全羅南道の霊光(ヨングァン)郡にあるハンビッ原発1号機で5月10日に起きた出力急上昇事故に対して、脱核市民行動(準)が22日に記者会見を行ない、下記の声明を発表した。
制御棒の制御能力を測定するための試験中、原子炉の出力が制限値の5%を超えて18%にまで急上昇した。事故の対応や情報公開が遅れたことが問題になっている。
【声明】 原発事業者の安全への無感覚と「事なかれ主義」が起こした
ハンビッ1号機原子炉出力急上昇事故 今すぐ廃炉せよ
5月10日に霊光(ハンビッ)1号機で起きた原子炉出力急上昇事故が衝撃を与えている。幸いなことに大きな事故にはつながらなかったが、韓国の原発でも故障や人的ミスによって大きな事故が発生する可能性があることが浮き彫りになった。また、こうした危険な状況に対処する一連の過程において、安全に無頓着な風潮が蔓延していることも明らかになった。つまり、原発の運営管理が市民の安全を優先するよりも事業者である㈱韓国水力原子力の利益と判断を優先していることが明白になった。
原子力安全委員会は、この事故により史上初めて特別司法警察官を投入し、霊光(ハンビッ)1号機の使用停止を命令した。しかし、事件の正確な原因と状況はいまだ解明されておらず、疑惑はむしろ深まっている。試験稼動の運営指針に定められている数値(5%)を超えて原子炉熱出力が発生、緊急に停止措置を施さなければならなかったにもかかわらず、どうして12時間がすぎてようやく手動で停止させたのか、きちんとした解明が行なわれていない。
これまで明らかになったことは、事件発生から5時間30分後に原子力安全技術院の事故調査団が現場に到着するまでの間、熱出力が18%まで急上昇したにもかかわらず、その報告さえも行なわれなかったということだ。また、原子力安全委員会が問題を把握し措置を施すのに時間がかかりすぎたのはなぜなのかについて徹底して解明されなければならない。
そのうえ、今回の事件が無免許の作業者が制御棒を操作したことで発生したということも衝撃的だ。自動車でさえも免許なしに運転できないのに、市民の安全と直結する原発の運営を無資格者が操作すること自体が、㈱韓国水力原子力の安全への無感覚と「事なかれ主義」を露呈している。
今回の事件に対して、徹底した真相調査と責任者究明などの再発防止対策が必要だ。大きな事故につながらなかったのを理由に、あいまいな責任逃れ用の対策発表など聞きたくもない。これまで霊光1号機では、格納容器の鉄板とコンクリートに穴が見つかったうえに、今年に入って1月と3月に火災が発生するなど、絶え間なく地域住民と市民を不安にしている。国民がいつまでこうした状況をがまんできるというのだろうか。不安で危険な原発は、これ以上無責任に稼動せず廃止にするのが最善の再発防止対策であることを、理解しなければならない。
2019年 5月 22日
脱核市民行動(準)
(キリスト教環境連帯、緑色党、緑色連合、大田脱核希望、仏教生態コンテンツ研究所、仏教環境連帯、市民放射能監視センター、エネルギー気候政策研究所、エネルギー正義行動、霊光核発電所安全性確保のための共同行動、正義党、脱核慶州市民共同行動、脱核エネルギー転換全北連帯、済州脱核道民行動、参与連帯、天主教イエス会社会使徒職委員会、韓国YWCA連合会、ハンサルリム連合、核のない世界のための高敞郡民行動、核のない世界光州全南行動、環境運動連合)
(ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.158より)
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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信158号(6月20日発行、B5-24p)もくじ
・インラサラ氏 初来沖・来日に向けて (吉井美知子)
・ノーニュークス・アジアフォーラム2019 in台湾 ― 開催のお知らせ ―
・427廃核デモ (台湾環境保護連盟)
・台湾、来年も国民投票? 原発推進の揺り戻しと脱原発の秘策とは?
(満田夏花)
・(韓国)ハンビッ1号機原子炉出力急上昇事故 今すぐ廃炉せよ
(脱核市民行動(準))
・(トルコ)シノップに原発反対派の新市長 反原発集会を開催 (森山拓也)
・「シノップの娘」 (佐藤真紀)
・東海第2原発と県民投票 (曽我日出夫)
・日本原電・東海第二原発の現状と問題点 (披田信一郎)
・学習会・外国人労働者と被ばく労働 (片岡遼平)
・現在運転中の原発はテロ対策だけでなく「免震重要棟」もない (小坂正則)
・市民放射能測定所から、「放射線副読本」回収へのとりくみ (田中陽介)
・「脱原発の運動史 -チェルノブイリ、福島、そしてこれから-」紹介
(小木曾茂子)
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