ジャイタプール原発の撤回を求めて非暴力の抗議行動

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ガンジーの生誕記念日、ジャイタプール原発建設に反対する集会でスピーチするヴァイシャリ・パティルさん

アレバ・三菱が原発輸出を計画しているジャイタプールで、ガンジーの誕生を記念する日に抗議行動、集会、ハンガーストライキが行なわれた。昨年「日印原子力協定阻止キャンペーン」で来日したヴァイシャリ・パティルさんと、今年3月に福島で開催した第17回ノーニュークス・アジアフォーラムに参加したラリター・ラームダースさんの文章を掲載します。

ジャイタプール原発の撤回を求めて非暴力の抗議行動

ヴァイシャリ・パティル

インドのマハラシュートラ州ラトナギリのジャイタプールで計画されている世界最大級のジャイタプール原発建設に反対する闘いは、これまでずっと非暴力で行なわれてきている。

マハトマ・ガンジーの誕生を記念するガンジー・ジャヤンティの10月2日と3日にかけて、1000人以上の人々が結集して非暴力の抗議行動を行ない、21人の活動家らがハンストを行なった。ナテ村の漁民たちも建設予定地の近くで反対の声をあげた。

参加者が最も興味を引かれたのは、反原発ポスターの展示、ドキュメンタリーの上映、そして、タラプール原発の活動家の経験を聞く集いだったのではないだろうか。

インドで最も古くから運転されているタラプール原発現地から参加したアジット・マトレ氏は、インド最初のこの原発がいかにして建設され、46年がたって地元の人々がどのような事態に直面しているのかについて話してくれた。

当事者からの生々しい語りを聞いて、ジャイタプールの人々はさらにはっきりと自分たちの使命に気づき、反対の意思を強固なものにした。ミティビルディからも参加者があり、連帯のメッセージを述べてくれた。大先輩である活動家のソーミャ・ダッタも会場を訪れ、エネルギー政策について解説をしてくれた。

ハンストに参加した際に私が感銘を受けたことは、漁民たちが犠牲を払う覚悟を決めているその意志の強さであった。ある漁民の女性は「なんでハンストがたった二日間なの? 政府が原発建設をやめると表明するまで続けるべきでしょう!」と言った。

今回は二日間のシンボリックなハンストであったが、地元民の代表たちや、地元選出の国会議員らも参加して連帯を表明してくれた。国会議員たちのスピーチを聞いた地元民たちからは「もう約束はいらないから、国会で反対する姿を見せてくれ」とのことばも出た。

この世界を核も原発もない場所にするまで、共に闘いましょう。そうすることが、自身の生涯を非暴力運動に捧げたマハトマ・ガンジーへの感謝の贈り物となるでしょう。

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ジャイタプールの皆さん!

ラリター・ラームダース

素晴らしい活動に敬意を表します。このたびのイベントは、ジャイタプール原発反対運動がクダンクラム原発反対運動と同じように息長く続いていくものとなったことの証のように感じます。

クダンクラムのイディンタカライ村においても、本当の意味で運動をリードし、道を示し、信念を貫いて揺らぐことがなかったのは女性たちでした。エネルギーであれ兵器であれ、核に抗議して立ち向かうということがなによりも女性の問題であるということを忘れずに確認し続け、教育し、強調し続けていかなければならないと思います。

広島、長崎、スリーマイル、チェルノブイリ、福島、ジャドゥゴダを決して忘れてはなりません。放射性物質が降り注いだことによってどのような健康被害が引き起こされたのか、それについての専門的かつ詳細な研究はあまりに不十分で、私たちは十分な証拠も記録ももっていません。でも、それは本質的に存在する問題です。

核にまつわるあらゆる事故、第二次大戦での核兵器の使用、戦術的な核兵器の使用可能性の高まりなどは、無差別的な死、苦しみ、深刻な疾病などを意味します。そこでは被害を受けた人々の声が聞かれることはありません。

核は、労働の問題でもあります。原発事故が起きるたびに、事故の収束に駆り出されて被曝する労働者たちのことを忘れないでください。彼らは、もっとも声をあげることを奪われ、仲間たちとつながりあうすべをもたない労働者たちです。

核は、公衆衛生の問題でもあり、子どもたちの生存と権利を脅かす潜在的な破局の問題でもあり、食料の安全保障を根底から脅かす問題でもあります。

ヴァイシャリ、サチャジット、そしてすべての勇敢な姉妹たち、兄弟たち。何の生産的な意味ももたず、膨大な予算を食い荒らし、人々の上に押しつけられようとしている、この危険なテクノロジーに抵抗して、私はいつもみなさんと共にありたいと思います。

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原発建設予定地

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信142号(10月20日発行、B5-28p)もくじ

●インド・ジャイタプール原発の撤回を求めて非暴力の抗議行動(ヴァイシャリ・パティル、ラリター・ラームダース)

●インド・8856人の「国家の敵」が住む村 ― 国家反逆罪の影のもとで暮らすクダンクラムの人々(アルン・ジャナルダナン、アミルタラジ・スティーブン)

●南オーストラリア州を世界の核のゴミ捨て場にするな!(南オーストラリア州環境保全協会)

●フィリピン・ドゥテルテ政権のバタアン原発復活の動きに抗議する(非核バタアン運動)

●最大級地震、韓国に衝撃 揺らぐ原発安全(中野晃)

●国内最大規模の地震が発生、原発が危険だ ― 老朽原発を閉鎖し、新規建設を中断しろ ―(核なき世界のための共同行動)ほか

●川内1号機は、2度と動かさない ― 11月13日に全国集会を開催(向原祥隆)

●注目される全国一番手に再稼働した川内原発定期検査後の稼働(小川みさ子)

●「原発輸出とアジアの反核運動のいま」講演会報告(安楽知子・杉本皓子・笹木基根)

●原発メーカー訴訟原告団設立に向けて(原告団・弁護団)

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★NNAF通信・主要掲載記事(No.1~141) http://www.nonukesasiaforum.org/jp/keisaikiji.htm

★本『原発をとめるアジアの人々』推薦文:広瀬隆・斎藤貴男・小出裕章・海渡雄一・伴英幸・河合弘之・鎌仲ひとみ・ミサオ・レッドウルフ・鎌田慧・満田夏花http://www.nonukesasiaforum.org/jp/136f.htm

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