「世界核被害者フォーラム」 報告、「世界核被害者フォーラム」 広島宣言

「世界核被害者フォーラム」 報告

  井上まり(世界核被害者フォーラム共同代表、核のない世界のためのマンハッタン・プロジェクト) 

2025年は米国の広島と長崎の原爆攻撃から80年を迎えましたが、核利用を進めてきた国々と核産業は、放射能による健康への影響の事実を矮小化あるいは隠蔽し、核の軍事利用あるいは「平和」利用を問わず、世界中に核被害者=ヒバクシャを生み出し続けています。

そのため、核利用の根底的な廃絶とこれ以上ヒバクシャをつくらない世界をめざし、核被害者と支援者の国際的連帯の場を広島で作り出したいという想いから、10月5日と6日に広島市で世界核被害者フォーラムを、核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)さんと共催しました。

世界の核被害を収めたポスター展と、インド・ジャドゥゴダ・ウラン鉱山写真展も同時開催しました。これらの開催にあたり、日本の3つの助成基金、日米の64団体、そして約560名の日米の方々からご支援と暖かいご声援を、60名以上の有志からご協力をいただきました。登壇者や報道関係者、有志のみなさんを含む参加者数は、10月5日は400名、6日は330名でした。みなさまに心より感謝を申し上げます。

世界核被害者フォーラムでは、核保有国や核産業に対して闘い挑む勇敢な人々を広島にご招聘しました。海外からは録画とメッセージを含む計10か国14名が、日本からは核施設や核被害を受けた地域で活動する人々や専門家など26名が、2日間にわたって発表しました。

10月5日の開会セッションでは、「反核の父」と言われ哲学者で被爆者運動に半生を捧げた森瀧市郎さんの次女で、HANWAとフォーラムの共同代表を務める森瀧春子さんが、「お互いの距離や国境を越えた連帯で、国境なき放射能の拡散に歯止めをかけ、私たちの未来を、人類の存続を、地球を守りましょう」と挨拶をしました。元広島市長の平岡敬さんは歓迎の言葉の中で、「原子力に依存する社会に生きる人々に、核の本当の恐ろしさを知らせるには、その被害を受けている人たち、すなわちヒバクシャが連帯し、心の底からの声を伝えることが重要」だと強調しました。

私の基調提案の後に、金崎由美中国新聞平和メディアセンター長による基調講演がありました。中国新聞は1945年8月6日に広島市の爆心地から900メートルで本社が壊滅し、従業員の3分の1にあたる114人を失った新聞社です。その被害体験から視野を広げ、報道機関としては初めて、軍事、民生を問わずあらゆる核被害者を「ヒバクシャ」と定義し、1989年5月から1年間、134回にわたって「世界のヒバクシャ」を掲載するなど、核問題に長年注目してきました。金崎さんは、「被爆地広島の課題」を語り、中国新聞の記者だった金井利博さんの言葉を引用しながら、「反対すべき目標は、物としての核兵器ではなく、人の組織としての核権力である」と述べました。

日本被団協は、「被爆の実相を語り、核兵器廃絶と原爆被害への国家補償実現を、強く訴えて」いくという決意と、「国民の安全を確保するためには原発ゼロをめざすしかありません」という連帯のメッセージを寄せてくださいました。

【1.広島・長崎原爆被爆】では、被爆者の豊永恵三郎さん、黒い雨第一次訴訟原告団長の高野正明さん、韓国原爆被害者協会会長の李圭烈さん、全国被爆団体二世連絡協議会事務局長の平野克博さん、録画で長崎の被爆体験者訴訟原告団長の岩永千代子さんからの訴えに続いて、原水禁共同議長の金子哲夫さんによる在朝被爆者の問題についてと、被爆者の染色体異常やがん発症などを長年研究されてきた医師で研究者の鎌田七男さんからの発表がありました。

【2.ウラン採掘・精錬・核燃料製造】では、コンゴ民主共和国と米国、インドでの先住民族の土地でのウラン産業の影響について発表がありました。米国のマンハッタン計画による核兵器開発に使用されたウランの3分の2は、ベルギー領コンゴ(現在のコンゴ民主共和国)のシンコロブエ鉱山で採掘されたといわれています。夕方には、コンゴ民主共和国で活動していたゴールデン・ミサビコさん主演のドキュメンタリー映画の上映会と、シュリ・プラカッシュ監督による解説がありました。

2日目の【3.核実験と核植民地主義】では、亡父が高知県室戸のマグロ漁船で働いていたビキニ被ばく船員訴訟原告団長の下本節子さんと、マーシャル諸島出身の家庭に育ったマルシーナ・ラングリーンさんが、核実験の影響について発言しました。放射線医科学者で放射性微粒子に詳しい星正治広島大学名誉教授は、カザフスタンの核実験とウラン鉱山の影響を解説しました。

【4.原発事故・原発労働】では、原発事故被災者で小学校教員の菊池ゆかりさん、市民放射能測定室のネットワーク団体「みんなのデータサイト」の中村奈保子さん、福島第一原発の被曝労働問題に詳しい東京新聞の片山夏子記者、福島原発事故被害から健康と暮らしを守る会アドバイザーでチェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西共同代表の振津かつみ医師、「避難の権利」を求める全国避難者の会共同代表の宇野朗子さんが発表しました。福島県飯舘村原発事故被害者訴訟原告団長の菅野哲さんと、3.11子ども甲状腺がん裁判原告の方、チェルノブイリ核惨事の被曝者で「移住者の会」代表のジャンナ・フィロメンコさんは、録画やメッセージを通して現在も続く影響について訴えました。

【5.核廃棄物の処理・劣化ウラン兵器】では、イラクで劣化ウラン被害者の治療に携わるジャナン・ハッサン医師と、米国の核施設からの影響に苦悩する先住民族のリーダーから録画で報告がありました。「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」事務局長の山田清彦さんは青森県六ケ所村の諸問題を、南アフリカ・ケープタウン在住の環境正義運動家のリディア・ピーターセンさんは現地の核問題を、佐藤真紀さんは劣化ウラン被害者について訴え、アンゲリカ・クラウセン医師は、劣化ウランの健康被害とドイツの脱原発政策を発表しました。

【核被害者である医科学者として】では、ティルマン・ラフ医師がオーストラリアの核実験の影響と、同国の原子力潜水艦と原発導入の最新の動向について解説しました。

【核被害者の権利と補償の確立、核利用の根絶に向けて】では、マーシャル諸島出身のベネティック・カブア・マディソンさんと広島出身のユースの高垣慶太さんを交えて、海外ゲストと議論しました。

最後に、核問題を人権問題としてとらえ、被ばくをしない権利が私たちにはあり、「核と人類は共存できない」ことを確認した「世界核被害者の権利宣言2025」を、広島宣言と共に採択しました。核被害者の権利・補償確立と核廃絶実現に向けて、核被害者の権利宣言として、国際社会及び政府や国会・議会などへの具体的な政策提言に活用されることを期待します。

  *「世界核被害者の権利宣言2025」日本語版・英語訳ダウンロード
   https://mp-nuclear-free.com/Nuclear/2025_WNVF_01.html

被爆者運動や核廃絶運動を牽引してきた被爆者らから学び、核権力による加害の非人道性と違法性、核政策と被ばくの暴力性を社会が認識しなければ、核廃絶は実現しません。

核権力や植民地主義に闘い挑む核被害者たちが他の核被災地と繋がり、支援者と連帯しながら核被害の実態を訴え続けることは重要です。世界の核廃絶運動の中心的な役割を核被害者が担い、核被害者の権利と補償の確立と、核なき未来実現に向けて活動を続けてほしいと切に願います。

世界核被害者フォーラム 広島宣言

2025年 10月 6日

(前文)1. われわれは、ウクライナ戦争、ガザでのジェノサイド、中東危機の中で、核兵器使用や原発などの核施設への攻撃の威嚇が地域戦争の手段とされ、米英政府が劣化ウラン弾をウクライナに供与したりするなど、いま世界は核戦争や更なる核汚染への危機が高まっていることを懸念する。戦争がなくならない限り、核兵器の使用の衝動と核戦争の危険性は高まるばかりである。われわれは、今こそ、核被害者の声を世界に届けるときであると考え、アメリカによる原爆投下80周年に当たる2025年の10月5日から6日に、ここ広島に集った。

2. われわれは、核被害者=ヒバクシャを以下のように定義する。すなわち、原爆の被爆者、核実験の被害者、核物質を使った人体実験の被害者、核の軍事利用と民生利用の別を問わず、ウランの採掘・精錬・濃縮の活動、核の開発・利用・廃棄などの核兵器関連活動と原発・核燃料サイクルの全過程における労働と環境放射能汚染によるヒバクシャ、原発事故被害者、放射性廃棄物の劣化ウランを用いた兵器によるヒバクシャなど、の放射線被曝と放射能汚染による被害者すべてを含む。核時代を終わらせない限り、人類はいつでも核被害者=ヒバクシャになりうることを認識して、核と人類は共存できないことをあらためて確認した。

3. われわれは、ウラン採掘や精錬、核実験、核廃棄物の投棄が、いまも続く植民地支配、差別抑圧の下で行われてきたことを確認した。原発・核燃料サイクル施設の地方への設置と、原発下請け労働者への被ばくの押し付けなど、不平等・差別・抑圧・搾取の社会構造の下に核利用が成り立っていることを確認した。とりわけ、世界中で先住民に対して、先住民を政策決定過程から除外し、先住民族の権利-先祖代々の土地と関連する諸権利を含む-を侵害し、自らの権利や集団の権利を主張すると弾圧し、先住民にとってはジェノサイドになりうる被曝という暴力を強要するという「核植民地主義」の歴史と現状を確認した。環境を放射能で汚染され、人間生活の基盤をも奪われた核被害者を日々増やし続けていることを確認した。

4. われわれは、核被害は、核被害者の健康のみならず、被害者と家族の生活をも脅かし、コミュニティ全体にも及び、社会的、文化的な被害をももたらしていることを確認した。

5. われわれは、核被害が次世代以降の健康にも被害を及ぼす可能性があることを認識した。また、社会的、文化的な被害は、次世代以降にも及んでいることを確認した。そして、核利用によって、人類の歴史よりも長い寿命の核種を含む核廃棄物が「負の遺産」として将来世代に残されてしまったことを確認した。

6. われわれは、核被害が、人類のみならず、環境の放射能汚染によって、人を含む生態系全体に被害を及ぼす可能性を確認した。

7. われわれは、2013 年にオスロ、2014 年にナジャリットとウィーンで開かれた「核兵器の非人道的影響に関する国際会議」の結果として、核兵器爆発が環境、気候、人間の健康、福祉、社会に破滅的な影響をもたらし人類の生存さえ脅かし、対処が不可能であるという認識が国際的に共有されたことを確認した。

8.われわれは、核加害者を以下のように定義する。核武装国をはじめ、核の利⽤により、⼈間の⽣存の基盤を破壊し、⽣き物すべての⽣存を侵害する原因を⽣み出した者、軍産官学複合体やその構成員、およびこれを⽀援する国家、国際原子力機関(IAEA)や国連科学委員会(UNSCEAR)などの国連組織と、原子力推進の立場の科学者による国際放射線防護委員会(ICRP)などのこれまで放射線被曝による被害について過小評価して原発事故などの本当の影響を隠蔽してきた機関、核エネルギー政策を推進した国家および放射能汚染を引き起こした事業者と原発など核施設のメーカーの株主、債権者を含む。われわれは、核加害者が被害者への賠償責任を含めて、加害についての責任を負うことを強く要求する。また、原発輸出やウラン輸入を含む原子力関連産業の推奨・支援・投資は、人権侵害と環境破壊をもたらす危険があることを認識するよう主張する。

9. われわれは、核加害者が核(原子力)産業の利益を擁護するために、放射線被ばくのリスクを過小評価してきた長い歴史に対し、強く批判する。われわれは、核被害者や核被災地および、次世代を含む全ての人々と地球環境を守る立場に寄り添った、放射線リスク評価の採用を求める。次世代への影響については、動物実験などの基礎研究の結果から、人間にも「遺伝的影響は否定できない」「危険性がある」ことは明らかである。また、これ以下なら人体に影響はないという放射線被ばくの「しきい値」が存在せず、いかなる線量であれ後障害の健康リスクがあることを認識した。このことは、例えば、世界の核施設労働者の疫学調査「INWORKS」などで、ますます明らかになっている。内部被ばくは被ばく線量推定が難しいことなどのため、加害者は被ばく健康影響を認めず、無視し、切り捨てようとしていることを認識した。

10.われわれは、2021年1月に核兵器禁止条約が発効し、核兵器の国際法での違法性と、締約国による核被害者の救済と環境回復の義務を定めたことを歓迎する。核兵器禁止条約は、核戦争による非人道性の極みを訴え闘ってきた原爆被爆者、核実験被害者たちの体験と、それを共有する運動の上に成立した。しかし、世界各地の核被害者の救済なくして核廃絶はないという被爆者らの訴えに反し、核被害者を「核兵器の使用もしくは実験」によって影響を受けた者だけであるかのように記述されているため、ウランの採掘、精錬、濃縮から核廃棄物までを含む核兵器関連の全てのヒバクシャ、とりわけ先住民の被害が切り捨てられようとしていることを憂慮する。また、原子力の「平和利用」を奪い得ない権利と定めていることは容認できない。そして、加害者が明記されず、加害責任が明確にされていないことなどの致命的な問題も確認した。このような問題を核被害者とともに、世界の人々の力で正し、核兵器禁止と核被害者支援の世界の運動をより強めていくことが重要だと主張する。

11.われわれは、2024年3月に国際原子力機関(IAEA)主導の第1回原子力サミットが開催され、非原発保有国を含む32カ国が原発推進に向けて協力することを宣言したこと、さらに、世界中の原子力ムラが気候変動枠組条約締約国会議において原子力は気候危機の解決策であると喧伝していること、また、核武装国であるアメリカや核実験被害国であるカザフスタンなどでウラン採掘などが活発になっていること、またさらに、ウラン濃縮を含む原子力技術を希求するグローバルサウスの国が増えていることを憂慮する。われわれは、原子炉からの使用済み核燃料に、核兵器に転用可能なプルトニウムなどの核物質が含まれており、テロや盗難、核拡散のリスクがあること、さらに原子力技術の軍事転用の可能性があることも懸念する。

12.われわれは、2023年8月24日から開始された東京電力の福島第一原子力発電所からの放射性核種を含む汚染水(放射性廃水)の太平洋への放出が、少なくとも次の30年も続くことについて、予防原則に基づき、即時の放出停止を求める。放射性廃水の海洋放出は、太平洋を共有する全ての人々、とりわけ日本の漁業者及び太平洋諸島に暮らす多くの先住民の健康・生活・文化への権利を侵害するものである。

13.われわれは、東京原爆訴訟判決(1963年12月)が米軍の原爆投下は国際法違反と認定したこと、国際司法裁判所が「厳格かつ実効的な国際管理のもとで、全面的な核軍縮に向けた交渉を誠実に行い、その交渉を完結させる義務がある」と勧告的意見(1996 年7月)を表明したことを認識している。この勧告的意見に基づき、2014 年4 月、核実験の被害を受けたマーシャル諸島の人々の政府が、国際司法裁判所に9つの核武装国に対して提訴したが、2016年10月に訴えが退けられたことは非常に遺憾である。その後も、マーシャル諸島の人々は国連機関で核実験の負の遺産について声を上げ続け、その結果、マーシャル諸島の核実験の影響に関する51/35決議案が国連人権理事会で採択され(2022年10月)、それに基づいた検証をもとに、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が国連人権理事会への報告書で、アメリカ政府に、過去、現在、将来にわたる人権侵害に対する正式の謝罪と賠償を促したこと、また、関連記録の全面公開を求め、核の負の遺産による人権侵害を防ぐために、全ての汚染地域のモニタリングと環境回復など、マーシャル政府が「核の正義」に基づく対策を行えるように支援することを求めたことを歓迎する。

14.朝鮮半島出身の原爆被爆者には、朝鮮が日本の植民地であったことによって故国では生活していけなくなったため日本に渡り、あるいは強制労働者として日本に連行され、広島や長崎で原爆被害に遭ったという背景があったことを忘れてはならない。1967年に発足した韓国原爆被害者協会が、原爆を投下したアメリカ政府の加害責任、原爆製造関与のアメリカの企業の加害責任、日本政府の加害責任、自国の被爆者を援護すべき責任を放置した韓国政府の責任を追及してきたことを強く支持する。われわれはさらに、広島・長崎で被爆した後、朝鮮半島の北側(現在の朝鮮民主主義人民共和国)に帰国した人たちに対して、日本政府が被爆者援護を放置し、無援護のままの状況にある課題が、同国との国交正常化も含め、一刻も早く解決されることを求める。

15.われわれは、2026年11月にニューヨーク市で、韓国の被爆者と支援者が国際民衆法廷を開催し、アメリカ政府に対して原爆投下の国際法上の違法性を問い、加害責任と謝罪を追求する行動を、強く支持する。

16.われわれは、日本で核被災地の人々が核被害に対する補償・保障・保証を求めて、被爆体験者訴訟、黒い雨原爆被害追加訴訟、ビキニ被ばく船員訴訟、被爆2世訴訟、ALPS処理汚染水差止訴訟、311子ども甲状腺がん裁判、原発事故被害者・避難者・原発被ばく労働者訴訟などの、国や核加害者を裁判に訴える行動に連帯する。われわれは、また、同様の行動を求めている世界の核被災地の人々と連帯する。

17.われわれは、第1回核被害者世界大会が核保有国と原子力産業の犯罪責任を追及し(1987年ニューヨーク決議)、また軍産複合体に損害補償の責任を負わせるとしたこと(1992年ベルリン決議)、先住民らが参加した世界ウラン公聴会が、諸政府、その責任ある部署、国際企業やその他の企業、組織、共同体、個人に対し、核開発による身体的、文化的ジェノサイドから守るための先住民固有の自己決定権を認識し、被害の責任を負うことを約束して被害者に対して補償を行うことを求めたこと(1992年ザルツブルグ宣言)を想起する。さらに、われわれは、「原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島」がトルーマンを含む被告たち15名全員の有罪を確定したこと(2007年7月)を確認する。

18.われわれは、加害者が責任を認めて謝罪し、過去の被害への補償をし、核被害者と核被災地への社会的保障を提供し、これ以上核被害を地球上に起こさないことを保証することを求める。また、これまでの加害行為を反省することを強く要求する。

19.われわれは、核汚染の被害を受けた先住民の諸権利を守るために、先住民の自己決定権や、環境や発展に関する諸権利などを定めた「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を各国政府が遵守することを求める。

20.核被害こそが最大の環境破壊であることをわれわれは認識した。1998 年に採択したオーフス条約(環境に関する、情報へのアクセス、意思決定における市民参画、司法へのアクセスに関する条約)に留意し、クリーンで健康な環境へのアクセス(利用可能にすること)、情報へのアクセス、意思決定における市民参画、司法へのアクセスは普遍的人権であることを確認する。われわれは、2021年10月に国連人権理事会がクリーンで健康的かつ持続可能な環境をもつことが普遍的人権であることを認識したこと、また、翌年の2022年7月に国連総会が、クリーンで健康な環境へのアクセスは普遍的人権であると宣言する決議を採択し、日本や、アメリカなどの核武装国を含む161の国と地域が支持したことを歓迎する。この決議は、全ての人にとって健康な環境を守るための取り組みを拡大するよう、各国政府、機関や組織、そして企業に求めている。われわれは政府や国際組織・国内組織、企業に対し、全ての人にとって健康な環境を約束するよう要求する。

21.われわれは、日本国憲法前文の「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」を想起する。

22.原発・核燃料サイクルを「核の平和利用」と言うのは欺瞞である。1953 年、アメリカのアイゼンハワー大統領は、核兵器開発をより一層推し進め、軍事用原子炉を発電に転用した原発による経済的利潤の追及(核の民生利用)でも国際的優位を目指し、国連での「平和のための核(アトムズ・フォー・ピース)」宣言を行った。われわれは、「核の軍事利用」と「核の民生利用」が原子力産業を通じて密接につながっていること、さらに劣化ウランを使用した放射能兵器など核利用の全段階で大量の核被害者を生み出してきたことを認識した。われわれは、ウラン採掘から核廃棄物管理に至るまで、核燃料の製造や原子力発電、再処理を含め、「軍事」「民生」を問わず、医療用を除き、全ての核利用に関連する全ての過程を直ちに中止し、廃棄することを求める。

23.われわれは、劣化ウランを利用した兵器の製造・保有・使用を禁止することを求める。

24.われわれは、核の利用がある限り放射能災害の発生を防ぐことはできず、増え続ける核廃棄物の処理・処分の見通しは全く立たないうえ、核汚染は長期にわたり、不可逆的なものであり、環境の原状回復は不可能ということから、人類は核エネルギーを使ってはならないと認識した。

25.われわれは、今回の世界核被害者フォーラムを契機として、核被害者の情報を共有し、芸術などを含むさまざまな方法やメディアなどの媒体で発信し、共に連帯して闘っていくことを確認した。

26.われわれは、2015年の世界核被害者フォーラムとこの2025年の世界核被害者フォーラムの成果をもとに、以下の世界核被害者の権利宣言2025を世界に発信するため、広島宣言を採択する。

***********************

★ノーニュークス・アジアフォーラム通信197号
(25年12月20日発行、B5-32p)もくじ
 

・フィリピン・市民団体連合は、ADBの「危険な逆行」を非難
   ― 原発推進は負債と災害を招くと警告する ― (非核バターン運動)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3397

・世界81団体、ADBの原発融資解禁決定に抗議声明
   「長期的なリスクとコストが途上国の人々にのしかかる」 (満田夏花)、共同声明:アジア開発銀行(ADB)の原発支援解禁に抗議する
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3406       

・「世界核被害者フォーラム」報告 (井上まり)、「世界核被害者フォーラム」広島宣言                 

・コリ2号機の寿命延長承認に対する声明 (韓国エネルギー正義行動)

・反対:第二原発・第三原発の再稼働 (台湾全国廃核行動プラットフォーム)

・インドネシア・ゲラサ島での原発建設は拒否、
  バンカ・ブリトゥン州住民は環境を守るために団結           

・韓国とトルコ、原子力分野の協力で覚書                 

・上関町、使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画の今 (三浦みどり)

・無謀な再稼働に走る日本の原子力事業に未来はない (後藤政志)

・新潟県知事「柏崎刈羽原発再稼働容認」判断とその後 (中山均)

・北海道知事の泊原発3号機再稼働への同意は容認できない (川原茂雄)

・「東海第二原発廃炉デー大集会」開催 (沼倉潤)

・関西電力の美浜原発新増設に反対する (山本雅彦)

・11.30「原発つづけるための乾式貯蔵NO!全国集会@高浜」に400人が結集 (木原壯林)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisuke アット rice.ocn.ne.jp

世界81団体、ADBの原発融資解禁決定に抗議声明 ー「長期的なリスクとコストが途上国の人々にのしかかる」

11月24日、アジア開発銀行(ADB)は「原発に融資しない」という従来方針を削除し、原発支援を含む新エネルギー政策を承認しました。

ADBはアジア・太平洋諸国の開発を支援するため、融資や技術支援などを行う各国出資の国際金融機関、69カ国が加盟。日本は最大の出資国です。

理事国のうちドイツとオーストリアは改定案に反対、ルクセンブルクは棄権。日本を含む他の理事たちは賛成しました。

これに対し、世界81団体が共同声明を発表。「原発支援は一部企業に利益をもたらす一方で、途上国の人々に長期的なリスクと経済負担を押し付け、持続可能なエネルギーへの転換を遅らせる」と抗議しました。 

マニラにあるADBの本部前では、フィリピンの「非核バターン運動(NFBM)」などが抗議行動を行いました。

原発建設のコストははねあがり、数兆円にものぼります。これまでADBは「核拡散、廃棄物、安全に関連するリスク」「高額なコスト」を理由に、原子力事業への融資をしてきませんでした。これらの懸念は今も解決していません。

途上国に対し原発を導入するための技術支援や融資を行うことは、途上国の人たちに莫大な事故のリスクと核のごみや事故のリスクのみならず、将来にわたる経済的な負担や巨額の債務を負わせることになります。声明全文は以下です。  

共同声明:アジア開発銀行(ADB)の原発支援解禁に抗議する

アジア開発銀行(Asia Development Bank: ADB)は、11月24日開かれた理事会において、従来の「原発に融資しない」とした記述を削除し、原発への支援を盛り込んだエネルギー政策の見直し案を了承した。

私たちは、原発への支援は、原子力産業に関係するごく一部の大企業に利益をもたらす一方、アジアの途上国の人々に解決不能な核のごみをはじめとした大きな負担とリスクを負わせ、持続可能なエネルギーシステムへの転換を遅らせるものとして強く抗議する。

ADBのこれまでのエネルギー政策では、「核拡散、廃棄物管理および安全性に関わるリスク、ならびにADBの資源に比して非常に高い投資コストを含む多くの障害が存在するため、原子力発電への投資を融資しない」としてきた。この状況は何ら変わっていない。

ADBは政策変更の理由として、「新たな技術の進展」として小型モジュール炉(SMR)を挙げる。しかし、設備容量(MW)当たりのSMRのコストは高く、また高濃縮ウラン燃料を使うことが多い。私たちは、SMRは経済合理性がないばかりか、核拡散のリスクも高めることを懸念する。

上記に加え、多くのNGOが以下を指摘したが、ADBからは意味のある回答がなかった。

・テロ攻撃、軍事攻撃のリスクが高まっている。

・事故が起きれば、広範囲にわたる長期的な環境汚染と深刻な社会・経済的混乱を引き起こす。

・事故が起こらなくても、ライフサイクル全体のすべての段階で放射性物質を環境中に放出。ウラン採掘の際、先住民族の土地収奪や環境被害も生じている。

・放射性廃棄物の問題は解決不可能である。ほとんどの国で、核廃棄物の最終処分場すら決まっていない。

・テロ対策を名目に、情報が秘匿される。

・再エネの普及を遅らせる。気候危機に対応できない。

・SMRであっても巨額の費用がかかる。

・途上国に対して、現在世代および将来世代に深刻な長期的危険と莫大な経済的負担をもたらす。

・途上国の債務増加を招き、返済に公共資金を使い続ける一方、地震や汚染のリスクももたらす。

福島第一原発事故の被害者団体である「ひだんれん」事務局長の大河原さき氏は、ADBとの会合の場で「福島原発事故の悲惨な影響を直視してほしい。原発事故被害者の声をきくため、福島で公聴会を開いてほしい」という意見を表明し、その後、文書の形で提出した。ADBはこの意見を無視したばかりか、11月3日に公開したコンサルテーションを概要する文書に記載しなかった。上記の多くのNGOからの指摘もこの文書に残されていない。

ADBは、今回のエネルギー政策のレビュープロセスを軽微な修正として開始した。「原発に融資しない」という従来の文言を削除するということが判明したのは今年の8月である。そこからわずか3か月程度で理事会にかけられた。重大な政策転換の手続きとして、あまりに短期間であり、行われた協議は表面的なものにすぎなかった。こうしたプロセスはADBに対する市民社会の信頼を裏切るものである。

私たちは改めて、ADBの原発支援解禁に反対する。今後も、原発建設によって影響を受ける可能性のある地域の人々をはじめとした世界各国の市民社会と連携し、反対の声を継続していきたい。

連名団体(81団体): 11 March Movement, Belgium、350.org Japan, Japan、Active Help Organization(AHO), Pakistan、Aktionsbündnis“Stop Westcastor” Jülich, Germany、Arbeitskreis gegen Atomanlagen Frankfurt am Main, Germany、Asia Pacific Network of Environmental Defenders, Asia Pacific、Association For Promotion Sustainable Development, India、Australian Conservation Foundation, Australia、BCSUW (Belgian Coalition Stop Uranium Weapons), Belgium、Biodiversity Conservation Center, Russia、Center for Wellbeing & Environmental Economics, India、Centre for Financial Accountability, India、Centre for Human Rights and Development, Mongolia、Chutka Parmanu Virodhi Sangarsh Samiti, India、Citizen’s Eyes on Nuclear Regulation, Japan、Citizens’ Commission on Nuclear Energy, Japan、Citizens’ Nuclear Information Center, Japan、Climate Express, Belgium、Coalition for Nuclear Disarmament and Peace (CNDP), India、Consumers Association of Penang, Malaysia、Ecodefense, Russia、Folkkampanjen mot kärnkraft-kärnvapen, Sundsvall, Sweden、For Nature, Russia、Forum for Protection of Public Interest, Nepal、Friends of the Earth Adelaide, Australia、Friends of the Earth Asia Pacific, Asia Pacific、Friends of the Earth Australia, Australia、Friends of the Earth Canada, Canada、Friends of the Earth, India, India、Friends of the Earth Japan, Japan、GAiA Asia Pacific, Philippines、Gender Action, United States、Green Action, Japan、Growthwatch, India、Grup de Científics i Tècnics per un Futur No Nuclear, Catalunya、Indigenous Women Legal Awareness Group, Nepal、Initiative 3 Rosen, Germany、Institute for Sustainable Energy Policies, Japan、Jamaa Resource Initiatives, Kenya、Japan Center for a Sustainable Environment and Society, Japan、Jubilee Australia Research Centre, Australia、KFEM Friends of Earth KOREA, Korea、Korea Center for Sustainable Development, Korea、Ladlad Caraga Inc., Philippines、Les Amis de la terre France, France、Les Amis de la Terre-Togo, Togo、Leuvense Vredesbeweging, Belgium、Lok Shakti Abhiyan, India、Manhattan Project for a Nuclear-Free World, United States and Japan、Manthan Adhyayan Kendra, India、MAUSAM (Movement for Advancing Understanding of Sustainability And Mutuality), India、Medical Association for Prevention of War, Australia、Miljöpartiet de gröna The Green Party, Sweden、Milkas, Swedish Environment Movements Nuclear Waste Secretariat, Sweden、Movement for Nationalism and Democracy, Philippines、Movement for Women’s Rights, India、National Alliance of People’s Movements, India、No Nukes Asia Forum Japan, Japan、NOAH–Friends of the Earth Denmark, Denmark、Nucléaire Stop Kernenergie, Belgium、Nuclear Information and Resource Service, United States、Nuclear/Coal-Free Bataan Movement-Philippines, Philippines、Paryavaran Suraksha Samiti, India、Peace Boat, Japan、Pennirima Iyakkam, India、People’s Union for Civil Liberties, India、Sahabat Alam Malaysia–Friends of the Earth Malaysia, Malaysia、San Francisco Bay Physicians for Social Responsibility, United States、Sortir du nucléaire 72, France、Stroom naar de Toekomst Limburg, Netherlands、Taiwan Environment Protection Union, Taiwan、TerraBiome, United States、The Liaison Committee for Organizations of Victims of the Nuclear Disaster (Hidanren), Japan、The People’s Campaign Against Nuclear Power and Nuclear Weapons, Sweden、VAKS, Belgium、WALHI, Indonesia、Washington Butterfly for Hope, United States、Women Against Nuclear Power – Finland, Finland、Women for Peace, Sweden, Sweden、Young Bataeños for Environmental Advocacy Network, Philippines、Za Zemiata/FoE Bulgaria, Bulgaria

後日追加:Action against nuclear plant, Norway、Association Noé21, Switzerland、Citizen of the Earth, Taiwan、Nei til Atomvåpen Oslo, Norway、Oyu Tolgoi Watch, Mongolia、Rivers without Boundaries, Mongolia、Urgewald, Germany、Women for Peace, Finland

***********************

★ノーニュークス・アジアフォーラム通信197号
(25年12月20日発行、B5-32p)もくじ
 

・フィリピン・市民団体連合は、ADBの「危険な逆行」を非難
   ― 原発推進は負債と災害を招くと警告する ― (非核バターン運動)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3397

・世界81団体、ADBの原発融資解禁決定に抗議声明
   「長期的なリスクとコストが途上国の人々にのしかかる」 (満田夏花)
  共同声明:アジア開発銀行(ADB)の原発支援解禁に抗議する       

・「世界核被害者フォーラム」報告 (井上まり)、「世界核被害者フォーラム」広島宣言
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3412                 

・コリ2号機の寿命延長承認に対する声明 (韓国エネルギー正義行動)

・反対:第二原発・第三原発の再稼働 (台湾全国廃核行動プラットフォーム)

・インドネシア・ゲラサ島での原発建設は拒否、
  バンカ・ブリトゥン州住民は環境を守るために団結           

・韓国とトルコ、原子力分野の協力で覚書                 

・上関町、使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画の今 (三浦みどり)

・無謀な再稼働に走る日本の原子力事業に未来はない (後藤政志)

・新潟県知事「柏崎刈羽原発再稼働容認」判断とその後 (中山均)

・北海道知事の泊原発3号機再稼働への同意は容認できない (川原茂雄)

・「東海第二原発廃炉デー大集会」開催 (沼倉潤)

・関西電力の美浜原発新増設に反対する (山本雅彦)

・11.30「原発つづけるための乾式貯蔵NO!全国集会@高浜」に400人が結集 (木原壯林)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisuke アット rice.ocn.ne.jp

世銀・ADBが原発支援を解禁!? 国際署名にご協力を!

満田夏花(FoE Japan)

原発支援は行ってこなかったのが…

世界銀行やアジア開発銀行(ADB)は、発展途上国の経済成長を促すために、インフラ建設などに対して技術支援や融資などを行っている開発金融機関です。日本は、両機関に対して多額のお金を出資しています(世銀に対してはアメリカについで2位、ADBについては1位)。

いままで、世銀もADBも原発への支援は行ってきませんでした。その理由としては、「核拡散、廃棄物、安全に関連するリスク」「専門性がない」「コストが高すぎる」などとしてきました。これらの理由は今も変わっていません。

それにもかかわらず、世界銀行は、今年6月、原発への支援をめざし、IAEAと協定を締結しました。報道では「原発融資の解禁について決定した」と報じられていますが、これは前のめり報道で、正式な決定は今後のようです。

また、ADBは、現在行われているエネルギー政策の見直しに、原発への支援を含める方針を示しています。しかし、これも一筋縄ではいかず、NGOなどから反対表明が相次いだことなどから、10月の理事会で決定される予定であったのが、11月末以降に延期されています。これは市民社会の国際的な連携の成果といってよいかもしれません。

国際的な原子力ビジネスの巻き返し?

経済的側面から考えても、原発は見込みがありません。「世界原子力産業ステータスレポート」によれば、2023 年の再エネへの新規投資額は、6,230 億米ドルで右肩あがりです。一方で、原発への投資額は、2023 年は230 億米ドルで、再エネの27分の1(下図)。

   出典:A Mycle Schneider Consulting Project,“The World Nuclear Industry Status Report 2024”p.369

つまり民間投資家は、原発が見込みがないことを見切っているのです。このため、原子力産業は、世銀やADBといった公的な金融機関の支援なしにはやっていけないのです。

国際原子力ムラによる巻き返しの象徴的な出来事として、2023 年秋にアラブ首長国連邦で開催された第28 回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)における、米国が主導した「2050 年までに原発による発電容量を世界で3倍にする」という宣言があげられます。日本を含む23カ国の有志国が賛同を示し、日本でも大きく報道されました。

この宣言文の中には「世界銀行、地域開発銀行(アジア開発銀行など)などの株主に対して、融資政策に原発を含め、積極的に支援することを奨励する」という文言が盛り込まれました。これが今回の世銀・ADBの方針転換の一つの布石だったのでしょう。

しかし、この宣言は正式なCOP28の採択文書ではなく、アメリカに追随し、原子力ビジネスに関心を示す諸国による自主的なものであることに注意が必要です。

リスクを負うのは誰か?

原発建設のコストははねあがり、いまや数兆円にものぼります。世銀グループやADBがアジアやアフリカなどの発展途上国に対して、原発導入のための技術支援や融資を行うことは、途上国の人たちに、核のごみや事故のリスクのみならず、将来にわたる経済的な負担や巨額の債務を負わせ、原発の利権を持ち込むことにより、持続可能な発展の機会を奪うことになるでしょう。

原発の運転によって生じる核廃棄物は何万年も管理が必要であり、ほとんどの国で処分地の選定すら行われていません。また、軍事転用、テロや軍事的な攻撃の対象になるなどさまざまなリスクをはらんでいます。

国際環境NGO FoE Japanは、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパンも含め、世界各国の64のNGOとともに、世界銀行およびアジア開発銀行(ADB)に対して、原発の融資や支援の解禁方針の撤回を求める国際署名を呼びかけています。

「核のグローバル化」を防ぐために、ぜひオンライン署名にご協力ください!

▼ 署名 → http://chng.it/kWnJpNgm6K

***********************

★ノーニュークス・アジアフォーラム通信196号
(25年10月20日発行、B5-28p)もくじ
 

・【脱原発の台湾から来日】 さようなら原発全国集会での発言 (崔愫欣)

・アジア初の非核国家へ (崔愫欣・林正原)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3376

・映画 こんにちは貢寮(こんりゃお)日本語字幕版 Youtube公開 (とーち)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3376               

・韓国ハンビッ原発1号機 永久停止宣言文 (ハンビッ原発対応湖南圏共同行動ほか)

・老朽核発電所の寿命延長は気候不正義だ ― コリ2号機寿命延長審査を中止せよ
   (927気候正義行進組織委員会)

・フィリピン原子力新法と欠陥世論調査による政府の拙速を警告する
   (非核バターン運動)

・世銀・ADBが原発支援を解禁!? 国際署名にご協力を! (満田夏花)

・柏崎刈羽原発の再稼働を許さない (菅波完)

・再稼動の是非は私たち県民が決めたい (小木曽茂子)

・経産省前テントひろば14周年集会での発言 (武藤類子)

・核廃棄物中間貯蔵施設建設計画、上関町と周辺自治体の状況 (中川隆志)

・核ゴミ処分場と泊原発再稼働に反対する (井上敦子)

・JCO臨界事故から26年 (大泉実成)

・意見陳述「命と人権を守る立場に立った、正当な判決を!」 
   (311子ども甲状腺がん裁判・原告8さん)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisuke アット rice.ocn.ne.jp

投稿者satou投稿日:カテゴリー台湾

投稿ナビゲーション

能登半島地震と原発リスク

北野進(志賀原発を廃炉に!訴訟原告団)

1.阻止できて本当によかった「珠洲原発」

元日に発生した能登半島地震によって奥能登の風景、人々の暮らしは一変してしまいました。珠洲市や輪島市では多くの地域が壊滅状態です。さらに被害は中能登地域から金沢市内へ、さらには富山県、新潟県にまでも拡大しました。

マグニチュード7.6、最大震度7という今回の大地震の震央は、かつての珠洲原発の予定地・高屋のすぐ近く、関西電力が立地可能性調査を計画していたエリアの裏山です。高屋では激しい揺れに加え、がけ崩れも多数発生し多くの住宅が倒壊しました。港の岸壁にも多数の大きな亀裂や陥没が生じ、原型をとどめていません。何より驚くのは地盤の隆起です。予定地前の海岸にはきれいな遠浅の海が広がっていましたが、今そこには岩場が広がっています。防波堤を見れば隆起が約2mにも及んでいることが確認できます。いうまでもなく隆起したのは海域だけではありません。原発が建設されたであろう陸域にまで及んでいることは間違いありません。

(関電の原発予定地、高屋の防波堤。北野さんの身長以上、約2メートル隆起)

かつて、原発計画があった当時、電力会社や国は「原発は強固な岩盤の上に建てるから大きな地震が来ても大丈夫。万が一大きな地震が起きたら発電所構内に逃げ込んでもらえば一番安全だ」などと豪語していました。当時の知見では高屋の沿岸域に大断層が走っていることを把握できておらず、調査する気もありませんでした。地盤の隆起など想像すらしていなかったのではないでしょうか。

高屋の集落は地震後孤立し、その後もしばらくは自衛隊の車両しか入れない状況が続きました。高屋の東方約8kmにある中部電力の予定地・寺家(じけ)でも1m程度の隆起がありました。近くの集落では激しい揺れに加え、津波が襲い、沿岸部の家並みは見る影もありません。現在の防災計画ではPAZ(原発から5km圏内)に該当する地域であり、「全面緊急事態で即時避難」ですが、住民は高台に駆け上がるのが精一杯です。

高屋、寺家に限らず奥能登全体が地震後はほぼ孤立状態でしたから、もし原発が立地されていれば、重大事故でも避難すらできず、福島以上に悲惨な原発震災となっていたかもしれません。珠洲原発の反対運動を応援していただいた全国の皆さんにあらためて感謝申し上げたいと思います。

2.止まっていて幸運だった「志賀原発」

今回の大地震は、まったく予想されていなかったわけではありません。珠洲を中心とした奥能登では3年前から群発地震が続き、1昨年は震度5強、昨年5月5日には震度6強の揺れが市内を襲いました。専門家からは「さらに大きな揺れに警戒を」との声が上がっていました。マグニチュード7クラスの地震を引き起こす大断層が能登半島の北部沿岸を走っていることが今では明らかとなっており、一連の群発地震がこの断層を刺激し、大地震の引き金となる可能性を指摘していたのです。

北陸電力が志賀原発2号機の適合性審査のために原子力規制委員会に提出している資料によれば、「能登半島北部沿岸域断層帯」として長さ96km、想定マグニチュード8.1とされていました。今回の地震は、マグニチュードは北電の想定を下回りましたが、動いた断層は約150kmとされ、北電の想定を大きく上回りました。北電が想定していなかった断層の連動があったと言わざるをえません。どの断層が動いたのかは今後の分析を待たなければなりませんが、佐渡方向ではNT2、NT3という2つの断層の存在が知られ、今回の震源域に含まれます。北電は審査会合の中で連動の可能性すら検討しておらず、規制委も検討すべきとの指摘すらしていませんでした。全くのノーマーク状態です。西側(志賀原発沖合側)では、2007年の能登半島地震の震源となった笹波沖断層帯との距離が近いことから北電は連動の可能性を検討し、「連動しない」との判断を示していました。規制委もその判断を追認する方向で議論は進んでいました。今回の地震は、事実をもって北電、規制委の活断層評価能力を否定したと言えます。

昨年の北電株主総会で私は笹波沖断層帯との連動の可能性や、志賀原発へのリスクについて問いました。これに対して北電の小田常務は「設備に影響を及ぼす可能性のある断層を確実に把握し、耐震設計に反映している」とし、笹波沖断層帯の連動を否定し、能登半島北部沿岸域断層帯マグニチュード8.1でも志賀原発は大丈夫と答えたのです。ところが実際は東西さらに活動域は広がり、しかもマグニチュード7.6の規模でしたが、1系統2回線で外部電源が受電できなくなり、非常用ディーゼル発電機も一台が自動停止するなど発電所内では多数のトラブルが発生したのです。今年の株主総会では北電の能力・資質についてさらに追及しなければなりません。

原発の防災対応でも欠陥や限界が露呈しました。今回、志賀町は震度7、そして大津波警報が発令されたことから志賀原発は警戒事態に至りました。原子力規制庁と内閣府は合同警戒本部を立ち上げ、志賀現地では石川県も加わり現地警戒本部が立ち上がりました。しかしそれは形だけで、その対応はお粗末極まりありません。石川県など地元自治体は地震対応だけで大混乱で、原子力災害に手が回らないことは明らかでした。北電の危機管理能力のなさは一連のプレス発表の混乱からも明らかです。迅速・正確な情報発信は到底期待できません。原子力防災は初動対応の段階ですでに破綻です。

このように原発を運転する資格のない北陸電力ですが、志賀原発は1、2号機ともに2011年3月から停止中だったことから、今回は幸運にも危機的な事態は回避することができました。再稼働を許さず今日までこれて本当によかったと思います。

3.能登半島地震は最後の警告

一方、北電には「幸運だった」との認識が全くなく、1月31日、能登半島地震後初の記者会見に臨んだ松田光司社長は「志賀原発の安全確保に問題はなく、原子力の重要性は変わらない」と強気の姿勢を貫きました。

こうした中、私が地震の翌日から心配しているのは「果たして今回の大地震で3年前から続く一連の地震活動は収束するのだろうか。次の大地震へのカウントダウンが始まったのではないか」ということです。今回の地震が周辺断層の新たなひずみを生み、新たな地震のリスクが高まっているとの指摘も専門家から相次いでいます。

北陸電力が志賀1、2号機の設置許可を申請した当時は、能登半島周辺には大きな活断層はないとされていました。しかし、現在北電が規制委に提出している資料を見ると、能登半島周辺には能登半島北部沿岸域断層帯以外にもマグニチュード7クラスの大地震が想定される活断層が何本も走っています。連動すればさらに大きな揺れとなります。また、志賀原発の10km圏内に絞ってみれば、東側にはわずか1kmに福浦断層、西側には兜岩沖断層、碁盤島沖断層、そして北側には富来川南岸断層と、志賀原発は三方活断層に囲まれていることがわかります。基準地震動を引き上げればいいという次元ではなく、地表の変位が心配されます。再稼働を許さず、一日も早く廃炉に追い込まなければなりません。

能登半島地震は地下の流体が原因とされる一連の群発地震が引き金となり、大きな断層の連動につながったと見られていますが、群発地震や断層の連動は、現在の地震学でも知見の積み重ねが少ない分野です。原発に内在する莫大なリスク、リスクを回避できない地震学の限界、そして原子力規制委員会の限界を直視すれば、国内すべての原発の再稼働はありえません。再稼働した原発の運転継続もありえません。被災地を抱え、地元の運動は遅れ気味ですが、アジアの脱原発の潮流を確実なものにできるよう、全国の仲間、アジアの仲間と一緒に頑張りたいと思います。

***********************

★ノーニュークス・アジアフォーラム通信186号
(24年2月20日発行、B5-32p)もくじ

・若者たちが公設市場でバターン原発再建反対署名運動
韓国核発電所の地域の概要と懸案 (ヨン・ソンロク)            
・『海島核事』― 台湾反核運動の軌跡 (鈴木真奈美)            
・未稼働の第四原発 ― 楊貴英と呉文通 (王舜薇)              
非核のアジアを夢見て (王舜薇)                    
能登半島地震と原発リスク (北野進)                  
・能登半島地震 ― それでもなお、原発回帰、再稼働を続けるのか (多名賀哲也)
・令和6年能登半島地震を踏まえた意見書 (脱原発弁護団全国連絡会)    
・3.23「ストップ!女川原発再稼働 さようなら原発全国集会in宮城」に参集を! (多々良哲)
・女川原発2号機の再稼働を止める (舘脇章宏)               
・上関町の中間貯蔵施設建設計画を止めよう (小中進)
・青森県の再処理と中間貯蔵の現状 (小熊ひと美)             
・ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.174~185 主要掲載記事一覧

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisuke アット rice.ocn.ne.jp

4.13グローバルアクション 「STOP汚染水の海洋放出」

「これ以上海を汚すな!市民会議」(コレウミ)が呼びかけ、全国各地、世界各地で、スタンディング等がとりくまれました。その一部を紹介します。
【各地の多くの写真】 → https://www.facebook.com/koreumi

いわき
東京
ニューヨーク
パリ
フィジー
マーシャル諸島
ソロモン諸島
ニュ-ジーランド

フィリピンの漁業者と反原発団体が福島原発の汚染水の海洋放出に反対

(Philstar 4月13日)
沿岸地域の漁業者と「非核・非石炭バターン運動」などの団体が13日、マニラの日本大使館とフィリピン外務省の前で、130万トンの放射能汚染水の太平洋投棄に反対する抗議アクションを行った。漁師のパブロ・ロサレス氏は「日本の計画は、フィリピンの消費者に漁獲物の購入を警戒させ、漁業者の生活に影響を及ぼします」と警告した。「放射能汚染水を海に放出する日本の計画は、人々に食料を供給し、何百万人もの人々に生計の源を提供している海をゆっくりと殺すでしょう」と、日本大使館前で述べた。非核・非石炭バターン運動のコーディネーターであるデレック・チャベ氏は、フィリピン政府に対して、環境への脅威をもたらす日本の計画に反対するよう求めた。

マニラ(日本大使館前)

韓国の市民団体「尹錫悦政権は福島第一原発の汚染水放出に明確な立場を表明せよ」

(ハンギョレ新聞 4月14日)
プサンの複数の市民団体が13日、尹錫悦政権に対して、福島第一原発の放射能汚染水の海洋投棄阻止に積極的にとりくむよう求めた。「汚染水の海洋放出は、日本に近いプサン市民の安全と命を脅かし、漁業者と水産業従事者の生存権を奪うだろう」
プサン(日本領事館前)
***********************
★ノーニュークス・アジアフォーラム通信181号
(23年4月20日発行、B5-32p)もくじ

福島の教訓を生かせ、バターン原発を解体せよ (デレック・チャベ)
 
・「老朽化した原発を延長するな」韓国で集会 (キム・グァンス)

       
・安全な世界、コリ2号機の閉鎖から! 核のない世界へ行進しよう!

      
・ネッカーヴェストハイム原発前に300人のデモ隊が集結 (イェンス・ニシング)


・ドイツ「脱原発」達成

                          
・放射性廃棄物処分場論争がオーストラリア連邦裁判所で開始 (ミシェル・マディガン)

 
・オーストラリアに原子力潜水艦、その多くのリスク (デイブ・スウィーニー)


・台湾第二原発廃止にあたっての全国廃核行動平台意見書

           
・4.13 グローバルアクション「STOP汚染水の海洋放出」

          
・福島汚染水放流阻止のための韓国 YWCA声明


・強行して作った概要調査前の寿都町住民投票はいつ (槌谷和幸)

      
・年度末、柏崎刈羽原発をめぐる状況 (小木曽茂子)

            
・3.10 島根原発2号機運転差止仮処分申し立て (芦原康江)

        
・「被災原発」である女川原発を再稼働してはならない (多々良哲)

      
・ストップ!川内原発20年延長運転、塩田知事に県民投票を望む (鳥原良子)


・高浜原発4号機事故と原発回帰 (宮崎宗真)

              
・老朽原発うごかすな! 関電本店~高浜原発リレーデモ (木戸惠子)

    
・GX脱炭素電源法の問題点 (満田夏花)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisuke アット rice.ocn.ne.jp

YouTube『アジアの原発と反原発運動』 佐藤大介

さよなら原発神戸アクションが、録画を公開
http://sayogenkobe.blog.fc2.com/blog-entry-226.html
または https://www.youtube.com/watch?v=DJ4W3tXiaro&t=5610s

タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、トルコ、
韓国、台湾で、原発をとめる人びと、200枚の写真。約90分
(最初の50秒は、とばしてください)

 
■ アジアの原発どうなっているの?@ZOOM茶話会 2021年9月4日
『アジアの原発と反原発運動』
お話:佐藤大介(ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン事務局)
主催:さよなら原発神戸アクション

http://sayogenkobe.blog.fc2.com/blog-entry-223.html

チェルノブイリ事故のあと、ドイツをはじめとするヨーロッパの人びとが広範な反原発運動を展開したように、福島原発事故のあと、アジアの人びとも大きく立ち上がり、デモなどを繰り返しました。結果、台湾では、日立・東芝が原子炉を輸出した第四原発の建設を凍結し、2025年原発ゼロ、アジア初の脱原発に向かっています。韓国政府も脱原発宣言し、新規原発建設と老朽原発の寿命延長をしないとしました。ベトナム・トルコへの、日本からの原発輸出計画は中止となり、フィリピン、タイ、インドネシアの原発計画はとん挫しています。インドや中国では依然として原発が建設されていますが、エネルギー転換は時代の趨勢です。日本ではあまり知られていないアジアの反原発運動を伝えます。

★ノーニュークス・アジアフォーラムとは:
 韓国の反原発活動家から「原発推進派が活発に国際連携しているので、反対派も国際連帯しなければなければならない」と提案され、1993年に第1回ノーニュークス・アジアフォーラムを日本で開催、全国28か所で集会を行ないました。以後、フォーラムは持ち回りで、韓国、台湾、インドネシア、フィリピン、タイ、インドで、19回開催されています。フォーラムは、常に原発現地を重要視することとしています。

 また、インドネシア・台湾・ベトナム・インド・トルコへの原発輸出に反対するキャンペーンも行ってきました。

震災翌年の1996年には、神戸での「環太平洋原子力会議」(原発推進の国際会議)に対抗し、「さよなら原発・神戸ネットワーク」のみなさんとともに「環太平洋反原子力会議」を開催しました。
★ 『市民による環太平洋[反]原子力会議』報告/記録
http://japan.nonukesasiaforum.org/japanese/pbnc/index.htm

老朽原発うごかすな

(宮下正一・木戸惠子・中嶌哲演・藤本泰成・林広員・草地妙子・東山幸弘・井戸謙一・小橋かおる・末田一秀・滝沢あつこ・笠原一浩)
*ノーニュークス・アジアフォーラム通信・号外(2020年3月20日発行)より

■ 全国のみなさんの参加を心よりお願いします

 宮下正一(原子力発電に反対する福井県民会議)

2019年9月27日に、関西電力の会長や社長など幹部役員20名に3億2000万円ものお金が工事請負会社から還流されていたことが明らかになった。

この報道にとてもビックリした。「原発マネー」は、原発を建設・運転するために自治体首長や地域の有力者あるいは国会議員などに使われているものと思っていたからだ。

わかっているだけでも3憶2000万円の巨額資金が、こともあろうに発注者である関電幹部役員に還流されているとは思いもよらなかった。

電力会社は私企業であるが、市民一人一人が電気料金として支払っていることから極めて公共性が高い。さらに、電力事業者は、決して赤字にならないように法律によって守られている。

そのような関電の幹部役員たちのなかで、私腹を肥やす行為が蔓延していたのだ。「こんなこと絶対許せない!」と全国から集まった3,371名により2019年12月13日(翌年の1月31日も含め)、大阪地方検察庁に「事実を明らかにして関係者を処罰してほしい」と告発した。

3月14日に行なわれた関電の第三者委員会の最終報告では、森山氏から関電役員たちに渡された金品により、吉田開発などに不正な工事発注がなされていたことを認めている。

告発状は受理されていないが、ここまで来たからには、大阪地検に対して「直ちに告発状を受理し、捜査を開始すべき」と要請を強めていく。私たちは、今回せっかく掴んだ巨悪の尻尾は絶対離さず、その正体を見るまで、闘い続けよう。

関西を中心とした反原発団体は、高浜1・2号機や美浜3号機など、運転から40年間を超える老朽原発の再稼働を絶対許さないと、昨年11月からリレーデモなどを行ない、運動を強めている。

そして、大阪市の中之島公園で、「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」を1万人以上の参加を求めて行ない、老朽原発再稼働反対のうねりを大きく広げていきます。全国のみなさんの参加を心よりお願いします。

■ いまこそ、老朽原発を止めるチャンス

 木戸惠子(若狭の原発を考える会)

●若狭の老朽原発再稼働は、全原発の60年運転への道

福島原発事故は、人の営みを根こそぎ奪い去ることを、尊い犠牲の上に教えました。避難者は今でも故郷を追われて、苦悩の生活を強いられています。

それでも関電は、45年、44年、43年超え老朽原発、高浜1・2号機、美浜3号機の再稼働を画策しています。老朽原発では、取り替えることのできない圧力容器が大量の放射線に長期間曝されて脆化(固く脆くなり壊れやすくなる)し、配管の減肉(やせ細ること)や腐食が進み、事故の確率は格段に高くなります。全国に先駆けて関電が企てる老朽原発再稼働を許せば、全国の原発の60年稼働への道を拓くことになります。なんとしても止めねばなりません。

●40年超え運転は約束違反

「若狭の原発を考える会」では、原発立地・若狭の集落から集落へ反原発を訴えるチラシを配り歩く活動「アメーバデモ」を月2回、各回1泊2日で行なっています。アメーバデモが5年目になる昨年は主として老朽原発再稼働反対を訴えましたが、「関電は45年にもなる危険な高浜1号機を動かそうとしています」と言ってチラシを渡すと、地元の方から「約束違反やな」「若狭の原発は40年で廃炉になると聞いていた」「アカン、アカン、あんなもん動かしてどうするんや!」「政府も40年超え運転は“例外中の例外”と言っていたはず」など、老朽原発再稼働への怒りの声が数多く返ってきました。

昨年9月、私たちの電気料金で支払われた工事費が、関電幹部に還流され、福井県職員、小浜警察所幹部、元高浜町長などにも金品として贈与されていたことが明らかになりました。また、4月から電力会社の思いのままの原発稼働を可能にする「新」新検査制度が始まります。金にまみれ、企業倫理が地に落ちた関電に、危険な老朽原発をうごかせる能力も資格もありません。

●老朽原発を止めるのは、市民一人ひとりの行動

老朽原発うごかすな!の怒りの声は、昨年10月から11月の「老朽原発うごかすな!キャンペーン期間」に各地で行なわれた集会やデモ、11月23日から16日間の「高浜原発-関電本店リレーデモ」「12.8関電本店包囲全国集会」(161号参照)へと続きました。

「大飯原発運転差し止め」の仮処分を命じた樋口英明元裁判長は、「原発を止めるのは、首相や立地自治体の首長に原発を断念させること、裁判で原発を差し止めること」、そして「最も大切なのは市民一人ひとりの行動」と話されています。

安倍政権や関電の原発60年運転の野望を打ち砕くために、1万人を超える総結集で「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」を成功させましょう!

■ 第二のフクシマを未然に防ぐために

 中嶌哲演(原子力発電に反対する福井県民会議)

関西圏の大量の電力消費のために若狭に集中した15基もの原発群のうち、7基の廃炉は決定しているが、まだ8基の再稼働・延命が強行、画策されている。8基中7基は関西電力のそれ、とくに40年超の老朽炉の美浜3号機と高浜1・2号機の延命は許しがたい。

4000億円近くの巨費を投じた「安全対策工事」も終盤にさしかかっており(私が昨春12日間の断食で訴えたのは、その工事中止だったのだが)、高浜1号が6月ごろ、美浜3号が8月ごろに再稼働を強行突破しようというもくろみのようだ。

原発マネーの関電への不正還流を大々的に報道したメディアのはたらきと、それを告発した広範な世論と運動が、ついに関電経営陣のトップを辞任にまで追い込んだ。

老朽原発の廃炉をめざす「老朽原発うごかすな!大集会in大阪」が開催される。その大結集へ向けて、あらゆる大中小の団体・グループ、個人有志がこれまでに地道にとりくみ続けてきた個別の課題とも結びつけながら、共同・協働の輪を一気に広げよう。

地震や火山爆発は止められなくても、原発や核燃料サイクルを止めることはできる!

第二のフクシマの惨禍を未然に防ぐために!

■ ここに、日本の悲劇がある

 藤本泰成(原水爆禁止日本国民会議)

関西電力による会社ぐるみの収賄事件の第三者委員会の最終報告が出た。記者会見で但木敬一委員長は「刑事告訴は困難」と述べた。「不正の請託」が立証できないとの趣旨を述べているが、関電による「森山関連企業」への不正発注は事実であり、公共性の高い電気を独占的に販売してきたことを考えるならば、会社法による収賄罪や特別背任にあたるのは当然ではないか。明らかになった多くの事実があっても何らの処罰も受けないのは、電気を関電から買わされてきた市民にとっては納得がいかない。

電力業界は納得のいかないことばかりではないか。福島原発事故から来年は10年を迎える。巨大津波の可能性を指摘されていたにもかかわらず、何ら対策をとらずに事故を引き起こした経営陣は、無罪だという。フクイチは、未だに人を寄せつけない。事故収束の目処など全く立たない。周辺地域には住むこともできない。フレコンバックがあちこちに置かれている中に、一部住民は帰還を余儀なくされている。原発の危険性は明らかなのに、政府や電力会社は原発をあきらめない。

世間は原発などもってのほかと考えるから、どこにも新規原発はつくれない。つくれないとなると今度は、驚くことに、もっと危険な老朽原発を動かそうとする。しかも、40年を超えて60年超も認めようとの声が聞こえる。開いた口が塞がらない。

安倍政権に、将来を見据えた展望は全くない。原発などない方が良いし、石炭火力もない方が良い。そんなことは自明の理だ。であれば、10年、20年後のエネルギーをどう賄っていくのか誰しもが考えるが、考えない。あげくは、恥ずかしげもなく「日本の原発は世界一安全」を謳い文句に、売れないにもかかわらず、世界に原発を売り歩く。先を見る目が全くないのか見ないのか、今だけの政治がまかり通る。そこに、日本の悲劇がある。

■ 関西電力に原発を動かす資格なし

 林広員(オール福井反原発連絡会)

「関電問題は福井の恥です」と福井県民に怒りが広がっています。この怒りは、原発マネーを基に関電と立地自治体と政界が「持ちつ持たれつ」で、私たちの税金や電気料金を食い物にしているところからです。

第三者委員会報告では、役員報酬カット分を後で補填していることが明らかになりました。国民には電気料金を上げて負担を増やし、自らは内々に報酬を戻している関電の姿に、一般の企業のモラルなどありません。このような金まみれの関西電力に原発を動かす資格などありません!

金品の流れは福井県にも広がり、顧問弁護士を委員長にする内部の「調査委員会」が結果を発表。県の幹部109人が金品を受領したことや、杉本知事、西川前知事は贈答品を含めて金品の授受はなく栗田元知事は中元や歳暮を受け取っていたと公表。

これでは身内が身内を調べたもので不十分と、私たちは第三者委員会を設置せよと迫りました。しかし福井県は内部調査の発表で打ち切りにしています。

「老朽原発動かすな!福井県実行委員会」が県内の各自治体議長あてに「関電の原発マネー還流問題の真相究明を求める」請願を行ない、高浜町、勝山市、越前市、鯖江市で採択され全県で問題となっています。

このような腐敗構造を生んだ根本には、安倍政権の原発推進政策があります。「国策」として「原発推進政策」を行なう安倍政権は、エネルギー基本計画で原発をベースロード電源と位置づけ、将来全電源の20~22%を原発が占めるように策定。その中心を担わせた関電の問題に対して、安倍総理は「関電は民間企業だから。第三者委員会の調査に委ねる」との態度に終始。国として真相究明に背を向けています。

大集会を成功させて、関電と国・規制委員会、立地自治体首長など「原発推進共同体」を包囲し、世論と運動を盛り上げ、追い詰めましょう!

■ 見過ごせない!老朽原発の杜撰な審査

 草地妙子(老朽原発40年廃炉訴訟市民の会)

私たちは名古屋地裁で、関西電力の老朽原発3基に出された「運転期間延長認可」の取り消しを求めて裁判をしています。原子力規制委員会が杜撰な審査で認可していたことを明らかにし、当該原発を廃炉にすることをめざしています。

老朽原発が潜在的に危険なことはだれの目にも明らかです。それをあたかも「特別な審査」をしたかのように装い、お墨付きを与えているのが規制委員会です。老朽化最大の懸念事項である原子炉容器の劣化に関する審査においてさえ、試験の元データを見ることなく、関西電力の審査書の結果を鵜呑みにしていました。指摘されると、あろうことか「関西電力の品質保証体制を確認しており、信頼できるから問題ない」と開き直る始末です。関西電力の金銭不正受領事件で、企業としてのガバナンスやコンプライアンスの欠如が明らかにされた今、市民の納得はとうてい得られない本当に苦しい反論だと思います。

提訴からまもなく4年が経ちます。裁判が行なわれている間にも、関西電力は再稼働に向けた工事を進めてきました。進捗状況の詳細はわかりませんが、関西電力が再稼働するにあたっての障壁は少なくない状況に追い込まれてきていると思います。

あらゆる方面から様々な手段でさらに追い込んでいくために私たちの力を結集していきたいと思います。福井・関西の皆様をはじめとする全国的な運動に、名古屋からも参与できますことを大変意義あることと受け止めています。この輪をさらに大きく広げていくために共に頑張りたいと思います。

■ 危険な原発は廃炉に

 東山幸弘(ふるさとを守る高浜・おおいの会)

1月6日に定期検査のため高浜3号機は停止しました。前回定検のときに見つかった蒸気発生器細管の傷を原因不明のまま運転していました。そして、昨年10月に定検に入った4号機でも3台ある蒸気発生器のすべてから計5つの損傷が見つかりました。これも傷付けた原因不明のまま、栓をすることで原子力規制委員会は「良し」と許可し、早々に1月30日に起動してしまいました。何よりも恐れたことは、再度3号機の蒸気発生器細管に傷が見つかると、もう4号機は運転できません。そのため起動を急いだのです。やはり、またもやというべきか、2月18日に2つの蒸気発生器で各1本、2カ所に損傷が見つかりました。安全など二の次で、一日でも多く動かすことしか頭にありません。許すことができません。

加圧水型原発の最大の弱点は「蒸気発生器」で、1器3千本以上ある細管が応力割れや支持金具部での磨耗損傷を起こしており、「栓をする」ことで切り抜けています。しかし、1本でも破断すれば、一斉に制御棒が挿入されて緊急停止するとともに、緊急冷却装置ECCSが働き、冷却水が補給されます。現に1991年2月9日、美浜2号機で細管破断(支持金具との接触摩耗が原因と発表あり)によってECCSが働くという日本で初めての経験をしています。核燃料棒が溶解するメルトダウン一歩手前の状況でした。

関電は老朽原発延命のため、取り替えられるものすべてを取り替えているから「安全」だと宣伝していますが、一番重要な「原子炉圧力容器」は取り替えられません。長年の運転による中性子照射のため脆性化しており、ECCSが作動すると、強固なはずの圧力容器が、あたかも熱せられたガラスコップに冷たい水を注げばパリッと割れることと同じ状況になります。

原子炉破壊の危険度ワーストテンを順に並べると、玄海1号(廃炉)、高浜1号(40年超)、大飯2号(廃炉)、美浜2号(廃炉)、美浜1号(廃炉)、川内1号、高浜4号、伊方1号(廃炉)、美浜3号(40年超)、高浜2号(40年超)となります。近々稼働予定の高浜1号は日本一、危険な原発です。何としても再稼働させない、廃炉にすることです。

■ 壮大なウソ

 井戸謙一(福井原発訴訟<滋賀>弁護団)

福島地裁で行なわれている子供脱被ばく裁判、2020年2月14日には福島県立医大鈴木眞一教授の証人尋問が、3月4日には福島県健康管理アドバイザー山下俊一氏の証人尋問がそれぞれ行なわれました。

鈴木氏は、福島県民健康調査で発見された小児甲状腺がん患者の大部分の摘出手術を担当した医師ですが、すべては手術が必要な症例であったと証言し、過剰診断、過剰治療であるとの考え方を明確に否定しました。他方、福島県で小児甲状腺がんが多発しているとの見方を否定しましたが、「他の都道府県でも同じ割合で小児甲状腺がん患者が潜在しているとすれば、全国で1万人をこえる子どもたちが手術を待っていることになる、その子どもたちを救わなくてもいいのか」という質問に対しては、明確な回答はなされませんでした。

山下氏は、福島原発事故直後に行なわれた福島県内の講演会で、「100ミリシーベルト以下の被ばくでは健康被害がない」と言ったのは誤りで、正しくは「証明されていない」であること、「水道水からセシウムが出ない」と説明したのは誤りで、検出されること、「1ミリシーベルト被ばくをすると遺伝子が1か所傷つく」と説明したのは誤りで、「1ミリシーベルトの被ばくをすると遺伝子が37兆か所で傷つく」が正しいこと、すなわち37兆分の1の過小評価であったことを認めました。当時、未知の不安にさいなまれていた多くの人たちが、壮大なウソによって被ばく地に縛り付けられたことが明らかになった瞬間でした。

被ばく問題についてのウソ、それは今も大手を振ってまかり通っています。

■ 老朽原発を動かすな

 小橋かおる(さよなら原発神戸アクション)

高浜原発1・2号機、美浜原発3号機は、それぞれ運転より45年、44年、43年を超える原発です。本来の原則では、運転から40年を超えた時点で、廃炉となっていなければならない老朽原発です。この原則を外して老朽化した原発を動かすことがいかに危険であるかは、東京電力福島第一原発1号機を見れば明らかでしょう。

福島第一原発1号機は、1971年3月26日より営業運転を始めました。2011年には運転より40年を迎えるため、本来は廃炉になる原子炉でした。しかし、2010年3月から定期点検・点検停止していた1号機は10月に再稼働。そして、経済産業省原子力安全保安院は2011年2月7日、さらに10年間運転を延長する保安規定の変更を東京電力に認可し、3月11日、東日本大震災発生。そしてあの3月12日の水素爆発が起きたのです。

2010年当時の私は、その数年前から六カ所村の再処理工場に関心を持ちだし、原発については少し知っている程度でしたが、福島第一原発1号機の40年超えを認める再稼働には、とても憤りを感じていました。そして、福島第一原発事故。あの再稼働さえなければ、40年超えさえなければ、1号機が事故を起こすこともなく、2号機、3号機という連鎖的な事故も起きなかったのではないかと、今でも悔やみます。

同じ後悔をするわけにはいきません。私が住む神戸からも90キロほどしか離れていない高浜原発、そして美浜原発。あの40年超えの老朽原発を動かしてはなりません。関西電力という企業の経営収支のために、なぜ私たちの故郷、暮らし、健康、人生、未来が危険にさらされなければならないのでしょう? いったん事故が起きれば、近畿だけでなく、周辺何百キロもの地域が放射能汚染されかねません。

東京電力福島第一原発事故という人類史上でも最悪の原発事故をくり返さないために、また自分の住む町を放射能汚染で失わないために、老朽原発を動かすな。この災害列島で、どの原発も動かすな。

原発のない、そして無用な被ばくのない日本を、皆で実現したいと強く思っています。

■ 関電第三者委員会の報告を受けて

 末田一秀(はんげんぱつ新聞編集委員・関電の原発マネー不正還流を告発する会)

関電役員らが高浜町元助役森山氏らから金品を受領していた問題について調査していた第三者委員会が、3月14日に調査結果を公表した。関電の金品受領者は、当初の社内調査委員会が明らかにしていた20人から75人に変わり、総額も3億6千万円相当になった。森山氏の求めに応じて、関連会社に入札を経ずに工事発注をしていたことなど、様々な便宜行為や不正行為が認定されている。

関電が第三者委員会に提出した1994年の資料には、森山氏の10数件の関電への「貢献」が記されており、「公開ヒアリングを取り仕切って成功させた」「チェルノブイリ事故に際し、地元団体からの陳情書を町限りにとどめ公にしなかった」「原発内での業者の圧死事故に際し、警察・地元関係に対する無言の圧力により穏便に済ますことができた」などが挙げられている。関電が被害者でないことは明らかだ。

関電自体の企業統治が崩壊していたと断じざるをえず、関電に原発運転の資格はない。関係した役員や隠蔽に手を貸した監査役らの責任は極めて重く、関電は関係役員らの責任追及訴訟を提起すべきである。

関電は社外取締役を活用した会社形態「指名委員会等設置会社」への移行などの再発防止策を検討していると報じられているが、企業統治の強化は委員会など形を作ることだけでは達成できない。情報公開と説明責任の徹底を図り、市民の監視下に企業経営が置かれるべきである。

第三者委員会の報告書をもってしても、なお私たちの疑問には解消しない点がある。不当な金品により工作された全容は解明されたのか? 原発関連マネーが政治家へ流れていなかったのか? 寄付金名目で流されたお金は適正だったのか? などである。

これらの解明には、捜査権限を持つ検察が動く必要がある。12月13日に3000人を超える市民が行なった告発を、本稿執筆時点で大阪地検は受理すらしていない。直ちに受理して捜査を尽くし、実態を解明すべきである。

■ とことん腐敗している関電を許さない

 滝沢あつこ(脱原発へ!関電株主行動の会)

昨年発覚した関電原発マネー不正還流は怒りが頂点に達するできごとでした。私たち株主は年1回の株主総会で、名前があがっている役員の顔を見、答弁を聞いています。寄付金や報酬額の質問には答えません。森山氏に国税庁が入った一昨年も、内部告発文書が取締役に届けられた昨年も、株主には何も公表されませんでした。今年厳しく追及する所存です。

いま関電の不正を糺すために株主だからできること、それは株主代表訴訟です。昨年11月27日、株主のメンバー5人で関電監査役に対して「取締役に対する責任追及訴訟提起請求書」を提出しました。これは 取締役が会社に損失を与えたので、監査役として取締役を提訴しなさいというものです。請求後60日以内に提訴しなければ、私たち株主が監査役に代わって株主代表訴訟を起こします。期限は今年1月末でしたが、監査役から代理人弁護士に「第三者委員会の報告を待ってから決定する」と返答がありました。

3月14日、関電原発マネー不正還流の調査にあたった第三者委員会の報告がありました。精査はこれから行なわれると思いますが、放漫な金の使い方が露わになりました。報告書によると関電は、福島事故後の赤字に際して行なわれた役員報酬カットの分を業績回復時には補填すると決定していました。また高額の金品を受け取っていた豊松、森中、鈴木、大塚の各氏の追加納税分を会社が肩代わりすると決定していました。実際、豊松氏に昨年6月から報酬補填分90万円、追加納税分30万円、報酬と合わせて毎月490万円が支払われています。責任を問われ退任した元副社長豊松氏はエグゼクティブフェローという肩書きで報酬を受けていたのです。

とことん腐敗しているとしか言いようがありません。取締役は会社の社会的信頼を失墜させました。会社が損なった利益を取締役に請求し、会社に返却させることができるのは株主代表訴訟です。これから提訴の準備をしていきます。

■ 関電は再エネ先進企業として再生を

 笠原一浩(大飯原発差止訴訟・福井弁護団)

●歴史的な福井地裁判決

福井地方裁判所は、2014年5月21日、大飯原発3・4号機の運転差し止めを認める歴史的判決を言い渡しました。判決が言い渡された瞬間、弁護団や原告団事務局のメンバーが、それぞれ「差し止め認める」「司法は生きていた」という垂れ幕を掲げましたが、とくに後者について、深い共感を寄せた市民は多かったことでしょう。

この判決は、仮処分決定を別とすると、福島第一原発事故後初めての、原発裁判における司法判断です。福島第一原発事故の被害をふまえ、行政庁の判断を追認してきた裁判所の姿勢に変化が生じることが、多くの市民から期待されていましたが、この判決は、その期待に十二分に応えるものとなりました。

残念ながらこの判決は、4年後、名古屋高等裁判所金沢支部により覆されてしまいました。しかし、高裁判決も、福井地裁判決の事実認定そのものは否定していません。むしろ、地震に関する科学の限界について、福井地裁判決の指摘や島崎先生の知見を肯定しています。高裁判決は、私たちの訴えについて「立法論であって司法の役割ではない」と逃亡することによって、福井地裁判決の結論を覆してしまいましたが、両判決のいずれが正しかったのかは、翌年、歴史が証明することになりました。

●関電スキャンダルが意味すること

現在、関電スキャンダルが大問題となっていますが、この問題も結局のところ、原発という発電手段は、正常な方法では実現できないということを意味しています。

私たちが7年前に大飯原発差止訴訟を始めたのも、決して関西電力を倒すことをめざしたものではなく、より地域(関西一円)に愛される企業になっていただくことをめざしたものです。

私はこの裁判と無関係に一般業務で関西電力の関係者と接することも少なくありません。個々の従業員を見る限りでは、優秀で誠実な人が多いといえます。むしろ、今までのエネルギー政策では、この春に学校を出て関西電力に就職した人が、定年まで勤められないおそれが高いといえます。

再エネに舵を切ってこそ、関西電力にとっても今後50年、100年にわたって存続できるようになるといえますし、国のエネルギー政策に最も必要なことも、電力会社のそのような転換を応援することです。

私は刑事告発の弁護団にも加わりましたが、この事件を通じて、「再エネ先進企業としての新しい関西電力」の展望が開かれることを強く期待します。

 

日本の原発輸出計画、全滅!― ベトナム・トルコ・ウェールズ、現地の人々の視点から―

「日本の原発輸出計画、全滅! ― ベトナム・トルコ・ウェールズ、現地の人々の視点から―」大阪で開催しました

★記録映像 https://youtu.be/R_vWWWgnM-A

安倍政権が「成長戦略」の重要な柱として官民一体で推進してきた原発輸出政策が、すべて頓挫するという事態が起きています。

三菱のトルコ・シノップ原発計画、日立の英・ウイルヴァ原発計画、そのどちらもが、安全対策のため1基1兆円以上に膨れ上がった建設費によりビジネスとして採算がとれなくなったとして中止されたのです。ベトナム政府も2016年11月に、日本が輸出予定だった原発建設計画を中止しました。

2月15日、表記の集会を行ない、ベトナムへの原発輸出反対に尽力してきた沖縄大学の吉井美知子さんと、トルコの原発反対運動を取材してきた森山拓也さんからお話を伺いました。森山さんの昨年のトルコ写真展のパネルも展示しました。

吉井美知子さんは「ベトナムのニントゥアン第一原発はロシアの、同第二原発は日本の受注が決まっていましたが、中止になりました。中止の一番の理由は財政難と言われていますが、それ以外にも、2016年春に海洋汚染の大公害事件で住民運動が起こったこと、海外に住むベトナム人や、日本など外国人による情報提供、言論活動なども影響したと思います。チュオン・タン・サン前国家主席は白紙撤回の背景について『国民、特に建設予定地の住民の心配が大きくなった』と述べました(共同通信2017.12.2)」と。

森山拓也さんは「トルコ・シノップでは、住民の多くが原発に反対で、政府がシノップを原発予定地と正式に発表した2006年以降、毎年大規模なデモを行なってきました。日本政府と三菱の計画断念については『現地の反対運動も懸念材料』(産経新聞 12.6)と報道されています」と。

さらに、吉井さんから、昨年10月、英・ウェールズの日立による原発建設予定地を訪問し、原発に反対する人々と交流してきた内容も報告されました。
輸出先の現地で繰り広げられてきた粘り強い運動と、それをとりまくさまざまなネットワークの力も、計画中止に大きな影響を与えてきたのです。

(ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.156より)

毎日新聞 2.5

 

ウェールズにて(右から2人目が吉井さん)

 

昨年の森山さんの写真展のチラシより

 

写真展「原発とたたかうトルコの人々-日本の原発輸出、現地の声は?」

日本が原発輸出を計画するトルコでは、原発への反対運動が40年以上続いています。トルコの人々はチェルノブイリ原発事故による深刻な汚染被害も経験しており、原発に厳しい目を向けています。
原発
に反対するトルコの人々の声や運動の様子を、写真や説明パネルの展示を通じて紹介します。
トルコ写真展チラシ
9 1130
会場:立命館大学国際平和ミュージアム2 階常設展示室内(京都市北区等持院北町56-1
開館時間:9 30 分~16 30 分  見学資料費:大人400
主催:森山拓也
共催:立命館大学国際平和ミュージアム
協力:ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン

 

 

英ウェールズ・アングルシー島での原発反対運動に福島から応援団

大倉純子(アイルランド在住)

日立が原発を輸出しようとしているウィルヴァの地元アングルシー島でフォトショップを営む写真家のジュリアンさん作成のポストカード。同島内の古代遺跡の写真。説明文は「この青銅器時代のスタンディングストーンから1マイルと離れていないウィルヴァで作られる日立の放射性廃棄物、それは、このストーンが過ごした年月の百倍の時間をかけないと消えない」「私たちの子どもたちのために、そして何世代にもわたる子孫のために、今こそ核の悪夢を止める時だ」

英ウェールズ北西部アングルシー島に、日立が原発輸出を計画している(事業者は現地子会社ホライズン)。

5月末、ウィルヴァ原発の地元住民反対運動団体PAWB(People Agianst Wylfa B)の代表3名が日本政府への反対署名提出のために訪日した際、福島県農民連代表の根本敬氏らが「福島の経験に学んでほしい」とウィルヴァ現地訪問を申し出た。7月半ば、アングルシー島および周辺地域計5ヶ所での講演会、記者会見、農業関連の話題を紹介する地元テレビ番組のインタビュー、アングルシー州議員との面談、農場訪問などが行なわれた。

アングルシー州議会にて(写真提供:藍原寛子)

訪問メンバーの一人、馬場績氏は福島原発から30kmの浪江町津島地区で畜産・米畑作を行なうとともに、この28年間町議を勤めてきた。帰還困難区域にある自宅・田畑の荒れ果てた現状や、避難時の混乱について話された。事前合意にもかかわらず東電から事故の連絡は何もなく、浪江町独自の判断で住民は津島地区へ避難したが、実はそこは高線量地区であったこと、食料も医薬品もガソリンもない状況で、避難の最中に亡くなった方がたくさんいることを写真を見せながら話された。また、アングルシーから本土に行くには二本の橋しかないことから「緊急事態になったらどんな混乱が起こるか」と懸念を表された。

根本さんは二本松市で米畑作を営む農家。事故後、福島の農民で自殺した人が何人もいること、人間だけでなく家畜たちも悲惨な末路をたどらざるをえなかったことを話された。農民連の太陽光発電事業を紹介し、「百姓たるもの食とエネルギーは自給すべし、後世に廃炉や廃棄物の負担を押し付けるな」と熱く語った。

故郷の福島から情報発信を続けるフリージャーナリストの藍原寛子さんは、ご自分も編纂にかかわった「福島10の教訓」を説明し、また、マーシャル諸島大統領が核推進側を評した言葉「Lie, Deny, Classify(うそ、否定、機密扱い)」(今、PAWBの間で流行っている)や、アイリーン・美緒子・スミスさんの「水俣と福島に共通する10の手口」を紹介された。

ところで、この原発の名前のアルファベット表記はWylfa Newydd。発音はウィル「ヴ」ァ・ニューイッ「th」。英語ではなく、ウェールズ語だからだ。「イギリス」は、実は国政の中心イングランドと、ケルト文化圏に属するウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国からなる連合国で、それぞれが独自の文化・言語を持つ。そのうち、明確に脱原発を打ち出し、独立の機運も高いスコットランドや、紛争の後遺症が続き、また隣のアイルランド共和国も関わってくる北アイルランドは、ヘタに刺激できないからか、原発関連のお荷物はウェールズに押し付けられがちのようだ(セラフィールドのあるカンブリアも、現在はイングランドだが地名の語源はウェールズ語)。

地図でもわかるように、アングルシーはウェールズの北西の端だ。島の住民の大半がウェールズ語で生活しており、自分たちの言語・文化への強い誇りがある。30年前にPAWBが結成されたときも、その母体はウェールズ語協会だったそうだ。一方、人口・産業は200km以上離れた首都カーディフがある南部に集中している。

実際の政策決定は、第一にロンドンの英国会(与党:保守党)、次にカーディフのウェールズ議会(与党:労働党。支持母体の労働組合が雇用を理由に原発に賛成しているため、労働党も賛成)のトップダウン。日本の原発に見られる中央-周辺の差別構造が、ここでも顕著に現れている。

ウェールズにはプライド・カムリ(ウェールズ党)という民族政党があるが、原発への意見は党内で分かれている。「PAWBにはプライド・カムリ支持者が多いが、党の上層部は支持者や一般党員の意見を聞かない」とPAWB設立メンバーのディランさんは歯噛みする。現にアングルシー州議会はプライド・カムリが与党だが、明確に反対を表明するのは1人か2人。福島の訪問団との面談でも「自分たちにはなんの決定権もない」と言い訳ともつかない発言をしていた。しかし、緊急避難計画策定責任はアングルシー州にある。このような危機感のなさで、どんな計画ができるのか心配だ。

アングルシーの主要産業は農業と観光。美しいビーチやヨットハーバー、貴重鳥類の営巣地があり、世界一長い名前で有名な駅やアイルランド共和国へのフェリー港もある。内陸は広々とした牧草地が広がり、吹き渡る風が気持ちいい。人々はとてもフレンドリーで、落ち着いた穏やかさが印象的だ。それでも経済的に「貧しい」地域とされ、「雇用創出」が第一の政策課題とされる。

カルナーヴァンにてPAWBメンバーと。後ろに見える龍の旗はウェールズ国旗(写真提供:藍原寛子)

英国では原発立地への政府からの交付金制度はないが、日立・ホライズン社のばら撒き工作は始まっている。私の宿泊先にもホライズン社のPRパンフが配布されてきていた(英語とウェールズ語半々。現地の文化軽視批判への対策らしい)。コミュニティ支援としてサッカー施設などに3千万円を寄付したことや、アングルシー出身者のホライズン社への幹部登用、若者たちの日本への招待旅行などが載っていた。

地元の小中学校ではホライズン社員による授業がカリキュラムに組み込まれ、昨日の新聞には、ウィルヴァ原発建設に必要な技術習得コースを地域の専門学校内に設ける、という記事が出ていた。

PAWBのロブさんは「地域の開発計画はすべて『ウィルヴァ』ありき。原発に限らずたった一つのプロジェクトに地域の将来をかけるのは無謀」と指摘する。

実は、記者会見会場に予約してあったホテルから、前日になってキャンセルされる事件があった。「過激な人たちが抗議行動をしようとしている」という電話があったとのこと。「このホテルはこれまでいろんなイベントで使ってきたのに」とPAWBメンバーは残念がる。日本の原発予定地が味わってきた、露骨で汚いコミュニティ分断工作がここでも行なわれるのかと思うと胸が痛む。

原発予定地で唯一ホライズンへの土地売却を拒否したジョーンズ夫妻との面談では、農業や原発への世代間の意見の相違など、国を超えた共通の話題が出た。ジョーンズ家では息子さんが後を継ぐことを明言しており家族の結束は固いが、多くの若者は他の仕事をやりたがるという。ジョーンズ家には2011年夏に土地売却の打診があった。非常に高圧的で、断ると様々な嫌がらせがあったが、地元新聞が報じたことでやっと収まったという。同地ですでに廃炉になったウィルヴァA原発による健康被害に関しては、ご自身の娘さんが悪性リンパ腫、また孫の親友は白血病だという。この地域はガンの割合が非常に高いと病院などでも言われるが、行政は否定する。人口も少ないため証明が困難とのこと。「実は原発に反対している人はたくさんいるのに、メディアは報じない」と苦言を呈する。敷地の一部をリゾート会社に貸し出そうとしたが、原発に近すぎるということで断られたそうだ。

英国全体でも原子力への逆風は激しい。高騰する費用、見通しのつかない地層処理、一方で再生可能エネルギーのコスト低下。しかし英政府は原子力に不合理なほど執着している(ロブさんは「軍用核技術保持のため」と推測する)。

「私たちが土地を所有するのではない、私たちが土地に属しているのだ」(注)というジョーンズ夫妻の言葉に共感できる者同士の連帯。これしか核の狂気を止める方法はないのかもしれない。
*注:元はアボリジニの、彼らと大地のスピリチュアルな関係を表す言葉

(7月31日記。英国の原発計画や今回の訪問は、東京新聞・朝日新聞のデジタル・サイトに関連記事が出ているので、チェックしてほしい)

(ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.153より)

**************************
★ノーニュークス・アジアフォーラム通信153号(8月20日発行、B5-24p)もくじ

・慶州市民の汗と涙が成し遂げた、月城1号機の廃炉決定 (イ・サンホン)
・台湾第四原発で呉文通さん楊貴英さんに会う (さとう大)
・台湾における原発推進派の巻き返し (陳威志)             
・英ウェールズ・アングルシー島での原発反対運動に福島から応援団 (大倉純子)
・原発に関するトルコでの報道 (森山拓也)
・東電刑事裁判 ― 驚くべき新事実も次々明らかに (佐藤和良)
・東海第二原発の20年運転延長を認めない!~首都圏連絡会のとりくみ~
埼玉県議会の意見書に抗議する県民のとりくみ (白田真希)
・島根原発3号機「新規稼働」申請と周辺自治体の権限を考える (水藤周三)
・ほろのべ 核のゴミを考える全国交流会 報告 (衛藤英二)

年6回発行です。購読料(年2000円)
見本誌を無料で送ります。事務局へ連絡ください
sdaisukeアットマークrice.ocn.ne.jp

*************************
★本『原発をとめるアジアの人々』推薦文:広瀬隆・斎藤貴男・小出裕章・海渡雄一・伴英幸・河合弘之・鎌仲ひとみ・ミサオ・レッドウルフ・鎌田慧・満田夏花http://www.nonukesasiaforum.org/jp/136f.htm

*************************
★『ノーニュークス・アジアフォーラム(1993~2016)全記録DVD』
PDF 4996ページ
・インドネシア・台湾への原発輸出反対運動の記録他
・国別目次をクリックすると記事に飛べます

■ ノーニュークス・アジアフォーラム通信(No.1~144)
■ ストップ原発輸出キャペーン通信
■ 第1回NNAF報告集(全国28ヶ所で集会。高木仁三郎・藤田祐幸・金源植など各国からの発言)
■ 神戸・環太平洋反原子力会議報告集
■ 第8回NNAF報告集

定価10000円 (NNAFJ会員価格3000円)送料共
事務局にお申し込みください → sdaisukeアットマークrice.ocn.ne.jp

*************************
★NNAF通信・国別主要掲載記事一覧(No.1~153) https://nonukesasiaforum.org/japan/article_list01