フィリピンおよびアジアの原発推進政策に対する、市民社会団体と地域団体の共同声明

「原発は極めて危険で、地域社会に対して不公正で、環境を破壊する」
フィリピンおよびアジアの原発推進政策に対する、市民社会団体と地域団体の共同声明

NNAF 2026フィリピン組織委員会 5月21日

ADB(アジア開発銀行)への抗議行動、6月10日マニラ

現在、世界は深刻な気候危機に直面している。世界気象機関(WMO)の最新データによれば、2025年は観測史上2番目に暑い年であった。同報告は、この大規模な環境破壊が人々の移住を引き起こし、食料システムを混乱させる可能性があるとしている。アジアは気候変動の影響に対して最も脆弱な地域の一つであり、フィリピンは東南アジアの中で気候災害への曝露度と脆弱性が最も高い国とされている。そのため、多くの団体が、化石燃料依存から脱却し、緩和および適応策を強化するためのエネルギーシステムの構造的転換を求めている。

一方で、アジアでは近年、気候危機およびエネルギー安全保障危機の解決策として原発への関心が再燃しており、「原発競争」を加速させている。この競争は、関係政府だけでなく、利益を得る大企業によって資金提供されている。世界銀行やアジア開発銀行のような主要な公的金融機関は、「原発融資禁止方針」を撤回した。

フィリピン政府も、原発推進に向けた重要な措置を講じている。2023年のエネルギー省令DO2016-10-0013によるフィリピン原発計画実施機関(NEPIO)の設立、および2025年に成立した国家原子力安全法(フィルアトム法)による原子力規制機関の創設と原発開発の手続き整備などである。

原発候補地

こうした原発開発への動きに対し、フィリピンの地域住民、市民社会団体、民衆団体、運動団体、人権擁護者、環境保護活動家による広範な連合は強く反対する。

原発は極めて危険であり、地域社会に対して不公正であり、環境破壊的である。われわれは、フィリピン国民の税金が、安全とエネルギー保障を賭けた危険な賭博に使われることを拒否する。また、地域社会の安全と健康を犠牲にすることも拒否する。

第一に、原発の歴史は、すでに最悪の悲劇によって刻まれている。チェルノブイリおよび福島第一原発事故のような災害は、フィリピンでも起こり得る。なぜなら、フィリピンは環太平洋火山帯に位置し、地震、津波、火山のリスクを抱えているからである。さらに、気候変動によって大型台風や洪水が激甚化しており、原発のシステムに損害を与える危険がある。加えて、迅速な避難や国家非常事態時の効果的な連携など、防災対応能力の強化も課題である。

第二に、原発は電力不足への即効的解決策ではない。原発は極めて高額であり、建設から運転開始まで9~11年以上を要する。エネルギー危機を迅速に解決するどころか、限られた国家資金が、再生可能エネルギーのようにより迅速かつ現実的な解決策ではなく、長期的な原発建設に投入される危険がある。実際には、フィリピンは約8億kWの再生可能エネルギー潜在力を有している。

第三に、原発は、ウラン採掘、燃料加工、国際供給網への依存という点で、化石燃料と類似したリスクを伴う。また、核廃棄物の長期処分については、「受け入れ可能」な解決策はいまだ存在せず、環境および安全上の危険は依然として重大な懸念である。

第四に、原発への資金投入は、政府債務や政府保証によって賄われる場合、国民に重い負担を強いる。バターン原発はその典型例であり、フィリピン国民は危険で未使用のインフラに対して数十億ドルを支払わされた。このような高額事業のために、保健、教育、より安価なエネルギーシステムといった重要分野への予算が削減される可能性がある。さらに、建設費の超過や投資回収までの長期間が問題を悪化させる。国民負担は建設費にとどまらない。福島事故では、原発所有企業に責任を取らせるのではなく、日本政府が税金によって事実上救済したことが示された。

第五に、原発推進には統治および企業支配の問題が存在する。フィリピンが深刻な腐敗問題を抱えていることは周知の事実である。洪水対策事業をめぐる汚職によって、インフラ不備、粗悪資材、調達腐敗、技術専門性を欠く政治任命、規制の脆弱さなどが明らかになった。巨大企業や政治エリートが原発部門に過度な影響力を行使すれば、利益と権力のために公共の安全が軽視される危険がある。保守、検査、安全基準におけるわずかな妥協でさえ、大規模災害や長期的な健康・環境被害を引き起こし得る。

フィリピンは、小型モジュール炉(SMR)のような新技術の「実験台」にされつつある。SMRはフィリピンの複雑な送電網問題への解決策として宣伝されているが、実際には、Valar Atomicsのような推進企業はアメリカ国内での規制を回避しようとしている。利益のみを追求する外国勢力によって、フィリピンの制度的脆弱性が利用されることは明白である。

第六に、原発はしばしば世界の超大国およびその同盟国の利害と結びついている。現在、フィリピンは主として、原発、インフラ整備、規制に関する技術的指導について、アメリカに依存しており、さらにカナダ、韓国、日本などの同盟国からも支援を受けている。地域における地政学的緊張が激化する中で、エネルギー問題を利用して、外国勢力の拡大する対立や影響力の中に、フィリピンを巻き込むべきではない。

最後に、原発は、フィリピンの脱炭素目標を推進するための誤った解決策である。前述の通り、原発は極めて高コストであり、建設に長い時間を要し、さらにフィリピンの自然条件を考えれば危険である。太陽光や風力などの再生可能エネルギーが、より安価かつ迅速に導入可能となっている現在、原発はもはや脱炭素化やエネルギー転換の主要な選択肢ではない。

これらの問題を踏まえ、私たちの要求は明確である。

政府に対して:バターン原発の復活計画、新規原発および小型モジュール炉(SMR)の建設を含む、すべての原発計画、協定、公的資金投入を中止せよ。十分な透明性、公衆参加、独立した審査を欠いたまま原発開発を加速させる政策を撤回せよ。そして、真のエネルギー安全保障とエネルギー民主主義を実現するために、太陽光や風力などの安全で迅速かつ公正な再生可能エネルギーシステム、および地域主導型のエネルギー解決策に国家資源を集中せよ。

公的銀行および多国間開発銀行に対して:国をさらなる債務と危険に陥れるだけの原発計画への融資、資金提供、政府保証の供与を中止せよ。その代わりに、より安価で迅速に実施可能な再生可能エネルギー、気候変動適応策、分散型エネルギーシステムへの支援を優先せよ。

地方自治体に対して:とくに地震、火山、津波、その他の災害リスクが高い地域において、地域を「非核地帯」と宣言する条例や決議を制定せよ。また、エネルギーおよび地域安全に関わるすべての問題について、市民による実質的な協議と参加を保障せよ。

規制当局および公共機関に対して:企業による支配、腐敗、政治的介入を防ぐため、エネルギー分野における完全な透明性、説明責任、独立した規制を確保せよ。巨大企業や外国勢力の利益ではなく、公衆の利益と安全を優先せよ。

国際社会および富裕国に対して:原発問題を、大国の地政学的影響力拡大や利益拡張の手段として利用するな。気候正義と国家主権に基づく、公正で人々中心のエネルギー転換を支援せよ。

気候危機と生活危機が深刻化する中で、原発はフィリピンにとって、公正で安全かつ環境的に健全な道ではない。この高価で危険かつ導入に時間を要する技術に公的資源を注ぎ込むのではなく、政府は、人々と次世代の未来に真に資する、安価で民主的かつ持続可能な再生可能エネルギーシステムへの支援に注力すべきである。

ADB(アジア開発銀行)への抗議行動、6月10日マニラ

老朽化した第三原発の再稼働に反対する合同記者会見

「第三原発再稼働手続きは拙速である。三原則は本気か見せかけか?」
― 原発安全・核廃棄物に解決なし ―
  老朽化した第三原発の再稼働に反対する合同記者会見


地球公民基金会


原子力安全委員会は4月28日、第三原発所在地である屏東県恒春鎮において「第三原発再稼働審査地方説明会」を開催した。

これに対し、第三原発の運転許可期限(40年)はすでに満了しており、設備の老朽化も進んでいるうえ、原発安全・核廃棄物・地域参加の問題も未解決であることから、屏東県の地元住民、屏東県核安全監督委員会委員、および、地球公民基金会、緑色公民行動連盟、台湾環境保護連盟など30の市民団体が、共同で記者会見を開き、第三原発再稼働のリスクと争点に正面から向き合い、三原則(原発の安全性、核廃棄物の解決策、社会的合意)が実現される前に再稼働審査を進めるべきではないと訴えた。

核廃棄物に解決なく、原発安全リスクは高い。恒春に負担を強いるべきではない

瓊麻園城郷文教発展協会名誉理事長の江国樑は、第三原発再稼働には三つの大きな懸念があると述べた。

第一に、核廃棄物問題は「子孫に災禍を残す」ものである。政府はいまだに核廃棄物の最終処分地と処分方法を説明できておらず、核廃棄物問題が未解決であり、再稼働国民投票も否決された以上、これ以上核廃棄物を増やすべきではない。

第二に、第三原発再稼働手続きが進むにつれて、地域が「故郷を売り渡す」ことを強いられるのではないかという懸念である。近ごろ、第三原発再稼働と交付金を結びつける声が多く、再稼働さえ早まれば地域への補助金が増えると主張する者もいる。しかし、住民が背負う原発安全リスクと地域社会の未来は、交付金額だけで測られるべきではなく、住民に「補助金か故郷か」の選択を迫るべきではない。

第三に、老朽化した第三原発が住民を「実験用モルモット」にしてしまうのではないかという懸念である。第三原発はすでに40年間運転しており、設備は老朽化し、地震リスク地域に位置している。恒春半島は細長い地形で、避難経路は一本の主要道路にほぼ限られている。人口と観光客も集中しており、事故が起きた場合、住民や観光客はいったいどこへ避難するのか。いまだ安心できる答えはない。

情報は不透明であり、住民は長年意思決定から排除されてきた

恒春大光里出身の地域文化・教育活動家である龍昶維は、幼少期から実家のそばに第三原発があり、大光に出入りする道路脇からもその姿が見えたと語った。しかし、この原発の実際の運転状況、リスク、政策決定過程について、地域住民は長年ほとんど何も知らされてこなかった。彼は第三原発を「巨大で静かな怪物」と表現し、40年以上恒春の土地に存在しながら、地域住民はその存在を受け入れることしかできず、参加も理解も反応も選択もできなかったと述べた。

龍昶維は、第三原発最大の問題は「二つの不透明さ」であると指摘した。第一に、建設過程が不透明であったこと。第三原発は戒厳令時代の産物であり、地域社会は建設決定に参加できず、初めから受け身の立場に置かれていた。第二に、原発安全情報が不透明であること。地元の子どもたちは台湾電力の展示館に校外学習で訪れるが、伝えられるのは「原発は安全である」という一方的宣伝だけであり、核廃棄物や運転リスクについてはほとんど説明がない。核廃棄物問題が解決しないまま、恒春は再稼働とともに永久に核廃棄物の故郷にされるのではないかと疑問を呈した。

彼は最後に、恒春住民は最前線のリスクを長年負ってきたにもかかわらず、「補助金目当て」「恒春人は原発支持」といったレッテルを貼られてきたと語った。恒春の沈黙は受容を意味するものではなく、第三原発が長年事実を住民から遠ざけてきた結果であるとし、「私は恒春人であり、反原発だ」と強調した。

原発安全は仮定できず、三原則はスローガンであってはならない

緑色公民行動連盟秘書長の崔愫欣は、核エネルギーに「絶対安全」は存在しないと述べた。過去50年の世界の原発史において、三度の重大原発事故が起きており、原発安全は確率や基準だけで判断できない。第三原発が40年間重大事故を起こしていないとしても、それが将来の100%安全を意味するわけではない。真の原発安全は、情報公開、民主的参加、地元住民の十分な理解の上に成り立つものである。

福島事故後、国際社会は安全基準を引き上げたが、台湾はいまだ広域原発災害に対応できる制度を整えていないと指摘した。

再稼働審査は公開透明であるべきだ。市民参加を排除してはならない

地球公民基金会会長の李根政は、台湾は原発ゼロから約1年が経過したが、公式統計では電力予備率は約10%を維持しており、2032年まで電力不足問題はないと述べた。現在の課題は、半導体産業やAI産業による予想以上の電力需要増加と、国際紛争によるエネルギーリスクであるが、原発はその解決策ではない。

原発は高コストであり、建設・再稼働にも長期間を要し、台湾を含む多くの国で核廃棄物の最終処分問題も未解決である。したがって、原子力安全委員会が今後行う再稼働審査では、十分な情報公開と市民が理解できる説明を行い、市民が実質的に議論へ参加できるようにしなければならないと強調した。

第三原発再稼働に反対し、原発三原則を実行せよ

30団体は以下の要求を共同で提出した。

要求一:第三原発再稼働に反対する

地震・複合災害リスクは依然高く、設備も老朽化している。福島事故から15年、教訓はまだ新しい。一度事故が起きれば恒春半島の復旧は困難である。核廃棄物最終処分制度もなく、2025年8月の第三原発再稼働国民投票も否決された。第三原発は再稼働すべきではない。

要求二:再稼働審査を拙速に進めるな

現在の審査は技術官僚主導であり、情報公開も社会的信頼も不足している。原子力安全委員会は透明な審査手続きを保証し、十分な公共参加制度を整え、地域住民の自己決定権を尊重すべきである。

要求三:原発三原則を具体的に実行せよ

第三原発は、原発安全未確立、核廃棄物未解決、社会的対話不足という問題に直面している。与党が掲げる「三原則」が本気なのか見せかけなのか、社会に明確に説明し、具体的手続きと基準を提示すべきである。


市民団体は改めて、第三原発再稼働は公共安全と世代間正義に関わる重大なエネルギー政策であり、単なる行政手続きとして扱うべきではないと強調した。  (抜粋)

共同声明団体:瓊麻園城郷文教発展協会、地球公民基金会、緑色公民行動連盟、主婦連盟環境保護基金会南部事務所、小民参政欧巴桑連盟、社団法人台湾親子共学教育促進会、高雄暖暖蛇国小共学団、台湾人権促進会、台湾緑党、高雄市公民監督公僕連盟、島島ta̍uh-ta̍uh-á高雄育児支援共学団、高雄市輔育人員職業工会、台湾蛮野心足生態協会、媽媽気候行動連盟、社団法人高雄市心家長協会、原住民族青年陣線、環境権保障基金会、台湾環境保護連盟、全球緑人台湾之友会、全国教保産業工会、屏東県幼児托育職業工会、台湾環境資訊協会、環境法律人協会、グリーンピース、社団法人屏東県愛郷協会、社団法人好屏青年協会、林仔辺自然文史保育協会、社団法人社区大学全国促進会