台湾廃核行動平台(プラットフォーム)
第4原発の2号機は建設が終了しておらず、1号機は原子力委員会の安全認証テスト(使用前検査)を通過しておらず、封印をして7年がたった。当時、なんとか1号機の安全認証テストが行えるよう、2号機から1700点もの部品を1号機に流用した。現在一部の部品はすでに生産中止。オリジナルのプロジェクトチームはすでに解散。
第4原発の建設過程で幾度となく工事の不正行為、スキャンダルおよび重大設計ミスが起き、安全が危ぶまれる。
台湾電力によれば第4原発の建設継続は以下の困難に直面し、少なくともあと10年が必要:
● 第4原発の安全メーターコントロールシステムの設計は、世界でも唯一であり、20年が過ぎ、取り換える必要がある。しかしそのサプライヤーはすでに生産中止、備品の入手困難という問題がある。第4原発はABWR(改良型沸騰水型炉)。
● 建設再開前にGEと煩雑な契約変更の交渉プロセスが必要、工期や経費などの項目について内容は煩雑で、時期については予測が難しい。
● 予算編成や国会での承認が必要。
● 原子力委員会に封印解除の申請を提出し、同意が必要。
● 継続する工事の施工、福島原子力災害のあと安全強化改善工程、燃料装填後のウォーミングアップテストなどのプロセスを完了しなければならず、前述の各項工程実務の予測では6~7年の時間が必要。
● 時期の予測ができない2項目;設計元のGEとの交渉および安全デジタルメーターコントロール設備の取り換えにかかる時間。
最新の地質調査報告によれば、第4原発敷地真下に長さ2kmのS断層が走っており、近隣する海域にも連続すると40km以上の活断層があり、さらに過去に記されていなかった断層帯も見つかっている。
20年前の第4原発建設時の耐震設計(400ガル)では、もはや安全基準を満たさない。
福島原子力災害後、国際的にも原発の耐震基準が引き上げられ、時代遅れの第4原発の設計ではもはや安全に運転することを保証できない。
第4原発は施工始まって以来スキャンダル続出、手抜き工事、違法に設計変更、施工不良、設備浸水、火事など、規定違反事件が計512件。合計で2290万元の罰金が科せられ、さらに監察院による糾弾6回、弾劾2回。第4原発の工程品質が危ぶまれる。
断層と工程品質の2点から、第4原発は、先天的に不良(欠陥)、後天的に失調の、システム的、根本的問題があり。これ以上時間と金銭をかけても安全に運転する保証が得られない。
第4原発を使わなくても、空気汚染を減らすことができる。原発が占める割合が減り続けているここ数年、空気汚染物質の排出量も同時に減り続けている。これは空気品質を改善するのに原発に頼らなくてもよい証拠である。
また、政府および学者の統計によれば、電力部門が国内のpm2.5排出に占める割合は4.5%から16%の間で、さらに高い割合を占める交通汚染源や産業排出も同じように重視されるべきである。それでこそ、台湾の空気汚染を本当に改善することができよう。
第4原発は1980年4月に行政院(政府)が敷地を確定してから、与野党の論争を経て、1992年6月に立法院(国会)が予算支出を承認、総額は1697億元(6669億円)。
2004年から原子炉容量増加、建設停止・継続による工期の延長、経済的変数の変動、契約変更および福島事故後の強化、5度の予算追加により総額が2838億元(1兆1153億円)となった。
台湾電力の最新の試算によると、第4原発の建設継続には、元の投資以外に、少なくともさらに800億元(3144億円)の予算追加が必要である。これは第4原発が完成がままならない底なし沼であることを示している。
国際的な電力平均コストは、この10年間で、太陽光発電コストは89%減少、風力発電コストは70%減少し、原発を新設するコストは26%増加した。原発は価格競争力を持たない。
核廃棄物の処置決定時期の延期により、将来、原発コストの継続的増加は必然である。台湾電力の予測では、廃炉および核廃棄物の最終処理の経費が、3353億元から6200億元に増加するが、原発の後期運営総費用は4729億元しかなく、巨額な不足を抱え、さらに原発運転の安全基準は高まっていき、将来原発はますます高くなる。
台湾の低レベル核廃棄物は少なくとも300年の保管が必要であり、原発と蘭嶼島の貯蔵場に一時保管している。そして、高レベル核廃棄物は少なくとも10万年の保管が必要であり、現在第1、第2、第3原発ともに高レベル核廃棄物(使用済み核燃料)を満タンの冷却プールの中で一時保管している。
核廃棄物は高熱、そして高い強度の放射線を1万年以上持続的に放出し、他のどの発電方式の廃棄物よりも処理が難しく、ゆえに世界各国いまだに安全に保管できる方法を見いだせていない。
台湾は国土が狭く、人口が密集し、地震帯の上に位置し、核廃棄物の行き先について社会的コンセンサスが形成していない。2019年の世論調査では、7割の民意が核廃棄物を自分の住んでいる自治体に保管することに反対している。
原発を使い続ける限り、処理できない難題を作り出し続け、無責任に世紀の劇毒を将来の子孫へなすりつけることに等しい。
みなさんのすべてのお友達にこのスライドをシェアしてほしい、より多くの人が第4原発の真実を知る手助けとなってほしい。第4原発によって台湾のエネルギー転換の貴重な時間を無駄にしないでほしい。
第4原発とお別れしよう。
― 私たちは第4原発はいらない ―
第4原発公民投票17案は「不同意」
(翻訳/張建元)
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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信171号
(8月20日発行、B5-24p)もくじ
・第四原発とお別れしよう! ― 12.18公民投票 (全国廃核行動平台)
・脱原発アジェンダを確定し、大統領選挙に対応しよう (ヨン・ソンロク)
・中国・台山原発の「放射能の脅威」が、なぜ、インドで懸念されるのか
(ソナリ・フリア)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2253
・ライナス社レアアース製錬工場の現状報告 (和田喜彦)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2240
・「第二の原発」リニア中央新幹線にも関心を (石橋克彦)
・広島原爆「黒い雨」訴訟の成果 (湯浅正恵)
・美浜原発3号機の運転禁止仮処分について (中野宏典)
・伊方原発廃炉のために (名出真一)
・柏崎刈羽原発反対50年 (後編) (矢部忠夫)
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原発数十基同時メルトダウンのリスクかユートピアか
https://youtu.be/X87HfpYklAw