Submission of International Signature Against the Discharge of Contaminated Water – Video, News 「汚染水を海に流すな」国際署名提出、報道など

4.12 首相官邸前 in front of Prime Minister’s Office

4月12日、 64,431筆(88か国)を、政府に提出し、記者会見、首相官邸前抗議アクションを行いました。しかし13日、政府は汚染水海洋放出を決定。国際署名は継続します。署名日本語:http://chng.it/rQ2DWbJk
64.431 signatures (from 88 countries) were submitted to the Japanese government. Signatures will continue. 
On the 10th Anniversary of the Fukushima Nuclear Disaster: International Signature Campaign Against the Discharge of Contaminated Water and Calling for the Discontinuation of Nuclear Power Plants Now!

【署名提出・記者会見 Press conference 映像】
https://www.youtube.com/watch?v=KdT1s7N7eDw&t=717s

【官邸前抗議アクション、映像】
Emergency action in front of Prime Minister’s Office,
200 people, on April 12,
https://www.facebook.com/FoEJapan/videos/366567817923088

【記者会見 NHK 4.12】
Press conference NHK 4.12
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210412/k10012970511000.html?fbclid=IwAR1khoo9Kh9tgFI-bNV56HOnM2VkgRe3ZDptz5qxZ7r8Qu_Ha8ZfTVdgn1U

市民グループが12日都内で共同で会見を開き、このうち、原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「海洋放出は、復興につながらない」と。このほか参加団体からは、大型のタンクを増設し、長期に保管する方法や、水をモルタルで固めて地上で処分する方法などの代替案が十分に検討されていないと指摘もあがり、政府に対し方針を見直すよう求める意見が相次ぎました・・・

【日刊ゲンダイ 4.13】「菅政権『汚染水』放出決定の暴挙に国会周辺で抗議活動が広がる ー 海洋放出は10年間の漁師の努力を踏みにじる」https://news.yahoo.co.jp/articles/6e284ba1a96f694967532f4b71d0c8218063d534

12日、国内外で集めた海洋放出反対署名6万4431筆をFoEジャパンやグリーンピース・ジャパンなど7つの市民団体が経済産業省に提出。その後、団体らが主催した記者会見が参議院議員会館で開かれ、その後、首相官邸前で抗議集会をおこなわれた。会津若松市在住の片岡輝美さんは、福島の民意不在で決定されたことに怒りもあらわ。浪江町から避難している今野寿美雄さんは「流したら漁業者が10年かけてやってきたことが全部ダメになってしまう・・・

【ハンギョレ新聞 4.13】「世界の市民、日本政府に『放射能汚染水の放出やめよ』訴え」
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/39684.html?fbclid=IwAR2JKn7nI8HFvvhCqJ-6bALrDqND5ZPzDTXSb4ityVlw91xO-I51u0PQXtI

環境運動連合、緑色連合、市民放射能監視センターなどの韓国国内の環境団体を含む、世界24カ国の311の環境団体は「福島第一原発の汚染水を海洋に放出してはならない」とする書簡を日本の経済産業省に届けたことを12日に明らかにした。同書簡には、世界各国の市民およそ6万5000人が署名している・・・

【朝日 4.16】 国連人権理事会の特別報告者は15日、深い遺憾の意を表明した。「放出は太平洋地域の何百万もの命や暮らしに影響を与えかねない」と批判。
https://www.asahi.com/articles/ASP4J35ZDP4HUHBI03L.html?fbclid=IwAR3c3bLgOfFBvxm0_PfuH8ddKSu8pCcIRjYOxg6NZW7MZPU2axrIIBqejGI

UN experts say deeply disappointed by decision to discharge Fukushima water
https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=27000&LangID=E

【FoEジャパン声明:処理汚染水の海洋放出決定に抗議する】
Statement of FoE Japan: We strongly condemn the decision by the Japanese government to release contaminated water into the ocean https://www.foejapan.org/en/energy/doc/210413.html
声明:処理汚染水の海洋放出決定に抗議する|FoE Japan

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汚染水の海洋放出決定に抗議する ― 国際署名を提出

満田夏花(国際環境NGO FoE Japan)

 日本政府は4月13日、関係閣僚会議にて、福島第一原発の敷地でタンク保管されているALPS処理汚染水の海洋放出処分を決定した。

 これに先立ち12日に、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン、原子力資料情報室、FoE Japanなど311団体(24か国)が呼びかけ、88か国から集まった64,431筆の反対署名を提出し、記者会見、首相官邸前抗議アクション(200名)を行った。

 汚染水の海洋放出は、放射性物質の環境中への放出を意味する。実際に放出される水に含まれる放射性物質の総量は不明なままだ。いったんALPSに通したのにもかかわらず、タンクの水の7割以上で、ストロンチウム90など、ALPSで取り除けるとされていた多くの核種が全体として基準を上回っている。東電は二次処理を行うとしているが、結果的にどの核種がどのくらい残留するかは明らかにしていない。

 貯留されている水のトリチウム総量は約860兆ベクレル。政府は年間22兆ベクレルを放出するとしているが、福島第一原発が2010年に海洋中に放出したトリチウムは約2兆ベクレルだ。その10倍もの量を数十年にわたり流し続けることになる。政府は、トリチウムは世界中の原発から排出されていると強調するが、それが安全を意味するわけではない。有機結合型のトリチウムがDNAに取り込まれたときのリスクを指摘する専門家もいるし、原発周辺における健康影響を指摘する報告もあるが、こうした意見は真正面から議論されなかった。

 福島の県漁連は、「海洋放出には断固反対であり、タンク等による厳重な陸上保管を求める」との意見を表明。全漁連も「断固として反対」としている。2018年に開催された説明公聴会では、意見を表明した44人中42人が反対。福島県では59市町村のうち43市町村議会が、海洋放出へ反対もしくは慎重な意見書や決議を可決した。これらを無視しては、意見聴取はポーズにすぎなかったというそしりは免れまい。

 地元の漁業者は、事故直後から東電による汚染水の意図的、非意図的な放出に煮え湯を飲まされてきた。東電が汚染水の漏洩を後から発表したこともある。そうした経緯もあり、県漁連が地下水バイパスやサブドレン(建屋近傍の井戸)からの水の海洋放出について了承せざるをえなかった2015年、ALPS処理水については、東電に「関係者の理解なしには処分をしない」と約束させた。今回の決定は、約束違反だ。

 技術者や研究者などから構成される「原子力市民員会」は、陸上におけるモルタル固化処分や、石油備蓄で使われている大型タンクによる長期安定保管を提言している。しかし、これらについてはほとんど検討されていない。政府の小委員会でも、敷地北側のスペースを活用するため、積んである土を中間貯蔵施設に運びだす可能性が委員から指摘されたが、「調整に時間がかかる」ことを理由に退けられた。東電は敷地の利用計画として、今後取り出すとするデブリの保管場所や研究施設を含めているが、デブリの取り出しは困難を極め、多くのリスクを伴う。

 処理汚染水を海洋放出する場合、希釈してトリチウム濃度を1,500ベクレル/Lとすることになっている。政府は、これを「基準の40分の1に薄めて放出」としているが、これは嘘である。6万ベクレル/Lはあくまでトリチウム単体であった場合の基準である。福島第一原発では、地下水バイパスからの排水のトリチウム濃度を決める際、敷地境界線上における法令上の基準である年間追加線量1ミリシーベルトを達成するため、敷地内の施設からの放射線量など他の線源を考慮し、また、排水に含まれる他核種も考慮に入れて1,500ベクレル/Lと決められた経緯がある。つまり1,500ベクレル/Lは、あくまで規制上の要求であったことに注意が必要である。

 代替案の検討を怠り、真正面からの議論を避け、反対の声を聞き流し、意見聴取会に産業界のみを招へいし、都合のよいロジックによって強行した今回の決定には、何の正当性もない。いまからでも遅くない。政府は代替案やリスクを真剣に議論し、公の場での公聴会を開催すべきだ。

(ノーニュークス・アジアフォーラム通信169号より)

ロシアの反核運動: 諸問題、抗議活動とそれに対する報復の数々

以下は、極めて貴重な文書で、ロシアでの反核運動組織者に対して行われてきた差別や脅しの事実を暴き出すとともに、ロシアの核政策の真相を明るみに出そうとする活動家たちの勇敢で不屈な行動について詳しく述べている。

「ロシアの反核運動:諸問題、抗議活動とそれに対する報復の数々」

ロシア社会エコロジー連合(RSEU)/地球の友ロシア

■ はじめに

ロスアトムは、ロシア国内および世界中で原発建設、運転を行っているロシアの国有企業である。この国営原子力産業は、1957年のキシュティム災害(ウラル核惨事)や1986年のチェルノブイリなどを含む、核による重大事故の長い歴史を持っている。それでもなお、ロスアトムは数十の原子炉をロシアに建設し、生命を脅かす核技術を他国に輸出し、さらに輸出先で生じる核廃棄物(使用済み核燃料)を輸入する計画である。

この報告書は、環境汚染と人権侵害につながったロスアトムなどの諸活動に対する抵抗運動の数々を集めたものである。

ロスアトムによって引き起こされた社会と環境についての紛争は長年未解決のまま残されているが、同時に、これらの問題提起をした環境保護者たちは一貫して報復を経験してきた。

着色:ロスアトムが何らかのプロジェクトを実施している国
 ロスアトムは原子力分野での協力のために国際的な法的枠組みの強化に努めており、2019年末までで74か国と政府間協定が締結されている。その中の20か国は、原子力施設建設のための協定。

■ 核エネルギー:失敗と嘘の連続

2017年秋、ヨーロッパ数カ国の大気中で放射性核種ルテニウム106が発見された。多くの専門家が、ルテニウム放出をロシア中南部チェリャビンスク州のマヤーク核施設に関連づけたが、ロスアトムはこれを否定し続けている。

2019年8月8日、ロシア北西部のアルハンゲリスク州ニョノクサ村にある海軍ミサイル実験場で、「液体燃料ロケットエンジン用核動力源」の試験中に爆発が起きた。

現場から30 kmの場所にあるセベロドビンスク市の行政は放射線レベルの増加を報告したが、後にその主張を撤回した。非常事態省はセベロドビンスク市周辺で通常の20倍以上、2 µSv / hの放射能を記録したが、国防省は「放射線レベルは通常どおり」と発表した。

2日後、ロスアトムは、実験場で5人の従業員が死亡し、3人が負傷したと報告。メディアの報道によると、国防省の職員2人も死亡、3人が負傷した。被害者を救助した医療関係者は、放射線被曝のリスクがあることを知らされていなかった。

チェルノブイリのリクビダートル

■ 期限切れの原子炉

ロシアの原子炉の70%以上は老朽化している。これらは1970年代に開発され、30年間運転できるように設計されたのだが、原子炉の寿命は2倍に延長された。ロスアトムの戦略には、原子炉の危険な「出力増加」も含まれている。

原子力規制機関である「ロシア連邦 環境・技術・原子力監督局」は、環境への影響評価や公的協議もなしに、寿命延長の認可を行っている。

とくに危惧すべきは設計上欠陥のある炉型の原子炉の寿命延長である。レニングラード州、スモレンスク州、クルスク州にあるRBMK(チェルノブイリ型)原子炉は、ロシア北西部ムルマンスク州のコラ原発のVVER(加圧水型)と同様に、寿命を超えた後も運転を続けている。どちらのタイプも、事故の場合に放射能を封じ込めたり、外部の衝撃から原子炉を十分守れる格納容器を備えていない。

長年にわたり、ムルマンスク州の環境団体は老朽化したコラ原発の寿命延長に反対してきた。彼らは、公聴会に参加したり、多くの抗議行動を組織したり、検察庁に上訴したりしたが、すべてロスアトムに無視された。

活動家たちはまた、古い原発を閉鎖するよう知事に要請したが、環境団体の方が代わりに閉鎖されてしまった。そのような組織の一つが「コラ環境センター」で、2017年に「外国のエージェント(スパイ)」としてリストに挙げられ、2回裁判にかけられ、150,000ルーブルの罰金が科された。「コラ環境センター」は、法人としては2018年に強制的に閉鎖されたが、一般市民の運動として環境活動を継続している。

コラ原発の寿命延長への抗議行動

■ 廃炉措置に関する諸問題

ロシアの原発のほとんどは寿命が延長されたが、それにもかかわらず閉鎖は避けられないし、その時は近づいている。今後15年間、原発の廃炉プロセスが起こることになる。現在、ロシアでは11か所で36基の原発が稼働しており、7基がすでに閉鎖されている。このうちの5基からは燃料棒が取り出されたが、廃炉作業はなされていない。今後の廃炉プロセスで、膨大な量の核廃棄物が出ることになる。廃炉プロセスのための資金はまだ十分確保されていない。

レニングラード原発1号機が、45年の運用を経て2018年についに停止された。2号機の停止予定は20年、3号機は25年、4号機は26年。しかし、原子炉の廃炉計画は確定されていない。ロスアトムの子会社であるロスエネルゴアトムが、閉鎖後の数年で廃炉計画を確定する予定だ。

公益団体である「グリーンワールド」は、レニングラード州のソスノヴィボル市で長年にわたり運動してきたが、この市は原子力産業に支配されていて外界へは閉ざされている。1988年以来、「グリーンワールド」の活動家たちは、バルト海地域での危険な核プロジェクトに反対し、環境状況に関する独立した情報を人々に提供してきた。

「グリーンワールド」は、一貫してレニングラード原発の廃炉を求め、廃炉がどのように行われるべきか情報を収集したり、他国の経験を研究、紹介することに先導的役割をはたしてきた。彼らがとくに主張したのは、情報の公開と、たとえば原発の元従業員も含めるなど幅広い関係者が意思決定に参加することなどである。

この団体は、当局や原子力産業からの汚い圧力を当初から経験してきた。活動家たちは、解散や裁判沙汰、そして生命の危険にさえ直面した。

2015年、「グリーンワールド」は「外国のエージェント(スパイ)」としてリストに挙がり、強制的に閉鎖された。その代わりに、別の組織「フィンランド湾南岸の公会議」が開設され、活動家たちはこの新しい名前の下で以前と同じように活動を続けている。

解散させられたグリーンワールドの活動家たち

■ ウラン採掘に対する抗議運動

ロシア中南部ウラル地方のクルガン州では、ロスアトムの子会社であるダラー社がウランを採掘しており、地域社会は環境災害を恐れている。

2019年の夏、州の環境影響評価は、ダラー社の文書がロシアの法的要求事項を満たしていないことを明らかにしたが、ダラー社は19年の終わりに鉱床開発を開始してしまった。

ドブロボルノエ・ウラン鉱床は、トボル川流域の氾濫原にある。これは、川に流れ込むすべての水が帯水層を通過し、放射性の有毒な複合物を周囲の環境に垂れ流すことを意味する。

2017年以来、クルガン州の活動家たちは鉱床開発に抗議してきた。彼らは当局に訴え、抗議運動を始めた。彼らの動画の1つである「ウランはクルガンの死」は、すでに50,000再生回数に達している。活動家たちは住民投票によって鉱床開発見直しを要求しようと数回試みたが、これまでのところ地域当局から拒否ばかりされてきた。

2018年2月、活動家アンドレイ・シュリヤーティエワの配偶者であり、3人の子供の母親であるナターリャは昏睡状態に陥り死亡した。彼女の死は、ダラー社が彼女の夫に対し会社の評判を傷つけたという名誉毀損の訴訟を起こしたと知った衝撃で起こった、と活動家たちは信じている。

クルガン州におけるウラン採掘への抗議

■ ロスアトムのウラン廃棄物輸入

2019年の秋、環境保護運動家たちは、放射性有毒廃棄物(六フッ化ウラン)がドイツからアムステルダムの港を通ってロシアに輸入されていることを暴いた。これはウラン濃縮プロセスで発生した廃棄物で、ウラル地方またはシベリアに送られ、地上のコンテナに保管されることになっている。商取引という名のもとに、ヨーロッパのウラン濃縮企業であるウレンコ社は核廃棄物の問題を回避し、ロスアトムは危険な廃棄物をロシアに持ち込んで儲けているのである。

「ロシア社会エコ連合」「エコディフェンス」「グリーンピース・ロシア」らは、この取引に対して抗議するようロシアの市民社会に呼びかけた。30を超える団体が共同声明に賛同し、様々な抗議行動がドイツやオランダ同様、ロシアでも行われた。

こういった数々の抗議運動の結果、放射性廃棄物の輸入問題はサンクトペテルブルグ市の議会で取り上げられ、放射性廃棄物の輸送は3か月延期された。

しかし、2020年3月、ロシアの人々がCovid-19ウイルスで抗議行動を通常以上に制限されていたとき、放射性廃棄物の輸入が、人口の比較的少ないレニングラード州のウスト・ルガ港から再開された。その際、新たな団体とレニングラード州の住民が、反核共同声明と抗議行動に参加することを決定した。

六フッ化ウランの輸入に抗議

一連の抗議行動において、多くの活動家が迫害に直面してきた。ロシア中部ウラル地方のスヴェルドロフスク州のノボウラルスク市は、原子力産業に支配されて閉ざされた都市であり、輸送される六フッ化ウランの最終目的地である。抗議行動に対応して、当局は2019年12月、3人の年金生活者に対して訴訟を起こした。後に告訴は却下された。

もう一例は、サンクトペテルブルク市の中心部で抗議した「グリーンピース・ロシア」の専門家、ラシッド・アリモフである。その日遅くに、2人の警官と私服姿の6人が、アリモフを家の前で拘束した。それから彼は、かなりの罰金刑に直面した。

以前からウラン廃棄物の輸入に反対してきた数々の環境団体は、「外国のエージェント(スパイ)」としてリストに挙げられてきた。「エコディフェンス」は、その最初のケースで、2014年にリストされた。2019年、圧力は続き、組織のリーダーであるアレクサンドラ・コロリョワが標的にされた。5件の刑事訴訟が彼女に対して起こされ、彼女は強制的に国外へ追放された。

アレクサンドラ

■ マヤーク核施設:ロスアトムの汚い顔

ロシア中南部ウラル地方のチェリャビンスク州のマヤーク核施設は核廃棄物再処理施設であり、ロシアの原子力産業によって最も被害を受けている場所である。

第一に、放射性廃棄物が1949年から2004年にかけてテチャ川に投棄され、ロスアトムもそれは認めた。しかし、地元の団体「For Nature」による報告によると、その後も投棄は継続された。その結果、川沿いの35の村が移住させられた。

第二に、1957年に起こったマヤーク核施設での高レベル放射性廃棄物(液体)の爆発は、キシュティム悲劇(ウラル核惨事)として知られているが、20世紀最悪の原子力事故の一つなのである。

ウラル地方で放射能汚染の問題提起をした最初の団体は、1989年に結成された「原子力からの安全運動」である。この団体は、一般の人々の意識の向上や、被害を受けた人々の社会的保護、および数十の報告書出版に従事した。前例のない圧力と迫害の後、団体のリーダーであるナターリャ・ミロノワは2013年に米国への移住を余儀なくされた。

2000年以降、もう一つの非政府組織である「プラネット・オブ・ホープ(希望の惑星)」は、被害を受けた住民相手に何千もの相談に応じてきた。弁護士で組織の責任者でもあるナデジダ・クテポワは、マヤークの被害者を弁護し、ヨーロッパ人権裁判所での2件を含む70件以上の訴訟で勝利した。ただし、いくつか重要な訴訟はまだ解決されていない。これら未解決の訴訟には、被害者が出産した子どもにも被害が生じたり、妊娠中の女性たちが液化作業で影響を受けたり、多くの学齢期の子どもたちが事故後に汚染された穀物の収穫へと送りこまれたりしたできごとが含まれる。

国とロスアトムはナデジダ・クテポワの行動に反応し、彼女個人と「希望の惑星」の両方を迫害した。団体は2004年と2009年に行われた抜き打ち査察を生き延びたが、15年に「外国のエージェント(スパイ)」と決めつけられ、18年に閉鎖された。

ナデジダは、「産業スパイ」と非難され、刑事訴追の脅威にさらされた後、子供たちと一緒に国から逃げることを余儀なくされた。それにもかかわらず、彼女はマヤークの被害者に正義をもたらすための闘いを続けている。

2002年以来、公的財団「For Nature」はこの地域の核活動に異議を唱えてきた。ハンガリーのパクシュ原発からの使用済み核燃料の輸入については、ロシア連邦最高裁判所に上訴した。裁判所は政府令を無効と宣言し、ハンガリーの放射性廃棄物370トンの輸入を阻止できた。

15年3月、「For Nature」も「外国のエージェント」としてリストに挙げられ、罰金を科された。16年、裁判所はこの組織を潰した。しかし、その代わりに同じ名前の社会運動が形成され、南ウラル地方の人々を支援し続けている。

マヤーク被害者の会のオーガナイザーで「核のない未来賞」受賞者でもあるナデジダ・クテポワ

■ 核処分場に対する闘い

ロスアトムは高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設をシベリア中部のクラスノヤルスク市に建設する計画である。シベリア最大の川であるエニセイ川のほとりに位置し、市からわずか40 kmの場所が選ばれた。環境活動家たちは、もしこのプロジェクトが実施されたら、未来の世代に対する犯罪であり、数多くのロシアの法律に違反することになると考えている。また、ウクライナ、ハンガリー、ブルガリア(そして将来的にはベラルーシ、トルコ、バングラデシュ、その他の国々)からの廃棄物もそこへ運ばれて来るのではないかと懸念している。

世界の核のゴミ捨て場に住みたいと思う人はいないので、この地域の人々は当然憤慨している。2013年以来7年以上にわたり、クラスノヤルスク市の人々は抗議してきた。これまでに146,000人以上がこの核処分場の建設に抗議してロシア連邦大統領への請願書に署名している。

運転中の原発のほとんどはロシアのヨーロッパ側地域にあるが、放射性廃棄物はシベリアに送られている。地元の活動家がこれをロスアトムによる「シベリア核植民地化」と呼ぶのももっともである。

2016年、独立ジャーナリストで抗議行動のリーダーであるフェドール・マリャソフは、社会的集団としての「原子力産業労働者」に対する憎悪を煽り立てたと非難され、過激主義に関する条項の下に刑事訴訟が起こされた。この非難の根拠は、彼がソーシャルネットワークや報道機関に出した核の話題に関する125の出版物であった。彼のアパートは捜査され、クラスノヤルスク市でのロスアトムの活動に関する印刷物報告書とともに、コンピューターも押収された。

連邦治安部隊はマリャソフに「反逆罪」での公式警告をも出した。メディアでの幅広い宣伝と人権擁護弁護士たちの積極的なサポートだけが、この活動家のさらなる刑事訴追をこれまで防いできた。

フェドール・マリャソフ(右)と、アンドレイ・タレブリン(老朽レニングラード原発の廃炉を求めて活動し、解散させられたグリーンワールドのメンバー)。共に2020年「核のない未来賞」を受賞

■ ロスアトムという「死の生産工場」

2019年1月の終わりに、ロスアトムの組織の一部であるロスラオ社は、ウラル地方のクルガン州、キーロフ州、サラトフ州、およびウドムルト共和国にある4つの旧工場について、化学兵器破壊に使われていた施設を有害廃棄物処分施設に転換するプロジェクトに着手した。その後、ロスラオ社は白々しく「連邦環境事業社」と名称を変更した。

四つの地域すべてで、ロスラオ社はロシアの法律の要件を満たさない、いい加減な文書しか提示しなかった。工場で使うと提案している技術についてはこれまで何の情報も公開していない。さらに、廃棄物の発生源や最終的な目的地についての情報は未だに出す様子さえない。こういった「計画」は環境保護主義者たちから酷評を受けている。

サラトフ州のゴルニーの工場で、ロスラオ社は344種類の有害廃棄物を処理する計画である。このうち65種類以上は、燃焼すれば必然的にダイオキシン類の発生につながる。

活動家グループはすでに工場周辺の地域で組織化を始めており、ロスアトムのこれらの新しい計画に挑戦しようとしている。州を超えて、さまざまな地域の活動家が、地域間運動「死の工場にNO!」で、すでに団結している。キーロフ州での請願署名運動には、すでに57,000近くの署名が集まっている。

ロスアトム関連の他の抗議運動の場合と同様に、キーロフ州当局は31か所の候補地のいずれにおいてもデモを許可していない。

「死の工場にNO!」

■ 放射性廃棄物の墓場を通る道路

多くの危険な放射能施設がロシア中に放置されており、修復を必要としている。一例は、モスクワ・ポリメタル工場の放射性廃棄物処分場である。1930年代以来、モスクワ・ポリメタル工場は、トリウム、ウラン、ラジウムを含むモナザイトを処理してきた。1972年まで、この工場はモスクワ川のほとりにその鉱滓を廃棄した。やがて廃棄場は放置され、その後、「放射性丘陵斜面」となった。今日、モスクワ・ポリメタル工場の代わりに、ロスアトムの子会社であるTVEL燃料会社の本社がある。ロスアトムのまた別の子会社であるRadonは、この丘陵地から年々10〜15立方メートルの廃棄物を掘り出している。15,000立方メートルの廃棄物が残っているとすると、この速度では、埋もれた廃棄物のすべてを取り除くのに1000年以上かかることになる。

2019年春の公聴会で、ある都市開発計画が出され、「放射性丘陵斜面」のすぐ近くを自動車専用橋が通るようになることを示した。放射性廃棄物はどうするのかと尋ねられたとき、当局は「その地域には放射能はない」と答えた。この地域の住民や活動家は、「放射性丘陵斜面」の公共環境検査を数十カ所で実施し、「斜面防衛」という市民監視グループを組織した。彼らはまた、放射能の危険について市民に警告する標識を設置した。これらの行動は世間の注目を集めてきた。

州議会内やロシア連邦公会議所だけでなくモスクワ当局をも議論に参加させるために、いくつかの円卓会議が開催されたが、議員たちがこれらの会議に姿を見せたことは一度もなかった。

2020年3月19日の夜、当局は見事な対応を見せてくれた。「斜面防衛」の監視所は破壊され、63人の住民メンバーが警察に拘留された。

その後、放射能のないきれいな砂が汚染現場の上にまかれた。このことが意味するのは、この会社は、問題を解決するのではなく、問題をひた隠しにして、埋めたてられた危険の上に平気で建設ができるということだ。その間、地元住民たちは規則違反を記録し続け、闘争を続けている。

放射性廃棄物への抗議集会、モスクワ

■ 結論:原子力は問題であり、解決策ではない

これまで述べてきた悪夢のような事態にもかかわらず、ロスアトムは原子力産業の潔白さとカーボンニュートラル説を世に確信させようとしている。その上、ロシア連邦の予算からの資金を使って海外に原発を輸出している。原子力は気候問題を解決してはくれないし、放射性廃棄物というさらに解決策のない問題を何千年も作り続けるのだ。

よって、私たちは以下を要求する。

・ロシアは原子力エネルギーのさらなる開発をすべて放棄しなければならない。

・現行の原発はできるだけ早く閉鎖し、廃炉にすべきである。

・現在原子力エネルギーの開発に当てられている資金は、地方の再生可能エネルギー源の開発、汚染された地域の回復、および原子力産業の活動により被害を受けた人々への支援に振り向けられるべきである。

・核廃棄物の問題は、すべての利害関係者の参加を得て、広く公然と包括的に議論されるべきであり、決定は環境正義の原則を考慮して、民主的になされるべきである。

・環境を守るためにたたかう人々や、被害者の権利を守るために活動する人々など、すべての活動家への圧力は直ちに停止すること。

・そして最後に、ロスアトムは環境汚染と人権侵害に対して責任を負うべきである。

 (訳/チェイス洋子)
original:
https://foeasiapacific.org/wp-content/uploads/2020/06/rosatomresistancepaper.pdf
https://beyondnuclearinternational.org/2020/06/21/standing-up-to-rosatom/

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信168号
(21年2月20日発行、B5-24p) もくじ

・「福島原発事故10年、汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!」国際署名
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2046

 
・「福島原発事故10年・韓日インターネット共同行動
― 汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!」
            
・慶州ウォルソン原発のトリチウム漏れ (イ・サンホン)
             
・2020年の脱核課題は 2021年に続く (韓国・脱核新聞編集委員会)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2019

        
・ロシアの反核運動:諸問題、抗議活動とそれに対する報復の数々(後編)
(ロシア社会エコロジー連合/地球の友ロシア)

・柏崎刈羽原発 再稼動問題の要点 (佐々木寛)
                 
・子どもたちに核のゴミのない寿都を (2) (本田英人)
             
・1.24 関電本店前大集会 (松原康彦)
                     
・宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判(宗教者核燃裁判)
(内藤新吾)                    

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On the 10th Anniversary of the Fukushima Nuclear Disaster: International Signature Campaign Against the Discharge of Contaminated Water and Calling for the Discontinuation of Nuclear Power Plants Now! 国際署名「福島原発事故10年、汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!」

4月12日、 64,431筆(88か国)を、政府に提出し、記者会見、首相官邸前抗議アクションを行いました。しかし13日、政府は汚染水海洋放出を決定。国際署名は継続します(現在79,500名、110か国)。
79,500 signatures (from 110 countries) were submitted to the Japanese government. Signatures will continue.

★On the 10th Anniversary of the Fukushima Nuclear Disaster:International Signature Campaign Against the Discharge of Contaminated Water and Calling for the Discontinuation of Nuclear Power Plants Now!
English:http://chng.it/djybxBBC

The Japanese government is planning to release Fukushima’s radioactive contaminated water into the ocean. Japanese citizens, from Fukushima Prefecture and beyond, are strongly opposed to this plan. The Fukushima Prefecture Fishermen’s Association, with the backing of the Fishermen’s Association from all over Japan, have submitted an opinion of opposition to the government. The Fukushima Prefecture Agricultural Cooperatives and Forestry Associations along with 43 local governments in Fukushima Prefecture also participated in this campaign, and 450,000 citizens from across Japan have signed a petition against the government plan. Opposition to the release of contaminated water has triggered much concern and opposition among citizenry overseas as well, including those from neighboring countries.

Contaminated water from Japan’s Fukushima nuclear plant has already exceeded 1.24 million tons. We are deeply concerned about the adverse effects the water will have on the human body by way of consuming fish and shellfish, which are staples in the region’s diet. We demand the Japanese government keep the contaminated water stored in the tanks until the water’s levels of radioactivity are significantly reduced. The government could also adopt mortar-induced radioactive waste solidification technology.

Meanwhile, in neighboring South Korea, the government has advocated for denuclearization with its energy plan on paper but has not ceased to build new nuclear power plants (NPPs) in action. Serious safety breaches have been reported repeatedly, including (but not limited to) the recent tritium leak at Wolseong NPP in Gyeongju and the disclosure of an air gap in the containment building at Yeonggwang Hanbit NPP. In Taiwan, the government is ostensibly advancing forward to be the first nuclear-free country in Asia under the slogan of “Zero nuclear power generation in 2025.” However, the Taiwanese government plans to hold a referendum on resuming the construction of the 4th NPP in August 2021. The construction of NPPs continues in Turkey and India while other countries, including the Philippines, seek new opportunities to build NPPs. Debates over safe storage and disposal of nuclear waste that will affect future generations for hundreds of thousands of years continue in Korea, Japan, Taiwan, Australia and the world.

Ten years have passed since the Fukushima nuclear disaster yet attempts to maintain nuclear power linger on in Asia and other regions of the world. However, at a time the world is turning to renewable energy, we are becoming increasingly aware the time of nuclear power has expired.

We demand that

·       The Japanese government stop its plan to discharge Fukushima NPP’s contaminated water into the ocean;

·       The Korean government disclose information on the actual state of radioactive leakage at Wolseong NPP;

·       All governments abandon plans to build new NPPs and instead focus on expanding renewable energy;

·       All governments discontinue the operation of hazardous NPPs and drop plans to extend their life spans; and

·       Stop building nuclear waste facilities without explicit consent of residents.

★À l’occasion du 10e anniversaire de la catastrophe nucléaire de Fukushima:
Campagne internationale de signature contre le rejet d’eau contaminée et appelant à l’arrêt des centrales nucléaires dès maintenant!
French:http://chng.it/fypX2JfF

★10 Jahre Fukushima, leitet kein verseuchtes Wasser ins Meer! Stoppt die AKWs!
Germany:http://chng.it/SxwrRGjt

★Decimo anniversario dell’incidente alla centrale di Fukushima
Opponiamoci allo sversamento delle acque contaminate nell’oceano!
Basta con le centrali nucleari!
Italian:http://chng.it/WJpGsKXCCc

★「福島原発事故10年、汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!」国際署名
Japanese:http://chng.it/rQ2DWbJk

★후쿠시마 핵발전소 사고 10주년, 오염수 해양방출 반대! 핵발전소 이제 그만! 국제서명
Korean:http://chng.it/CPtZwx9W

★К 10-летию ядерной катастрофы на Фукусиме:
Международная подписная кампания против сброса загрязненной воды и призыва к прекращению эксплуатации атомных электростанций сейчас же!
Russian:http://chng.it/P9t7RWQr

★En el marco del décimo aniversario del desastre nuclear de Fukushima:
¡Campaña Internacional de Recolección de Firmas en Contra de la Descarga de Aguas Contaminadas y a Favor de la Discontinuación Inmediata de las Plantas Nucleares!
Spanish:http://chng.it/LRk9PbmRGF

★「福島核災將屆10週年,反對輻射汚水排入海洋,終結核電!」國際連署
Taiwan Mandarin:http://chng.it/XgzQzHz6

★Fukuşima Nükleer Felaketi’ nin 10. Yıldönümünde: Radyoaktif Suyun Okyanusa Boşaltılmasına Karşı ve Nükleer Santrallerden Hemen Şimdi Vazgeçilmesi için Kampanya
Turkish:http://chng.it/QLygqbjq

日本政府は、福島原発の汚染水の海への放出調整を進めており、決定しようとしています。しかし、福島県をはじめとし、多くの人たちが大きく反発しています。福島県漁連、全国漁連、また、福島県の農協、森林組合など、福島県の43市町村議会の反対意見書、福島県民の提起した45万人の署名などです。海外からも、憂慮・反対の声が多くあがっています。

汚染水は、124万トンを超えており、魚介類の摂取を通じた人体への悪影響が懸念されます。放射能が十分に減衰するまでタンク保管を継続するか、モルタル固化することが望まれます。

韓国政府は、脱原発政策を標榜していますが、新規原発の建設を継続しています。ウォルソン原発のトリチウム漏れや、ハンビッ原発の格納容器の空隙など、重大な事件が起きています。台湾は、2025年原発ゼロ、アジア初の脱原発に向かって着実に進んでいます。しかし8月に「第四原発再開の是非を問う国民投票」が行なわれることになっています。トルコ、インドなどでは原発建設が続けられており、フィリピン、タイ、インドネシアのように原発計画がくすぶっている国もあります。そして、何万年もの間、未来の世代に残す核廃棄物の貯蔵・処分が、日本、韓国、台湾、オーストラリア、世界で問題となっています。

福島原発事故から10年、いまだに原発を維持しようという動きがあるのです。原発時代の「終わり」が始まり、世界は再生可能エネルギー時代に移行しているというのに!

私たちは要求します

・日本政府は福島原発の放射能汚染水を海に流すな
・韓国政府はウォルソン原発の放射能漏れの実態を明らかにせよ
・原発を建設せず、再生エネルギーを拡大せよ
・老朽原発の寿命延長をするな、危険な原発を動かすな
・現地と周辺の住民の合意のない核廃棄物貯蔵・処分をするな

Initiated by 311 organizations in 24 countries
【よびかけ団体】24か国、311団体

【Australia】Australian Conservation Foundation、Friends of the Earth Australia、Marrickville Peace Group、People for Nuclear Disarmament、Port Adelaide/Semaphore Amnesty International Australia Action Group、Remembering and Healing、Sydney Peace & Justice Coalition、Uranium Free NSW、Campaign for International Cooperation and Disarmament、Josephite SA (South Australian) Reconciliation Circle

【Austria】Independent Salzburg Platform Against Nuclear、Wiener Plattform Atomkraftfrei

【Belarus】Institute of Radiation Safety(BELRAD)

【Belgium】Fin du nucleaire、Nucleaire Stop Kernenergie

【Brazil】Coalition for Brazil free of Nuclear Plants、International Uranium Film Festival

【Bulgaria】Za Zemiata (FoE Bulgaria)

【China】Blue Dalian

【Czech】Javorice

【Finland】Women Against Nuclear Power、Women for Peace、

【France】Bure en Retz、CCOA-ADN75、ECHO-Echanges、Editions de Fukushima、Fukushima blog、Fukushima informations 福島新たな原子力、Nos Voisins Lointains 3.11、Pectine Nonuke、Reseau Sortir du Nucleaire、Sortir du nucleaire Sarthe、Sortir du Nucleaire Tregor in Brittany、The Fukushima Voices、Vosges Alternatives au Nucleaire、STOP NUCLEAIRE DRÖME ARDECHE、よそものネット・フランス(パリ)Collectif Anti-Nucléaire Ouest、La France Insoumise 44

【Germany】Aktionsbuendnis Energiewende Heilbronn、Arbeitsgemeinschaft AtomErbe Neckarwestheim、Buendnis Fukushima-Neckarwestheim、Buergerinitiative GegenGift Heilbronn/UnterLand、Bund der Buergerinitiativen Mittlerer Neckar、Bundesverband Bürgerinitiativen Umweltschutz、さよなら ニュークス デュセルドルフ、Sayonara Nukes Berlin、Anti Atom Berlin、ICHIMOKU

【India】National Alliance of People’s Movements、Indian Social Action Forum、Indigenous Perspectives、Jharkhandi Organisation Against Redaition-JOAR-JADUGODA、Poovulagin Nanbargal、Socialist Party、SUTRA(Society for Social Uplift Through Rural Action)

【Indonesia】MANI(Indonesia Anti-Nuclear Society)

【Italia】Centro di documentazione(Semi sotto la neve)、日伊の架橋-朋・アミーチ

【Japan】会津放射能情報センター、Friends of the Earth Japan、大間原発反対現地集会実行委員会、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団、核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会、柏崎刈羽原発反対地元三団体、柏崎巻原発に反対する在京者の会、上関原発止めよう!広島ネットワーク、9とよさかピースの会、熊本・原発止めたい女たちの会、グリーン・アクション、グローバリゼーションを問う広島ネットワーク、経産省前テントひろば、玄海原発プルサーマル裁判の会、原子力教育を考える会、原子力行政を問い直す宗教者の会、原発事故被害者団体連絡会、子ども脱被ばく裁判の会、これ以上海を汚すな!市民会議、Citizens’Nuclear Information Center、原水爆禁止日本国民会議、原発いらない福島の女たち、原発おことわり三重の会、原発さよなら四国ネットワーク、原発とめよう!九電本店前ひろば、再稼働阻止全国ネットワーク、さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト、さよなら玄海原発の会・久留米、さよなら島根原発ネットワーク、さよなら原発神戸アクション、さよなら原発なら県ネット、市民放射能監視センター(ちくりん舎)、ストップ秘密保護法かながわ、ソーラーネット、高木基金、脱原発アクションin香川、脱原発とうかい塾、脱原発福島ネットワーク、脱被ばく実現ネット、たまあじさいの会、たんぽぽ舎、とめよう原発!関西ネットワーク、豊橋いのちと未来を守る会、虹とみどりの会、No Nukes Asia Forum Japan、浜岡原発を考える静岡ネットワーク、Peace Boat、東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream、ふぇみん婦人民主クラブ、フクシマ・アクション・プロジェクト、ふくしま地球市民発伝所、プルトニウムフリーコミニケーション神奈川、ベクレルフリー北海道、放射能から豊中の市民・子どもを守る会、放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会、緑の党グリーンズジャパン、緑のハーモニー、緑ふくしま、みやぎ金曜デモの会、みやぎ脱原発・風の会、モニタリングポストの継続配置を求める市民の会・三春、若狭の原発を考える会

【Korea】후쿠시마 10주년 준비위원회 : 기독교환경운동연대, 노동자연대, 녹색당, 녹색연합, 대전탈핵희망, 불교생태콘텐츠연구소, 불교환경연대, 사회변혁노동자당, 삼척핵발전소반대투쟁위원회, 시민방사능감시센터, 아이쿱생협(강남, 강서, 도봉노원디딤돌, 서대문마포은평, 서울, 송파), 에너지기후정책연구소, 에너지전환포럼, 에너지정의행동, 영광핵발전소안전성확보를위한공동행동, 원불교환경연대, 월성원전인접지역이주대책위원회, 정의당, 정치하는엄마들, 제주탈핵도민행동, 참여연대, 천도교한울연대, 천주교 남자장상협의회 정의평화환경위원회, 천주교 예수회 사회사도직위원회, 천주교 의정부교구 환경농촌사목위원회, 천주교 창조보전연대, 초록을그리다, 탈핵경주시민공동행동, 탈핵부산시민연대, 탈핵신문, 탈핵에너지교수모임, 탈핵에너지전환전북연대, 한국YWCA연합회, 한국천주교여자수도회장상연합회 JPIC분과위원회, 한살림연합, 핵없는사회를위한대구시민행동, 핵없는사회를위한충북행동, 핵없는세상을위한고창군민행동, 핵없는세상광주전남행동, 환경운동연합, 환경재단, 환경정의

【Philippines】ABAKADA-MAPALAD KA、Nuclear Free Bataan Movement、KILUSAN Para sa Pambansang Demokrasya、Coal Free Bataan Movement、Young Bataenos Environmental Advocacy Network、KILUSAN Bataan、Nuclear Free Pilipinas、PEACE WOMEN PARTNERS

【Romania】TERRA Millennium III Foundation

【Russia】Socio-ecological union international

【Sweden】Naturskyddsforeningen i Alvsbyn、Swedish Antinuclear Movement 

【Taiwan】台湾環境保護連盟(Taiwan Environmental Protection Union)緑色公民行動聯盟(Green Citizens’ Action Alliance)地球公民基金會(Citizen of the earth)媽媽監督核電廠聯盟、守望文教基金會、台灣蠻野心足生態協會、北海岸反核行動聯盟、看守台灣協會、PAPA非核陣線、環境法律人協會、台灣環境資訊協會、彰化縣環境保護聯盟、主婦聯盟環境保護基金會、台灣媽祖魚保育聯盟、台灣千里歩道協會、台灣永社、人本教育基金會、新北市愛郷協會、林口社區大學、台灣同志諮詢熱線協會、緑色和平、緑黨、台灣公民自主發電行動聯盟、主婦聯盟南部辦公室、台灣人權促進會、台灣緑能臨門一腳協會、台灣環境教育協會、台南新芽、荒野保護協會、美濃愛郷協進會、屏東縣好好婦女權益發展協會、高雄市公民監督公僕聯盟、高雄市鳳山社區大學、全國教保產業工會、主婦聯盟環境保護基金會南部辦公室、台南社區大學、屏東縣教育產業工會   

【Turkey】Nukleersiz. Org、Yesiller Partisi (Green Party)、Istanbul Nukleer Karsiti Platform(NKP) 、Mersin Nukleer Karsiti Platform (Mersin NKP)、Sinop Nukleer Karsiti Platform(SNKP)、Sinop Nukleer Karsiti Platform Dernegi (SNKP DER)、HDP Sinop、SYKP、Sinop Sol Parti、Emek Partisi、Sinop TIP、Elektrik Muhendisleri Odasi(EMO)、Yenifoca Forum、Sinop Cevre Dostlari Dernegi、Sinop Kent Haklari Dernegi (KENT SAV)、Egitim İs Sinop Subesi、Egitim Sen、Sinop Tip、Sinop Tukoder、Gerze Halkevi ve Gerze Bilim Kultur Sanat ve Spor Dernegi、Ataturkcu Dusunce Dernegi Sinop、Cagdas Yasami Destekleme Dernegi Sinop、Yeryuzu Dernegi、Yeni Insan Yayinevi、Samsun Cevre Platformu (SAMCEP)、Mersin Cevre ve Doga Dernegi (MERCED)、Bakirtepe Cevre Platformu、Kazdagi Dogal ve Kulturel Varliklari Koruma Dernegi、Divrigi Kultur Dernegi、Mezopotamya Ekoloji Hareketi,、Amed Ekoloji Dernegi,、Hevsel Koruma Platformu、Burhaniye Cevre Platformu (BURCEP)、Dogader、Artvin Cevre Platformu、Soke Cevre Platformu、Ordu Cevre Dernegi、Antalya Ekoloji Meclisi、Kusadası  Cevre Platformu、Yesil Artvin Dernegi、Mardin Ekoloji Dernegi、Aydin Cevre ve Kultur Dernegi(AYCEP) 、Ekoloji Birligi、Heryer Kazdaglari、Kazdaglari Kardesligi、Mugla Cevre Platformu、Datca Kultur Sanat Dayanismasi、Doganin Cocuklari、Cesme Cevre Platformu、Ayvalik Tabiat Platformu、Agonya Doga Koruma Girisimi、Munzur Cevre Dernegi、Gokova Ekolojik Yasam Dernegi、Cine Yasam Platformu(CIYAP)、Bozcaada Forum、Munzur Koruma Kurulu (DEDEF)、Troya Cevre Dernegi、Karadeniz Isyandadir、Didim Cevre Platformu、Ege Cevre ve Kultur Platformu(EGECEP)、Karaburun Kent Konseyi、Yarimada Yesilleri ve Cesme,Urla,Seferihisar, Karaburun Cevre Platformu、Kazdaglari Istanbul Dayanismasi、Didim Egitim ve Cevre Dernegi、Yenisehir Cevre Platformu、Yalova Platformu、Validebag Gonulluleri Dernegi、Emirdag Yaylalari Doga Platformu、Yasam ve Dayanisma Yolculari、Didim Dernegi、Didim Egitim ve Cevre Dernegi、Ankara Artvin Kultur Yardimlasma Dernegi

【UK】Campaign for Nuclear Disarmament、CND Cymru-the Campaign for Nuclear Disarmament in Wales、JAN (Japanese Against Nuclear)、Rochdale and Littleborough Peace Group、South Lakeland and Lancaster District Campaign for Nuclear Disarmament、Suffolk Coastal Friends of the Earth、People Against Wylfa B

【USA】able、Beyond Nuclear、All-African People’s Revolutionary Party、Indian Point Safe Energy Coalition、NO Nukes Action,California、Nuclear Information and Resource Service、Nuclear Watch South、Samuel Lawrence Foundation、the Manhattan Project for a Nuclear-Free World、Veterans For Peace – NYC Chapter 34、Coalition Against Nukes、San Luis Obispo Mothers for Peace

福島原発事故10年・韓日インターネット共同行動 ― 汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!

日本政府が、福島第一原発汚染水の海への放出調整を進め、決定しようとしているなか、1月に韓国側からインターネット共同行動の提案がありました。韓国46団体(下記*)と、武藤類子、川井康郎、満田夏花、伴英幸、佐藤大介のよびかけで、1月20日にスタート集会、2月1日に国際署名開始、2月9日に韓日共同討論会を開催しました。


■ スタート集会 (1月20日、Zoom、韓日150名)

「韓日の参加者150人が、Zoomで同時接続して、脱核(脱原発)を念願する多様なプラカードを持つオンライン・パフォーマンスを進行した。また、韓日共同声明、福島汚染水海洋放出反対の国際署名、インターネット共同行動を提案した」(プサン日報 1.20)

「韓日インターネット共同行動を、全国紙のキョンヤン新聞、連合ニュースなどをはじめ、いくつかのメディアが報じた。ネットの画面を共有しながら同時にプラカードを掲げたり、スローガンを叫んだりといったアクションを自分も初めてやったが、まあ初めてだったこともあってか、なかなか新鮮で楽しかったし、それなりの連帯感も味わえた(下の録画の37~38分)。ネット空間と現実が融合した、ウィズコロナ時代の国際連帯社会運動の一つの形なのかもしれない」(高野聡/ソウル在住)

【録画45分】http://urx3.nu/0YoD

*福島原発事故10年・準備委員会(キリスト教環境運動連帯、労働者連帯、緑色党、緑色連合、大田脱核希望、仏教生態コンテンツ研究所、仏教環境連帯、社会変革労働者党、サムチョク核発電所反対闘争委員会、市民放射能監視センター、子供コープ生協 (강남, 강서, 도봉노원디딤돌, 서대문마포은평, 서울, 송파)、エネルギー気候政策研究所、エネルギー転換フォーラム、エネルギー正義行動、霊光核発電所安全性確保のための共同行動、円仏教環境連帯、ウォルソン原発隣接地域移住対策委員会、正義党、政治するオンマたち、済州脱核道民行動、参与連帯、天道教ハンウル連帯、天主教男子長上協議会正義平和環境委員会、天主教イエス会社会使徒職委員会、天主教議政府教区環境農村委員会、天主教創造保全連帯、緑を描く、脱核慶州市民共同行動、脱核プサン市民連帯、脱核新聞、脱核エネルギー教授会、脱核エネルギー転換全羅北道連帯、韓国YWCA連合会、韓国天主教女子修道会長上連合会 JPIC文科委員会、ハンサルリム連合、核のない社会のための大邱市民行動、核のない社会のための忠清北道行動、核のない世界のための高敞郡民行動、核のない世界・光州全南行動、環境運動連合、環境財団、環境正義)

■ 韓日共同討論会(2月9日、Zoom、同時通訳、韓日200名以上)

「有意義だった、継続的に開催してほしい」「内容が充実していた」「韓日それぞれ約100人が参加する集会というのは画期的」などの感想が寄せられました。

★内容
司会 : ファン・デグォン(霊光核発電所安全性確保のための共同行動)
○ 発表:「福島原発事故以降の日本の原発と脱原発運動の現状」伴英幸(原子力資料情報室)
「福島10年、韓国の原発政策と脱核運動の課題」イ・ヨンギョン(エネルギー正義行動)
○ ディスカッション:「トリチウム汚染水を海に流さないで」満田夏花(FoE Japan)
「福島原発事故は終わっていない」後藤政志(元東芝原子炉格納容器設計者)
「慶州ウォルソン原発のトリチウム漏れ」イ・サンホン(慶州環境運動連合)
「脱原発を早めるための法制度改善を中心に」ホン・ドクファ(忠北大学社会学科教授)
○ 自由討論(約40分)

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信168号
(2月20日発行、B5-24p) もくじ

・「福島原発事故10年、汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!」国際署名
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2046

 
・「福島原発事故10年・韓日インターネット共同行動
― 汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!」
            
・慶州ウォルソン原発のトリチウム漏れ (イ・サンホン)
             
・2020年の脱核課題は 2021年に続く (韓国・脱核新聞編集委員会)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2019

        
・ロシアの反核運動:諸問題、抗議活動とそれに対する報復の数々(後編)
(ロシア社会エコロジー連合/地球の友ロシア)

・柏崎刈羽原発 再稼動問題の要点 (佐々木寛)
                 
・子どもたちに核のゴミのない寿都を (2) (本田英人)
             
・1.24 関電本店前大集会 (松原康彦)
                     
・宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判(宗教者核燃裁判) (内藤新吾)                    

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
見本誌を無料で送ります。事務局へ連絡ください → sdaisukeアットrice.ocn.ne.jp

 

 

韓国 2020年の脱核課題は 2021年に続く

韓国・脱核新聞編集委員会  (脱核新聞84号より)

1.使用済み核燃料管理政策の「密室」公論調査


2019年5月に市民・社会(団体)や利害当事者を排除して発足した産業通商資源部(経産省にあたる)の「使用済み核燃料管理政策再検討委員会」は、19年11月から専門家の意見収集を始めた。

また、使用済み核燃料中長期管理政策に関する全国からの意見収集は、2020年5月23日から8月2日まで実施され、「月城(ウォルソン)原発使用済み核燃料の乾式貯蔵施設」(以下、マクスター)建設の可否を問う慶州地域の意見収集は、6月27日から7月19日までの3週間行われた。

専門家で構成された検討グループの11名は20年1月に、「形式的な手続きとして行われる公論調査(公論化)を廃棄すること」を要求し、辞退の記者会見を開いた。

全国の市民・社会は5月23日、全国の意見収集のための説明会の開催に抗議し、14地域中、12地域でデモをした。慶州地域住民説明会は、住民と市民社会の抗議で白紙に戻された。

その過程でチョン・チョンファ再検討委員長は、6月26日、公論調査の公正性の担保が難しいとし、委員長職を辞任した。

産業部と再検討委は、キム・ソヨンを新任再検討委員長に任命し、「コロナ19」を言い訳に密室の中の公論調査を続けた。

全国脱原発陣営は、政府に抗議し、大統領府の前で「使用済み核燃料のでたらめな公論調査の無効を宣言」した。

再検討委は21年上半期に「使用済み核燃料管理政策意見収集の最終勧告報告書」を産業部に提出する予定だ。

2.5万人が参加した蔚山住民投票

蔚山(ウルサン)市は、月城(ウォルソン)原発の基準放射線非常計画区域内に属し、約100万人が暮している。しかし、産業部と再検討委は、マクスター建設賛否意見収拾の過程から蔚山を排除した。

蔚山市民社会と労働組合などはこれに抗議し、「月城原発の使用済み核燃料保存施設(マクスター)の追加建設賛否を問う蔚山北区住民投票」を実施した。住民投票は5月28日から6月6日まで、事前投票、オンライン投票、本投票と、3段階で行われた。蔚山北区有権者の17万5138人のうち、5万479人(28.82%)がこの投票に参加した。投票者のうち、94.8%に当たる4万7829人がマクスター建設に反対した。

住民投票運動本部は住民投票以後、大統領府が投票結果を受け入れるよう求め、7月27日から8月25日まで、大統領府前で座り込みをした。

蔚山北区住民投票では、本投票の投票所を34か所に設置した。また、選挙事務員とボランティアは合計1081名が参加した。延べ3千人を越えるスタッフで開催した自主住民投票であった。

3.マクスター建設反対のたたかいは現在進行形

産業部と再検討委員会は、7月24日、慶州地域の意見聴取の結果を発表した。「145人の市民参加団のうち、81.4%がマクスター建設に賛成した」と。

産業部はこれを首相に報告し、首相は計画通りにマクスター建設をすすめることを指示、韓水原は7月31日にマクスターの建設着工式を行った。

しかし、慶州(キョンジュ)市と陽南面(ヤンナムミョン)、蔚山市の住民と市民団体は、「市民参加団」に韓水原の利害当事者が20人以上参加した事実を証拠として提示した。募集団の分布を反映しない市民参加団の構成など、公論操作疑惑を提起した。陽南・慶州・蔚山住民と市民団体は、産業部と国会に「公開検証」を要求したが、行われなかった。

住民と市民団体は今でも、月城原発の前で「マクスター反対」毎週ピケットデモと、海上デモなどをしている。全国833人の市民は、原子力安全委員会を相手にマクスター建設許可の取り消し訴訟も行っている。

4.台風で止まった核発電所

9月4日の台風9号の影響で、古里(コリ)1~4号機と新古里1・2号機の外部電源を喪失し、非常ディーゼル発電機が起動した。このうち運転中だった4基が運転停止した。新古里3号機も、台風で屋根の一部が損傷し、大気補助変圧器が停電した。9月7日の台風10号の際には、月城2・3号機もタービン発電機が停止し、運転停止した。

原子力安全委員会は、古里1~4号機は機械用変圧器に塩分が吸着し「フラッシオーバ」現象が発生し、スイッチヤードにある遮断機が開放され、外部電源を喪失したと発表した。新古里1・2号機は、送電するジャンパー線が送電塔に近づいたことによってフラッシオーバが発生し、外部電源を喪失したとした。

市民社会は真相調査委員会の設置を求めたが、原安委は再稼働を容認した。

新古里3・4号機は、7月23日の集中豪雨の際にも、スイッチヤード管理棟と送電設備が浸水した。

5.大田、都心の河川に放射能が流れる

20年1月、大田(テジョン)市の都心に位置する韓国原子力研究院の周辺の雨水管と河川の土壌で、セシウム137、セシウム134、コバルト60などの放射性物質が検出された。研究院の裏手の雨水管の入口では、セシウム濃度が最高138ベクレル/kgまで検出されており、これは平均濃度の59倍に達する。

3月20日、原子力安全委員会は、原子力研究院でセシウム汚染水が毎年約400~500リットルずつ、30年で1万5千リットル、河川に流れたと発表した。原子力安全委員会は、放射性物質が原子力研究院の内部の廃棄物自然蒸発施設から流れたことを確認した。

6.古里原発1号機の解体計画の公聴会

韓国水力原子力㈱が、20年7月1日から60日間、「古里1号機の最終解体計画書」の供覧と説明会を行った。さらに、住民たちの要求によって11月20日から、釜山広域市、釜山機張(キジャン)郡、蔚山市蔚州(ウルチュ)郡、蔚山広域市を対象に公聴会を行った。

韓水原は、2022年に古里1号機の解体計画が承認されれば、2025年までに使用済み核燃料を搬出し、2031年には敷地の復元に着手、2032年12月に解体を終了するという計画だ。

古里1号機の解体計画に関する全ての説明会や公聴会では、住民たちが「使用済み核燃料を十分に処分できないなら、完璧な解体とは言えない」と反発した。これに対し韓水原は、使用済み核燃料を政府政策に則って処分すると述べた。使用済み核燃料の処分をめぐって今後の難航が予想される。

7.霊光ハンビッ原発3号機、再稼動

格納容器で空隙が多数発見された霊光(ヨングァン)のハンビッ3号機が、20年11月14日から再稼動した。

ハンビッ3号機は、2018年5月11日から始まった計画予防整備期間(919日)において、格納容器で空隙、グリス漏油、鉄板腐食などが確認された。韓水原は124か所の空隙と、184か所の鉄筋露出部を反映した構造健全性評価を通じて、格納容器の健全性に異常がないことを確認したと発表した。

しかし、脱核エネルギー転換全羅北道連帯と全羅北道民衆行動などは、「3号機の構造健全性評価は、拙速・不良・セルフ評価であり、グリス漏油による亀裂要素と空隙の進行性の有無が反映されなかった」と主張した。また、建設工事の欠陥の責任を問わなければならない韓国電力技術㈱に、構造健全性評価を任せた過ちを批判して、責任者処罰を要求した。

8.ハンビッ原発5号機、原子炉ヘッド不良溶接

ハンビッ5号機の原子炉ヘッドの貫通管の不良溶接が、20年7月25日に初めて確認された。当時、作業者は、溶接材質が作業指示書に書かれたインコネル690材質ではない、ステンレス材質であることを確認し、7月26日の真夜中にこれを報告した。原子力安全委員会は、2日後の7月29日になって、不良溶接部の削除および再溶接を許可した。

当時、原子力安全委員会と韓水原は、これを作業者のミスだとした。しかし、10月29日、情報提供者を通じて、原子炉ヘッド不良溶接が、すでに明らかになったもの以外にも存在するということが分かった。

以降、原子力安全委員会は、84の原子炉ヘッドの貫通管のうち、3つの不良溶接を確認した。また、25の貫通管は映像不良などで確認できていない。さらに、原子力安全委員会は、手抜き工事に関連して、12月1日、光州(クァンジュ)地検に捜査を依頼した。

市民社会は原子力安全委員会が、7月に不良溶接をきちんと検証せず、作業の再開を許容したことに対して批判し、真相調査や責任者処罰を要求している。

9.新古里原発5・6号機訴訟、新古里原発4号機訴訟

グリーンピースと全国の市民など合計560人が原子力安全委員会を相手に提起した新古里5・6号機建設許可処分取り消し訴訟の二審判決が、2021年1月8日、ソウル高等裁判所で行われる予定だ。

この訴訟は、2016年9月に始まっており2019年2月に行われた一審(ソウル行政裁判所)では、重大事故の場合の放射線影響に対する評価が正しく行われなかったことなど、原子力安全委員会の一部の違法を認めたが、建設を中断した場合の損失が大きく、公共福利のために建設許可を取り消すことができないという「事情判決」を下した。

これとは別に、新古里4号機の運転許可取り消し訴訟も進行中だ。この訴訟は蔚山、釜山、慶州などを中心に全国732人が共同訴訟に参加し、2019年5月1日、原子力安全委員会相手に起こした訴訟であり、現在、一審裁判が進められている。

10.甲状腺がん共同訴訟、一審の最終段階

甲状腺がん共同訴訟の一審裁判が詰めの段階にさしかかっている。20年10月14日、釜山地方裁判所で裁判が開かれて以後、未だ弁論期日は決まっていないが、裁判部は、弁論を終結する意向をちらつかせた。

核発電所地域対策委員会らは、11月3日、「甲状腺がん被害者国会証言大会『ここに人がいる』」を開催した。核発電所地域対策委と市民社会は一審の裁判終結に先立って989人の嘆願書を集めており、これを裁判部に提出する予定だ。

この訴訟を触発した「ギュンド家族の訴訟」は、一審では勝訴したが、二審で敗訴、最高裁に上告したが、最高裁は、「審理不続行」として上告を棄却した。ギュンド家族の訴訟の二審で裁判部は、原発の周辺地域の住民の甲状腺がんの発病について、原発が排出する放射性物質との因果関係を証明できないとし、韓国水力原子力の側の主張を認めた。

11.福島原発汚染水対応

日本政府は、20年10月末、福島原発汚染水の海への放流の決定を延期した。11月20日、在韓日本大使館当局者は韓国の記者たちとの懇親会で「断言はできないが、今年中に放流案を決定する可能性がある。2022年夏頃を放流の時点として想定している」と明らかにした。

汚染水海洋放出の計画に対して、日本をはじめ、国際的な反対の声が高まっている。環境運動連合は「福島汚染水の海洋放流反対キャンペーン」を進行中であり、グリーンピースも持続的な反対活動をしている。

日本の市民団体である原子力資料情報室は、汚染水貯蔵タンク増設、または汚染水固体化を代案として提示している。

福島汚染水の海への放出について、福島県内の基礎自治体の約70%が「反対」および「慎重な対応」を要求している。

12.「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」

核廃棄物のドラム缶の模型をトラックにいっぱい積んだ「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーン団は、10月24日から9泊10日の日程で、釜山・蔚山・慶州・蔚珍・大邱・霊光・大田・ソウルを走り回った。

キャンペーン団は、「使用済み核燃料管理政策の再検討」の問題点と核廃棄物の実態を市民に知らせ、社会的責任を訴えた。

キャンペーン団は、各地域で脱原発団体と共同して、核廃棄物のドラム缶を押して街頭行進をくり返し、サイレンが鳴ると地面に倒れるというパフォーマンスを行った。

しかし11月2日、警察の制止のため、彼らは大統領府前の広場にはドラム缶を押して入ることができなかった。同日、全国の脱原発団体は、大統領府への進入路で「拙速・でたらめ・密室 公論調査(公論化)の無効を宣言」する記者会見を開いた。警察は同日、記者会見を集会法違反とし、環境運動連合の活動家に出頭要求書を送った。    (訳/小原つなき)

「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーン、9泊10日の旅

核廃棄物がなくなるその日まで
「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーン、9泊10日の旅

キム・ヒョンウク(釜山エネルギー正義行動)  脱核新聞83号より

 核廃棄物ドラム缶の模型をトラックに載せた「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーンが、10月24日に釜山(プサン)を出発し、ソウルまで10日間のキャンペーンをくり広げた。蔚山(ウルサン)、慶州(キョンジュ)、蔚珍(ウルチン)、大邱(テグ)、霊光(ヨングァン)、大田(テジョン)を経由し、核廃棄物の問題を全国の市民にアピールした。
 釜山で開催した出帆式には、コロナ禍にもかかわらず60人あまりが参加した。そのあと、20個の核廃棄物ドラム缶の模型を引きながら3kmほど離れた宋象賢広場まで行進し、「10万年の責任」である核廃棄物の問題点を釜山市民にアピールした。市民からは、「(コロナ禍の)こんな時期に集会を開くなんて」「道路まで占拠して」などという批判の視線も注がれたが、実物大の「核廃棄物ドラム缶の模型」は、釜山市民らの脳裏に焼き付いたはずだ。実は、前日の夜、ドラム缶を載せたトラックをマンションの駐車場に止めておいたところ、警察に通報されるというハプニングもあった。結局、深夜にトラックを他の場所に移さなければならなかった。翌25日、釜山の代表的な観光地である海雲台や広安里海水浴場で、ダイイング・パフォーマンス(死のパフォーマンス)をし、蔚山に向かった。

 蔚山市北区では、今年の6月に民間主導で行われた住民投票で、94.8%の住民がマクスター(使用済み核燃料の乾式貯蔵施設)の建設に反対するという結果がでた。しかし、マクスターの追加建設は決まってしまった。それでも蔚山市民たちは挫折せず今も熱烈にたたかっている。毎週月曜日には、慶州のナア里の住民たちと共にマクスター建設反対のスタンディングを行っている。
 蔚山では26日に記者会見を開き、蔚山市庁前の車道を30人あまりが行進した。道路全体の車線を占拠したときは、少々解放感のようなものも感じられた。

 次の慶州で、「月城(ウォルソン)原発隣接地域移住対策委員会」のファン・ブンヒさんは「キャンペーンを見た多くの慶州市民が、漠然としていた核廃棄物のイメージを現実のものとして感じることができたようです。心の奥底で回避し忘れようとしていた存在を自覚することになったと思います。今回のような「核廃棄物ドラム缶行進」を、今後も、月に一度でも実施できればと思います」と語った。ファン・ブンヒさんの切実な思いが伝わってきた。

●「私、知っているよ、これ核廃棄物でしょ」

 ドラム缶を載せたトラックは、また走り始めた。蔚珍に到着した晩、私たちは、明日の記者会見に出席する方が運営する宿舎に泊まった。蔚珍社会政策研究所の所長がわざわざ宿舎を訪ねてくれて、蔚珍の現在の状況を私たちに説明してくれた。蔚珍は、新ハンウル原発3・4号機の建設計画が撤回されて一安心していたが、先日、郡議会の原発特別委員会が文書を発表したという。「新ハンウル原発3・4号機の建設の再推進を要求」する内容だ。こうした中、私たちキャンペーン団が蔚珍に来てくれたのは大変ありがたいと彼は言った。そして、彼は「全国の脱原発活動家たちと連携し、核廃棄物の問題についてももっと深く地域社会で議論しなければならない」と語った。
 蔚珍では地域住民と密接に話をすることができ、最も記憶に残った。
 また、蔚珍市場では、露店商のおばあさんたちが予想以上に、キャンペーンに興味を示してくれた。「私、知っているよ、これ核廃棄物でしょ」といいながら、マッコリをくれた。喜んで一杯いただき、歌も一曲歌ったら、これまでの疲れがすっかり解消した。
 10月28日は、大邱に向かった。大邱では懇談会が設けられた。大邱は反核運動が「不毛の地」だと言われてきたが、2011年の福島事故以後から現在まで毎週「脱原発火曜デモ」をくり広げている。合計で264回に及ぶという。懇談会では、新規の原発建設と原発の寿命延長の禁止を法制化しなければならないという意見を交わした。「脱原発基本法」草案を作り、実際に法制定まで進めることができれば、核廃棄物の問題に全国のすべての市民が正しく責任を負うことになるのではと感じた。

● 投げつけたい核廃棄物

 29日、霊光を訪れた。キャンペーン団が釜山を出発し霊光に到着するまでのあいだに、霊光にあるハンビッ原発5号機がまた稼動停止した。180日間の整備期間中に数百億ウォンをかけて蒸気発生器を交換して、再稼働するやいなや数日後に問題が生じたのだ。全羅道では数年前から「『核廃棄物をソウルに持って行け』という運動が必要だ」と主張されてきた。原発で生産される多くの電気はソウルと首都圏のために作られているにもかかわらず、その責任は原発が立地する地域住民たちに押し付けられようとしているからである。しかし原発立地地域の活動家たちにとって、「核廃棄物をどこかに持っていけ」という言葉を簡単に発することはできない。核による危険と不平等を誰よりもよく知っているからだ。本当に核廃棄物を投げ出したくなってしまった。
 30日、大田に向かった。大田の韓国原子力研究院の前で、地域の政党や市民社会団体らとともに記者会見を行った。
 ソウルへと向かう途中の世宗市では、産業通商資源部(経産省にあたる)の核廃棄物処理再検討委員会(以下、再検討委員会)が行った全国民の意見収斂の結果を発表する説明会と討論会が行われた。私たちは、世宗市政府総合庁舎に向かった。私たちは、「止めろ!でたらめ公論調査」と、声を張り上げて叫び、各地域の声明書も朗読した。しかし、再検討委員会は、「公論調査で国民の60%が『原子力の持続的な発展が必要だ』という結論を出した」と発表した。我々は抑えられない憤りを胸に、終着地のソウルに向かった
 31日、終着地のソウル駅では多くの人たちが私たちを出迎えてくれた。核のドラム缶の模型を引っ張って駅舎の中に入った。国会議事堂前にも行った。

 11月1日には、朝から雨が降り始めるなか、ソウル大学正門を訪れた。光化門(クァンファムン)では、雨が激しく降っていたが、パフォーマンスを始めると、うそのように雨がやんでくれて、まるで我々を助けてくれているようだった。

● 大統領府前の噴水広場、公権力が私たちを阻止

 11月2日、ついに大統領府前に到着した。しかし大統領府に行く道は険しかった。警察に囲まれ、一歩も動くことができなかった。警察は「集会はだめ、道路占有もだめ」で、何もかもだめだと主張した。私たちも一歩も引くことはできなかった。これ以上怒りを我慢できなかった。この日は、「脱原発市民行動」や「高レベル核廃棄物全国会議」など全国の脱原発団体が産業部の推し進めた再検討委員会と公論調査の過程を糾弾する記者会見を行った。各地の原発地域の住民も集まった。大統領府前では、ダイイング・パフォーマンスをしなかった。警察の前で、通り過ぎる市民もない中、パフォーマンスを行う理由はなかった。
 原発40年間の歴史の苦痛と痛みをだれよりも知っているからこそ、簡単に口にしたくなかったその言葉、「持って行け、核廃棄物」。みんなが責任を負わなければならない核廃棄物をどうするのか、国民すべてが自分の問題として共に悩み、その責任について共に話し合おうと、釜山を出発し全国を回り、ついに大統領府前まで行ったのに、結局、「持って行け核廃棄物、大統領が責任を負え」はスローガンだけで終わった。大統領府の前の噴水台広場には、結局、進入できなかったのだ。
 「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーンの9泊10日の旅は、こうして終わった。私たちは、いつか再び、核廃棄物の問題を訴えるためにソウルに向かうはずだ。10万年の責任を真剣に議論するその日まで、これ以上核廃棄物が発生しないその日まで、私たちは止まらないだろう。キャンペーン団と各地域で出会った皆さんに心から感謝します。

― 解説 ―
 現政権は、前朴槿恵政府が作った「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」の問題点を認識し、2017年に「公論調査を通じて使用済み核燃料政策を再検討する」とした。
 2018年、主管部署である産業通商資源部は、市民社会と原発地域をメンバーに迎えて「再検討準備団」を構成した。しかし、産業部は再検討準備団内で合意しなかった事案を残したまま、2019年5月、一方的に市民社会と原発地域を排除し、「使用済み核燃料管理政策再検討委員会」を発足させた。
 再検討委員会は、月城原発使用済み核燃料保存施設である「マクスター」追加建設について、「地域実行機構」を構成したが、放射線非常計画区域内に含まれる蔚山市を地域実行機構の構成から除外した。
 また、再検討委員会と慶州地域の実行機構が20年7月に「建設賛成が多数」という結果を発表した「月城原発使用済み核燃料保存施設の建設賛否を問う地域公論調査」では、慶州市民だけで構成した145名の市民参加団のうち、韓国水力原子力(株)の利害当事者が20名以上参加したという「公論操作」疑惑が浮上している。
 「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーンは、現政権が「国民と疎通し、核廃棄物管理政策を樹立する」と約束した計画が、拙速で不誠実に実施されていることを批判し、高レベル核廃棄物の危険と社会的責任を市民に知らせるという趣旨で企画された。 (訳/小原つなき)

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信167号
(12月20日発行、B5-32p) もくじ

・ロシアの反核運動:諸問題、抗議活動とそれに対する報復の数々<前編>
 (ロシア社会エコロジー連合/地球の友ロシア)

・「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーン
 (キム・ヒョンウク)
  
・光州で世界人権都市フォーラム「原子力発電所と人権」 (キム・ジョンピル)
    
・オーストラリア上院が放射性廃棄物処分場計画を拒否
       
・子どもたちに核のゴミのない寿都を! (本田英人)
                
・「県民は同意していない!」
― 村井宮城県知事の女川2号機再稼働の「同意」に抗議の嵐 ― (舘脇章宏)
       
・原発バックフィット・停止義務づけ訴訟 
(青木秀樹) 
              
・12月4日 大阪地裁判決
原告勝訴! 大飯原発3・4号の設置許可取り消しを国に命じる
(島田清子)     

・「老朽原発うごかすな!」10・11・12月連続闘争 
(木原壯林)            

・老朽原発再稼働の地元同意に当たって慎重な検討を求める申し入れ 
(関電の原発マネー不正還流を告発する会・関電株主代表訴訟原告団・脱原発弁護団全国連絡会)                                   

・第2次「黒い雨」広島地裁判決控訴に抗議し 取り下げを求める共同声明に賛同を   

・東日本大震災と福島原発事故を題材にした小説を語る(6) (宇野田陽子)    

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韓国 自然災害に無防備な原発 ― 台風により10基の原発で事件・事故 ―

ヨン・ソンロク (韓国・脱核新聞より)

コリ原発

自然災害により、原発はいともたやすく停止を余儀なくされた。至上最大規模といわれた今回の台風は、主に韓半島の東海岸に位置する原発の安全に大きな影響を及ぼした。台風や大雨、猛暑など、今後ますます頻繁になると考えられる異常気象に備え、原発の安全対策を強化し、早急な脱核が必要だという指摘がでている。

台風9号「メイサーク」によって、9月3日と4日、釜山の古里(コリ)原発1・2・3・4号機と新古里原発1・2号機で、外部電源を喪失する事故が発生した。発電所の外部電源が切れると同時に、これら6基の原発のすべての緊急ディーゼル発電機が起動した。このうち運転中だった4基は自動停止した。

新古里3・4号機は、稼動が中断することはなかったが、変圧器の停電が発生し、新古里3号機のタービン建屋の屋根の一部が破損した。

6基の発電所の外部電源が喪失した正確な原因は、9月14日まで発表されなかった。韓国水力原子力(韓水原)と原子力安全委員会は、送変電の設備異常、塩分流入などが原因だという一部の内容を発表した。

9月7日には、台風10号「ハイシェン」の影響で、慶州の月城(ウォルソン)原発2・3号機が稼働中断した。タービン発電機が停止したため、原子炉の出力を減少させ運転を停止した。

続いて7日午後、慶北の蔚珍(ウルチン)にあるハンウル原発1・2号機の液体放射性廃棄物の蒸発器で放射線警報が発生した。14日現在、ハンウル1・2号機は正常稼働中であり、韓水原と原子力安全委員会は、放射能の外部漏れはないことを明らかにした。

原発の外部電源の喪失事故は大きな事故につながる可能性がある。原子力安全委員会によると、現在、国内の原発は、外部電源の喪失に備えて、各号機ごとに緊急ディーゼル発電機2台と代替交流発電機、1MW級の小型移動型発電機を備えている。また、発電所ごとに3.2MW級の移動型発電車を備えている。緊急ディーゼル発電機は、自動起動が可能であり、代替交流発電機は、運転員が手動で操作しなければならない。

台風によって原発の事件・事故が多く発生したことで、専門家のあいだでは、事故原因の調査を事業者と規制当局のみに任せず、外部の調査委員会を構成する必要があると指摘している。韓水原が台風に備えて事前に原子炉を手動停止しなかったことも批判の対象となっている。

原発が台風で一時停止したのは今回が初めてではない。2014年には局地的集中豪雨により古里2号機の循環ポンプ室が浸水し原子炉が停止した。2003年9月の台風「メミ」の際には、古里1〜4号機と月城2号機が停止する事故があった。

■ 釜山と蔚山で原発の安全対策強化を要求
― 原発の早期閉鎖と脱原発を訴える ―

9月3日と7日に直撃した台風により、国内原発26基のうち10基で事件・事故が発生した。これにより、釜山と蔚山(ウルサン)をはじめ全国で、原発の安全対策の強化と、早期閉鎖など早急な脱原発と、透明な情報公開などを政府に求める声が高まっている。

脱核釜山市民連帯は、台風9号「メイサーク」により古里原発の稼動が中断される事故が起きるやいなや、緊急に声明を出した。続いて9日には釜山市役所で記者会見を開き、政府に早急な脱原発の推進を促した。記者会見では「台風の被害がでた日から悪夢のような日々を送っている」と訴え、釜山市に対しても対策を促した。「釜山市は、原子力安全条例を通じて、原発事故の危険から市民の安全を積極的に保護する任務を明文化したにもかかわらず、今回の件について釜山市民に何の情報も通知せず、現場調査や事態の把握にも積極的に動かなかった」と批判した。そして、これら原発の被害状況を市民が直接確認し、原因と後続措置の状況が正しく確認され履行されるように、官民合同の真相調査団を構成することを要求した。

脱核プサン市民連帯の記者会見

■ 原子力安全委員会に安全対策の強化を要求する公文書提出、
蔚山市には外部調査委員会の構成を要求

脱核蔚山市民共同行動は、9月3日、4日、7日と相次いで3回にわたって声明を発表した。そして10日には、原子力安全委員会に公文書を送り、公式懇談会の開催と安全対策の強化を要求した。また、原発の安全性を高めるために、▲外部電源喪失に備えた緊急発電設備の強化、▲集中的に立地する原発の安全性評価の実施、▲原発再稼働への自治体の同意権を明記する法改正、▲放射能漏れに対応した「行政機関の対応マニュアル」のほか、「市民行動マニュアル」の作成と配布の義務付け、▲気候危機による安全設備の強化と放射能漏れ事故対応マニュアルの強化、▲テロ防止のための原発の設備強化などを要求した。

脱核蔚山市民共同行動は、報道機関に配布した3日の声明で、気候危機と台風に対し原発は安全性を担保することができないとし、政府に対し、月城2・3・4号機と古里2・3・4号機の早期閉鎖の決断を促した(月城1号機と古里1号機は寿命によりすでに閉鎖されている)。4日には、古里3・4号機で外部電源の喪失が追加的に発生すると、「6基すべての外部電源を喪失するのは初めての事態」であり、原発の安全基準の強化を促し、市民の知る権利のために原発の事件・事故に関して携帯のメッセージ通知を行なうように促した。7日には、月城2・3号機でタービン発電機の異常が確認されたことにより、蔚州郡と蔚山市が先頭に立って外部調査委員会を構成しなければならないと促した。

また、環境運動連合とエネルギー正義行動、緑の党なども声明を出し、「気候危機の時代において、原発は危険を抱えているに過ぎず、決して代案とはならない」と主張し、政府に早急な脱原発を促した。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信166号(10月20日発行、B5-20p)もくじ

・韓国 自然災害に無防備な原発
― 台風により10基の原発で事件・事故 ―  (ヨン・ソンロク)

・トルコ シノップ原発、肯定的な環境影響評価に市民が抗議 (森山拓也)

・フィリピン 「バターン住民は原発再開を断固拒否する」

・声明:日立製作所の英ウィルヴァ原発事業からの完全撤退を歓迎
(FoE Japan)

・核のごみ最終処分場の建設は許さない (佐藤英行)

・女川原発の再稼働を止めよう! 9.26宮城県民大集会の報告 (多々良哲)

・「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」に1600人が結集 (木原壯林)

・関電原発不正マネー 検察捜査で真相に迫れるか (末田一秀)

・「黒い雨」控訴に関する抗議声明 (ひだんれん他)

・東日本大震災と福島原発事故を題材にした小説を語る(5) (宇野田陽子)

・【声明】いまこそ日韓関係の改善を

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「民衆の長いたたかいの歴史のうちの、ほんの一部分」 佐藤大介(反核アジアフォーラム日本事務局)インタビュー

韓国・脱核新聞 19年12月号(聞き手・まとめ/ヨン・ソンロク編集委員、原文:韓国語)

第20回反核アジアフォーラム韓国開催準備のために、佐藤大介さんが11月に韓国を訪問した。彼は、ソウル、光州(クァンジュ)、蔚山(ウルサン)、プサンをまわり、韓国の脱核活動家たちに反核アジアフォーラムの歴史と目標、意義を説明した。
彼がどんな生活を送ってきたか知りたくて、個人史を含んだインタビューを行なった。

■ 韓国5・18光州抗争の「映像」に接して、朝鮮語学科ぐるみの断食闘争

佐藤さんは、金芝河の詩集を1976年に書店で偶然目にした。死刑囚の詩集だとしてその本を買ったが、韓国の政治状況は全く知らなかった。そして1977年に大阪外国語大学の朝鮮語学科に入る。

1980年6月、日本に5月光州抗争の映像が入ってきて、各地で上映会が行なわれた。そして彼は、死刑宣告された金大中らを救援する運動を始めた。朝鮮語学科の学生たち数十名で断食闘争をした。彼は、金大中が死刑になり、韓国に暗黒の時代がくれば、光州市民や学生たちを二回殺すことになると思った。彼は光州で死んでいった人々を大切にするならば何でもしなければならないという気がした。朝鮮語学科ぐるみの断食闘争は、めずらしい運動で、毎日新聞、雑誌「世界」などで紹介された。当時、全港湾労組も韓国民衆に連帯し1日ゼネストを行なった。

■ 被曝労働現場に日雇い労働者を紹介しない合意

佐藤さんは1981年に労働福祉センターに就職した。大阪の釜ヶ崎、2万人の日雇い労働者の街だ。彼は全港湾労組に所属した。全港湾労組は、建設業、日雇いなど色々な職種を組織していた。

彼は福祉センターで、仕事の紹介、労災相談、賃金未払い相談などの業務を行なった。原発の定期検査などでのずさんな被曝労働についての相談もたくさんあった。彼は労働組合として当局と交渉をくり返し、被曝する現場には日雇い労働者を紹介しないことで1982年に合意した。その合意は今でも維持されているという。

■ 日本で解雇撤回要求する韓国労働者闘争に連帯

日本の左派労働組合は、経済闘争だけでなく、反戦・反核・反原発、そして日韓連帯運動も行なってきた。佐藤さんは1980年代、全港湾労組として、反原発運動、日韓連帯運動を行なった。日本のアジアスワニーという会社が韓国の工場を撤収し、韓国労働者が日本まで行って解雇撤回を要求する闘争をしたとき、彼はこの闘争を支援した。

■ 1988年から反原発国際連帯

佐藤さんは1990年代以降、労働組合運動より反原発運動に集中したという。日本各地の原発現地で反対運動する住民たちから学ぶことが多かったという。

韓国反核運動との交流は1988年から始めた。当時、アジア各国で原発を推進するために、そして、日本がアジア各国に原発を輸出するために、日本原子力産業会議が主導して「アジア地域原子力協力国際会議」が行なわれていた。日本がパブリックアクセプタンス(住民受容)のノウハウなどを他国に教えていた。たとえば韓国や台湾の原発PR館は日本のPR館とそっくりだった。

そのころ韓国の反核活動家から反原発国際連帯をしようという提案を受けた。推進派が活発に国際連携しているので、反対派も国際連帯しなければなければならないと。それが反核アジアフォーラム出発点になった。

■ 韓国と日本が率先して反核アジアフォーラム開催

第1回反核アジアフォーラムは日本で、第2回反核アジアフォーラムは韓国で開催することにした。日本の多くの団体、人々が、反核アジアフォーラム実行委員会を作った。第1回反核アジアフォーラムは1993年、日本にアジア各国から30人を招いて、4人ずつチームを組んで7つのコースをまわり、全国28か所で集会を行なった。反核アジアフォーラムは、常に原発現地を重要視することとした。

第2回反核アジアフォーラムは1994年に韓国で開かれた。霊光(ヨングァン)、古里(コリ)、蔚珍(ウルチン)の原発現地や、核廃棄場建設に反対した固城(コソン)、清河(チョンハ)などで集会を行なった。

以後、反核アジアフォーラムはほとんど毎年、台湾、インドネシア、フィリピンなどの地で、今まで開催されている。

■ 運動的な哲学

佐藤さんは加害者になりたくなかったという。1965年の韓日協定以後に日本企業が韓国を搾取する状況があった。そのため日本が韓国の独裁政権を支えてきた。日本がアジア民衆を搾取する経済構造もあった。また、原発は貧しい労働者を被曝させ、貧しい地域に建設される。都市住民は加害者と言える。

彼は、放射能の被害者にも加害者にもなりたくないと、日本の多くの人たちとともに、1992年から2018年まで、インドネシア・台湾・ベトナム・インド・トルコへの原発輸出に反対するキャンペーンをした。署名運動、三菱・日立・東芝の不買運動、国会での質問、政府交渉、対象国から活動家を呼んで集会、対象国を訪問して集会などだった。

彼は「民衆の長いたたかいの歴史のうちの、ほんの一部分」「いつかは原発も核兵器もなくなる」という。

佐藤さんとイ・サンボム蔚山環境運動連合事務局長(写真左上)は、2000年に新古里(シンゴリ)3・4号機建設反対闘争で縁を結んだ間柄だ

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信165号(8月20日発行、B5-24p)もくじ

・韓国 全国の市民社会、使用済み核燃料の公論化に対し無効を宣言 (ヨン・ソンロク)

・「民衆の長いたたかいの歴史のうちの、ほんの一部分」
佐藤大介インタビュー (韓国・脱核新聞)

・アルメニアの原発に攻撃の脅し (山崎久隆)

・被災原発・女川原発2号機の再稼働をめぐって (篠原弘典)

・広島原爆「黒い雨」裁判:その全面勝訴と国の控訴を考える (湯浅正恵)

・コロナと原発事故 (石地優)

・関電株主代表訴訟へ ~ めちゃくちゃでっせ関電 ~ (滝沢厚子)

・東日本大震災と福島原発事故を題材にした小説を語る(4) (宇野田陽子)

・「老朽原発うごかすな大集会 in おおさか」(報告とお願い)

・老朽原発うごかすな (中野宏典、小熊ひと美、けしば誠一、木村雅英、
堀田美恵子、中沢浩二、瀧川順朗、柳田真)

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全国の市民社会、使用済み核燃料の公論化に対し無効を宣言

使用済み核燃料「でたらめ公論化」を中断せよ! 慶州でデモ・ダイイン、7月18日

韓国の産業通商資源部(経産省にあたる)の「使用済み核燃料管理政策再検討委員会」が、月城(ウォルソン)原発の使用済み核燃料の一時貯蔵施設(マクスター、乾式)増設のための地域公論調査の最終結果を7月24日に発表した。「選ばれた慶州市民参加団145人の81.4%がマクスター増設に賛成した」とのことであるが、この公論調査は操作された疑いがある。月城原発に隣接する陽南面(ヤンナムミョン)住民の反対は、39名中たったの1人だった。6月にハンギルリサーチが陽南面住民891人を対象に調査した結果では、55.8%が反対していたので、意図的に賛成住民を中心に市民参加団を構成した疑いがあるのだ。また、市民参加団に韓国水力原子力の協力会社の従業員が数十人参加していたという状況も明らかになっている。

■ 「全国の市民社会、使用済み核燃料の公論化に対し無効を宣言」

ヨン・ソンロク (韓国・脱核新聞より)

全国の市民社会、宗教界、地域、専門家、政党などは、産業通商資源部が推進した「使用済み核燃料の管理政策に関する再検討」 全国公論化と地域公論化に対して無効を宣言した。彼らは、公論化を推進した再検討委員会が公正性と透明性などを喪失し、産業部が公論化を失敗に導いたと主張した。

文在寅政府は発足初期に国政課題の一つとして、「高レベル放射性廃棄物(使用済み核燃料)管理基本計画」の再検討を進めることを明らかにした。これは、朴槿恵政府が樹立した高レベル放廃物の管理政策が核産業界の立場を一方的に代弁したものであり、再公論化を通じた政策の見直しが必要だという市民社会の要求を現政権が受け入れた結果だった。

しかし、核産業界の主管部署である産業通商資源部は、公論化を推進するなかで、再検討委員会の人員構成に関して原発立地地域と市民社会の代表者などの利害当事者を排除した。市民社会は、文在寅政府のもとで行なわれる公論化も、スタートから中途半端な公論化となることを憂慮し、再検討委員会の人員の再構成などをくり返し要求してきた。しかし産業部は公論化を強行した。

産業部は、全国公論化を通じて、全国民とともに、国家的な難題である使用済み核燃料の処分案に対する話し合いを進めなければならないにもかかわらず、永久処分場が確保できないまま稼動されている核発電の問題点について国民に知らせるどころか、核発電所敷地内に「臨時貯蔵施設(乾式)」を建設することに問題の焦点を矮小化していった。

産業部が、市民社会の不参加のもと公論化を強行する中で、1 年以上再検討委員会を率いてきたチョン・チョンファ委員長をはじめ、委員 15名のうち、5人が辞任する事態となった。チョン・チョンファ委員長は、「慶州月城原子力発電所の使用済み核燃料貯蔵施設の増設可否を問う月城地域実行機構」が、再検討委員会と相談もしないで意見収斂の内容を一方的に変更したとし、公正性と透明性を担保できないと主張した。

「密室操作公論化 無効」

● 使用済み核燃料の問題の核心を国民に正確に示さないなら、対政府闘争は避けられない

7月30日、大統領府前で開かれた「使用済み核燃料でたらめ公論化の無効宣言」と題された記者会見では、「高レベル核廃棄物全国会議」のファン・デグォン代表が冒頭発言で、「ろうそく革命を通じて誕生した政府を前に、ろうそくを再び掲げる心情でこの場に立った」と吐露した。また、「脱原発を約束した大統領の下で、このようなでたらめな公論化を推進した産業部を到底理解できない」と批判した。彼は「もし、このすべての過程が産業部の過ちなら、大統領が産業部長官を解任しなければならない。また、もしこれが大統領の意思なら、対政府闘争をするしかない」と怒りをあらわにした。彼は「再検討委員会は、核廃棄物の臨時貯蔵施設の推進にしか目がない」「公論化は、韓水原の社内施設として勝手に管理することができる臨時貯蔵施設の建設を容認するためのものだ」と批判した。

緑色連合のチョ・ヒョンチョル代表は、「産業部の公論化過程を見る中で、この政権が暴力的になったと思った」と切り出した。彼は「産業部が、高レベル核廃棄物の中長期政策について全国の意見を汲み上げる前に、地域の公論化を終えたのは、産業部が公論化の目的を月城核発電所の敷地内に臨時貯蔵施設の建設を進めることに焦点を当てている証拠だ」と主張した。彼は「再検討委員会が、使用済み核燃料に関する全国的な議題はそっちのけにして、地域の議題だけにこだわり、とくにマクスター(使用済み核燃料貯蔵施設)の増設にのみ熱中した」と批判した。彼は合意を破って一方的に密室で推し進めた公論の過程は、真の公論化にふさわしくないと批判した。

環境運動連合のチェ・ジュンホ事務総長は、「こんなに重要な問題について市民たちはろくに知ることもできず、また、産業部はこれを伝えるための努力をしていない」と批判した。また、「核発電所の問題の本質について明らかにしないまま処分問題を論議し、核発電所の周辺地域の住民の被害と苦しみを無視しつづけている」と指摘した。

参与連帯のシン・ミジ選任監査は、「高レベル核廃棄物の問題は、市民の安全と直結する問題であり、一度や二度の議論で決定できるような問題ではなく、議論の対象を地域住民に縮小してはならない」と指摘した。また、「時間がかかっても文在寅政府は、まともな公論化の場を作り直さなければならない」と主張した。

● 国民参加のない一方的な発表では、気候危機と脱原発の大転換は難しい

宗教環境会議のヤン・ギソク共同代表は、気候危機と核発電問題について、「世界各国が苦境に直面する中で、数日前、韓国政府は『グリーン・ニューディールに160兆ウォンを投資し、韓国社会における大転換の契機にする』と断言したが、どれほど多くの費用を投資しても、アプローチしなければ気候危機と核発電問題において、韓国社会は変化せず、依然として危険である」と主張した。また、「核廃棄物問題も一時保存ではなく、核発電所存亡そのものについて国民が悩む時間を作るべきだ」とした上で、「それが行なわれるとき、韓国社会が持続可能な社会に進むための大転換となる」と話した。また、「政府が依然として民主的でない方式で少数の選別された人たちのなかで意図された結論を導き出そうとする行為は社会変化を引き出せない」と指摘した。

このほかにも進歩党のキム・ジェヨン代表や、緑の党のソン・ミソン運営委員長も記者会見に参加し、産業部の公論化の問題点を指摘し、でたらめな公論化は無効であることを宣言した。

「慶州月城原子力発電所使用済み核燃料貯蔵施設に関する地域公論化」の懸案地域から、「月城核廃棄場反対 蔚山(ウルサン)住民投票運動本部」のイ・ウンジョン共同代表が、産業部と再検討委員会の問題点を指摘した。イ・ウンジョン代表は、月城原発から半径7km~30km圏域に位置する蔚山市民の意見を収れんしないことに対して、文在寅大統領は産業部に責任を問い、まともに公論化を推進するよう働きかけなければならないと要求した。

「月城原発核廃棄場追加建設反対 慶州市民対策委員会」のイ・サンホン執行委員長は、「朴槿恵大統領のもとで行なわれた公論化よりもひどい公論化を、これ以上続ける意味があるでしょうか?」と疑問を投げかけ、「文在寅政府は、多くの市民たちの期待や熱望、努力と汗と信頼を裏切った公論化を中断しなければならない」と訴えた。彼は「2005年に行なわれた中・低レベル放射能物質廃棄場の誘致に関する慶州市住民投票で私を絶望させたのは、誘致が決まったことよりも、むしろ盧武鉉政府のもとで行なわれた広範な不正投票だった」と当時を回想した。加えて、「現在、生徒が学ぶ社会教科書には、中・低レベル放射能物質廃棄場の慶州市住民投票が、大韓民国初の住民投票で、民主的葛藤解決の模範事例として紹介されているのを見るたびに血が逆上する」と主張した。彼は「なぜ民主主義は、民主政府のもとでさらに蹂躙されなければならないのですか」と訴え、「でたらめな公論化によって再び核廃棄場が慶州に建設されるのを黙ってみているわけにはいかない」と切実な思いを伝えた。彼は、文在寅大統領が慶州地域での公論捏造の真相を明らかにし、公論捏造の犯罪者を厳罰することを要求した。

全国の市民社会、宗教界、地域、専門家、政党などは、市民宣言文を通じて、「今回の公論化は、民意を徹底的に無視して歪曲した」「慶州地域の公論過程で行なわれたハンギルリサーチの調査結果では、慶州市陽南面(ヤンナムミョン)の住民の過半数以上が核廃棄施設の増設に反対したにもかかわらず、産業部の地域公論化の過程では市民参加団の陽南面住民の反対が 39名中たったの1人だったことは『公論操作』である」という疑惑を提起した。

また、蔚山市の人口のうち約100万人が放射線非常計画区域内に属しているにもかかわらず、核廃棄場の増設の可否を問う意見収集対象から除外したことも、今回の公論化過程の大きな誤りだと指摘した。蔚山の場合、産業部と再検討委員会が蔚山市の意見を収れんしなかったため、民間主導で住民投票を実施し、5万人以上が投票に参加して94.8%が使用済み核燃料貯蔵施設の追加建設に反対したが、この住民投票の結果は全く反映されなかった。

全国の市民社会などは、熟議の過程の拙速性に加えて、公論操作の疑惑まで提起されている慶州地域の意見聴取の結果は無効であり、徹底した真相究明を通じて、産業部と再検討委員会および地域実行機構の責任者は処罰されなければならないと要求した。

全国市民宣言への参加者は、「核廃棄物に対する責任ある管理計画を掲げることよりも、慶州月城の核廃棄物臨時貯蔵施設の追加建設という目的を達成するための手段として公論化を利用した産業部を糾弾する」「私たちは、民意も熟議もなく、公正性と透明性、客観性と収容性など、どれ一つ満たしていない密室での公論化、使用済み核燃料管理政策を根本的に準備できない公論化は無効であることを宣言する」と叫んだ。

全国市民宣言への参加者は、朴槿恵政府に続き、再び破綻した公論化をくり返した政府に次のような要求事項の履行を促した。

「でたらめ公論化の無効宣言」

【全国市民宣言参加者の要求事項】
1. 慶州地域の意見聴取の結果は無効だ。 公正性検証委員会を構成し、慶州地域公論の操作疑惑の真相を調査せよ。
2. 慶州月城臨時貯蔵施設(マクスター)建設反対 94.8%、蔚山北区住民投票の結果を受け入れよ。
3. 文在寅政府の国政課題である「使用済み核燃料管理政策の再検討」を破綻させた産業部長官を解任せよ。
4. 核廃棄物の問題について全国民が熟考して共に討論する過程を通じて、解決策を見出せる形での公論化を再設計せよ。
5. 大統領直属の独立的な機構として、地域と市民社会などの利害当事者が参加するまともな公論化として再スタートせよ。
(訳/小原つなき)

 

UAEのバラカ原発:炉型、時期、場所、すべてが誤り

2018年3月、1号機前で(文在寅大統領も)

UAEのバラカ原発:炉型、時期、場所、すべてが誤り
JP Casey(Power Technology 20年4月17日)

UAE(アラブ首長国連邦)は、同国初のバラカ原発について、数か月以内に稼働を開始する予定であると発表した。バラカ原発はUAEの電力需要に中心的な役割を果たすことを期待されているが、地政学的に緊迫した状況下での実用性、安全性に関する疑問は残されたままだ。

アブダビ首長国のガルビヤ地方から53キロ離れた地点に位置し、200億ドルをかけたこの事業が開始されたのは2012年。ついに完成の時が近づいている。韓国電力公社などの韓国企業連合によって建設され、APR1400という炉型の原子炉4基から成るこの原発の出力は560万kWにのぼり、UAEの電力需要の四分の一を満たすことになる。

バラカ原発は、「増大し続けるエネルギー需要に応える」「二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーの割合を増やす」「完成すれば世界第6位の規模となるこの原発が、中東のエネルギー革命の幕を切って落とす」などと、期待を込めて語られている。

しかしそうした華々しい主張の背後で、このプロジェクトは議論の的となり続けている。マクロの視点からは、このような地政学的に緊張感の高い場所に原発を建設すること自体が帯びる固有の危険性があげられる。バラカ原発そのものに対しては、格納容器のコンクリートに亀裂、空隙が生じていることなどだ。このプロジェクトに関しては、批判の声が上がり続けている。

バラカ原発に関して極めて懐疑的な見解を持つ専門家の一人、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン上席研究員のポール・ドーフマン博士は言う。

「原子力分野への投資が大規模な財政損失を生み出すという事実を考えると、人びとはバラカ原発建設には『他の隠された理由』があるのだろうかと疑問に思うでしょう。とくに湾岸諸国にとっては、原発は経済的にごく小さな意味しか持たないように見えます。砂漠地域の王国なのだから、太陽光発電については世界で最も恵まれた環境を手にしています。太陽光発電は原発よりもずっと安価な投資額と発電コストが可能なのに」

一方、世界原子力協会(WNA)の上級報道官ジョナサン・コブ氏は、「バラカ原発はすべての必要な要件を満たしており、韓国電力公社からの強力な安全認証が出ています。韓国電力公社が設計開発したAPR1400型原子炉は、実際に2016年から韓国で運転開始されています」と述べる。

「FANR(アラブ首長国連邦原子力規制機関)による精査のみならず、1号機は『起動前審査(PSUR)』にも合格しました。これは、世界原子力発電事業者協会(WANO)によって策定された国際的な基準によって運用されている審査です」とコブ氏は語る。

しかし、ドーフマンはそれらの安全性に関する認証に再び疑念を投げかける。原子力産業においては安全性に関する規制については概して緩やかなアプローチがとられているからである。

「原子炉の設計は進化しましたが、バラカ原発にはそれに伴って追加されるべきカギとなる安全機能が追加されていないのです。フランスのアレヴァ社の最高経営責任者はバラカ原発の設計に関して『エアバッグとシートベルトのない車』と表現しました。バラカ原発の設計は、事故あるいは飛行機の衝突や、軍による攻撃の場合の大規模な放射性物質の放出に対しては不十分な防衛しか持ちあわせていないのです。とりわけ心配なのは、コアキャッチャーがないということです。緊急炉心冷却装置の故障が発生した場合に、コアキャッチャーがあれば圧力容器から溶け出してきた核燃料を支えることができるのです。その上、4基とも格納容器のコンクリートに亀裂、空隙があり、設置されているパイロット式逃がし安全弁も欠陥があります」

彼はさらに、2013年に発覚した一連のスキャンダルによって韓国電力公社の評判が損なわれていることも指摘する。韓国の原発において、部品の安全性に関わる書類を偽造(2287件)したとして、安全審査に関わる上級職員らが実刑を受けた。最終的には100人が起訴され、韓国で運転中だった23基のうち6基が2012年から14年にかけて閉鎖を余儀なくされた。

UAEはこの原発建設で韓国電力公社と200億ドルで契約した。それは他の入札企業の提示額よりもかなり安い金額だった。これも不安な点だ。2008年、シナプス・エナジー社が、新規原発建設は110万kW規模の原発1基あたり90億ドルまで跳ね上がるだろうと予測した。この予測に従えば、バラカ原発の建設費用は450億ドル程度となり、韓国電力公社がこの原発に投資した額の2倍以上となる。

不確実な安全性認証は、これらのリスクにもかかわらずバラカ原発を承認した世界の原子力規制機関の信用を著しく損なう可能性がある。ドーフマンは、この原発の窮状は、「義務的であるよりも裁量的」である原子力規制の本質を明るみに出していると語る。原発をもった国のみが、運転と安全性の基準を守る責任を負わされ、強大な国際組織はそれを支援しないという構図になっているのだ。

「国際原子力機関(IAEA)は、誰にでも命令できるわけではない。イラン、パキスタン、イスラエルなどで起きてきたことを見ればわかるとおりです」

原発の安全性というのは、他のエネルギー源による発電とは全く異なるありかたで、各国の政策やその地域の地政学と分かちがたく結びついているといえる。

ドーフマンが指摘するのは、イエメン内戦の例だ。反政府勢力のフーシ派が2015年に、アブドラッボ・マンスール・ハーディー大統領を倒した。そして、フーシ派は17年、UAEのイエメン内戦への干渉に対する警告として、バラカ原発に向かって巡行ミサイルを発射したと発表した。

核施設に対して軍事攻撃が加えられた場合、明白な政治的、人道的緊急事態になるということが予想される。

「19年のフーシ派によるサウジアラビアの石油精製施設に対する軍事攻撃でもわかるとおり、緊迫した湾岸諸国の戦略的地政学は、地球上の他のどの地域よりも、原発建設をより論争の的としています」と、ドーフマンは語り、その地域で暮らす人々やその地域の安定性に対して原発が課す脅威は解決されないままであると要約した。

「バラカ原発が本格的に発電を開始したら、意図されたものであれ偶発的なものであれ、大きなリスクが発生するでしょう。バラカ原発は、誤った時代に、誤った場所に建てられた、誤った原発です」