approve the adoption of the India-Japan Nuclear Cooperation Agreement.

We, the Campaign Opposing the Ratification of the India-Japan Nuclear Cooperation Agreement by the Japanese Parliament, strongly condemn this reckless action.

The pitifully short time it was debated by both houses of parliament is undeniable and there are many grave flaws in this Agreement. By ratifying this Agreement, Japan is legitimizing India’s nuclear weapons development. The government is trampling over 70 years of effort on the part of the Japanese people to eliminate nuclear weapons.

Furthermore, it will mean that Japan will be aiding the brutal repression of the rights and destruction of the environment of the Indian citizens who live on and near proposed sites for nuclear power plant construction.

It is already abundantly clear that, Toshiba, which is in financial crisis, as well as other nuclear industry corporations such as Hitachi and Mitsubishi are in no condition to actively pursue overseas contracts for nuclear power plants. It was completely unnecessary to approve this Agreement with such haste and time should have been taken in Parliament to identify and rectify all of the problems in the present Agreement.

We also stand in protest at the steamrolling of this bill through parliament and vow to continue the fight to prevent export of nuclear technology, together with Members of Parliament, citizen groups and individuals from across Japan as well as Indian citizens.