ライナス社レアアース製錬工場の現状報告 

和田喜彦(同志社大学)

はじめに

『ノーニュークス・アジアフォーラム通信』 No.120(2013年2月20日発行)にて、マレーシア・ライナス社レアアース製錬工場の状況を報告したが、本稿では、それ以後の動向についてお伝えしたい。ただ、2015年12月以降現地入りができておらず、文献調査に多くを依拠している。自ずと限界があることをご了承いただきたい。

1.ライナス社レアアース製錬工場とは
     
ライナス社(Lynas Corporation Limited)はオーストラリアの鉱山会社である。西オーストラリア州のマウント・ウェルド(Mt. Weld)にはレアアース鉱床が存在しているが、ライナス社はこの鉱山にて鉱石を採掘し、選鉱の後、鉱石をマレーシア・マレー半島東海岸パハン州クアンタン近郊のゲベン工業団地の製錬工場に輸送し、レアアース製品を製造する工程を2012年12月から稼働させている。

製錬工場は、Lynas Advanced Materials Plant(LAMP)と命名されている。1970年代後半~1990年代前半に三菱化成工業㈱の子会社「エイジアン・レアアース社(ARE)」が西部イポー近郊のブキメラで引き起こした深刻な放射能汚染事件「ARE事件」とは一緒にしないでほしい、先進的な施設で適正な管理を行っていることを知ってほしいという意図が込められている。マレーシア国民の多くが、三菱系列の企業が引き起こした「ARE事件」の悲劇を記憶しているからである。


なぜライナス社はオーストラリアの鉱石をマレーシアにて製錬することにしたのか。その理由は単純である。マグマ由来のレアアース鉱床には放射性物質のトリウムやウランが含まれており、レアアース抽出過程で放射性廃棄物が大量に発生する。マウント・ウェルドの鉱床もマグマ由来であるため例外ではない。オーストラリア政府の放射性廃棄物に対する環境規制は厳しく、また国民の環境意識も高いため、政治的にも収益的にも困難さが伴う。一方、マレーシアは環境規制がオーストラリアより緩いので環境対策の支出を低く抑えることができるという短絡的・利己的・非倫理的な経営判断がなされたのである。


実際、LAMPは環境に十分配慮された工場とは言えない。2011年の東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故をきっかけとして、工場建設に携わっていた複数のエンジニアが、工事の杜撰さを内部告発し、ニューヨークタイムズ紙がその証言を暴露した。それが契機となり、周辺住民の反対運動が活発化した。国際原子力機関(IAEA)や複数の海外の研究機関から放射性廃棄物保管施設等の欠陥が指摘され,環境汚染の発生が懸念され続けている。数々の問題点が指摘されつつも操業は続けられており,マレーシア国内では推進側と反対派住民との間で訴訟を伴う激しい対立が現在も続いている。


反対派住民の批判は、日本にも向けられている。日本政府は、(独立行政法人)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じ,2011年に約 200 億円の出融資を行っており,深く関与している。双日㈱も関わっており総額の6%が双日によるコーポレートファイナンスである。年間8500トンの軽レアアース(日本のレアアース需要の約3割に相当する)を10年間にわたり日本に供給する契約が結ばれている(和田2015)。

2.ライナス社レアアース製錬工場の収益状況

LAMPが稼働を始めたのは2012年12月であるが、図1にあるように、収益が黒字になったのは、2018年と2019年の2年間のみである。2020年はCOVID-19パンデミックの世界的な広がりによる影響を受けて再び赤字に転落してしまった。2021年は黒字になる見込みである。いずれにせよ、工場建設段階の2010年から2020年までの11年間の純利益・損失の年平均額は、マイナス7,050万豪ドル(仮に1豪ドル80円のレートで計算すると56億7千万円)であり、おおむね赤字経営となっている。日本政府と双日が出融資した約200億円が無事返済されるのか懸念される。

図1ライナス社レアアース製錬工場LAMPの純利益/損失

ただし、ライナス社の直近の第4四半期(2021年4月~6月)の売上高は前年同期の5倍近くに増え、過去最高を記録した(1億8590万豪ドル、約145億7千万円)。ライナスの株価は9%上昇し、8年ぶりの高値を付けた(ロイター 2021)。このように経営的な改善の兆しは見える。電気自動車(EV)の世界的需要が2021年には2020年と比較して40%伸びるという予想もあり、市場は楽観視しているようである。実際、後述するように、ライナス社は、オーストラリアに1か所、アメリカに1か所、レアアース製錬工場を新設する計画を実施に移しつつあり、強気の経営方針を表明している。

3.ライナス社レアアース製錬工場の環境汚染

経営上の改善の兆しが見え始めた一方で、環境問題は深刻さを増しているようだ。筆者が現地の研究者や地元住民の助けを借りて、工場排水口から約5㎞下流の河口付近の泥サンプルを採取し、大阪大学の福本敬夫氏に分析してもらった。その結果を図2に示す。稼働開始3年後の2015年12月には、トリウム濃度が環境基準を超える値を示している。その他、猛毒のヒ素が操業前の55倍に増加していることが判明した。廃棄物保管場から汚染物質が漏洩していることが懸念される。詳細な本格的な調査が急務である。

図2 ライナス社工場排水口から約5km下流の河口付近の漁村の泥の分析結果
(出典:福本敬夫氏と筆者の分析による)

4.放射性廃棄物の国外搬出命令を反故にしたマハティール首相

2018年5月9日に発足したマハティール新政権は、選挙公約通り同年10月に上級審査委員会を設置しLAMPの安全性に対し科学的検討を加えた(筆者も委員会に拙論を提出した)。マハティール政権は12月にライナス社に対し、稼働許可を更新する条件として、45万トンの放射性廃棄物をマレーシアから国外に搬出することを命じた。

ところが、翌2019年5月末、マハティール首相が来日し安倍首相に面会して間もなく、条件を緩和してしまった。事実上、国外への搬出義務は白紙撤回となった。反対派住民や、反対派の与党議員も途中で梯子を外されてしまった。結局、放射性物質を大量に含むゴミはマレーシアに押し付けられる構図となったのである。これは先進国から途上国への「公害輸出」の典型事例であり、環境正義の観点から問題である。この決定を受け、放射性廃棄物永久処分地がマレーシア国内に設置されることとなった。

5.マレーシア国内に建設されることと なった永久処分施設

ライナス社は放射性廃棄物の永久処分施設(Permanent Disposal Facility, PDF)をクアンタン市から30km北方向にあるBukit Ketam地区に建設しようと計画した(面積:12ヘクタール)。マレーシア原子力発電認可局(Atomic Energy Licensing Board: AELB)が、2019年にこの計画を承認したため、この地が最終決定地となる可能性が高まった。しかし、図3にあるように、人口約60万人のクアンタン市の上水道の集水域に位置するため、批判が噴出した。2021年4月28日、マレーシア環境省は、環境影響評価の結果から、この計画を却下した。

図3 放射性廃棄物永久処分施設建設予定地とされた場所 Bukit Ketam
(出典:The Stringer 紙2021年2月20日 https://thestringernews.com/2021/02/20/eia-contradicts-lynas-and-mb-multiple-risks-to-kuantan/ 2021年8月15日閲覧)

ライナス社は、永久処分施設建設計画の提出期限(2021年8月15日)の直前である7月25日に、別の場所に建設すると発表した。それはLAMP製錬工場に隣接する空き地である。しかし、当初計画の半分程度の容量しか確保できないとのことである。

6.ライナス社、西オーストラリア州カルグーリーに製錬工場設置計画

ライナス社は西オーストラリア、マウント・ウェルド鉱山から陸路で370km離れているカルグーリー(Kalgoorlie)に新たなレアアース製錬工場を新設する計画を打ち出した。ライナス社が自国で製錬を行おうと考えた理由を推測すると、マレーシア住民や国際的な環境保護派からの批判と反対運動に対峙し続けるよりは、環境基準が厳しくとも自国で製錬するほうが長期的にメリットが大きいという判断があったのではないかと思われる。その意味で、反対派住民団体と市民科学者の地道な反対運動、法廷闘争、啓発活動、国際的な連帯が一定の成果を勝ち取ったと考えて良いのではないか。

図4 ライナス社カルグーリー・レアアース製錬工場のイメージ図
(出典:Lynas Corporation Ltd. 2021. “Kalgoorlie Rare Earths Processing Facility: Project Fact Sheet – July 2021. https://lynasrareearths.com/wp-content/uploads/2021/07/Fact-Sheet_Lynas-Kalgoorlie-RE-Processing-Facility-July-2021.pdf 2021年8月15日閲覧)

7.アメリカ国防総省がテキサス州でのライナス社製錬工場建設に資金供与を約束

アメリカ国防総省は、先進兵器や電子機器に欠かせないレアアース市場の中国による独占を阻止するため、レアアース製錬工場をテキサス州ホンドに建設することを2021年1月22日に発表した。ライナス社が事業者で、軽レアアースの生産に特化するという。国防総省は約3,000万ドルを上限として拠出する予定である。ライナス社はほぼ同額の支出を予定している(Reuters 2021)。
 
おわりに

筆者はライナス社が引き起している可能性が高い被曝問題を日本のジャーナリスト、メディア、研究者に情報提供したが、それを深堀りしようとする人は残念ながらほとんど現れていない。もともと筆者自身の発信能力の拙さに起因するものではあるが、それぞれが核兵器の問題、福島原発事故の問題など各自の専門領域の殻に閉じこもってしまい、同じ被曝問題であるレアアース問題に向き合ってくれないことは残念なことである。日本の豊かさのためにマレーシア人の生活の質を犠牲にしている蓋然性が高いライナス社レアアース製錬工場問題について、放射線被曝防護という点で大同団結し、共に実態の解明に尽力していきたい。特に日本人は、先の世界大戦でマレーシアに侵攻し、戦後はARE事件で大迷惑をかけたのである。ライナス社問題で過ちを繰り返すのか、それとも名誉挽回となるか、日本のジャーナリストと研究者、市民社会の真価が問われている。

参考文献
ロイター。2021年7月26日。「豪レアアース大手ライナス、4-6月売上高が過去最高 株価8年ぶり高値」https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2P20F2 2021年8月15日閲覧。

Reuters. January 22, 2021. “Lynas signs deal with U.S. for light rare earths separation plant.”  https://www.reuters.com/article/us-usa-rareearths-lynas-corp-idUSKBN29Q30O 21年8月15日閲覧。

和田喜彦。2015。「マレーシアでのレアアース資源製錬過程による環境問題 ―エィジアンレアアース(ARE) 事件の現況とライナス社問題」『環境情報科学』第43巻 第4号, pp. 32-38。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信171号
(8月20日発行、B5-24p)もくじ

・第四原発とお別れしよう! ― 12.18公民投票 (全国廃核行動平台)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2260       

・脱原発アジェンダを確定し、大統領選挙に対応しよう (ヨン・ソンロク)     

・中国・台山原発の「放射能の脅威」が、なぜ、インドで懸念されるのか (ソナリ・フリア)
http://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2253  

・ライナス社レアアース製錬工場の現状報告 (和田喜彦)            

・「第二の原発」リニア中央新幹線にも関心を (石橋克彦)            

・広島原爆「黒い雨」訴訟の成果 (湯浅正恵)                 

・美浜原発3号機の運転禁止仮処分について (中野宏典)            

・伊方原発廃炉のために (名出真一)                     

・柏崎刈羽原発反対50年 (後編) (矢部忠夫)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
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マレーシアで1980年代に発生したARE事件の現状報告:現在も継続中の深刻な放射能汚染

マレーシアで1980年代に発生したARE事件の現状報告:
現在も継続中の深刻な放射能汚染 

和田喜彦(同志社大学経済学部)

(1)はじめに

本稿では、マレーシアで1980年代(約30年前)に発生した放射能汚染をともなう公害事件の影響が現在まで残存している状況について報告する。この事件は、レアアース製錬を行なった企業が加害企業であり、その社名(エイジアンレアアース社)に因み、「エイジアンレアアース社事件」、短くは「ARE事件」と呼ばれている。四日市ぜんそくの加害企業のひとつである三菱化成株式会社もこの事件に関与していた。

(2)エイジアンレアアース社(ARE)事件の概要

エイジアンレアアース社(ARE)は、マレーシアのペラ(Perak)州のイポー(Ipoh)市近郊にレアアース製錬工場を建設し、1982~94年(現在から36~24年前)の間に操業していた。製錬過程で発生したトリウムやウランなどの放射性廃棄物の管理が杜撰であったため、深刻な公害被害が発生した。

筆者は、2012年11月~15年12月の間に3回現地調査を実施した。マレーシア出身のオーストラリア人研究者(Lee Tan氏)や住民の協力を得ることができたのが幸運だった。

ARE事件の舞台は、マレー半島西部に位置するイポー市近郊のブキ・メラ(Bukit Merah)村とその周辺地域である。この地域一帯は、かつてスズ(錫、Sn、融点:232℃)とレアアースの生産で繁栄したが、現在はこれらの産業は下火となっている。

三菱化成株式会社(現在の三菱ケミカル株式会社)は、マレーシア企業と合弁でエイジアンレアアース社(ARE)を1979年に創設し、1982年に操業を開始した。その背景として、日本の原子炉等規制法改正(1968年)により、国内での放射性廃棄物の投棄や保管が厳格化されたことが挙げられる。これにより管理コストが上昇し、モナザイトなどからレアアースを抽出する工場は海外に移転していったのである。結果的に1972年までにレアアース抽出工場は日本から姿を消した。

くり返しになるが、レアアース抽出の工程では、多くの場合放射性物質が廃棄物として発生する。そのため、廃棄物の管理は厳重になされなければならない。ところが、AREの放射性廃棄物の管理体制は非常に不適切なものであった。とくに操業開始後2年間は、適切な廃棄物保管施設を設置していなかった。放射性物質を周辺の空き地、池、河川、道路脇などに大量に違法投棄した。そのことにより、周辺住民や従業員とその家族に白血病や先天性障害などで苦しむ人々が現れた。

1985年、AREの操業停止を求めて住民たちは裁判を起こした。1992年に出された第一審のイポー高等裁判所の判決は住民勝訴で、AREは14日以内に操業を停止するよう命じられた。AREは、判決を不服として最高裁判所に即時上告した。それを受けた最高裁はイポー高等裁判所の命令を暫定的に停止した。翌年1993年の12月には、イポー高裁の判断を完全に覆す最高裁判決が言い渡された。企業側の責任は認められず、操業は引き続き認められることとなった。

ところが、最高裁判決が出て間もなく(1994年1月)、三菱化成とAREは、国内そして国際世論に押される形で、操業を停止した。また、三菱ブランドを守るために違法投棄箇所の除染を実施した。しかし除染されたのは、裁判の過程で、違法投棄を請け負った業者らの証言によって明らかになった場所のみであった。証言から漏れた箇所が、現在も未除染の状態で残っているのではないかという疑念の声が以前から出されていた。住民や不動産業者などから、筆者や共同研究者に対し放射能汚染の実態調査をしてほしいという依頼が寄せられていた。

(3)現在も残る深刻な放射能汚染

住民の懸念と要請に応えるべく、筆者と共同研究者のLee Tanらは、2013年11月と2015年12月に調査を実施した。まず、放射性廃棄物の違法投棄をAREから委託されたという請負業者(高齢の男性で匿名希望)に聞き取り調査を実施し、複数の違法投棄現場の位置情報を聞き出し、それらの現場に出向き、ガンマ線計測器で放射線量を計測した。線量が高い箇所では土壌サンプルを採取し、大阪大学大学院理学研究科・福本敬夫氏に土壌分析を依頼した。

2013年11月の調査では比較的線量が高い場所が1箇所見つかった。バイパス道路の脇の地点で、そこでのガンマ線量の平均値は、0.34 マイクロSv/hを示した。通常の8倍程度であった。20メートル程の距離には一般の民家が1軒隣接し、約100メートル離れた箇所には別の民家があった。

しかし、2015年12月に実施した現地調査では、さらにガンマ線量が高い箇所を発見した。平均値は4.59マイクロSv/hであった。バックグラウンドの約100倍程度である。そこは、高圧電線の下の空き地で、牧草が生えている部分もあり、牛たちがのどかに草を食んでいた。近隣には、商業用倉庫があり、ペットボトル飲料水などが保管されており、ときおり業者とみられる人々がやってきて、商品を持ち出していた。小川をはさんで反対側には、工場が位置している。土壌分析の結果は、図1のように、放射性ウラン、放射性トリウムの濃度が非常に高い値を示した。ウランは、最大値で453ppmで、カナダ政府の土壌安全基準(居住地域)23ppmの約20倍であった。

図1:AREにより放射性廃棄物が違法投棄され未除染と思われる土地の土壌分析結果 (土壌採取日は、2015年12月29日~30日)
図1:AREにより放射性廃棄物が違法投棄され未除染と思われる土地の土壌分析結果
(土壌採取日は、2015年12月29日~30日)

トリウム汚染の公的な安全基準を見つけるのには苦労したが、EUの建築材料の安全基準を見つけることができた。それは49ppmである。この地点でのトリウムの土壌中濃度は、最大値で6,263ppmを示し、EUが定めた建築材用の基準の128倍であった。人々が自由に出入りできる場所であり、牛たちもその上で草を食んでいる場所でもある。人と牛の健康にとって危険なレベルであり、放置すべきではない。三菱ケミカルとAREに対し、これらの地点での除染を早急に実施するように求めたい。

(4)ARE事件被害者ライ・クワンさんからの三菱ケミカルへの要請

2015年12月に、ブキ・メラ村の住民の一人であり、かつARE公害事件の被害者でもあるライ・クワンさんにインタビューを行なった。末息子のレオンさんは重い障害をもって生まれ、彼女は苦労してレオンさんを育て上げた経験をもつ。残念ながら、レオンさんは2012年春に28歳で死亡した。インタビューには、ライ・クワンさんの娘で、レオンさんの姉であるライ・ファンさんも同席してくれた。

未除染の汚染箇所が複数見つかったことをお伝えすると、ライ・クワンさんは「自分たち以外の人たちに同じ辛酸をなめてほしくない。三菱化学(現在の三菱ケミカル)に対し、汚染土壌の除去作業を実施するよう訴えたい」と述べた。ライ・クワンさんとライ・ファンさんのインタビュー動画が、筆者のFacebookに掲載してあるので、ご覧いただきたい。どなたにも公開されています。
https://www.facebook.com/100007517136269/videos/1744179959175892/

(5)さいごに

ARE事件は30年以上経過した現在も未解決のままである。三菱ケミカルとARE社は、汚染箇所の除染を早急に実行すべきである。上に紹介した動画からもうかがい知ることができるが、ライ・クワンさんは高齢で病気がちである(今年76歳)。また、違法投棄を請け負ったことを証言し、その場所を教えてくれた男性も彼女と同年代である。当初、その男性は過去の不名誉な行為を明らかにすることを躊躇していた。我々が住民の懸念を伝えたところ、被害の拡大を防ぐため自らの責任を果たしたいという気持ちになってくれ、証言してくれたのである。この男性のささやかな良心的改心に応えるためにも、日本の名誉のために、そして三菱の名誉のためにも、AREと三菱ケミカルには彼女や彼が存命中に責任を果たしてもらいたい。

AREレアアース製錬工場と類似の工場が、東海岸のパハン(Pahang)州・クワンタン(Kuantan)市(人口約35万人)近郊に作られ、2012年12月より操業を開始している。オーストラリアのライナス社のレアアース製錬工場である。日本政府も独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じ200億円を超える額を出融資している。筆者らの現地調査でこの工場周辺でも放射性物質による汚染が発生していることを疑わせる分析結果が出てきた。この問題については、紙面の都合で別の機会に譲ることとする。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信150号 (2月20日発行、B5-32p)もくじ

・大飯原発3・4号機再稼働差し止め仮処分を申し立てました(児玉正人)
・トルコ、シノップ原発:公聴会で警察が市民を排除(森山拓也)
・シノップ原発の公聴会は市民を排除(プナール・デミルジャン)            
・ウエスチングハウス幹部のインド訪問とコバーダ原発建設計画復活に反対する声明
・コバーダで村人は強制移住させられる(ラクシャ・クマール)
・チュッカ原発計画に反対して、立ち退きを迫られる人々が地方選挙をボイコット
・マレーシアで1980年代に発生したARE事件の現状報告:現在も継続中の深刻な放射能汚染(和田喜彦)
・南オーストラリアの人々は核廃棄物を拒否する!
・イギリスへの原発輸出 ー 現地住民の声(深草あゆみ)
・ムン・ジェイン大統領の脱原発政策と人々の力(満田夏花)
・使用済み核燃料問題「再公論化」にどう対応するか(高野聡)
・5か国の仲間たちと「福島の教訓をどう伝えるか」戦略会議を開催(藤岡恵美子)
・何で埼玉県議会が「再稼働推進意見書」を決議?(菅井益郎)
・原子力規制委員会・更田委員長のトリチウム水海洋放出発言に抗議しトリチウム水の安全な保管を求める要請書(脱原発福島ネットワークほか144団体)
・平昌五輪を機に米朝における軍事演習の停止と対話、平和協定の実現を求める(89団体)

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