フィリピンおよびアジアの原発推進政策に対する、市民社会団体と地域団体の共同声明

「原発は極めて危険で、地域社会に対して不公正で、環境を破壊する」
フィリピンおよびアジアの原発推進政策に対する、市民社会団体と地域団体の共同声明

NNAF 2026フィリピン組織委員会 5月21日

ADB(アジア開発銀行)への抗議行動、6月10日マニラ

現在、世界は深刻な気候危機に直面している。世界気象機関(WMO)の最新データによれば、2025年は観測史上2番目に暑い年であった。同報告は、この大規模な環境破壊が人々の移住を引き起こし、食料システムを混乱させる可能性があるとしている。アジアは気候変動の影響に対して最も脆弱な地域の一つであり、フィリピンは東南アジアの中で気候災害への曝露度と脆弱性が最も高い国とされている。そのため、多くの団体が、化石燃料依存から脱却し、緩和および適応策を強化するためのエネルギーシステムの構造的転換を求めている。

一方で、アジアでは近年、気候危機およびエネルギー安全保障危機の解決策として原発への関心が再燃しており、「原発競争」を加速させている。この競争は、関係政府だけでなく、利益を得る大企業によって資金提供されている。世界銀行やアジア開発銀行のような主要な公的金融機関は、「原発融資禁止方針」を撤回した。

フィリピン政府も、原発推進に向けた重要な措置を講じている。2023年のエネルギー省令DO2016-10-0013によるフィリピン原発計画実施機関(NEPIO)の設立、および2025年に成立した国家原子力安全法(フィルアトム法)による原子力規制機関の創設と原発開発の手続き整備などである。

原発候補地

こうした原発開発への動きに対し、フィリピンの地域住民、市民社会団体、民衆団体、運動団体、人権擁護者、環境保護活動家による広範な連合は強く反対する。

原発は極めて危険であり、地域社会に対して不公正であり、環境破壊的である。われわれは、フィリピン国民の税金が、安全とエネルギー保障を賭けた危険な賭博に使われることを拒否する。また、地域社会の安全と健康を犠牲にすることも拒否する。

第一に、原発の歴史は、すでに最悪の悲劇によって刻まれている。チェルノブイリおよび福島第一原発事故のような災害は、フィリピンでも起こり得る。なぜなら、フィリピンは環太平洋火山帯に位置し、地震、津波、火山のリスクを抱えているからである。さらに、気候変動によって大型台風や洪水が激甚化しており、原発のシステムに損害を与える危険がある。加えて、迅速な避難や国家非常事態時の効果的な連携など、防災対応能力の強化も課題である。

第二に、原発は電力不足への即効的解決策ではない。原発は極めて高額であり、建設から運転開始まで9~11年以上を要する。エネルギー危機を迅速に解決するどころか、限られた国家資金が、再生可能エネルギーのようにより迅速かつ現実的な解決策ではなく、長期的な原発建設に投入される危険がある。実際には、フィリピンは約8億kWの再生可能エネルギー潜在力を有している。

第三に、原発は、ウラン採掘、燃料加工、国際供給網への依存という点で、化石燃料と類似したリスクを伴う。また、核廃棄物の長期処分については、「受け入れ可能」な解決策はいまだ存在せず、環境および安全上の危険は依然として重大な懸念である。

第四に、原発への資金投入は、政府債務や政府保証によって賄われる場合、国民に重い負担を強いる。バターン原発はその典型例であり、フィリピン国民は危険で未使用のインフラに対して数十億ドルを支払わされた。このような高額事業のために、保健、教育、より安価なエネルギーシステムといった重要分野への予算が削減される可能性がある。さらに、建設費の超過や投資回収までの長期間が問題を悪化させる。国民負担は建設費にとどまらない。福島事故では、原発所有企業に責任を取らせるのではなく、日本政府が税金によって事実上救済したことが示された。

第五に、原発推進には統治および企業支配の問題が存在する。フィリピンが深刻な腐敗問題を抱えていることは周知の事実である。洪水対策事業をめぐる汚職によって、インフラ不備、粗悪資材、調達腐敗、技術専門性を欠く政治任命、規制の脆弱さなどが明らかになった。巨大企業や政治エリートが原発部門に過度な影響力を行使すれば、利益と権力のために公共の安全が軽視される危険がある。保守、検査、安全基準におけるわずかな妥協でさえ、大規模災害や長期的な健康・環境被害を引き起こし得る。

フィリピンは、小型モジュール炉(SMR)のような新技術の「実験台」にされつつある。SMRはフィリピンの複雑な送電網問題への解決策として宣伝されているが、実際には、Valar Atomicsのような推進企業はアメリカ国内での規制を回避しようとしている。利益のみを追求する外国勢力によって、フィリピンの制度的脆弱性が利用されることは明白である。

第六に、原発はしばしば世界の超大国およびその同盟国の利害と結びついている。現在、フィリピンは主として、原発、インフラ整備、規制に関する技術的指導について、アメリカに依存しており、さらにカナダ、韓国、日本などの同盟国からも支援を受けている。地域における地政学的緊張が激化する中で、エネルギー問題を利用して、外国勢力の拡大する対立や影響力の中に、フィリピンを巻き込むべきではない。

最後に、原発は、フィリピンの脱炭素目標を推進するための誤った解決策である。前述の通り、原発は極めて高コストであり、建設に長い時間を要し、さらにフィリピンの自然条件を考えれば危険である。太陽光や風力などの再生可能エネルギーが、より安価かつ迅速に導入可能となっている現在、原発はもはや脱炭素化やエネルギー転換の主要な選択肢ではない。

これらの問題を踏まえ、私たちの要求は明確である。

政府に対して:バターン原発の復活計画、新規原発および小型モジュール炉(SMR)の建設を含む、すべての原発計画、協定、公的資金投入を中止せよ。十分な透明性、公衆参加、独立した審査を欠いたまま原発開発を加速させる政策を撤回せよ。そして、真のエネルギー安全保障とエネルギー民主主義を実現するために、太陽光や風力などの安全で迅速かつ公正な再生可能エネルギーシステム、および地域主導型のエネルギー解決策に国家資源を集中せよ。

公的銀行および多国間開発銀行に対して:国をさらなる債務と危険に陥れるだけの原発計画への融資、資金提供、政府保証の供与を中止せよ。その代わりに、より安価で迅速に実施可能な再生可能エネルギー、気候変動適応策、分散型エネルギーシステムへの支援を優先せよ。

地方自治体に対して:とくに地震、火山、津波、その他の災害リスクが高い地域において、地域を「非核地帯」と宣言する条例や決議を制定せよ。また、エネルギーおよび地域安全に関わるすべての問題について、市民による実質的な協議と参加を保障せよ。

規制当局および公共機関に対して:企業による支配、腐敗、政治的介入を防ぐため、エネルギー分野における完全な透明性、説明責任、独立した規制を確保せよ。巨大企業や外国勢力の利益ではなく、公衆の利益と安全を優先せよ。

国際社会および富裕国に対して:原発問題を、大国の地政学的影響力拡大や利益拡張の手段として利用するな。気候正義と国家主権に基づく、公正で人々中心のエネルギー転換を支援せよ。

気候危機と生活危機が深刻化する中で、原発はフィリピンにとって、公正で安全かつ環境的に健全な道ではない。この高価で危険かつ導入に時間を要する技術に公的資源を注ぎ込むのではなく、政府は、人々と次世代の未来に真に資する、安価で民主的かつ持続可能な再生可能エネルギーシステムへの支援に注力すべきである。

ADB(アジア開発銀行)への抗議行動、6月10日マニラ

老朽化した第三原発の再稼働に反対する合同記者会見

「第三原発再稼働手続きは拙速である。三原則は本気か見せかけか?」
― 原発安全・核廃棄物に解決なし ―
  老朽化した第三原発の再稼働に反対する合同記者会見


地球公民基金会


原子力安全委員会は4月28日、第三原発所在地である屏東県恒春鎮において「第三原発再稼働審査地方説明会」を開催した。

これに対し、第三原発の運転許可期限(40年)はすでに満了しており、設備の老朽化も進んでいるうえ、原発安全・核廃棄物・地域参加の問題も未解決であることから、屏東県の地元住民、屏東県核安全監督委員会委員、および、地球公民基金会、緑色公民行動連盟、台湾環境保護連盟など30の市民団体が、共同で記者会見を開き、第三原発再稼働のリスクと争点に正面から向き合い、三原則(原発の安全性、核廃棄物の解決策、社会的合意)が実現される前に再稼働審査を進めるべきではないと訴えた。

核廃棄物に解決なく、原発安全リスクは高い。恒春に負担を強いるべきではない

瓊麻園城郷文教発展協会名誉理事長の江国樑は、第三原発再稼働には三つの大きな懸念があると述べた。

第一に、核廃棄物問題は「子孫に災禍を残す」ものである。政府はいまだに核廃棄物の最終処分地と処分方法を説明できておらず、核廃棄物問題が未解決であり、再稼働国民投票も否決された以上、これ以上核廃棄物を増やすべきではない。

第二に、第三原発再稼働手続きが進むにつれて、地域が「故郷を売り渡す」ことを強いられるのではないかという懸念である。近ごろ、第三原発再稼働と交付金を結びつける声が多く、再稼働さえ早まれば地域への補助金が増えると主張する者もいる。しかし、住民が背負う原発安全リスクと地域社会の未来は、交付金額だけで測られるべきではなく、住民に「補助金か故郷か」の選択を迫るべきではない。

第三に、老朽化した第三原発が住民を「実験用モルモット」にしてしまうのではないかという懸念である。第三原発はすでに40年間運転しており、設備は老朽化し、地震リスク地域に位置している。恒春半島は細長い地形で、避難経路は一本の主要道路にほぼ限られている。人口と観光客も集中しており、事故が起きた場合、住民や観光客はいったいどこへ避難するのか。いまだ安心できる答えはない。

情報は不透明であり、住民は長年意思決定から排除されてきた

恒春大光里出身の地域文化・教育活動家である龍昶維は、幼少期から実家のそばに第三原発があり、大光に出入りする道路脇からもその姿が見えたと語った。しかし、この原発の実際の運転状況、リスク、政策決定過程について、地域住民は長年ほとんど何も知らされてこなかった。彼は第三原発を「巨大で静かな怪物」と表現し、40年以上恒春の土地に存在しながら、地域住民はその存在を受け入れることしかできず、参加も理解も反応も選択もできなかったと述べた。

龍昶維は、第三原発最大の問題は「二つの不透明さ」であると指摘した。第一に、建設過程が不透明であったこと。第三原発は戒厳令時代の産物であり、地域社会は建設決定に参加できず、初めから受け身の立場に置かれていた。第二に、原発安全情報が不透明であること。地元の子どもたちは台湾電力の展示館に校外学習で訪れるが、伝えられるのは「原発は安全である」という一方的宣伝だけであり、核廃棄物や運転リスクについてはほとんど説明がない。核廃棄物問題が解決しないまま、恒春は再稼働とともに永久に核廃棄物の故郷にされるのではないかと疑問を呈した。

彼は最後に、恒春住民は最前線のリスクを長年負ってきたにもかかわらず、「補助金目当て」「恒春人は原発支持」といったレッテルを貼られてきたと語った。恒春の沈黙は受容を意味するものではなく、第三原発が長年事実を住民から遠ざけてきた結果であるとし、「私は恒春人であり、反原発だ」と強調した。

原発安全は仮定できず、三原則はスローガンであってはならない

緑色公民行動連盟秘書長の崔愫欣は、核エネルギーに「絶対安全」は存在しないと述べた。過去50年の世界の原発史において、三度の重大原発事故が起きており、原発安全は確率や基準だけで判断できない。第三原発が40年間重大事故を起こしていないとしても、それが将来の100%安全を意味するわけではない。真の原発安全は、情報公開、民主的参加、地元住民の十分な理解の上に成り立つものである。

福島事故後、国際社会は安全基準を引き上げたが、台湾はいまだ広域原発災害に対応できる制度を整えていないと指摘した。

再稼働審査は公開透明であるべきだ。市民参加を排除してはならない

地球公民基金会会長の李根政は、台湾は原発ゼロから約1年が経過したが、公式統計では電力予備率は約10%を維持しており、2032年まで電力不足問題はないと述べた。現在の課題は、半導体産業やAI産業による予想以上の電力需要増加と、国際紛争によるエネルギーリスクであるが、原発はその解決策ではない。

原発は高コストであり、建設・再稼働にも長期間を要し、台湾を含む多くの国で核廃棄物の最終処分問題も未解決である。したがって、原子力安全委員会が今後行う再稼働審査では、十分な情報公開と市民が理解できる説明を行い、市民が実質的に議論へ参加できるようにしなければならないと強調した。

第三原発再稼働に反対し、原発三原則を実行せよ

30団体は以下の要求を共同で提出した。

要求一:第三原発再稼働に反対する

地震・複合災害リスクは依然高く、設備も老朽化している。福島事故から15年、教訓はまだ新しい。一度事故が起きれば恒春半島の復旧は困難である。核廃棄物最終処分制度もなく、2025年8月の第三原発再稼働国民投票も否決された。第三原発は再稼働すべきではない。

要求二:再稼働審査を拙速に進めるな

現在の審査は技術官僚主導であり、情報公開も社会的信頼も不足している。原子力安全委員会は透明な審査手続きを保証し、十分な公共参加制度を整え、地域住民の自己決定権を尊重すべきである。

要求三:原発三原則を具体的に実行せよ

第三原発は、原発安全未確立、核廃棄物未解決、社会的対話不足という問題に直面している。与党が掲げる「三原則」が本気なのか見せかけなのか、社会に明確に説明し、具体的手続きと基準を提示すべきである。


市民団体は改めて、第三原発再稼働は公共安全と世代間正義に関わる重大なエネルギー政策であり、単なる行政手続きとして扱うべきではないと強調した。  (抜粋)

共同声明団体:瓊麻園城郷文教発展協会、地球公民基金会、緑色公民行動連盟、主婦連盟環境保護基金会南部事務所、小民参政欧巴桑連盟、社団法人台湾親子共学教育促進会、高雄暖暖蛇国小共学団、台湾人権促進会、台湾緑党、高雄市公民監督公僕連盟、島島ta̍uh-ta̍uh-á高雄育児支援共学団、高雄市輔育人員職業工会、台湾蛮野心足生態協会、媽媽気候行動連盟、社団法人高雄市心家長協会、原住民族青年陣線、環境権保障基金会、台湾環境保護連盟、全球緑人台湾之友会、全国教保産業工会、屏東県幼児托育職業工会、台湾環境資訊協会、環境法律人協会、グリーンピース、社団法人屏東県愛郷協会、社団法人好屏青年協会、林仔辺自然文史保育協会、社団法人社区大学全国促進会

「6.7 原発のない明日を! 全国集会 in おおさか」への、フィリピン・台湾・韓国からの連帯メッセージ

★ フィリピンからの連帯メッセージ

「核のない未来を求める私たちの共通の闘いは国境を越えるものであり、私たちは原発拡大に反対する皆さまと固く連帯しています」

  デレク・カベ(非核バターン運動/Nuclear Free Bataan Movement)

非核バターン運動(Nuclear Free Bataan Movement)および、バターンの民衆より、連帯のご挨拶を送ります。

私たちは、日本政府による原発拡大政策に反対する大阪・全国集会に、強く連帯し支持を表明します。原発は、核エネルギーの害から自由な持続可能な社会を築くという私たちの理念と相容れないからです。

今年は、1985年6月18日から20日にかけて行われた「バターン原発(BNPP)反対・民衆ストライキ(Welga ng Bayan laban sa BNPP)」から41周年にあたります。当時、およそ3万8千人が抗議行動に立ち上がり、完成した原発を稼働させず、凍結へと追い込みました。この歴史的行動は、現在と未来を危険にさらす怪物を、人々の力によって止めることができることを証明しました。

しかし、私たちの闘いはまだ終わっていません。フィリピンの歴代政権は現在に至るまで、一貫してバターン原発稼働を試み続けています。だからこそ、今こそ団結が最も求められる時です。

私たちの共同の行動は、核ロビイストや企業、推進政府よりも強力です。なぜなら、私たちは、真実と、子どもたちや地球への真摯な思いを持っているからです。

希望は、広大な海や長い距離、国境を超えてつながります。改めて、日本の皆さんに固い連帯を表明します。

ともに、原発を廃炉にしましょう!
原発拡大に反対!
国際連帯万歳!        
       
    写真:バターン原発反対・民衆ストライキ40周年記念集会(昨年6月、バターンにて)

★ 台湾からの連帯メッセージ

「6.7全国集会への連帯メッセージ」

  台湾緑色公民行動連盟

2025年5月17日、台湾で最後に稼働していた第三原発2号機が正式に廃止され、台湾社会が約40年にわたって追求してきた「非核家園(原発のない社会)」という目標がついに実現しました。これは単なるエネルギー政策の転換ではなく、台湾の市民社会が長年積み重ねてきた努力の重要な成果でもあります。

台湾の反原発運動を振り返ると、緑色公民行動連盟は長年にわたり「核電歸零(原発ゼロ)」を訴えてきました。なぜなら、台湾における原発は、単なる発電手段の選択ではなく、権威主義的な統治体制と深く結びついてきたからです。原発の立地決定には民主的な参加が欠如しており、周辺住民は長年にわたってリスクを負わされてきました。また、放射性廃棄物は蘭嶼島に押し付けられ、現地の先住民族に対して長期的な不正義をもたらしてきました。

このため、原発の問題は単なる経済問題ではなく、民主主義、人権、そして環境正義の問題でもあります。

台湾が原発を廃止した後の実際の経験は、「原発がなければ電力不足になる」という主張を覆しました。25年5月18日から26年5月16日までの間、予備電力率が10%を超えた日数は331日以上に達し、原発なしでも台湾が安定した電力供給を維持できることを示しています。

一方で、老朽化した原発の運転延長はさらなるリスクをもたらします。設備の老朽化は故障や事故の可能性を高め、運転期間が長いほど使用済み核燃料も増え続けます。しかし現在に至るまで、世界のどこにも真に安全で社会的合意を得た最終処分方法は存在していません。原発のリスクは発電停止とともに終わるのではなく、将来世代へと引き継がれていきます。

台湾と日本にとって、この問題は特に切実です。両国とも環太平洋火山帯に位置し、地震、津波、活断層の脅威が常に存在します。これらの条件は原発そのものの安全を脅かすだけでなく、放射性廃棄物の最終処分場の選定をさらに困難にしています。原発が残す課題は、数十年、数百年以上にわたる世代間正義の問題です。

したがって、私たちが原発について議論するとき、本当に向き合うべきなのは、原発を使うかどうかだけではなく、どのようなリスクや汚染、そして負担を次の世代に残すのかということです。

私たちはまた、日本がいつの日か非核社会を実現し、より安全で持続可能なアジアのために共に歩めることを願っています。

  写真:原発ゼロ一周年、老朽原発再稼働拒否、放射性廃棄物処分に直面せよ

★ 韓国からの連帯メッセージ

「6.7全国集会への連帯メッセージ」

  韓国・エネルギー正義行動 (Energy Justice Actions)

 3月11日、韓国で「福島原発事故15年・脱核宣言大会」が開催されました。当日、私たちは「福島を記憶し、原発はやめよう」というスローガンを叫びました。安全な原発は存在しないという教訓を胸に、脱核社会へ向かうよう訴える大会でした。

 韓国の李在明政権は、弾劾された尹錫悦政権と同様に、老朽化した原発の寿命延長だけでなく、新規原発の建設も推進しています。気候危機を解決するため、AIとデータセンター産業のため、原発が必要だというのがその理由です。

 しかし、原発は、気候危機への対応のゴールデンタイム(貴重な時間)を無駄にする、汚く、危険で、高価で、しかも遅いエネルギーです。気候危機に対応するために必須の再生可能エネルギーと共存できないシステムでもあります。さらに、原発の近くの住民や、その電気を運ぶ送電線の近くの住民の犠牲によって維持されているエネルギーでもあります。民主主義や分権の価値ではなく、暴力と抑圧の象徴でもあります。

 核産業界は「我が国の原発は安全だ」と言います。しかし、誰が原発の安全を保証できるのでしょうか? また、原発の非民主的な性質は消えません。地域住民と国民の知る権利は、企業の秘密や安全保障のために無視されてきました。寿命延長や新規建設に反対する国民の意見は、非専門家という理由で無視されました。他の地域よりも特に癌患者が多く発生する原発近隣地域の住民のことも、電力の安定供給のために隠されています。

 私たちは知っています。世界的な流れはすでに原発ではなく再生可能エネルギーに傾いているという事実です。「危険」にコストを投じて核廃棄物を抱える暗い世界ではなく、太陽と風で生み出されるクリーンで安全なエネルギーで作る世界が、私たちの望む未来です。 

「原発依存を加速する政権を容認するな」、日本だけでなく韓国でも必要なスローガンです。エネルギー正義行動をはじめとする韓国の脱核運動陣営は、老朽化した原発の寿命延長と新規原発の建設を阻止し、脱核社会を実現するために絶え間なく闘い続けます。

 日本をはじめとするアジアの脱原発のために、常に連帯の手を握り続けます。
「6.7 原発のない明日を!全国集会 in 大阪」の成功を祈ります。

日韓民衆の強固な連帯で、脱原発社会のために闘いましょう

  盈徳(ヨンドク)核施設阻止30km 連帯

日本と韓国は強力な原子力大国です。6月7日、原発への依存を加速させる政権を糾弾する日本の全国集会に、韓国から強固な連帯と闘う意思をお伝えします。

日本の高市政権は、福島原発事故で甚大な被害と災害を経験したにもかかわらず、原発を廃止していません。老朽化した原発の再稼働を拡大し、原発の新設まで検討している状況は非常に危険な選択だと言えます。地震などの自然災害に脆弱な状況にあっても、原発の継続のために使用済み核燃料を保管する方法を模索しています。福島原発事故で発生した核汚染水の投棄量は14~15万トンに上ります。

ここ韓国でも、目も当てられないほど惨憺たる状況です。李在明政権もまた原発振興政策に転換したのです。第4次産業とAI時代のための代替策は原発であり、再生エネルギーだけではまかないきれない、という一方的な結論を出し、尹錫悦の内乱危機の後に就任した李在明政権が、狡猾なやり方で民主主義を後退させつづけています。

約1,400人を対象とした世論調査と、数名の専門家が行った2回の討論会を経て、それが国民の意思だと言いながら、原発の新規建設計画を強行しています。寿命が尽きた原発の寿命延長審査が継続され、尹錫悦内乱政権の原発振興政策をそのまま継承しています。

私たちに訪れるであろう未来は、現在どのような選択をするかによって変えることができます。原発の恐るべき危険性と破壊力を忘れることなく、「ただちの脱原発」のために共にがんばりましょう。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信200号
(26年6月20日発行、B5-28p)もくじ
 

・第22回NNAF inフィリピン・写真集                   

老朽化した第三原発の再稼働に反対する合同記者会見 (台湾・地球公民基金会)

フィリピンおよびアジアの原発推進政策に対する、市民社会団体と地域団体の共同声明  (NNAF 2026フィリピン組織委員会)

・フィリピン・「安価な電力」という幻想の裏側 (松久保肇)

・核のない未来を求める私たちの共通の闘いは国境を越えるものであり、私たちは原発拡大に反対する皆さまと固く連帯しています (非核バターン運動)

・6.7全国集会への連帯メッセージ (台湾・緑色公民行動連盟)

・6.7全国集会への連帯メッセージ (韓国・エネルギー正義行動)

・日韓民衆の強固な連帯で、脱原発社会のために闘いましょう (盈徳核施設阻止30km 連帯)

・6.7「原発のない明日を!全国集会inおおさか ~原発依存を加速する政権ゆるすな~」(6.7全国集会)に雨ニモ負ケズ1100人が結集 (木原壯林)

・小笠原の暮らしに原子力が迫った意味を考える (宮城ジャイアン)

・柏﨑刈羽原発再稼働から新潟県知事選挙まで (小木曽茂子)

・泊原発再稼働を巡る近況と事情 (マシオン恵美香)

・放射能汚染土問題の現在 (和田央子)

・能登に生きるために (落合紅)

・上関町の中間貯蔵施設建設に反対する (衛藤英二)

・一人デモ10年・原発と戦争 (小倉志郎)     

★ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
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台湾と連帯して脱原発をめざす/第二原発・第三原発の再稼働に断固反対する

台湾と連帯して脱原発をめざす(後藤政志)

3月、台湾に招かれ、講演会、記者会見、交流会、シンポジウムが行われ、「東日本大震災・福島原発事故15周年の夕べの祈り」では、ろうそく点灯、黙祷を通して、より安全な未来を祈りました。
以下、概要を報告します。


■ 3月9日「緑色公民行動連盟」主催で、台北市の国立台湾大学・会議センターにて公開講演会が開催された。講演タイトルは「福島原発事故後、私たちは何を学んだか? 技術、制度、責任の観点から日本の原子力政策を検証する」。

具体的には、「無謀な再稼働に走る日本の原子力事業に未来はない ― 台湾と連帯して脱原発をめざす日本の元原発技師」として、1時間半程度講演をした。通訳が入るので、用意した資料は大幅に減らしたが、メディアの取り上げ方から見て基本的な話は十分伝わったと思う。

日本の原発の再稼働状況、福島原発事故の概要と、事故が未だに収束していないこと、福島県ほか周囲の除染されていない林や森は、人が安心して住める場所になるまでは相当な年月がかかること、トリチウム汚染水の海洋放出や、デブリ取り出しの困難さなどを報告した。

その上で、原発事故というものが、どのように進展していくか、そして、それを防ぐことの難しさを、福島原発事故の具体例を上げて解説した。

また、福島原発事故による避難の範囲が平均的に半径30㎞程度であったが、それは、事故の途中で偶然、事故進展を阻止することができたためであり、最悪の事故シナリオでは、半径約200kmから300kmほど汚染が広がる可能性が指摘されていた。

チェルノブイリ原発事故でも、600 km以上も離れた場所に高濃度の汚染が広がっており、台湾や日本のような島国では原発事故の影響の範囲は、国自体が立ちいかなくなるレベルの事故が想定される。

万一事故が発生した時に、個人にとっても国にとっても取りかえしのつかない甚大な影響がある原発は、たとえ少々のメリットがあっても、安全性の観点からみて利用すべきでない技術であると訴えた。日常的にも放射性物質を大量に生成しながら、その核のゴミの処分方法すらない原子力を、電力に使うことなど全く合理的でない。

会場では、日本の状況と原発の被害の大きさについていくつか質疑があった。

■ 3月10日、メディア・インタビュー

福島原発事故と、原発のリスクがどれほど厳しく危険なものであるか、かなり長いインタビューであった。日本におけるインタビューとは比較にならないほど、突っ込んだ話ができたと感じている。後日公開されたテレビ、ラジオ、新聞等の報道からもこのインタビューの持つ意義は大変大きかったと感じている。

■ NGO交流会

この交流会では、中身の濃い討論ができた。私の方からは、原子力事業者が地震のリスクを十分にコントロールできると保証することの難しさについて詳しく話をした。

また、台湾も日本も、福島原発事故以降しばらくの間は、ほぼ脱原発の世論が多数を占めていたと思うが、現時点では政治の側から原発回帰路線が強調されるようになり、老朽化した原発やトラブル続きの状況でも、再稼働への世論が強くなってきているように見える。

しかし、日本において、原子力産業はすでに衰退期に入ってきており、人的にも技術的にも、原発を安全に稼働する力量も、マンパワーも失われてきている。日本では、トラブル(柏崎刈羽原発の制御棒など)への対応や、不正(浜岡原発の地震動策定における耐震偽装)の現状からみて、電力会社はトラブルを解決する姿勢も能力も欠いているため、大規模な事故の発生するリスクが極めて高く、現在、福島原発事故以前の状況に近いと説明した。

大規模な事故を防ぐためにも、原発に対する反対の声を上げることを訴えた。

台湾の人たちとさまざまな意見交換できたことは、大変有意義であった。


■ 3月11日、福島原発事故15周年シンポジウム。新聞記事を元に紹介する。

「全国廃核行動プラットフォームは3月11日、福島原発事故15周年シンポジウムを開催し、後藤政志氏を招いて講演を依頼した。

後藤氏は、福島第一原発の格納容器の設計に携わった経験にふれ、福島では放射性廃水が今後30年間も海洋に放出され続け、これまで想定されていなかった多くの問題が生じる可能性があると述べた。

2024年に日本の能登半島で発生した地震では、道路が閉鎖され、地盤が最大4メートル隆起したと指摘した。この震度は、原発の許容範囲を超えている。

東京電力は福島原発事故の際に、炉心溶融を2か月間否定した。このような認識だけでも、東京電力は原発を運営する資格がないと言える。

さらに、『原発は攻撃に対して極めて脆弱だ』と後藤政志氏は述べた。航空機やミサイルによる攻撃を受けた場合、格納容器が破壊され、内部で火災が発生する可能性があると説明した。使用済み燃料貯蔵プールも非常に脆弱である。後藤氏は、原発の設テキスト ボックス:  計に携わっていた際、電力会社から破壊試験の実施を拒否されたという。

後藤氏は、日本の原発稼働に反対し、台湾が『非核家園』への道を歩み続けることを願っている。

民進党の郭昱晴議員と張雅琳議員も出席し、後藤氏への支持を表明した。張議員は、原発には『安全』『核廃棄物処理』『社会合意』という3つの原則があると強調し、再稼働の問題は理性的に科学的に議論されるべきだと述べた」


■ 東日本大震災および福島原発事故15周年祈祷会(台湾長老教会)

「『福島を忘れるな』と題した分かち合いの会が行われ、日本の原子力専門家である後藤政志氏、環境保護同盟の創設会長である施信民氏が講演を行った。その後、会衆は賛美歌599番「どんな時でも」を歌い、ろうそくに火を灯し、栄光の光の詩篇を歌い、黙祷を捧げた。最後に、済南教会の林世雄長老が十字架を担ぎ、会衆を率いて教会を出て、立法院(国会)を一周し、福島原発事故と地震・津波の犠牲者を追悼した。その様子を下記写真に示す」(これも新聞記事より抜粋した)

このイベントでは、私は福島原発事故を再度起こさないために、お互いに努力すべきであると強く訴えた。

今回の台湾訪問は、多くの人たちとの交流ができ、双方の国で状況をよく見ながら、脱原発の道を探ることの意義を実感できるものでした。関係各位に心から感謝しております。ありがとうございました。

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台湾電力が3月27日、第三原発の再稼働計画を政府の原子力安全委員会に提出した。台電によると、安全審査に伴う検査は1年半~2年かかる。原子力安全委員会の審査通過後に再稼働の可否が判断されることになる。第二原発については、使用済み核燃料の乾式貯蔵施設の完成後に、再稼働に向けて安全検査を行うという。

 以下は、3月21日と26日の全国廃核行動プラットフォームの声明。
(*全国廃核行動プラットフォームは台湾120団体のネットワーク)

第二原発・第三原発の再稼働に断固反対する

全国廃核行動プラットフォーム  3月21日

本日、頼清徳総統は公の場で「経済発展およびAI発展には電力が必要であるため、原発再稼働を検討している。評価の結果、第二原発および第三原発は再稼働の条件を備えている。今月末に再稼働計画が原子力安全委員会に提出される」と述べた。

全国廃核行動プラットフォームは、厳正に声明する。「安全の確保」「核廃棄物の解決」「社会的合意」は、いずれも未解決であり、台湾は国土が狭く人口が密集しているため、原発事故のリスクに耐えられない。したがって、第二原発および第三原発の再稼働には断固反対する。

昨年の第三原発再稼働の国民投票は成立要件に達せず否決とされ、第二原発はすでに廃止措置段階に入っているため、延長に向けての安全審査を行う必要はない。

にもかかわらず、今回の総統発言は、その立場を逸脱しており、再稼働に妥協する姿勢を示すもので、極めて不合理である。

「行政手続」を理由に、第二原発・第三原発の再稼働手続きを先行させ、その後に安全審査を行うという進め方は、政治的圧力によって審査期間が短縮されるのではないかとの疑念を生じさせる。

原発の安全は軽視できるものではなく、反核・推進の立場を問わず、与野党はこの危機に真剣に向き合うべきである。安全審査は形式やスローガンに堕してはならず、このような逆行的な政策は破局的な結果を招くおそれがある。

とくに第三原発は、地質安全およびコストの面で極めて高いリスクを抱えている。

恒春断層が敷地を横断し、原子炉からわずか900メートルの距離にある。1号機の下には断層破砕帯が存在し、2号機は背斜軸上に位置するため、地震時には下方からのせん断破壊を受ける可能性がある。耐震設計は0.4g(約400ガル)にとどまり、台湾電力の最新評価である1.384gを大きく下回っている。冷却系や燃料プールは大地震に耐えられない恐れがある。全面的な耐震補強に必要な工事内容や費用も未だ明らかではない。

延長運転のコストも非常に高い。米国の類似機種では、5年間の延長だけで約3892億元を要し、発電コストは1kWhあたり約4元に達するため、決して低廉な電源ではない。

電力需要についても、「AI対応のため原発が必要」という主張は、RE100を掲げる国際的IT企業が再生可能エネルギーへの投資を原発よりはるかに重視している現実を無視している。また、台湾は原発に依存せずとも、将来のデータセンター電力の大部分を無炭素電力で賄えるとの研究も存在する。

今回の総統発言は不適切であり、過去の公約にも反している。

頼総統自身が言ってきた「安全の確保」「核廃棄物の解決」「社会的合意」という三原則も満たされていない。

与野党の反対意見を無視し、社会的対話の手続きを省略し、民主的議論を欠いている。

長年の民進党の反核方針が、このような軽率な総統発言によって覆されてよいはずがない。

全国廃核行動プラットフォームは、地質リスク、老朽化した設備、核廃棄物問題を理由に、頼総統の一方的な再稼働方針に断固反対する。

老朽原発は再稼働すべきではなく、エネルギー転換を後退させてはならない。

原発再稼働計画に反対する

全国廃核行動プラットフォーム 3月26日

私たちは、第二原発・第三原発の再稼働計画に反対する。原発再稼働は、単なる行政手続ではなく重大な公共政策決定であり、政府は政策責任を負い、核廃棄物の最終処分および原子力安全リスクに正面から答えるべきである。

▶ 緊急対応計画がなければ、「安全」は成り立たない

日本の福島事故と同様に半径30kmの避難を想定した場合、第二原発は北部で約683万人(台北市・新北市・基隆市)に影響し、第三原発も南部(屏東県)で約5万7千人に影響する。現行の半径8km圏内の防災体制では不備が深刻だ。

「核子事故緊急応変法」の早急な改正、緊急対応区域の拡大、さらに行政院による県市長会議の開催、核廃棄物の最終処分および避難計画について協議すべきである。また各自治体首長は、原子力安全をどのように実現するのか明確に表明すべきだ。

台湾は国土が狭く人口密度が高く、原発が都市に近接しているため、緊急対応区域の拡大は不可欠である。とりわけ運転開始から40年を超える老朽原発の再稼働が検討される中で、最低限の対応区域拡大すら行わないのであれば、「原子力安全なくして原発なし」という原則は成り立たない。対応区域の拡大は安全を保証するものではないが、最低限の政治責任である。

法改正後にこそ、政府は省庁横断的な対応体制を整備し、計画強化、訓練拡大、ヨウ素剤配布を進めることができる。これらがなければ、事故発生時に関係機関や住民は準備不足のまま混乱に陥り、被害リスクを増大させることになる。立法院の与野党は、真に原子力安全を重視するのであれば立場を超えて速やかに法改正を行い、緊急対応区域を拡大しなければならない。

▶︎ 核廃棄物はどこに置くのか

原発再稼働の支持者たちは、「リスクは他者が負担する」という前提に立っている可能性があり、原発の影響を直接受ける現地住民に対して不公平である。

世論調査によれば、遠方の原発再稼働には高い賛成があっても、自地域への原発や核廃棄物処分施設の設置には必ずしも賛成していない。

たとえば金門では、遠方の第三原発再稼働への賛成が93%に達する一方で、自地域への原発設置賛成は42%、核廃棄物受け入れ賛成は35%にとどまる。苗栗でも遠方の原発の再稼働賛成は85%だが、自地域への原発設置賛成は約5割、核廃棄物受け入れ賛成は4割未満である。

核廃棄物の最終処分場が決まらないまま再稼働を進めることは、原発現地住民にさらなる負担を強いることに等しい。

原発をめぐる議論には、十分な情報公開、現実的な廃棄物処理の解決策、そして影響を受ける原発現地住民に実質的な拒否権を与える民主的手続が不可欠である。それがなければ、住民にリスクを押し付ける非民主的で無責任なエネルギー政策である。

▶︎ 政府は答えるべきである

全国廃核行動プラットフォームは、原発利用にはその代償と向き合う必要があると強調し、以下の三点を要求する。

  1. 老朽原発の軽率な再稼働に反対すること。重大な政策変更には民主的手続、リスク検証、情報公開が不可欠である。
  2. 政府は「核廃棄物をどこに置くのか」に明確に答え、県市長会議を開催して、核廃棄物の処分と避難計画を協議すること。
  3. 立法院は速やかに「核子事故緊急応変法」を改正し、緊急対応区域を30kmに拡大し、事故対応能力を強化して国民の生命と財産を守ること。


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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信199号
(26年4月20日発行、B5-32p)もくじ
 

・台湾と連帯して脱原発をめざす (後藤政志)

・第二原発・第三原発の再稼働に断固反対する (全国廃核行動プラットフォーム)

・福島核事故15年 脱核宣言大会 (ヨン・ソンロク)

・老朽原発は直ちに止め、SMRは直ちに撤回せよ (「福島核事故15年 プサン市民大会」組織委員会)

・機張、蔚州、慶州、盈徳、原発誘致申請を撤回せよ (ヨン・ソンロク)

・南鳥島での地層処分という“奇策”に潜む様々な問題点 (高野聡)

・東海第二原発差止訴訟 控訴審 第8回口頭弁論・意見陳述 (谷田部裕子)

・県民投票実現のための署名収集 (酒匂宏樹)

・東電柏崎刈羽6号機再稼働、相次ぐトラブル、新潟県内外の動き (大賀あや子)

・新潟県民と原発問題の軌跡                       

・柳井市議会議員選挙の結果と中間貯蔵をめぐる動き (中川隆志)

・〈戦争を想定して〉税金を投じて兵器を買い込みながら、
〈戦争を想定しないで〉原発を放置している論理矛盾 (水戸喜世子)

・チラシで声を拡げ、なし崩しのスソキリ処分を阻止したい (末田一秀)

・「私たちには、核・原発の時代を終わらせ、
平和な世界を創る力があることを思い出しましょう」 (武藤類子)

・「原発のない社会へ・2026びわこ集会」基調報告 (井戸謙一)

・No Nukes Asia Forum in Philippines - 開催のお知らせ      

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SHANTI法による原発推進に反対する SHANTI = So Hell Arrives Now Throughout India

インド国会の下院は、The Sustainable Harnessing and Advancement of Nuclear Energy for Transforming India (SHANTI) Bill 2025(2025年インド変革のための原子力の持続可能な活用と発展法)を12月18日に可決し、20日に立法手続きが完了した。

このSHANTI法は、1962年原子力法と2010年原子力損害民事責任法を廃止し、原子力損害に対する民事責任制度を改正するとともに、民間企業が原発建設に参入できるようにするものだ。

2010年原子力損害民事責任法は、原発事故時の賠償責任を事業者だけでなく、原発供給者(原発メーカー)にも追及できる規定を設けており、フランス・米国・日本などからインドへの原発輸出における最大の障壁となってきた。

SHANTI法による原発推進に反対する

反核運動全国連合(NAAM) 2025年12月16日

[1] この滑稽な自己正当化的逆成語「SHANTI」は、欺瞞的かつ誤解を招くだけでなく、サンスクリット語の「シャーンティ」を「至高の平和」を意味する言葉として大切にしてきたインド国民の感情を著しく侮辱するものである。

このオーウェル的で化粧的な名称は、深い精神的意味を込めて『バガヴァッド・ギーター』の章句の終わりに「シャーンティ、シャーンティ、シャーンティ」と唱えるこの国のヒンドゥー教徒にとって、冒涜的ですらある。

[2] 1962年原子力法および2010年原子力損害民事責任法という、簡潔かつ明確で目的のはっきりした法律を廃止し、民間企業の原発建設・開発への参入を促し、原子力産業への外国直接投資を呼び込むことを狙ったSHANTI法案は、法体系を著しく混乱させ、インド国民を大きく裏切るものとなっている。

[3] SHANTI法案は、一見すると包括的で広範な管理体制を備えているように見えるが、実際には従来どおりの「原子力省の机と椅子」による規制儀式を再生産しているにすぎない。

原子力規制委員会を包括的な監視機関であるかのように見せているが、規制全体が内部処理となり、市民社会はおろか政治社会が関与する余地もほとんど存在しない。霧を晴らすどころか、この「規制」体制はむしろ不透明さを一層深めるものである。

[4] SHANTI法案は、第3章第11条第1項において、「原子力施設の運転者は、原子力事故によって生じた損害について責任を負う」と規定している。輸送や事業者間関係など多くの側面を網羅しているように見える一方で、運転者責任には上限が設けられている。

本法案は、2010年責任法と同様に、「各原子力事故に関する最大責任額は、3億SDR(特別引出権)相当額、または中央政府が通知で定めるそれ以上の額とする」と規定している。15年を経ても責任額の上限が変わらないことは奇妙である。SDRとは、国際通貨基金(IMF)が創設した国際準備資産である。

これは事故1件あたり4億6,000万ドル(約700億円)にすぎない。このような微額な上限を、災害規模にかかわらず設けること自体が、到底容認できず、憤りを覚えるものである。この額は、1984年のボパール化学工場毒ガス流出事故の被害者に支払われた4億7,000万ドルの補償金(著しく過小評価であった)をも下回っている。巨大な原子力災害はボパール事故をはるかに凌駕する可能性があることを考えれば、この責任上限は国民への侮辱に等しい。

補償額が3億SDR(約700億円)を超える場合、中央政府はIAEA主導の「原子力損害補完的補償条約(CSC)」に基づく国際基金を利用できるとされている。しかし、いかなる場合においても、供給者(原発メーカー)責任が追及されることはない。本法案は、補償責任のすべてを運転者に負わせ、供給者を完全に免責している。

運転者が供給者に対して求償権を行使できるのは、書面契約に明記されている場合、または故意による損害発生の場合に限られる。事実上、供給者責任が問われる可能性は皆無に近い。

これは、企業の利益を露骨に擁護し、国民を犠牲にする動きであり、インド憲法第21条で保障された「生命の権利」を侵害するものである。

[5] 原子力救済諮問評議会、原子力損害請求委員会などの新設は、国内における原子力官僚制と文化の支配を一層強める。

原子力省はすでに「聖域」と化しており、言論での反対でさえ国家反逆罪として扱われかねない。いかなる政党や政治指導者も、非国民の烙印を恐れて原子力政策を批判できないのが現状である。

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本法案は、2070年までの脱炭素化と2047年までに原発1億kWを達成するという野心的目標を掲げている。その結果、ウラン鉱山、トリウム採掘、原発群、小型モジュール炉(SMR)、深地層処分場、さらには核兵器に至るまで、原子力化が国土全体に広がることになる。紛争、違反、犯罪、請求と反訴も増大するであろう。

原子力委員会を頂点とする軍産学複合体が支配する社会となり、私たちは原子力化される。

その結果は、共和国の民主的基盤、国民の安全、安心、そして真のシャーンティに深刻な悪影響を及ぼすものである。(抜粋)

SHANTI = So Hell Arrives Now Throughout India   (こうして地獄は今、全インドに到来する)

S.P.ウダヤクマール(反核運動全国連合)

現在、インド原子力発電公社(NPCIL)は、全国7か所で24基の原発を運転しており、設備容量は878万kWである。

現在NPCILは、以下の7基(計610万kW)の原発を建設中である。ラジャスタン原発8号機(70万kW)、クダンクラム原発3・4・5・6号機(ロシア製、各100万kW)、ゴラクプール原発1・2号機(各70万kW)。

インド政府は、国産加圧重水炉(PHWR、70万kW)10基の建設について、以下の地点において、行政承認および財政認可を与えている。カルナータカ州カイガ、ラジャスタン州マヒ・バンスワラ、ハリヤナ州ファテハバード県ゴラクプール、マディヤ・プラデーシュ州マンドラ県チュッカ。

これらすべての計画が段階的に完成すれば、総設備容量は2031~32年までに2198万kWに達する見込みである。さらに政府は、2047年までに原発容量1億kWを達成することを目標としている。

国際協力の下で、大型の輸入軽水炉が、マハーラーシュトラ州ジャイタプールと、アーンドラ・プラデーシュ州コバーダに建設される計画である。また、マディヤ・プラデーシュ州セオニ県キンドライ村、ケララ州カサラゴド県チーメニ村、西ベンガル州プルバ・メディニプール県ハリプール村も、原発建設候補地として検討されている。

SHANTI法が12月20日に成立すると直ちに、アダニ財閥は、ウッタル・プラデーシュ州政府と協議を開始し、同州に20万kW小型モジュール炉(SMR)を8基建設する計画を進めている。国営のバーバ原子力研究センターがSMRの設計・開発を担当し、NPCILが同コンツェルンのために運転を担う予定である。プロジェクト全体は5~6年で完了すると見込まれている。

タタ・グループ、リライアンス・インダストリーズ、JSWグループといった他のインド大手財閥も、原子力分野への参入を狙って競り合っているという。

こうしてインドは、ウラン鉱山、トリウム鉱山、製錬施設、テーリング池、原発、原子力パーク、SMR、AFR(原発外施設)、DGR(深地層処分場)、原子爆弾、水素爆弾など、次々と増殖する「核」によって核武装化されていく。簡潔に言えば、「ここにも核、あそこにも核、どこもかしこも核、核、核」である。

SHANTIの真の意味が、ここに明らかになる。So Hell Arrives Now Throughout India ― こうして地獄は今、全インドに到来するのである。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信198号
(26年2月20日発行、B5-32p)もくじ
 

・ヨングァンでハンビッ1号機「永久停止宣言式」(小原つなき)

・脱核非常時局 宣言文 (韓国・脱核非常時局会議)

・ハンビッ・コリ・ハヌル、すべてで使用済み核燃料貯蔵施設建設を推進 (ヨン・ソンロク)

・声明:原発の再稼働計画に断固反対する (台湾環境保護連盟)

・新型原発の投機的な喧伝に追随するな、SMRは安全な選択肢ではない (緑色公民行動連盟)

・SHANTI法による原発推進に反対する (インド・反核運動全国連合)

・SHANTI = So Hell Arrives Now Throughout India (S.P.ウダヤクマール)

・原発建設が遅延する一方、トルコでは再エネが加速 (森山拓也)

・フィリピン政府が原発計画を発表 (ジゼル・オンベイ)

・原発の是非は「私たち県民が決める」と声をあげれる人を増やしたい (佐々木かんな)

・原発の安全性を無視する中電は、浜岡原発から手を引け (沖基幸)

・基準地震動を捏造した中部電力 (早川しょうこ)

・青森から (中道雅史)

・川内原発・乾式貯蔵施設建設阻止の闘い (杣谷健太)

・「ALPS処理汚染水」と廃炉等についての国・東電と住民との県南説明意見交換会 (片岡輝美)

・「風と光のミライ」で原発と自然エネルギーのファクトを発信 (木村結)

・ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.186~197 主要掲載記事一覧

・No Nukes Asia Forum in Philippines - 開催のお知らせ      

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「世界核被害者フォーラム」 報告、「世界核被害者フォーラム」 広島宣言

「世界核被害者フォーラム」 報告

  井上まり(世界核被害者フォーラム共同代表、核のない世界のためのマンハッタン・プロジェクト) 

2025年は米国の広島と長崎の原爆攻撃から80年を迎えましたが、核利用を進めてきた国々と核産業は、放射能による健康への影響の事実を矮小化あるいは隠蔽し、核の軍事利用あるいは「平和」利用を問わず、世界中に核被害者=ヒバクシャを生み出し続けています。

そのため、核利用の根底的な廃絶とこれ以上ヒバクシャをつくらない世界をめざし、核被害者と支援者の国際的連帯の場を広島で作り出したいという想いから、10月5日と6日に広島市で世界核被害者フォーラムを、核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)さんと共催しました。

世界の核被害を収めたポスター展と、インド・ジャドゥゴダ・ウラン鉱山写真展も同時開催しました。これらの開催にあたり、日本の3つの助成基金、日米の64団体、そして約560名の日米の方々からご支援と暖かいご声援を、60名以上の有志からご協力をいただきました。登壇者や報道関係者、有志のみなさんを含む参加者数は、10月5日は400名、6日は330名でした。みなさまに心より感謝を申し上げます。

世界核被害者フォーラムでは、核保有国や核産業に対して闘い挑む勇敢な人々を広島にご招聘しました。海外からは録画とメッセージを含む計10か国14名が、日本からは核施設や核被害を受けた地域で活動する人々や専門家など26名が、2日間にわたって発表しました。

10月5日の開会セッションでは、「反核の父」と言われ哲学者で被爆者運動に半生を捧げた森瀧市郎さんの次女で、HANWAとフォーラムの共同代表を務める森瀧春子さんが、「お互いの距離や国境を越えた連帯で、国境なき放射能の拡散に歯止めをかけ、私たちの未来を、人類の存続を、地球を守りましょう」と挨拶をしました。元広島市長の平岡敬さんは歓迎の言葉の中で、「原子力に依存する社会に生きる人々に、核の本当の恐ろしさを知らせるには、その被害を受けている人たち、すなわちヒバクシャが連帯し、心の底からの声を伝えることが重要」だと強調しました。

私の基調提案の後に、金崎由美中国新聞平和メディアセンター長による基調講演がありました。中国新聞は1945年8月6日に広島市の爆心地から900メートルで本社が壊滅し、従業員の3分の1にあたる114人を失った新聞社です。その被害体験から視野を広げ、報道機関としては初めて、軍事、民生を問わずあらゆる核被害者を「ヒバクシャ」と定義し、1989年5月から1年間、134回にわたって「世界のヒバクシャ」を掲載するなど、核問題に長年注目してきました。金崎さんは、「被爆地広島の課題」を語り、中国新聞の記者だった金井利博さんの言葉を引用しながら、「反対すべき目標は、物としての核兵器ではなく、人の組織としての核権力である」と述べました。

日本被団協は、「被爆の実相を語り、核兵器廃絶と原爆被害への国家補償実現を、強く訴えて」いくという決意と、「国民の安全を確保するためには原発ゼロをめざすしかありません」という連帯のメッセージを寄せてくださいました。

【1.広島・長崎原爆被爆】では、被爆者の豊永恵三郎さん、黒い雨第一次訴訟原告団長の高野正明さん、韓国原爆被害者協会会長の李圭烈さん、全国被爆団体二世連絡協議会事務局長の平野克博さん、録画で長崎の被爆体験者訴訟原告団長の岩永千代子さんからの訴えに続いて、原水禁共同議長の金子哲夫さんによる在朝被爆者の問題についてと、被爆者の染色体異常やがん発症などを長年研究されてきた医師で研究者の鎌田七男さんからの発表がありました。

【2.ウラン採掘・精錬・核燃料製造】では、コンゴ民主共和国と米国、インドでの先住民族の土地でのウラン産業の影響について発表がありました。米国のマンハッタン計画による核兵器開発に使用されたウランの3分の2は、ベルギー領コンゴ(現在のコンゴ民主共和国)のシンコロブエ鉱山で採掘されたといわれています。夕方には、コンゴ民主共和国で活動していたゴールデン・ミサビコさん主演のドキュメンタリー映画の上映会と、シュリ・プラカッシュ監督による解説がありました。

2日目の【3.核実験と核植民地主義】では、亡父が高知県室戸のマグロ漁船で働いていたビキニ被ばく船員訴訟原告団長の下本節子さんと、マーシャル諸島出身の家庭に育ったマルシーナ・ラングリーンさんが、核実験の影響について発言しました。放射線医科学者で放射性微粒子に詳しい星正治広島大学名誉教授は、カザフスタンの核実験とウラン鉱山の影響を解説しました。

【4.原発事故・原発労働】では、原発事故被災者で小学校教員の菊池ゆかりさん、市民放射能測定室のネットワーク団体「みんなのデータサイト」の中村奈保子さん、福島第一原発の被曝労働問題に詳しい東京新聞の片山夏子記者、福島原発事故被害から健康と暮らしを守る会アドバイザーでチェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西共同代表の振津かつみ医師、「避難の権利」を求める全国避難者の会共同代表の宇野朗子さんが発表しました。福島県飯舘村原発事故被害者訴訟原告団長の菅野哲さんと、3.11子ども甲状腺がん裁判原告の方、チェルノブイリ核惨事の被曝者で「移住者の会」代表のジャンナ・フィロメンコさんは、録画やメッセージを通して現在も続く影響について訴えました。

【5.核廃棄物の処理・劣化ウラン兵器】では、イラクで劣化ウラン被害者の治療に携わるジャナン・ハッサン医師と、米国の核施設からの影響に苦悩する先住民族のリーダーから録画で報告がありました。「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」事務局長の山田清彦さんは青森県六ケ所村の諸問題を、南アフリカ・ケープタウン在住の環境正義運動家のリディア・ピーターセンさんは現地の核問題を、佐藤真紀さんは劣化ウラン被害者について訴え、アンゲリカ・クラウセン医師は、劣化ウランの健康被害とドイツの脱原発政策を発表しました。

【核被害者である医科学者として】では、ティルマン・ラフ医師がオーストラリアの核実験の影響と、同国の原子力潜水艦と原発導入の最新の動向について解説しました。

【核被害者の権利と補償の確立、核利用の根絶に向けて】では、マーシャル諸島出身のベネティック・カブア・マディソンさんと広島出身のユースの高垣慶太さんを交えて、海外ゲストと議論しました。

最後に、核問題を人権問題としてとらえ、被ばくをしない権利が私たちにはあり、「核と人類は共存できない」ことを確認した「世界核被害者の権利宣言2025」を、広島宣言と共に採択しました。核被害者の権利・補償確立と核廃絶実現に向けて、核被害者の権利宣言として、国際社会及び政府や国会・議会などへの具体的な政策提言に活用されることを期待します。

  *「世界核被害者の権利宣言2025」日本語版・英語訳ダウンロード
   https://mp-nuclear-free.com/Nuclear/2025_WNVF_01.html

被爆者運動や核廃絶運動を牽引してきた被爆者らから学び、核権力による加害の非人道性と違法性、核政策と被ばくの暴力性を社会が認識しなければ、核廃絶は実現しません。

核権力や植民地主義に闘い挑む核被害者たちが他の核被災地と繋がり、支援者と連帯しながら核被害の実態を訴え続けることは重要です。世界の核廃絶運動の中心的な役割を核被害者が担い、核被害者の権利と補償の確立と、核なき未来実現に向けて活動を続けてほしいと切に願います。

世界核被害者フォーラム 広島宣言

2025年 10月 6日

(前文)1. われわれは、ウクライナ戦争、ガザでのジェノサイド、中東危機の中で、核兵器使用や原発などの核施設への攻撃の威嚇が地域戦争の手段とされ、米英政府が劣化ウラン弾をウクライナに供与したりするなど、いま世界は核戦争や更なる核汚染への危機が高まっていることを懸念する。戦争がなくならない限り、核兵器の使用の衝動と核戦争の危険性は高まるばかりである。われわれは、今こそ、核被害者の声を世界に届けるときであると考え、アメリカによる原爆投下80周年に当たる2025年の10月5日から6日に、ここ広島に集った。

2. われわれは、核被害者=ヒバクシャを以下のように定義する。すなわち、原爆の被爆者、核実験の被害者、核物質を使った人体実験の被害者、核の軍事利用と民生利用の別を問わず、ウランの採掘・精錬・濃縮の活動、核の開発・利用・廃棄などの核兵器関連活動と原発・核燃料サイクルの全過程における労働と環境放射能汚染によるヒバクシャ、原発事故被害者、放射性廃棄物の劣化ウランを用いた兵器によるヒバクシャなど、の放射線被曝と放射能汚染による被害者すべてを含む。核時代を終わらせない限り、人類はいつでも核被害者=ヒバクシャになりうることを認識して、核と人類は共存できないことをあらためて確認した。

3. われわれは、ウラン採掘や精錬、核実験、核廃棄物の投棄が、いまも続く植民地支配、差別抑圧の下で行われてきたことを確認した。原発・核燃料サイクル施設の地方への設置と、原発下請け労働者への被ばくの押し付けなど、不平等・差別・抑圧・搾取の社会構造の下に核利用が成り立っていることを確認した。とりわけ、世界中で先住民に対して、先住民を政策決定過程から除外し、先住民族の権利-先祖代々の土地と関連する諸権利を含む-を侵害し、自らの権利や集団の権利を主張すると弾圧し、先住民にとってはジェノサイドになりうる被曝という暴力を強要するという「核植民地主義」の歴史と現状を確認した。環境を放射能で汚染され、人間生活の基盤をも奪われた核被害者を日々増やし続けていることを確認した。

4. われわれは、核被害は、核被害者の健康のみならず、被害者と家族の生活をも脅かし、コミュニティ全体にも及び、社会的、文化的な被害をももたらしていることを確認した。

5. われわれは、核被害が次世代以降の健康にも被害を及ぼす可能性があることを認識した。また、社会的、文化的な被害は、次世代以降にも及んでいることを確認した。そして、核利用によって、人類の歴史よりも長い寿命の核種を含む核廃棄物が「負の遺産」として将来世代に残されてしまったことを確認した。

6. われわれは、核被害が、人類のみならず、環境の放射能汚染によって、人を含む生態系全体に被害を及ぼす可能性を確認した。

7. われわれは、2013 年にオスロ、2014 年にナジャリットとウィーンで開かれた「核兵器の非人道的影響に関する国際会議」の結果として、核兵器爆発が環境、気候、人間の健康、福祉、社会に破滅的な影響をもたらし人類の生存さえ脅かし、対処が不可能であるという認識が国際的に共有されたことを確認した。

8.われわれは、核加害者を以下のように定義する。核武装国をはじめ、核の利⽤により、⼈間の⽣存の基盤を破壊し、⽣き物すべての⽣存を侵害する原因を⽣み出した者、軍産官学複合体やその構成員、およびこれを⽀援する国家、国際原子力機関(IAEA)や国連科学委員会(UNSCEAR)などの国連組織と、原子力推進の立場の科学者による国際放射線防護委員会(ICRP)などのこれまで放射線被曝による被害について過小評価して原発事故などの本当の影響を隠蔽してきた機関、核エネルギー政策を推進した国家および放射能汚染を引き起こした事業者と原発など核施設のメーカーの株主、債権者を含む。われわれは、核加害者が被害者への賠償責任を含めて、加害についての責任を負うことを強く要求する。また、原発輸出やウラン輸入を含む原子力関連産業の推奨・支援・投資は、人権侵害と環境破壊をもたらす危険があることを認識するよう主張する。

9. われわれは、核加害者が核(原子力)産業の利益を擁護するために、放射線被ばくのリスクを過小評価してきた長い歴史に対し、強く批判する。われわれは、核被害者や核被災地および、次世代を含む全ての人々と地球環境を守る立場に寄り添った、放射線リスク評価の採用を求める。次世代への影響については、動物実験などの基礎研究の結果から、人間にも「遺伝的影響は否定できない」「危険性がある」ことは明らかである。また、これ以下なら人体に影響はないという放射線被ばくの「しきい値」が存在せず、いかなる線量であれ後障害の健康リスクがあることを認識した。このことは、例えば、世界の核施設労働者の疫学調査「INWORKS」などで、ますます明らかになっている。内部被ばくは被ばく線量推定が難しいことなどのため、加害者は被ばく健康影響を認めず、無視し、切り捨てようとしていることを認識した。

10.われわれは、2021年1月に核兵器禁止条約が発効し、核兵器の国際法での違法性と、締約国による核被害者の救済と環境回復の義務を定めたことを歓迎する。核兵器禁止条約は、核戦争による非人道性の極みを訴え闘ってきた原爆被爆者、核実験被害者たちの体験と、それを共有する運動の上に成立した。しかし、世界各地の核被害者の救済なくして核廃絶はないという被爆者らの訴えに反し、核被害者を「核兵器の使用もしくは実験」によって影響を受けた者だけであるかのように記述されているため、ウランの採掘、精錬、濃縮から核廃棄物までを含む核兵器関連の全てのヒバクシャ、とりわけ先住民の被害が切り捨てられようとしていることを憂慮する。また、原子力の「平和利用」を奪い得ない権利と定めていることは容認できない。そして、加害者が明記されず、加害責任が明確にされていないことなどの致命的な問題も確認した。このような問題を核被害者とともに、世界の人々の力で正し、核兵器禁止と核被害者支援の世界の運動をより強めていくことが重要だと主張する。

11.われわれは、2024年3月に国際原子力機関(IAEA)主導の第1回原子力サミットが開催され、非原発保有国を含む32カ国が原発推進に向けて協力することを宣言したこと、さらに、世界中の原子力ムラが気候変動枠組条約締約国会議において原子力は気候危機の解決策であると喧伝していること、また、核武装国であるアメリカや核実験被害国であるカザフスタンなどでウラン採掘などが活発になっていること、またさらに、ウラン濃縮を含む原子力技術を希求するグローバルサウスの国が増えていることを憂慮する。われわれは、原子炉からの使用済み核燃料に、核兵器に転用可能なプルトニウムなどの核物質が含まれており、テロや盗難、核拡散のリスクがあること、さらに原子力技術の軍事転用の可能性があることも懸念する。

12.われわれは、2023年8月24日から開始された東京電力の福島第一原子力発電所からの放射性核種を含む汚染水(放射性廃水)の太平洋への放出が、少なくとも次の30年も続くことについて、予防原則に基づき、即時の放出停止を求める。放射性廃水の海洋放出は、太平洋を共有する全ての人々、とりわけ日本の漁業者及び太平洋諸島に暮らす多くの先住民の健康・生活・文化への権利を侵害するものである。

13.われわれは、東京原爆訴訟判決(1963年12月)が米軍の原爆投下は国際法違反と認定したこと、国際司法裁判所が「厳格かつ実効的な国際管理のもとで、全面的な核軍縮に向けた交渉を誠実に行い、その交渉を完結させる義務がある」と勧告的意見(1996 年7月)を表明したことを認識している。この勧告的意見に基づき、2014 年4 月、核実験の被害を受けたマーシャル諸島の人々の政府が、国際司法裁判所に9つの核武装国に対して提訴したが、2016年10月に訴えが退けられたことは非常に遺憾である。その後も、マーシャル諸島の人々は国連機関で核実験の負の遺産について声を上げ続け、その結果、マーシャル諸島の核実験の影響に関する51/35決議案が国連人権理事会で採択され(2022年10月)、それに基づいた検証をもとに、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が国連人権理事会への報告書で、アメリカ政府に、過去、現在、将来にわたる人権侵害に対する正式の謝罪と賠償を促したこと、また、関連記録の全面公開を求め、核の負の遺産による人権侵害を防ぐために、全ての汚染地域のモニタリングと環境回復など、マーシャル政府が「核の正義」に基づく対策を行えるように支援することを求めたことを歓迎する。

14.朝鮮半島出身の原爆被爆者には、朝鮮が日本の植民地であったことによって故国では生活していけなくなったため日本に渡り、あるいは強制労働者として日本に連行され、広島や長崎で原爆被害に遭ったという背景があったことを忘れてはならない。1967年に発足した韓国原爆被害者協会が、原爆を投下したアメリカ政府の加害責任、原爆製造関与のアメリカの企業の加害責任、日本政府の加害責任、自国の被爆者を援護すべき責任を放置した韓国政府の責任を追及してきたことを強く支持する。われわれはさらに、広島・長崎で被爆した後、朝鮮半島の北側(現在の朝鮮民主主義人民共和国)に帰国した人たちに対して、日本政府が被爆者援護を放置し、無援護のままの状況にある課題が、同国との国交正常化も含め、一刻も早く解決されることを求める。

15.われわれは、2026年11月にニューヨーク市で、韓国の被爆者と支援者が国際民衆法廷を開催し、アメリカ政府に対して原爆投下の国際法上の違法性を問い、加害責任と謝罪を追求する行動を、強く支持する。

16.われわれは、日本で核被災地の人々が核被害に対する補償・保障・保証を求めて、被爆体験者訴訟、黒い雨原爆被害追加訴訟、ビキニ被ばく船員訴訟、被爆2世訴訟、ALPS処理汚染水差止訴訟、311子ども甲状腺がん裁判、原発事故被害者・避難者・原発被ばく労働者訴訟などの、国や核加害者を裁判に訴える行動に連帯する。われわれは、また、同様の行動を求めている世界の核被災地の人々と連帯する。

17.われわれは、第1回核被害者世界大会が核保有国と原子力産業の犯罪責任を追及し(1987年ニューヨーク決議)、また軍産複合体に損害補償の責任を負わせるとしたこと(1992年ベルリン決議)、先住民らが参加した世界ウラン公聴会が、諸政府、その責任ある部署、国際企業やその他の企業、組織、共同体、個人に対し、核開発による身体的、文化的ジェノサイドから守るための先住民固有の自己決定権を認識し、被害の責任を負うことを約束して被害者に対して補償を行うことを求めたこと(1992年ザルツブルグ宣言)を想起する。さらに、われわれは、「原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島」がトルーマンを含む被告たち15名全員の有罪を確定したこと(2007年7月)を確認する。

18.われわれは、加害者が責任を認めて謝罪し、過去の被害への補償をし、核被害者と核被災地への社会的保障を提供し、これ以上核被害を地球上に起こさないことを保証することを求める。また、これまでの加害行為を反省することを強く要求する。

19.われわれは、核汚染の被害を受けた先住民の諸権利を守るために、先住民の自己決定権や、環境や発展に関する諸権利などを定めた「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を各国政府が遵守することを求める。

20.核被害こそが最大の環境破壊であることをわれわれは認識した。1998 年に採択したオーフス条約(環境に関する、情報へのアクセス、意思決定における市民参画、司法へのアクセスに関する条約)に留意し、クリーンで健康な環境へのアクセス(利用可能にすること)、情報へのアクセス、意思決定における市民参画、司法へのアクセスは普遍的人権であることを確認する。われわれは、2021年10月に国連人権理事会がクリーンで健康的かつ持続可能な環境をもつことが普遍的人権であることを認識したこと、また、翌年の2022年7月に国連総会が、クリーンで健康な環境へのアクセスは普遍的人権であると宣言する決議を採択し、日本や、アメリカなどの核武装国を含む161の国と地域が支持したことを歓迎する。この決議は、全ての人にとって健康な環境を守るための取り組みを拡大するよう、各国政府、機関や組織、そして企業に求めている。われわれは政府や国際組織・国内組織、企業に対し、全ての人にとって健康な環境を約束するよう要求する。

21.われわれは、日本国憲法前文の「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」を想起する。

22.原発・核燃料サイクルを「核の平和利用」と言うのは欺瞞である。1953 年、アメリカのアイゼンハワー大統領は、核兵器開発をより一層推し進め、軍事用原子炉を発電に転用した原発による経済的利潤の追及(核の民生利用)でも国際的優位を目指し、国連での「平和のための核(アトムズ・フォー・ピース)」宣言を行った。われわれは、「核の軍事利用」と「核の民生利用」が原子力産業を通じて密接につながっていること、さらに劣化ウランを使用した放射能兵器など核利用の全段階で大量の核被害者を生み出してきたことを認識した。われわれは、ウラン採掘から核廃棄物管理に至るまで、核燃料の製造や原子力発電、再処理を含め、「軍事」「民生」を問わず、医療用を除き、全ての核利用に関連する全ての過程を直ちに中止し、廃棄することを求める。

23.われわれは、劣化ウランを利用した兵器の製造・保有・使用を禁止することを求める。

24.われわれは、核の利用がある限り放射能災害の発生を防ぐことはできず、増え続ける核廃棄物の処理・処分の見通しは全く立たないうえ、核汚染は長期にわたり、不可逆的なものであり、環境の原状回復は不可能ということから、人類は核エネルギーを使ってはならないと認識した。

25.われわれは、今回の世界核被害者フォーラムを契機として、核被害者の情報を共有し、芸術などを含むさまざまな方法やメディアなどの媒体で発信し、共に連帯して闘っていくことを確認した。

26.われわれは、2015年の世界核被害者フォーラムとこの2025年の世界核被害者フォーラムの成果をもとに、以下の世界核被害者の権利宣言2025を世界に発信するため、広島宣言を採択する。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信197号
(25年12月20日発行、B5-32p)もくじ
 

・フィリピン・市民団体連合は、ADBの「危険な逆行」を非難
   ― 原発推進は負債と災害を招くと警告する ― (非核バターン運動)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3397

・世界81団体、ADBの原発融資解禁決定に抗議声明
   「長期的なリスクとコストが途上国の人々にのしかかる」 (満田夏花)、共同声明:アジア開発銀行(ADB)の原発支援解禁に抗議する
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3406       

・「世界核被害者フォーラム」報告 (井上まり)、「世界核被害者フォーラム」広島宣言                 

・コリ2号機の寿命延長承認に対する声明 (韓国エネルギー正義行動)

・反対:第二原発・第三原発の再稼働 (台湾全国廃核行動プラットフォーム)

・インドネシア・ゲラサ島での原発建設は拒否、
  バンカ・ブリトゥン州住民は環境を守るために団結           

・韓国とトルコ、原子力分野の協力で覚書                 

・上関町、使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画の今 (三浦みどり)

・無謀な再稼働に走る日本の原子力事業に未来はない (後藤政志)

・新潟県知事「柏崎刈羽原発再稼働容認」判断とその後 (中山均)

・北海道知事の泊原発3号機再稼働への同意は容認できない (川原茂雄)

・「東海第二原発廃炉デー大集会」開催 (沼倉潤)

・関西電力の美浜原発新増設に反対する (山本雅彦)

・11.30「原発つづけるための乾式貯蔵NO!全国集会@高浜」に400人が結集 (木原壯林)

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世界81団体、ADBの原発融資解禁決定に抗議声明 ー「長期的なリスクとコストが途上国の人々にのしかかる」

11月24日、アジア開発銀行(ADB)は「原発に融資しない」という従来方針を削除し、原発支援を含む新エネルギー政策を承認しました。

ADBはアジア・太平洋諸国の開発を支援するため、融資や技術支援などを行う各国出資の国際金融機関、69カ国が加盟。日本は最大の出資国です。

理事国のうちドイツとオーストリアは改定案に反対、ルクセンブルクは棄権。日本を含む他の理事たちは賛成しました。

これに対し、世界81団体が共同声明を発表。「原発支援は一部企業に利益をもたらす一方で、途上国の人々に長期的なリスクと経済負担を押し付け、持続可能なエネルギーへの転換を遅らせる」と抗議しました。 

マニラにあるADBの本部前では、フィリピンの「非核バターン運動(NFBM)」などが抗議行動を行いました。

原発建設のコストははねあがり、数兆円にものぼります。これまでADBは「核拡散、廃棄物、安全に関連するリスク」「高額なコスト」を理由に、原子力事業への融資をしてきませんでした。これらの懸念は今も解決していません。

途上国に対し原発を導入するための技術支援や融資を行うことは、途上国の人たちに莫大な事故のリスクと核のごみや事故のリスクのみならず、将来にわたる経済的な負担や巨額の債務を負わせることになります。声明全文は以下です。  

共同声明:アジア開発銀行(ADB)の原発支援解禁に抗議する

アジア開発銀行(Asia Development Bank: ADB)は、11月24日開かれた理事会において、従来の「原発に融資しない」とした記述を削除し、原発への支援を盛り込んだエネルギー政策の見直し案を了承した。

私たちは、原発への支援は、原子力産業に関係するごく一部の大企業に利益をもたらす一方、アジアの途上国の人々に解決不能な核のごみをはじめとした大きな負担とリスクを負わせ、持続可能なエネルギーシステムへの転換を遅らせるものとして強く抗議する。

ADBのこれまでのエネルギー政策では、「核拡散、廃棄物管理および安全性に関わるリスク、ならびにADBの資源に比して非常に高い投資コストを含む多くの障害が存在するため、原子力発電への投資を融資しない」としてきた。この状況は何ら変わっていない。

ADBは政策変更の理由として、「新たな技術の進展」として小型モジュール炉(SMR)を挙げる。しかし、設備容量(MW)当たりのSMRのコストは高く、また高濃縮ウラン燃料を使うことが多い。私たちは、SMRは経済合理性がないばかりか、核拡散のリスクも高めることを懸念する。

上記に加え、多くのNGOが以下を指摘したが、ADBからは意味のある回答がなかった。

・テロ攻撃、軍事攻撃のリスクが高まっている。

・事故が起きれば、広範囲にわたる長期的な環境汚染と深刻な社会・経済的混乱を引き起こす。

・事故が起こらなくても、ライフサイクル全体のすべての段階で放射性物質を環境中に放出。ウラン採掘の際、先住民族の土地収奪や環境被害も生じている。

・放射性廃棄物の問題は解決不可能である。ほとんどの国で、核廃棄物の最終処分場すら決まっていない。

・テロ対策を名目に、情報が秘匿される。

・再エネの普及を遅らせる。気候危機に対応できない。

・SMRであっても巨額の費用がかかる。

・途上国に対して、現在世代および将来世代に深刻な長期的危険と莫大な経済的負担をもたらす。

・途上国の債務増加を招き、返済に公共資金を使い続ける一方、地震や汚染のリスクももたらす。

福島第一原発事故の被害者団体である「ひだんれん」事務局長の大河原さき氏は、ADBとの会合の場で「福島原発事故の悲惨な影響を直視してほしい。原発事故被害者の声をきくため、福島で公聴会を開いてほしい」という意見を表明し、その後、文書の形で提出した。ADBはこの意見を無視したばかりか、11月3日に公開したコンサルテーションを概要する文書に記載しなかった。上記の多くのNGOからの指摘もこの文書に残されていない。

ADBは、今回のエネルギー政策のレビュープロセスを軽微な修正として開始した。「原発に融資しない」という従来の文言を削除するということが判明したのは今年の8月である。そこからわずか3か月程度で理事会にかけられた。重大な政策転換の手続きとして、あまりに短期間であり、行われた協議は表面的なものにすぎなかった。こうしたプロセスはADBに対する市民社会の信頼を裏切るものである。

私たちは改めて、ADBの原発支援解禁に反対する。今後も、原発建設によって影響を受ける可能性のある地域の人々をはじめとした世界各国の市民社会と連携し、反対の声を継続していきたい。

連名団体(81団体): 11 March Movement, Belgium、350.org Japan, Japan、Active Help Organization(AHO), Pakistan、Aktionsbündnis“Stop Westcastor” Jülich, Germany、Arbeitskreis gegen Atomanlagen Frankfurt am Main, Germany、Asia Pacific Network of Environmental Defenders, Asia Pacific、Association For Promotion Sustainable Development, India、Australian Conservation Foundation, Australia、BCSUW (Belgian Coalition Stop Uranium Weapons), Belgium、Biodiversity Conservation Center, Russia、Center for Wellbeing & Environmental Economics, India、Centre for Financial Accountability, India、Centre for Human Rights and Development, Mongolia、Chutka Parmanu Virodhi Sangarsh Samiti, India、Citizen’s Eyes on Nuclear Regulation, Japan、Citizens’ Commission on Nuclear Energy, Japan、Citizens’ Nuclear Information Center, Japan、Climate Express, Belgium、Coalition for Nuclear Disarmament and Peace (CNDP), India、Consumers Association of Penang, Malaysia、Ecodefense, Russia、Folkkampanjen mot kärnkraft-kärnvapen, Sundsvall, Sweden、For Nature, Russia、Forum for Protection of Public Interest, Nepal、Friends of the Earth Adelaide, Australia、Friends of the Earth Asia Pacific, Asia Pacific、Friends of the Earth Australia, Australia、Friends of the Earth Canada, Canada、Friends of the Earth, India, India、Friends of the Earth Japan, Japan、GAiA Asia Pacific, Philippines、Gender Action, United States、Green Action, Japan、Growthwatch, India、Grup de Científics i Tècnics per un Futur No Nuclear, Catalunya、Indigenous Women Legal Awareness Group, Nepal、Initiative 3 Rosen, Germany、Institute for Sustainable Energy Policies, Japan、Jamaa Resource Initiatives, Kenya、Japan Center for a Sustainable Environment and Society, Japan、Jubilee Australia Research Centre, Australia、KFEM Friends of Earth KOREA, Korea、Korea Center for Sustainable Development, Korea、Ladlad Caraga Inc., Philippines、Les Amis de la terre France, France、Les Amis de la Terre-Togo, Togo、Leuvense Vredesbeweging, Belgium、Lok Shakti Abhiyan, India、Manhattan Project for a Nuclear-Free World, United States and Japan、Manthan Adhyayan Kendra, India、MAUSAM (Movement for Advancing Understanding of Sustainability And Mutuality), India、Medical Association for Prevention of War, Australia、Miljöpartiet de gröna The Green Party, Sweden、Milkas, Swedish Environment Movements Nuclear Waste Secretariat, Sweden、Movement for Nationalism and Democracy, Philippines、Movement for Women’s Rights, India、National Alliance of People’s Movements, India、No Nukes Asia Forum Japan, Japan、NOAH–Friends of the Earth Denmark, Denmark、Nucléaire Stop Kernenergie, Belgium、Nuclear Information and Resource Service, United States、Nuclear/Coal-Free Bataan Movement-Philippines, Philippines、Paryavaran Suraksha Samiti, India、Peace Boat, Japan、Pennirima Iyakkam, India、People’s Union for Civil Liberties, India、Sahabat Alam Malaysia–Friends of the Earth Malaysia, Malaysia、San Francisco Bay Physicians for Social Responsibility, United States、Sortir du nucléaire 72, France、Stroom naar de Toekomst Limburg, Netherlands、Taiwan Environment Protection Union, Taiwan、TerraBiome, United States、The Liaison Committee for Organizations of Victims of the Nuclear Disaster (Hidanren), Japan、The People’s Campaign Against Nuclear Power and Nuclear Weapons, Sweden、VAKS, Belgium、WALHI, Indonesia、Washington Butterfly for Hope, United States、Women Against Nuclear Power – Finland, Finland、Women for Peace, Sweden, Sweden、Young Bataeños for Environmental Advocacy Network, Philippines、Za Zemiata/FoE Bulgaria, Bulgaria

後日追加:Action against nuclear plant, Norway、Association Noé21, Switzerland、Citizen of the Earth, Taiwan、Nei til Atomvåpen Oslo, Norway、Oyu Tolgoi Watch, Mongolia、Rivers without Boundaries, Mongolia、Urgewald, Germany、Women for Peace, Finland

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信197号
(25年12月20日発行、B5-32p)もくじ
 

・フィリピン・市民団体連合は、ADBの「危険な逆行」を非難
   ― 原発推進は負債と災害を招くと警告する ― (非核バターン運動)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3397

・世界81団体、ADBの原発融資解禁決定に抗議声明
   「長期的なリスクとコストが途上国の人々にのしかかる」 (満田夏花)
  共同声明:アジア開発銀行(ADB)の原発支援解禁に抗議する       

・「世界核被害者フォーラム」報告 (井上まり)、「世界核被害者フォーラム」広島宣言
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3412                 

・コリ2号機の寿命延長承認に対する声明 (韓国エネルギー正義行動)

・反対:第二原発・第三原発の再稼働 (台湾全国廃核行動プラットフォーム)

・インドネシア・ゲラサ島での原発建設は拒否、
  バンカ・ブリトゥン州住民は環境を守るために団結           

・韓国とトルコ、原子力分野の協力で覚書                 

・上関町、使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画の今 (三浦みどり)

・無謀な再稼働に走る日本の原子力事業に未来はない (後藤政志)

・新潟県知事「柏崎刈羽原発再稼働容認」判断とその後 (中山均)

・北海道知事の泊原発3号機再稼働への同意は容認できない (川原茂雄)

・「東海第二原発廃炉デー大集会」開催 (沼倉潤)

・関西電力の美浜原発新増設に反対する (山本雅彦)

・11.30「原発つづけるための乾式貯蔵NO!全国集会@高浜」に400人が結集 (木原壯林)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
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市民団体連合は、ADBの「危険な逆行」を非難 ― 原発推進は負債と災害を招くと警告する

        マニラのアジア開発銀行(ADB)本部前で、11月24日

非核バターン運動(Nuclear Free Bataan Movement)11月24日

アジア開発銀行(ADB)理事会が本日、2025年エネルギー政策見直しを審議する中、非核バターン運動(NFBM)が主導する市民団体の連合が、マニラの同銀行本部前で抗議行動を実施し、原発への融資を認めるとする政策変更案を「危険な逆行」であると非難した。この方針は開発途上国を莫大な負債と放射能リスクへと追いやるものであると警告した。

非核バターン運動(NFBM)に、民族民主主義運動(KILUSAN)、YoungBEAN、KAISA KA、PANGISDA PILIPINAS、Youth for Nationalism and Democracy、STEPGENが加わった。

団体の連合は、ADBが2021年に定めた原発融資禁止を撤廃すれば、各国は高コストで危険かつ時代遅れの技術に縛り付けられ、安全で再生可能なエネルギーへの重要な資金が奪われることになると警告し、次のように主張する。

■ 危険かつ逆行的な政策転換である

ADBの2021年エネルギー政策は、放射性廃棄物の甚大なリスク、地震災害の危険性、そして途上加盟国にとって管理不能な負債負担を理由に、原発融資を明確に禁止していた。ところが今回の見直し案は、この禁止措置を覆し、原発を「妥当な脱炭素化の選択肢」と位置づけようとしている。

「この原発推進は誤った方向への飛躍であり、負債と危険へと逆戻りするものである。バターン原発の亡霊が示しているのは、安全性とは単なる技術的問題ではなく、根本的な前提であるということである。利益が安全への配慮を上回るとき、代償を支払わされるのはアジア太平洋地域の人々である」と、非核バターン運動(NFBM)のコーディネーター、デレク・チャベは述べた。

■ バターン原発の失敗から学ぶべきだ

団体の連合は、フィリピンのバターン原発を警鐘となる教訓として挙げる。23億ドルの負債を生みながら、1ワットの電力も生み出さず、活断層と火山の近くという地質的に不安定な場所に建設されたバターン原発は、原発政策の愚行の象徴として今も残っている。

■ 誤った解決策と欠陥だらけの手続き

今回のエネルギー政策見直しは、以下のような「誤った解決策」をも推進していると批判されている。
・バイオ燃料、水素、アンモニアとの混焼
・天然ガスインフラの拡大
・実証されていない二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)

これらの技術は化石燃料産業の延命措置に過ぎず、真に再生可能なエネルギーへの投資を妨げるものである。

さらに、今回の見直しプロセスは、不透明性、拙速なスケジュール、市民社会や影響を受ける地域社会との実質的な協議の欠如などが見られ、ADB自身の説明責任基準を損なうものである。

■ 公正で安全なエネルギーの未来を求める

連合はADBに対し以下を要求する。

1. 禁止措置の維持:原発融資禁止を維持し、強化すること

2. 誤った解決策の排除:CCUS、混焼、持続不可能な重要鉱物拡大の推進をやめること

3. 化石燃料の段階的廃止:1.5℃を目標に、迅速かつ完全な化石燃料廃止を約束すること

4. 透明性の確保:政策見直しにおいて市民社会の実質的関与を保証すること

5. 地域社会の力を強化:地域社会が所有する分散型の再生可能エネルギーシステムへの融資を優先すること

私たちのメッセージは明確である。バターンから福島まで、危険な実験の代償を払うのは企業ではなく人々である。未来は、原発にも化石燃料にも依存しない、人々を中心としたものでなければならない。ADBはこの原発推進を直ちに止め、公正なエネルギーの未来を構築すべきである。

【脱原発の台湾から来日】さようなら原発全国集会での発言・講演「アジア初の非核国家へ」、 映画「こんにちは貢寮」日本語字幕版Youtube公開

緑色公民行動連盟の崔愫欣さんと林正原さんが、9月21日大阪、22日東京で、講演を行い、23日は、さようなら原発全国集会(代々木公園、4500人)でアピールしました。

さようなら原発全国集会での発言/崔愫欣

      左から、劉霊均さん(通訳)、崔愫欣さん、林正原さん
(*映像:https://www.youtube.com/watch?v=ABVdVG-4pRQ  57:22~ 崔愫欣さんの発言)

みなさん、こんにちは。私は台湾緑色公民行動連盟の事務局長、崔愫欣(ツイ・スーシン)と申します。台湾における反原発運動の現状についてご報告いたします。今年の5月17日、最後の原子炉が正式に稼働停止し、台湾は「原発ゼロ」の時代に突入しました。

台湾には3か所、計6基の原発がありました。第四原発は市民の反対運動で、建設を遅らせ、稼働を阻止しました。2011年の福島第一原発事故は台湾に強い影響を与えました。反原発運動が拡大し、2013年には22万人デモを行ないました。2014年、台北駅前の道路を5万人が(15時間)占拠しました。翌朝、警察に排除されましたが、政府は第四原発の建設中止を宣言しました。

2016年に政権交代し、民進党政権は脱原発政策を進めました。しかし野党など原発擁護派は、脱原発に抵抗してきました。直近では8月23日に行われた第三原発再稼働の国民投票でしたが、投票率が足りず、再稼働は否決されました。しばらくは、原発ゼロが続きます。

老朽化した原発を再稼働してはなりません。原発擁護派の活動が続くので、私たちは引き続きたたかっていきます。

最後に、長年にわたって反原発の活動を行ってこられた日本の皆様に感謝申し上げます。
アジアの原発ゼロに向かって、いっしょにがんばりましょう。

「アジア初の非核国家へ」(大阪・東京での講演より抜粋)

崔愫欣・林正原 (通訳:劉霊均)

*講演会(22日)の録画:https://youtu.be/r3gq5xRy60E (映像提供:FoE Japan)

【崔愫欣】皆さん、はじめまして。私は台湾緑色公民行動連盟の事務局長のツイ・スーシンといいます。また私は、全国の反原発プラットフォーム(全国廃核行動平台)のスポークスパーソンとして、反原発団体のネットワークに関わっています。

今年の5月17日に、最後の原発が運転を終了して、原発ゼロになりました。

第一原発、第二原発、第三原発は、1970年代、1980年代に建設されて、その後、第四原発の計画が始まりました。1986年に、チェルノブイリの原発事故が発生しました。原発予定地の近辺の人々は不安を感じました。それで、第四原発の地元の方々は1988年から反対運動を始めました。

さまざまな反対運動によって、第四原発の建設は遅れました。そして、2011年に福島第一原発の事故。これが台湾に与えた影響は非常に大きかった。同年11月に国民党政権は、第一原発から第三原発の寿命を延長しないと宣言します。ただし、第四原発の建設は続行するとしました。

台湾の人々は、いろいろな団体を作って、第四原発反対運動を始めました。2011年、2012年、2013年、毎年1回ですね、デモを行っています。最初の1.4万人から2013年のときは22万人です。

2014年4月27日、5万人のデモ隊が、台北駅前の(8車線)道路を占拠し、一晩中ずっと座り込みました。翌朝、警察によって排除されたんですけど、政府は、第四原発の建設を凍結すると宣言しました。写真をご覧ください。人々が座り込んでいて、通勤ラッシュのバスが通れなくなったという写真です。

2015年に蔡英文は、その後2期8年総統を担当した人なんですけど、「原発ゼロ政策」というマニフェストを公表しました。2016年の総統選挙で民進党の蔡英文が勝ちました。「原発ゼロ政策」は正式に国家政策になりました。

次に、国民投票(公民投票)に関して、私の同僚の林さんに説明してもらいます。


【林正原】皆さんはじめまして。私はリン・ジォンユェンといいます。緑色公民行動連盟の研究員を務めております。主に、エネルギー転換と原発について担当しています。

台湾では2005年に国民投票法ができましたが、国民投票を成立させるハードルが高かったので、なかなか国民投票が成立しなかったんです。それで2016年に与党の民進党が法改正をしました。

どのような法修正があったかというと、 一番重要なのは、可決要件の変更です。これまで投票率が50%以上で、2000万人の有権者のうち1000万人が投票しないと可決できなかったが、2016年の法改正後は、賛成票数が有権者総数の4分の1、つまり500万人を超えることが可決の要件になりました。

民進党政権のエネルギー政策に不満の人たちは、この改正を利用して、いろいろな挑戦、チャレンジをしてきました。原発に関する3回の国民投票です。2018年の電気事業法改正の投票、2021年の第四原発の稼働を問う投票、2025年の第三原発再稼働の投票です。

2018年の国民投票では負けましたが、「2025年までに原発を全て停止する」という条文を廃止しただけで、この条文が廃止されたからといって、第一原発、第二原発、第三原発の寿命延長とか、あるいは第四原発の稼働が自動的に認められたわけではありません。

そこで、原発擁護派の人たちは、2021年に第四原発の凍結を解除するという国民投票を提案しました。しかし、第四原発の稼働に反対する票(426万)が賛成票(380万)を上回り、否決されました。
 
2025年5月17日に第三原発2号機の運転終了が予定されていたので、その1ヶ月前に台湾の第2野党の民衆党が、第三原発再稼働の国民投票を国会で提案しました。国民投票の主文は問題があって「あなたは、第三原発が主管機関によって安全上の懸念がないと確認された場合、運転を継続することに賛成しますか」と。つまり誤解されやすい聞き方です。
 
5月20日の国民投票決定から8月23日の投票日までわずかの95日間。私たちはリーフレットを作って、第三原発再稼働の反対理由を説明しました。皆さんの手元には、この黄色いリーフレットがありますので、ご覧になっていただければと思います。

反対理由、まず、電力不足の問題なんてない。そして、もし電力不足がおきたとしても原発とは関係がないと書いています。

次に、第三原発は40年も運転して老朽化した。長期間、放射線にさらされ、部品が劣化していて危険だ。そもそも第三原発の原子炉は活断層の真上にある。


そして、第三原発を再稼働させるためには、すごいお金がかかるし、何年もかかる。
 
さらに、もし本当に中国との戦争が発生した時には、原発は真っ先に攻撃の標的になるのではないか。

また、台湾は、IT産業でもAI産業でもグリーンエネルギーを必要としていますが、原発はグリーンエネルギーではない。Apple、TSMC、NVIDIAなどのハイテク大手が求めているのは100%のクリーンエネルギーです。それは原発ではない。

世界全体でのグリーンエネルギーへの投資額は、すでに原発への投資の27倍にも達しているんです。
 
やはり一番大きな問題は、核廃棄物の問題です。解決されていません。台湾ではいまだに、最終処分場を作る場所が見つからない。これは、もちろん台湾だけではなく、世界中で共通する難しい問題です。
 
私たちは様々な抗議活動も行ってきました。今年の5月13日の原発延長法案の国会採決の前日には、国会の前で1000人の抗議集会を行いました。

第三原発のある南部の屏東県では、8月15日に1000人、20日には6000人も集まって抗議集会を行いました。周春米さんという女性の県知事も参加しました。

国民投票の結果は、再稼働に同意が430万でしたが、成立要件の500万に届かず、否決となりました。

今回の国民投票は不正義な国民投票ではないかと私たちは思います。そもそも全国の人が投票して、第三原発所在地の屏東県の人たちの運命を決める、高いリスクを背負わせる、ということ自体が非常に不公平ではないかと思います。

この国民投票は、第三原発を再稼働すべきかどうかというよりも、二つの野党が与党を攻撃するためにしかけた政争に過ぎませんでした。だから後ろで動員していた。しかし、投票率は30%しかなかった。大多数の人々は関心がなかったと言えます。
 
国民投票は終わりましたが、問題は残っています。まず、国会ではですでに5月13日に法改正がされ、原発の20年間の運転延長に関する規制が緩和されました。

また、現職の頼清徳総統はそもそも原発にさほど反対していないのではないかという問題があります。頼総統は、原発を使用するためには三つの大きな原則があると言っています。一つ目は、原発の安全性に問題がない。二つ目は、核廃棄物の処理に解決策がある。三つ目は、社会的合意が得られる。このような三つの条件が揃ったら、台湾政府として先進的な原子力技術の導入を排除しないという立場を示しました。

頼総統が言った先進的な原子力技術とは、たぶんSMR、小型モジュールの原発です。しかし、この三つの原則を達成して、原発を再稼働させたり、あるいは新しい原発を導入するのは、実は非常に困難ではないかと考えられます。

また、台湾の国営電力会社の台湾電力は、原発の安全点検を行うと自ら提案しました。この点検は、老朽化などの状況を把握するものですが、再稼働可能かどうかという判断につながります。しかし安全点検には、2年間、あるいは3年間くらい時間が必要とされます。点検がすんですぐ再稼働させるのも無理です。内部のいろいろな部品の更新をしないといけないので、結局5年から10年の時間がかかるのです。だから原発を再稼働させるのは、さほど簡単なことではありません。

世界中で今さかんに原子力ルネサンスと言われています。台湾政府は、アメリカの官僚、議員、産業界などのロビー活動の影響を受けて、老朽化した原発の再稼働、あるいは小型モジュール炉SMRなどの新しい技術を導入することを検討しています。

【崔愫欣】台湾政府は、老朽化した原発の延長運転、再稼働に向けて新たな安全基準を策定しています。私たちの目標は、その安全検査の基準を厳しくすることによって、再稼働させないようにすることです。

また、核廃棄物の問題はまだ解決されていません。とくに、使用済み核燃料に関しては、まだ処理場の場所すらも選んでいない。私たち民間団体は、議論を始めることを提案しました。政府は、この議論に応じて、ちゃんと最終処理場の法律、場所選定の法律を作らなければならない。

第三原発は、台湾の一番南の果ての屏東県にあって、自分とは関係ないと思う人が非常に多いんですけど、再稼働して原発の廃棄物はどこに置くかっていう話題になって、自分が住んでいる県に置くかもしれないということになってしまうと、今度は自分のこととして考えるようになります。たとえば、国民投票の結果で再稼働賛成票が非常に多い県に、「じゃあ核廃棄物はあなたが住んでいる県に置いていいですか」と質問したら、住民はみんな大きな反対の声をあげました。このように議論することによって、市民の皆さんにこの問題の本質を理解してもらうことができます。

台湾のもう一つの問題は、みなさんご存知のように、常に中国の軍事的脅威に直面しています。もし台湾の海岸を封鎖されたら、LNGの輸入ができなくなってしまいます。私たちは、やはりそれでも原発は選択肢ではないと強く主張したいです。なぜなら、ロシアによるウクライナ侵攻を見てわかりますが、原発の存在はそもそも攻撃の標的になってしまうので、非常に危ない存在になってしまいます。もし戦争が発生してしまったら、まず原発を止めなければならないと思います。やはり原発よりも、分散式の再生エネルギー発電の方が、戦争時には安全で安定なエネルギーです。

原発ゼロ、再生エネルギーを中心とするエネルギー供給のモデルを台湾でこれから作っていきたいと思います。

すでに、原発ゼロの時代に突入したんですけど、でも台湾ではまだ激しい議論があって、政治的な紛争もあって、まだまだ確定的なものにはなっていません。私たちは、これからも引き続き努力していきます。
 
台湾の反原発運動は台湾のものだけではなく、アジア、さらには世界中の反原発運動にもつながっていると思います。世界の原発を使いたい国々と原発を推進している勢力は、実は手をつないでいます。だからこそ、私たちの原発反対運動も、ちゃんと手をつないで連帯しないといけないのではないかと思います。

映画 こんにちは貢寮(こんりゃお) 日本語字幕版 Youtube公開

                  (クリックすると見れます)

日本から輸出される原発を止める住民の闘いを、6年かけてドキュメンタリー映画にした崔愫欣(ツイ・スーシン)。 2005年以降、日本各地で上映会が行われ、国境を越えて多くの共感が寄せられた。ゴールかとも思えたその映画は、しかし台湾の脱原発へ向けた彼女にとってのスタートだった。

夏には多くの海水浴客が訪れる台湾北東部の美しい海岸、貢寮。戒厳令の下、住民が知らないうちに、そこは台湾4番目の原発予定地とされてしまった。しかし現地の人々は自ら学び、反対を始める。その渦中、1991年一人の青年 林順源さんが無実の罪で投獄された。それから7年後、一人の女子学生が獄中の青年に手紙を書き始める。進んでいく工事のこと、それでも反対を貫く人々のこと、そして志半ばに亡くなっていく老人たちのこと。その学生が2004年に完成させたドキュメンタリー映画がこの「こんにちは貢寮」だ。

今回、監督の崔愫欣に許可をいただき、日本語字幕付きでノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパンが公開することができました。

下記は、2005年から11年に行われた上映会用のプロモーションページです。参加者の感想や、その後の林順源さんの写真などを紹介しています。併せてご覧ください。(とーち)
https://nonukesasiaforum.org/gongliao/

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信196号
(25年10月20日発行、B5-28p)もくじ
 

・【脱原発の台湾から来日】 さようなら原発全国集会での発言 (崔愫欣)

・アジア初の非核国家へ (崔愫欣・林正原)

・映画 こんにちは貢寮(こんりゃお)日本語字幕版 Youtube公開 (とーち)              

・韓国ハンビッ原発1号機 永久停止宣言文 (ハンビッ原発対応湖南圏共同行動ほか)

・老朽核発電所の寿命延長は気候不正義だ ― コリ2号機寿命延長審査を中止せよ
   (927気候正義行進組織委員会)

・フィリピン原子力新法と欠陥世論調査による政府の拙速を警告する
   (非核バターン運動)

世銀・ADBが原発支援を解禁!?  国際署名にご協力を! (満田夏花)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3370

・柏崎刈羽原発の再稼働を許さない (菅波完)

・再稼動の是非は私たち県民が決めたい (小木曽茂子)

・経産省前テントひろば14周年集会での発言 (武藤類子)

・核廃棄物中間貯蔵施設建設計画、上関町と周辺自治体の状況 (中川隆志)

・核ゴミ処分場と泊原発再稼働に反対する (井上敦子)

・JCO臨界事故から26年 (大泉実成)

・意見陳述「命と人権を守る立場に立った、正当な判決を!」 
   (311子ども甲状腺がん裁判・原告8さん)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisuke アット rice.ocn.ne.jp

世銀・ADBが原発支援を解禁!? 国際署名にご協力を!

満田夏花(FoE Japan)

原発支援は行ってこなかったのが…

世界銀行やアジア開発銀行(ADB)は、発展途上国の経済成長を促すために、インフラ建設などに対して技術支援や融資などを行っている開発金融機関です。日本は、両機関に対して多額のお金を出資しています(世銀に対してはアメリカについで2位、ADBについては1位)。

いままで、世銀もADBも原発への支援は行ってきませんでした。その理由としては、「核拡散、廃棄物、安全に関連するリスク」「専門性がない」「コストが高すぎる」などとしてきました。これらの理由は今も変わっていません。

それにもかかわらず、世界銀行は、今年6月、原発への支援をめざし、IAEAと協定を締結しました。報道では「原発融資の解禁について決定した」と報じられていますが、これは前のめり報道で、正式な決定は今後のようです。

また、ADBは、現在行われているエネルギー政策の見直しに、原発への支援を含める方針を示しています。しかし、これも一筋縄ではいかず、NGOなどから反対表明が相次いだことなどから、10月の理事会で決定される予定であったのが、11月末以降に延期されています。これは市民社会の国際的な連携の成果といってよいかもしれません。

国際的な原子力ビジネスの巻き返し?

経済的側面から考えても、原発は見込みがありません。「世界原子力産業ステータスレポート」によれば、2023 年の再エネへの新規投資額は、6,230 億米ドルで右肩あがりです。一方で、原発への投資額は、2023 年は230 億米ドルで、再エネの27分の1(下図)。

   出典:A Mycle Schneider Consulting Project,“The World Nuclear Industry Status Report 2024”p.369

つまり民間投資家は、原発が見込みがないことを見切っているのです。このため、原子力産業は、世銀やADBといった公的な金融機関の支援なしにはやっていけないのです。

国際原子力ムラによる巻き返しの象徴的な出来事として、2023 年秋にアラブ首長国連邦で開催された第28 回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)における、米国が主導した「2050 年までに原発による発電容量を世界で3倍にする」という宣言があげられます。日本を含む23カ国の有志国が賛同を示し、日本でも大きく報道されました。

この宣言文の中には「世界銀行、地域開発銀行(アジア開発銀行など)などの株主に対して、融資政策に原発を含め、積極的に支援することを奨励する」という文言が盛り込まれました。これが今回の世銀・ADBの方針転換の一つの布石だったのでしょう。

しかし、この宣言は正式なCOP28の採択文書ではなく、アメリカに追随し、原子力ビジネスに関心を示す諸国による自主的なものであることに注意が必要です。

リスクを負うのは誰か?

原発建設のコストははねあがり、いまや数兆円にものぼります。世銀グループやADBがアジアやアフリカなどの発展途上国に対して、原発導入のための技術支援や融資を行うことは、途上国の人たちに、核のごみや事故のリスクのみならず、将来にわたる経済的な負担や巨額の債務を負わせ、原発の利権を持ち込むことにより、持続可能な発展の機会を奪うことになるでしょう。

原発の運転によって生じる核廃棄物は何万年も管理が必要であり、ほとんどの国で処分地の選定すら行われていません。また、軍事転用、テロや軍事的な攻撃の対象になるなどさまざまなリスクをはらんでいます。

国際環境NGO FoE Japanは、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパンも含め、世界各国の64のNGOとともに、世界銀行およびアジア開発銀行(ADB)に対して、原発の融資や支援の解禁方針の撤回を求める国際署名を呼びかけています。

「核のグローバル化」を防ぐために、ぜひオンライン署名にご協力ください!

▼ 署名 → http://chng.it/kWnJpNgm6K

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信196号
(25年10月20日発行、B5-28p)もくじ
 

・【脱原発の台湾から来日】 さようなら原発全国集会での発言 (崔愫欣)

・アジア初の非核国家へ (崔愫欣・林正原)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3376

・映画 こんにちは貢寮(こんりゃお)日本語字幕版 Youtube公開 (とーち)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3376               

・韓国ハンビッ原発1号機 永久停止宣言文 (ハンビッ原発対応湖南圏共同行動ほか)

・老朽核発電所の寿命延長は気候不正義だ ― コリ2号機寿命延長審査を中止せよ
   (927気候正義行進組織委員会)

・フィリピン原子力新法と欠陥世論調査による政府の拙速を警告する
   (非核バターン運動)

・世銀・ADBが原発支援を解禁!? 国際署名にご協力を! (満田夏花)

・柏崎刈羽原発の再稼働を許さない (菅波完)

・再稼動の是非は私たち県民が決めたい (小木曽茂子)

・経産省前テントひろば14周年集会での発言 (武藤類子)

・核廃棄物中間貯蔵施設建設計画、上関町と周辺自治体の状況 (中川隆志)

・核ゴミ処分場と泊原発再稼働に反対する (井上敦子)

・JCO臨界事故から26年 (大泉実成)

・意見陳述「命と人権を守る立場に立った、正当な判決を!」 
   (311子ども甲状腺がん裁判・原告8さん)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisuke アット rice.ocn.ne.jp

投稿者satou投稿日:カテゴリー台湾

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