「コリ2号機閉鎖! 老朽原発寿命延長反対! 6.18全国脱核行動 宣言文」「脱核新聞・創刊100号へのメッセージ」

      40年稼働した核発電所 「もうやめたい、休みたい」
    コリ2号 (点滴)ユン・ソギョル政府  脱核新聞100号より 

韓国では、2023年コリ2号、24年コリ3号、25年コリ4号、ハンビッ1号、26年ハンビッ2号、ウォルソン2号、27年ハヌル1号、ウォルソン3号、28年ハヌル2号、29年ウォルソン4号、計10基が設計寿命を迎えるが、新大統領は寿命延長するとしている。

6月18日、釜山駅前広場で、「コリ2号機閉鎖! 老朽原発寿命延長反対! 6.18全国脱核行動」が開催された。コロナウイルスまん延のなか、400人が参加した。集会を終えた参加者たちは釜山駅から光復路までデモ行進した。

コリ2号機閉鎖! 老朽原発寿命延長反対! 6.18全国脱核行動 宣言文40年間、お疲れさま。さようなら、コリ2号機!

17年6月18日、5年前の今日は、韓国初の原発であるコリ1号機が永久停止した日だ。40年間稼動してきたコリ1号機の永久停止は、脱核社会と安全な世の中を念願する釜山(プサン)、蔚山(ウルサン)、慶尚南道(キョンサンナムド)の800万市民がともに成し遂げた成果だった。そして5年前の今日、釜山で文在寅前大統領は「安全なエネルギーへの転換を通じて、脱原発時代に進む」と約束した。あれほど熱望してきた核のない安全な世の中に向かって一歩進むかのようだった。

しかし、5年が経った今、尹錫烈(ユン・ソギョル)政府は、「原発強国」という政策を推進している。尹錫烈大統領は候補時代から、原子力産業界の利益だけを代弁し、国民の安全と生命の声には耳を傾けてこなかった。その上、まるで原発が気候危機の解決策であるかのように主張し、経済成長だけを掲げ、気候危機を正義的な方法で解決する意志がないことを端的に表わしている。

その中でも、2030年以前に設計寿命が満了する老朽原発10基の寿命延長は、国民の不安と安全を全く考えない計画だ。釜山のコリ2号機は、ユン政府が推進する老朽原発寿命延長の最初の対象だが、寿命延長ではなく永久停止して廃炉を進めなければならない。40年の寿命を守って稼動を停止し、来年4月には安全に廃炉するのが当然だ。今日、全国から集まった私たちは、老朽原発の寿命延長に反対し、コリ2号機の閉鎖を促そうと思う。

4月4日、韓国水力原子力(以下、韓水原)はコリ2号機の定期的安全性評価書を原子力安全委員会に提出し、本格的なコリ2号機の寿命延長手続きに突入した。しかし、その始まりから手続き上の違法性が明らかになった。本来は、設計寿命が満了する2年前に定期的安全性評価書を提出しなければならないが、韓水原は期限に1年も遅れて提出したのだ。

それだけでなく、コリ2号機の寿命延長は、安全性も経済性も担保できない。

コリ2号機は、1983年に稼動が始まって以来、計29件の故障が発生し、台風や豪雨のような自然災害によって原子炉停止などの事故が発生した。さる6月3日には、コリ2号機の内部遮断器で火災が発生し、自動停止した。

このように老朽化した原発の安全性を確保するためには、最新技術基準を適用し、設備を改善しなければならない。これには莫大な費用がかかるため、原発が他のエネルギー源より経済性があるという主張は事実とは異なる。

また、原発の寿命を延長すれば、使用済み核燃料すなわち高レベル核廃棄物もさらに増える。現在、コリ原発の使用済み核燃料はすでに約85%が飽和し、2031年には完全に飽和する見通しだ。全国24基の原発で毎年750トンの高レベル核廃棄物が発生しているが、これをどこでどのように処理すればいいのか対策も立っていない。

政府は、高レベル核廃棄物(使用済み核燃料)を原発敷地内に(乾式)貯蔵し、原発最大密集地域であるこの地域を核廃棄場にするという計画を持っているだけだ。これさえも市民社会と地域住民を排除したまま非民主的に決定され、進められている。原発最大密集地域である釜山、蔚山、慶尚道だけでなく霊光(ヨングァン)、蔚珍(ウルチン)のような原発立地地域を永久的な核廃棄場にするというユン政府の試みを決して容認してはならない。

原発現地の住民たちは数十年間、原発事故の危険の中で暮らしながら、放射能による健康被害を受けている。危なかしく密集している大規模原発で電気を生産し、他の地域、とくに首都圏に送電するために、超高圧送電塔が立てられ、村と共同体を破壊した。今後は、原発地域が高レベル核廃棄物の貯蔵場になるかも知れないという不安の中で闘っていかなければならない。さらに台風や洪水や山火事のような気候災害は原発の安全も脅かしている。

このように危険で不平等で非民主的なエネルギー生産の構造を変えていかなければならない。老朽原発の寿命延長ではなく、再生エネルギーの拡大と、安全で正義の転換を始めなければならない。40年間稼動した古い原発を再利用するという政策ではなく、高レベル核廃棄物に対するきちんとした対策づくりを進めなければならない。

コリ1号機が永久停止した5年前の今日のように、来年4月8日は、コリ2号機が稼動を停止する日にならなければならない。

今日この場に集まった私たちは、コリ2号機の閉鎖と老朽原発の寿命延長禁止、そして正義のエネルギー転換に向けて、共に力を合わせて連帯していく。

ユン・ソギョル政府は

老朽化した原発の寿命延長を禁止せよ!

コリ2号機の閉鎖を決めろ!

原発振興政策を直ちに廃棄せよ!

安全と正義のエネルギー転換を約束せよ!

2022年6月18日
コリ2号機閉鎖を促す釜山市民行動、脱核市民行動、気候危機非常行動、宗教環境会議、脱核慶南市民行動、脱核釜山市民連帯、脱核蔚山市民共同行動、韓日反核平和連帯


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【脱核新聞・創刊100号へのメッセージ】 「韓日脱核連帯しよう、原発寿命延長をとめよう」 反核アジアフォーラム日本事務局・佐藤大介 (脱核新聞22年6月号より)

2012年から脱核新聞を毎号読んでいます。韓国各地の運動状況を知ることができます。 毎月編集して発行するのは大変ですが、脱核新聞は脱核勝利の必要条件の一つだと思います。

反核アジアフォーラム通信(隔月)に、いつも脱核新聞の記事から、日本語訳を掲載しています。

女性たちが立ち上がると運動は広がるし、強くなります。チェルノブイリ事故以後、世界中がそうでした。韓国公害追放運動連合の女性たちが1988年に訪日して私たちと交流したときから、韓国と日本の脱核運動の「行ったり来たり」が始まりました。翌89年、日本でもヨングァン3・4号機建設反対署名を集めて韓国に届けました。

「推進派は活発に国際連帯をしているので、反対派も国際連帯しなければならない」と、韓国側から提案を受け、1993年に第1回反核アジアフォーラムを日本で開催しました。8カ国30人が九州・四国など7コースに分かれ、原発現地など全国28カ所で集会を開きました。翌94年の第2回フォーラムは韓国で開催され、日本からは36人が参加しました。ヨングァン、コリ、ウルチンなどで住民たちとともに集会とデモを行いました。第9回フォーラム(2001年)ではウルサンなどでデモ、第15回(2012年)ではサムチョクとヨンドクでデモをしました。第20回は2020年に韓国で行われる予定でしたが、コロナウイルスにより延期となりました。反核アジアフォーラムは各国持ち回りで、台湾、インドネシア、フィリピン、タイ、インドでも行われてきました。

フォーラムのとき以外にも、これまで多くの韓日の人々が交流してきました。クロプ島・トクチョク島核廃棄場建設反対闘争(95年)、ヨングァン5・6号機建設反対闘争(96年)などに、日本から多くの活動家が応援参加してきました。プアン核廃棄場反対闘争(2003~04年)のときには新潟県の仲間も参加し、「巻原発建設反対・自主住民投票」の経験を伝えました。プアン闘争は「みんなが主人公」のすばらしい闘争でした。学ぶところが実に多いです。日本の多くの学者も韓国で講演しました。「核発電と日本(日本と原発)」などの映画も韓国で上映されました。

韓国からも、とくに福島事故以後、現地をふくめ多くの活動家が来日して交流してきました。

21年1月と2月、福島汚染水海洋放出反対「韓日ズーム集会」に、それぞれ150人、200人が参加し、韓日共同声明を発表しました。その後、汚染水海洋放出反対の国際署名(110ヵ国8万人)を集め、国際同時行動が行われました。

第2回フォーラム以来のキム・ボンニョさんや、小原つなきさんほか、これまで通訳してくれた方々に本当に感謝します。

日本で2030年までに40年の寿命を迎える原発は計11基です。そのうち4機は現在稼働中で、7機は10年以上稼働を停止しています。それぞれの現地住民と都市の人々が連携して、集会、デモ、署名、裁判などで、「老朽原発うごかすな」「再稼働反対」の運動を展開しています。

老朽化した原発の寿命延長は、日本と韓国をはじめ世界各国で2020年代の最大の課題です。これを止めなければ、どこかで必ずチェルノブイリや福島のような事故がくり返されるでしょう。

原発の寿命延長は、日本と韓国で連動しています。互いに影響し合います。韓日の原子力マフィアは連携しています。

私たち韓日の脱核運動は、互いに学びあい、励ましあいましょう。新規原発を稼動させず6基の原発の寿命延長をせず2025年に原発ゼロを実現する台湾に続きましょう。少しでも早く「原発」時代を終わらせましょう。

원문 原文:https://www.nonukesnews.kr/news/articleView.html?idxno=10079

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信176号(6月20日発行、B5-24p)もくじ

・韓国:コリ2号機閉鎖! 老朽原発寿命延長反対! 6.18全国脱核行動 宣言文

・脱核新聞・創刊100号へのメッセージ(佐藤大介)

・フィリピン:私たちは、二度、バカにされるのか?(Nukes Coal-Free Bataan)

・バターン原発は電力危機を解決しない(AGHAM)

・タイ:地元団体はオンカラック研究炉建設に反対(バンコクポスト)

・ロスアトムとの協力をやめよう -ロシアへの制裁のなかでの原子力-(エコ・ディフェンス)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2616

・理解と合意なき汚染水海洋放出設備工事の中止を!(大河原さき)

・「311子ども甲状腺がん裁判」第1回口頭弁論・原告意見陳述(原告2さん)

・311子ども甲状腺がん訴訟第1回期日(中野宏典)

・泊原発に差し止め判決、すみやかに廃炉を(川原茂雄)

・川内原発20年延長阻止へ、意見広告運動に協力を(向原祥隆)

・老朽美浜3号機の再稼働を許すな(宮下正一)

・5.29「原発のない明日を -老朽原発このまま廃炉!大集会 in おおさか-」に 2100 人、美浜3号機再稼働阻止に向けてさらに前進を(木原壯林) 

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisukeアットrice.ocn.ne.jp

ロスアトムとの協力をやめよう ーロシアへの制裁のなかでの原子力ー

エコ・ディフェンス  5月27日

 エコ・ディフェンスはロシアの環境保護団体。2014年にロシア政府によって「外国エージェント(代理人)」のレッテルをはられ、以降、政府の攻撃の標的となり、多額の罰金を科されるなど圧迫を受けてきました。今回、勇気ある文章を発表しました。抜粋を掲載します(原文では、スウェーデン、チェコ、ドイツ、フィンランド、フランス、ハンガリー、スロバキア、ブルガリア、エジプトなどの状況の記述もあります)。

ロスアトムはロシア国営原子力企業だが、2月24日のロシアのウクライナ侵攻後、直接的には制裁の対象になっていない。約350社の複合企業であるロスアトムは、原発等を輸出して毎年数十億ドルを稼いでいる。諸国は、ロシアのガス、石油、石炭の輸入に対して課している制裁措置と同様に、ロスアトムとの契約を解消すべきである。

ロスアトムは、海外で受注した35の原発を建設(または計画)しているが、そのほとんどが、ロシア国家からの極めて手厚い資金援助がなければ、建設が不可能な国々である。ロスアトムの役割は、政治的な道具のようなものである。

ベンダー(製造元)固有の技術は、ベンダー固有の燃料とメンテナンスへの依存を生み出し、ガス配送と同じように、ロシアはこの依存関係を政治的影響力の武器として行使している。国庫を自由に使い、ロシア大統領自身が外国の指導者との会談で交渉することで、ロスアトムは、エジプトやバングラデシュのような貧しい顧客のために安いローンを提供する。これが、西側諸国の主要なライバルに対するロスアトムの競争力である。

欧州では今のところ、ハンガリー、スロバキア、チェコ、フィンランド、ウクライナで稼働しているVVER(ロシア型加圧水型炉)に、ロスアトム傘下の核燃料製造会社TVELが核燃料を供給している。

トルコでは、ロスアトムがアックユにVVER1200(加圧水型、120万kW)を、4基同時に建設中である。ロスアトムが、建設資金を提供し、完成したプラントを所有し、生産されたエネルギーを固定価格で販売する、いわゆるBOO(Build Operate and Own)方式で実施されている。コスト試算は200億ドルから最大250億ドルである。

1号機の運転開始は2023年に予定されている。しかし今、アックユ原発建設の資金調達が問題視されている。

インドのクダンクラム原発では、すでに1・2号機が稼働中で、3~6号機、4基のVVER1000の建設が進行中である。2022年4月現在、3号機では原子炉圧力容器が設置され、昨年12月には6号機の原子炉建屋の最初のコンクリート打設が行われた。

他の国のプロジェクトと同様、建設はロシアの融資で支援されている。2019年時点で、3号機と4号機の総工費64億ドルの見積もりのうち34億ドル、および、5号機と6号機の50億ドル超の費用の大部分をカバーする42億ドルが信用供与されることになっている。

ロシアのウクライナ侵攻が始まってから3ヶ月の間に、ロスアトムとの提携がいくつか解消された。

ロスアトムはフィンランドのハンヒキビ原発の建設契約を失い、スウェーデンの電力会社バッテンフォールはロシアからの核燃料の追加納入を拒否、チェコも同様で、多国籍企業ウレンコとフランスのオラノ(旧称アレヴァ)も協力を解消した。

欧州委員会の後押しを受けて、多くの欧州諸国が、ロスアトム傘下の核燃料製造会社TVELと決別し、ウェスチングハウス社の核燃料に切り替える道を進んでおり、これが実現すれば、TVELの欧州核燃料市場での存在感はほぼ消滅することになる。

ロスアトムの主要プロジェクト、つまり海外で原発建設を請け負っているプロジェクトは、長期的には苦境に立たされる可能性が高い。その理由の一つは、ロシアの銀行に対する制裁措置により、ロスアトムが建設資金を調達したり、ロシアが原子炉購入の顧客に約束した融資を継続する能力が著しく損なわれる可能性があることである。もうひとつは、同じ制裁措置によって、建設に参加する協力事業者への支払い能力が損なわれる可能性があることだ。トルコ、インド、エジプトはいずれ、こうした混乱が、自国内で建設中のロシアの原発の進捗に影響を与えることになるかもしれない。

原発の建設や核燃料の取引を通じてロスアトムに関与している企業(ゼネラルエレクトリック、EDF、シーメンス、韓国水力原子力など)は、すでにロスアトムとの関係を絶った企業に加わらなければならない。

戦争は毎日多くの人命を奪っている。

世界はこれ以上、原子力を必要としていないのだ。

着色:ロスアトムが何らかのプロジェクトを実施している国。19年末までで74か国と政府間協定を締結。うち20か国は、原子力施設建設のための協定。

original : https://ecdru.files.wordpress.com/2022/05/shunningrosatom-v1.pdf

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信176号(6月20日発行、B5-24p)もくじ

・韓国:コリ2号機閉鎖! 老朽原発寿命延長反対! 6.18全国脱核行動 宣言文
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2621

・脱核新聞・創刊100号へのメッセージ(佐藤大介)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2621

・フィリピン:私たちは、二度、バカにされるのか?(Nukes Coal-Free Bataan)

・バターン原発は電力危機を解決しない(AGHAM)

・タイ:地元団体はオンカラック研究炉建設に反対(バンコクポスト)

・ロスアトムとの協力をやめよう -ロシアへの制裁のなかでの原子力-(エコ・ディフェンス)

・理解と合意なき汚染水海洋放出設備工事の中止を!(大河原さき)

・「311子ども甲状腺がん裁判」第1回口頭弁論・原告意見陳述(原告2さん)

・311子ども甲状腺がん訴訟第1回期日(中野宏典)

・泊原発に差し止め判決、すみやかに廃炉を(川原茂雄)

・川内原発20年延長阻止へ、意見広告運動に協力を(向原祥隆)

・老朽美浜3号機の再稼働を許すな(宮下正一)

・5.29「原発のない明日を -老朽原発このまま廃炉!大集会 in おおさか-」に 2100 人、美浜3号機再稼働阻止に向けてさらに前進を(木原壯林) 

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisukeアットrice.ocn.ne.jp