
バターン原発の復活や、SMRなどの原発建設が計画されているフィリピンで、6月17~21日、第22回ノーニュークス・アジアフォーラムが開催されました。
NNAF 2026共同声明 NNAF2026 statement 2026年6月20日
No Nukes Asia Forumは、33年にわたり非核のアジアを築くために積極的な協力を続けてきた市民社会ネットワークである。NNAF 2026はフィリピン(マニラ・バターン)で開催され、各国の参加者たちが、それぞれの経験を共有し、戦略を検討し、本声明を発表する。
現在、世界は深刻な気候危機に直面している。世界気象機関(WMO)によれば、2025年は観測史上2番目に暑い年であった。大規模な環境破壊はすでに人々の移住を引き起こし、食料システムを混乱させている。アジアは最も脆弱な地域の一つであり、フィリピンは東南アジアの中でも気候災害への曝露度と脆弱性が最も高い国である。
このような状況の中、多くの団体が化石燃料からの脱却と、緩和策および適応策の強化を含むエネルギーシステムの構造的転換を求めている。しかし、安全で迅速かつ公正な再生可能エネルギーを推進する代わりに、各国政府と企業は原発の復活を後押ししている。中国と米国の地政学的緊張、そして富裕国間の同盟関係は、いわゆる「原発競争」を引き起こしている。この競争は政府だけでなく、危機から利益を得る企業によっても支えられている。世界銀行やアジア開発銀行のような公的金融機関は、原発投資への禁止方針を撤回し、フィリピン、インド、日本、韓国を含む各国政府は原発推進に向けた重要な措置を講じている。
私たちアジア各地の地域社会と市民社会は、この道を拒否する。原発は極めて危険であり、地域社会に不公正をもたらし、環境を破壊するものである。私たちは、自らの税金、安全、そして主権が賭けの対象とされることを拒否する。
フィリピン
政府は2025年、フィルアトム法(国家原子力安全法)を制定し、BNPP(バターン原発)の復活およびSMR(小型モジュール炉)の導入計画を推進している。この動きに、地域住民、民衆組織、環境保護活動家が強く反対している。
フィリピンは環太平洋火山帯に位置しており、地震、津波、火山噴火が原発の安全性を脅かす。さらに気候変動は、より強力な台風や洪水をもたらし、冷却設備や電力システムに損害を与える危険を高めている。
原発は電力不足に対する即効性のある解決策ではない。建設には莫大な費用と10年以上の期間を要する。エネルギー危機への迅速な対応ではなく、限られた資金が危険で進捗の遅い原発建設へと振り向けられてしまう。フィリピンには推定808GWの再生可能エネルギーの潜在力があるにもかかわらず、民営化と企業支配がその活用を妨げている。
原発はまた、ウラン採掘、国際供給網、放射性廃棄物処分においても重大なリスクを伴う。高レベル放射性廃棄物(使用済み核燃料)の長期処分に安全な解決策は存在しない。BNPPの事例が示すように、原発事業への資金投入は国民に債務負担を強いる。BNPPは一度も発電しなかったにもかかわらず、納税者は数十億ドルを負担した。福島原発事故は、政府が企業を救済し、その代償を市民が支払わされる現実を示した。
汚職と脆弱な制度は、原発をさらに危険なものにしている。Valar Atomicsのような海外スタートアップ企業はこうした弱点を利用し、フィリピン国民を実験段階の原発のモルモットにしようとしている。原発は地政学的対立とも結びついており、フィリピンを外国の影響力の中へさらに深く引き込んでいく。
私たちの要求:すべての原発計画を中止し、迅速化政策を撤回し、地域住民主導の太陽光、風力、地熱エネルギーへ投資せよ。
台湾
台湾はアジアで初めて原発を廃止した国である。しかし現在、「原発ルネサンス」という誤った言説によって、この成果を覆そうとする動きが進んでいる。台湾はすでに4,700トンの使用済み核燃料を抱えており、その処分方法は未解決である。台湾の若者にとって反原発とは、将来世代にさらなる放射性廃棄物と何十年にも及ぶ管理責任を押しつけないという決意である。
私たちの要求:新たな原発建設を認めず、老朽原発の運転延長を行わず、高コスト・高リスクの原発を廃炉とし、民主的な再生可能エネルギーを優先せよ。
オーストラリア
2025年の連邦選挙において、オーストラリア国民は原発を明確に拒否した。この前向きな結果は地域全体で歓迎された。
しかし歓迎できないのは、政府が推進するAUKUS(豪英米の軍事協力)である。原子力潜水艦の導入は、核兵器のリスクと核廃棄物の確実な持ち込みをもたらす。
私たちの要求:オーストラリアは核兵器に反対し、核兵器禁止条約に直ちに署名せよ。
日本
福島第一原発事故からわずか15年後、日本は再び原発へ回帰し、2050年までに最大14基の新規原発建設を目標としている。福島事故の後始末は依然として終わっておらず、2万人を超える避難者がなお故郷を離れたままであり、大量の放射性廃棄物の最終処分地も決まっていない。
私たちの要求:日本は直ちに原発を廃止し、再生可能エネルギーと省エネルギーを中心とした安全で公正かつ安定したエネルギー供給へ移行せよ。
韓国
韓国は運転延長、新規原発建設、SMR開発を通じて原発を拡大し続けており、さらに原子力技術の軍事利用も追求している。地域社会は何十年にもわたり放射性廃棄物問題に苦しめられてきたが、現在では韓国水力原子力がフィリピンのバターン原発復活計画に深く関与している。
最近発表された新規原発およびSMR立地計画は、長年にわたり地域住民の反対や懸念を無視してきた非民主的で上意下達の意思決定をくり返すものである。
私たちの要求:韓国は原発拡大政策を終わらせ、バターン原発復活への関与を撤回し、アジア全域への原発輸出計画を中止せよ。
インド
インドは原発建設を加速させており、2026年にはカルパッカムで初の高速増殖原型炉(PFBR)を稼働させ、2047年までに原発容量100GWをめざす方針を発表した。現在の原発容量は8.78GWであり、電力供給全体の約3%にすぎない。
一方で、インドは再生可能エネルギー分野で記録的な成長を遂げており、2025~26年度には50GW超を新たに導入し、設備容量で世界第3位となった。太陽光発電だけでも150GWを超えている。
このような再生可能エネルギーの成功にもかかわらず、原発拡大には重大な懸念がある。ウラン採掘は先住民族地域において汚染や健康被害を引き起こしている。ウラン盗難事件を含む安全管理上の不備は、脆弱な管理体制を浮き彫りにしている。また、インドとパキスタンの緊張が続く地域において、原発拡大は不安定化をさらに深める危険を伴う。原発事業は遅延とコスト超過をくり返しており、再生可能エネルギーの方がより迅速で、安価で、安全である。
私たちの要求:インドは原発の拡大を中止し、既存原発の段階的廃止を開始するとともに、世界をリードしている再生可能エネルギーを優先せよ。
共通要求
各国政府へ: すべての原発計画を中止し、原発推進法制を撤回し、再生可能エネルギーを優先せよ。
公的銀行および多国間開発銀行へ:原発への融資と政府保証を中止し、地域主導の再生可能エネルギーと気候適応策に資金を投入せよ。
地方自治体へ: とりわけ災害リスクの高い地域において、「非核地帯」を宣言せよ。
規制当局へ: 透明性、説明責任、独立性を確保し、企業支配と汚職を防止せよ。
国際社会へ: 原発を地政学的な武器として利用するな。人々を中心とした公正なエネルギー転換を支援せよ。
気候危機と生活危機が深刻化する中で、原発はアジアにとって、公正でも、安全でも、環境的に持続可能な道でもない。
マニラから台北へ、ソウルから東京へ、シドニーからニューデリーへ、私たちは、連帯して立ち上がる。
原発反対、債務反対、グリーンウォッシュ反対!
戦争の道ではなく、生命の道を!
私たちの未来は、再生可能で、民主的で、そして、非核だ!
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国際共同声明 「アジアの民衆は核のない韓国を望んでいる」 ― 韓国政府と韓国水力原子力は新規原発の用地選定を直ちに撤回せよ ―
韓国電力公社は6月17日、大型原発の候補地として慶尚北道ヨンドク(盈徳)郡を、SMRの候補地として釜山市キジャン(機張)郡を発表した。2026年反核アジアフォーラム(NNAF)に参加した私たちは、フィリピンの民衆が喰い止めたバターン原発の前で、新規原発用地を選定した韓国政府と韓国水力原子力を強く非難する。
韓国政府が掲げる「AI時代や半導体産業の育成のための膨大な電力需要の増加に備えるために、原発を追加建設すべきだ」という主張には私たちは同意できない。
気候危機の時代に、世界は再生可能エネルギー中心のエネルギー転換を加速させている。しかし、韓国は再生可能エネルギーへの転換を語りながらも、莫大な費用と長い建設期間が必要な新規原発の建設を再び推進している。韓国が推進する新規原発は2035年以降の稼働をめざしているが、その時点では再生エネルギーやエネルギー貯蔵技術の発展により、経済性を失った座礁資産になる可能性が非常に高い。
韓国は現在も建設中の原発と永久停止した原発を含めて合計32基の原発があり、今33、34番目の原発を建設しようとしている。韓国はすでに国土面積に対して世界で最も高い原発密集国である。現在、韓国に必要なのは33、34番目の原発ではなく、既存の原発の安全な管理と、新規原発に投入される膨大な資金を再生可能エネルギーの拡大とエネルギー転換に使用することだ。
私たちは、韓国の原発拡大政策が韓国だけの問題ではなく、アジア全体の核リスクを高める決定であることを懸念している。韓国政府は、国内の新規原発建設を、国内の原子力産業の維持と海外輸出拡大のための戦略的基盤として活用している。したがって、韓国の原発の拡大はアジアと世界で核の危険を増大させ、公正なエネルギー転換を遅らせる結果をもたらすだろう。
2026年反核アジアフォーラムは韓国政府に次のように要求する。
★ ヨンドクの新規大型原発とキジャンのSMR建設計画を直ちに撤回せよ
★ 新規原発の代わりに既存の原発の安全な管理と再生可能エネルギーの拡大に投資せよ
★ アジアと世界のエネルギー転換に逆行する原発の拡大と輸出政策を中止せよ
アジアの未来は、より多くの原発ではなく、安全で持続可能な再生可能エネルギーにある。
2026年6月19日
NNAF 2026参加団体一同
