
「世界核被害者フォーラム」 報告
井上まり(世界核被害者フォーラム共同代表、核のない世界のためのマンハッタン・プロジェクト)
2025年は米国の広島と長崎の原爆攻撃から80年を迎えましたが、核利用を進めてきた国々と核産業は、放射能による健康への影響の事実を矮小化あるいは隠蔽し、核の軍事利用あるいは「平和」利用を問わず、世界中に核被害者=ヒバクシャを生み出し続けています。
そのため、核利用の根底的な廃絶とこれ以上ヒバクシャをつくらない世界をめざし、核被害者と支援者の国際的連帯の場を広島で作り出したいという想いから、10月5日と6日に広島市で世界核被害者フォーラムを、核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)さんと共催しました。
世界の核被害を収めたポスター展と、インド・ジャドゥゴダ・ウラン鉱山写真展も同時開催しました。これらの開催にあたり、日本の3つの助成基金、日米の64団体、そして約560名の日米の方々からご支援と暖かいご声援を、60名以上の有志からご協力をいただきました。登壇者や報道関係者、有志のみなさんを含む参加者数は、10月5日は400名、6日は330名でした。みなさまに心より感謝を申し上げます。
世界核被害者フォーラムでは、核保有国や核産業に対して闘い挑む勇敢な人々を広島にご招聘しました。海外からは録画とメッセージを含む計10か国14名が、日本からは核施設や核被害を受けた地域で活動する人々や専門家など26名が、2日間にわたって発表しました。
10月5日の開会セッションでは、「反核の父」と言われ哲学者で被爆者運動に半生を捧げた森瀧市郎さんの次女で、HANWAとフォーラムの共同代表を務める森瀧春子さんが、「お互いの距離や国境を越えた連帯で、国境なき放射能の拡散に歯止めをかけ、私たちの未来を、人類の存続を、地球を守りましょう」と挨拶をしました。元広島市長の平岡敬さんは歓迎の言葉の中で、「原子力に依存する社会に生きる人々に、核の本当の恐ろしさを知らせるには、その被害を受けている人たち、すなわちヒバクシャが連帯し、心の底からの声を伝えることが重要」だと強調しました。
私の基調提案の後に、金崎由美中国新聞平和メディアセンター長による基調講演がありました。中国新聞は1945年8月6日に広島市の爆心地から900メートルで本社が壊滅し、従業員の3分の1にあたる114人を失った新聞社です。その被害体験から視野を広げ、報道機関としては初めて、軍事、民生を問わずあらゆる核被害者を「ヒバクシャ」と定義し、1989年5月から1年間、134回にわたって「世界のヒバクシャ」を掲載するなど、核問題に長年注目してきました。金崎さんは、「被爆地広島の課題」を語り、中国新聞の記者だった金井利博さんの言葉を引用しながら、「反対すべき目標は、物としての核兵器ではなく、人の組織としての核権力である」と述べました。
日本被団協は、「被爆の実相を語り、核兵器廃絶と原爆被害への国家補償実現を、強く訴えて」いくという決意と、「国民の安全を確保するためには原発ゼロをめざすしかありません」という連帯のメッセージを寄せてくださいました。
【1.広島・長崎原爆被爆】では、被爆者の豊永恵三郎さん、黒い雨第一次訴訟原告団長の高野正明さん、韓国原爆被害者協会会長の李圭烈さん、全国被爆団体二世連絡協議会事務局長の平野克博さん、録画で長崎の被爆体験者訴訟原告団長の岩永千代子さんからの訴えに続いて、原水禁共同議長の金子哲夫さんによる在朝被爆者の問題についてと、被爆者の染色体異常やがん発症などを長年研究されてきた医師で研究者の鎌田七男さんからの発表がありました。
【2.ウラン採掘・精錬・核燃料製造】では、コンゴ民主共和国と米国、インドでの先住民族の土地でのウラン産業の影響について発表がありました。米国のマンハッタン計画による核兵器開発に使用されたウランの3分の2は、ベルギー領コンゴ(現在のコンゴ民主共和国)のシンコロブエ鉱山で採掘されたといわれています。夕方には、コンゴ民主共和国で活動していたゴールデン・ミサビコさん主演のドキュメンタリー映画の上映会と、シュリ・プラカッシュ監督による解説がありました。
2日目の【3.核実験と核植民地主義】では、亡父が高知県室戸のマグロ漁船で働いていたビキニ被ばく船員訴訟原告団長の下本節子さんと、マーシャル諸島出身の家庭に育ったマルシーナ・ラングリーンさんが、核実験の影響について発言しました。放射線医科学者で放射性微粒子に詳しい星正治広島大学名誉教授は、カザフスタンの核実験とウラン鉱山の影響を解説しました。
【4.原発事故・原発労働】では、原発事故被災者で小学校教員の菊池ゆかりさん、市民放射能測定室のネットワーク団体「みんなのデータサイト」の中村奈保子さん、福島第一原発の被曝労働問題に詳しい東京新聞の片山夏子記者、福島原発事故被害から健康と暮らしを守る会アドバイザーでチェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西共同代表の振津かつみ医師、「避難の権利」を求める全国避難者の会共同代表の宇野朗子さんが発表しました。福島県飯舘村原発事故被害者訴訟原告団長の菅野哲さんと、3.11子ども甲状腺がん裁判原告の方、チェルノブイリ核惨事の被曝者で「移住者の会」代表のジャンナ・フィロメンコさんは、録画やメッセージを通して現在も続く影響について訴えました。
【5.核廃棄物の処理・劣化ウラン兵器】では、イラクで劣化ウラン被害者の治療に携わるジャナン・ハッサン医師と、米国の核施設からの影響に苦悩する先住民族のリーダーから録画で報告がありました。「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」事務局長の山田清彦さんは青森県六ケ所村の諸問題を、南アフリカ・ケープタウン在住の環境正義運動家のリディア・ピーターセンさんは現地の核問題を、佐藤真紀さんは劣化ウラン被害者について訴え、アンゲリカ・クラウセン医師は、劣化ウランの健康被害とドイツの脱原発政策を発表しました。
【核被害者である医科学者として】では、ティルマン・ラフ医師がオーストラリアの核実験の影響と、同国の原子力潜水艦と原発導入の最新の動向について解説しました。
【核被害者の権利と補償の確立、核利用の根絶に向けて】では、マーシャル諸島出身のベネティック・カブア・マディソンさんと広島出身のユースの高垣慶太さんを交えて、海外ゲストと議論しました。
最後に、核問題を人権問題としてとらえ、被ばくをしない権利が私たちにはあり、「核と人類は共存できない」ことを確認した「世界核被害者の権利宣言2025」を、広島宣言と共に採択しました。核被害者の権利・補償確立と核廃絶実現に向けて、核被害者の権利宣言として、国際社会及び政府や国会・議会などへの具体的な政策提言に活用されることを期待します。
*「世界核被害者の権利宣言2025」日本語版・英語訳ダウンロード
https://mp-nuclear-free.com/Nuclear/2025_WNVF_01.html
被爆者運動や核廃絶運動を牽引してきた被爆者らから学び、核権力による加害の非人道性と違法性、核政策と被ばくの暴力性を社会が認識しなければ、核廃絶は実現しません。
核権力や植民地主義に闘い挑む核被害者たちが他の核被災地と繋がり、支援者と連帯しながら核被害の実態を訴え続けることは重要です。世界の核廃絶運動の中心的な役割を核被害者が担い、核被害者の権利と補償の確立と、核なき未来実現に向けて活動を続けてほしいと切に願います。
世界核被害者フォーラム 広島宣言
2025年 10月 6日
(前文)1. われわれは、ウクライナ戦争、ガザでのジェノサイド、中東危機の中で、核兵器使用や原発などの核施設への攻撃の威嚇が地域戦争の手段とされ、米英政府が劣化ウラン弾をウクライナに供与したりするなど、いま世界は核戦争や更なる核汚染への危機が高まっていることを懸念する。戦争がなくならない限り、核兵器の使用の衝動と核戦争の危険性は高まるばかりである。われわれは、今こそ、核被害者の声を世界に届けるときであると考え、アメリカによる原爆投下80周年に当たる2025年の10月5日から6日に、ここ広島に集った。
2. われわれは、核被害者=ヒバクシャを以下のように定義する。すなわち、原爆の被爆者、核実験の被害者、核物質を使った人体実験の被害者、核の軍事利用と民生利用の別を問わず、ウランの採掘・精錬・濃縮の活動、核の開発・利用・廃棄などの核兵器関連活動と原発・核燃料サイクルの全過程における労働と環境放射能汚染によるヒバクシャ、原発事故被害者、放射性廃棄物の劣化ウランを用いた兵器によるヒバクシャなど、の放射線被曝と放射能汚染による被害者すべてを含む。核時代を終わらせない限り、人類はいつでも核被害者=ヒバクシャになりうることを認識して、核と人類は共存できないことをあらためて確認した。
3. われわれは、ウラン採掘や精錬、核実験、核廃棄物の投棄が、いまも続く植民地支配、差別抑圧の下で行われてきたことを確認した。原発・核燃料サイクル施設の地方への設置と、原発下請け労働者への被ばくの押し付けなど、不平等・差別・抑圧・搾取の社会構造の下に核利用が成り立っていることを確認した。とりわけ、世界中で先住民に対して、先住民を政策決定過程から除外し、先住民族の権利-先祖代々の土地と関連する諸権利を含む-を侵害し、自らの権利や集団の権利を主張すると弾圧し、先住民にとってはジェノサイドになりうる被曝という暴力を強要するという「核植民地主義」の歴史と現状を確認した。環境を放射能で汚染され、人間生活の基盤をも奪われた核被害者を日々増やし続けていることを確認した。
4. われわれは、核被害は、核被害者の健康のみならず、被害者と家族の生活をも脅かし、コミュニティ全体にも及び、社会的、文化的な被害をももたらしていることを確認した。
5. われわれは、核被害が次世代以降の健康にも被害を及ぼす可能性があることを認識した。また、社会的、文化的な被害は、次世代以降にも及んでいることを確認した。そして、核利用によって、人類の歴史よりも長い寿命の核種を含む核廃棄物が「負の遺産」として将来世代に残されてしまったことを確認した。
6. われわれは、核被害が、人類のみならず、環境の放射能汚染によって、人を含む生態系全体に被害を及ぼす可能性を確認した。
7. われわれは、2013 年にオスロ、2014 年にナジャリットとウィーンで開かれた「核兵器の非人道的影響に関する国際会議」の結果として、核兵器爆発が環境、気候、人間の健康、福祉、社会に破滅的な影響をもたらし人類の生存さえ脅かし、対処が不可能であるという認識が国際的に共有されたことを確認した。
8.われわれは、核加害者を以下のように定義する。核武装国をはじめ、核の利⽤により、⼈間の⽣存の基盤を破壊し、⽣き物すべての⽣存を侵害する原因を⽣み出した者、軍産官学複合体やその構成員、およびこれを⽀援する国家、国際原子力機関(IAEA)や国連科学委員会(UNSCEAR)などの国連組織と、原子力推進の立場の科学者による国際放射線防護委員会(ICRP)などのこれまで放射線被曝による被害について過小評価して原発事故などの本当の影響を隠蔽してきた機関、核エネルギー政策を推進した国家および放射能汚染を引き起こした事業者と原発など核施設のメーカーの株主、債権者を含む。われわれは、核加害者が被害者への賠償責任を含めて、加害についての責任を負うことを強く要求する。また、原発輸出やウラン輸入を含む原子力関連産業の推奨・支援・投資は、人権侵害と環境破壊をもたらす危険があることを認識するよう主張する。
9. われわれは、核加害者が核(原子力)産業の利益を擁護するために、放射線被ばくのリスクを過小評価してきた長い歴史に対し、強く批判する。われわれは、核被害者や核被災地および、次世代を含む全ての人々と地球環境を守る立場に寄り添った、放射線リスク評価の採用を求める。次世代への影響については、動物実験などの基礎研究の結果から、人間にも「遺伝的影響は否定できない」「危険性がある」ことは明らかである。また、これ以下なら人体に影響はないという放射線被ばくの「しきい値」が存在せず、いかなる線量であれ後障害の健康リスクがあることを認識した。このことは、例えば、世界の核施設労働者の疫学調査「INWORKS」などで、ますます明らかになっている。内部被ばくは被ばく線量推定が難しいことなどのため、加害者は被ばく健康影響を認めず、無視し、切り捨てようとしていることを認識した。
10.われわれは、2021年1月に核兵器禁止条約が発効し、核兵器の国際法での違法性と、締約国による核被害者の救済と環境回復の義務を定めたことを歓迎する。核兵器禁止条約は、核戦争による非人道性の極みを訴え闘ってきた原爆被爆者、核実験被害者たちの体験と、それを共有する運動の上に成立した。しかし、世界各地の核被害者の救済なくして核廃絶はないという被爆者らの訴えに反し、核被害者を「核兵器の使用もしくは実験」によって影響を受けた者だけであるかのように記述されているため、ウランの採掘、精錬、濃縮から核廃棄物までを含む核兵器関連の全てのヒバクシャ、とりわけ先住民の被害が切り捨てられようとしていることを憂慮する。また、原子力の「平和利用」を奪い得ない権利と定めていることは容認できない。そして、加害者が明記されず、加害責任が明確にされていないことなどの致命的な問題も確認した。このような問題を核被害者とともに、世界の人々の力で正し、核兵器禁止と核被害者支援の世界の運動をより強めていくことが重要だと主張する。
11.われわれは、2024年3月に国際原子力機関(IAEA)主導の第1回原子力サミットが開催され、非原発保有国を含む32カ国が原発推進に向けて協力することを宣言したこと、さらに、世界中の原子力ムラが気候変動枠組条約締約国会議において原子力は気候危機の解決策であると喧伝していること、また、核武装国であるアメリカや核実験被害国であるカザフスタンなどでウラン採掘などが活発になっていること、またさらに、ウラン濃縮を含む原子力技術を希求するグローバルサウスの国が増えていることを憂慮する。われわれは、原子炉からの使用済み核燃料に、核兵器に転用可能なプルトニウムなどの核物質が含まれており、テロや盗難、核拡散のリスクがあること、さらに原子力技術の軍事転用の可能性があることも懸念する。
12.われわれは、2023年8月24日から開始された東京電力の福島第一原子力発電所からの放射性核種を含む汚染水(放射性廃水)の太平洋への放出が、少なくとも次の30年も続くことについて、予防原則に基づき、即時の放出停止を求める。放射性廃水の海洋放出は、太平洋を共有する全ての人々、とりわけ日本の漁業者及び太平洋諸島に暮らす多くの先住民の健康・生活・文化への権利を侵害するものである。
13.われわれは、東京原爆訴訟判決(1963年12月)が米軍の原爆投下は国際法違反と認定したこと、国際司法裁判所が「厳格かつ実効的な国際管理のもとで、全面的な核軍縮に向けた交渉を誠実に行い、その交渉を完結させる義務がある」と勧告的意見(1996 年7月)を表明したことを認識している。この勧告的意見に基づき、2014 年4 月、核実験の被害を受けたマーシャル諸島の人々の政府が、国際司法裁判所に9つの核武装国に対して提訴したが、2016年10月に訴えが退けられたことは非常に遺憾である。その後も、マーシャル諸島の人々は国連機関で核実験の負の遺産について声を上げ続け、その結果、マーシャル諸島の核実験の影響に関する51/35決議案が国連人権理事会で採択され(2022年10月)、それに基づいた検証をもとに、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が国連人権理事会への報告書で、アメリカ政府に、過去、現在、将来にわたる人権侵害に対する正式の謝罪と賠償を促したこと、また、関連記録の全面公開を求め、核の負の遺産による人権侵害を防ぐために、全ての汚染地域のモニタリングと環境回復など、マーシャル政府が「核の正義」に基づく対策を行えるように支援することを求めたことを歓迎する。
14.朝鮮半島出身の原爆被爆者には、朝鮮が日本の植民地であったことによって故国では生活していけなくなったため日本に渡り、あるいは強制労働者として日本に連行され、広島や長崎で原爆被害に遭ったという背景があったことを忘れてはならない。1967年に発足した韓国原爆被害者協会が、原爆を投下したアメリカ政府の加害責任、原爆製造関与のアメリカの企業の加害責任、日本政府の加害責任、自国の被爆者を援護すべき責任を放置した韓国政府の責任を追及してきたことを強く支持する。われわれはさらに、広島・長崎で被爆した後、朝鮮半島の北側(現在の朝鮮民主主義人民共和国)に帰国した人たちに対して、日本政府が被爆者援護を放置し、無援護のままの状況にある課題が、同国との国交正常化も含め、一刻も早く解決されることを求める。
15.われわれは、2026年11月にニューヨーク市で、韓国の被爆者と支援者が国際民衆法廷を開催し、アメリカ政府に対して原爆投下の国際法上の違法性を問い、加害責任と謝罪を追求する行動を、強く支持する。
16.われわれは、日本で核被災地の人々が核被害に対する補償・保障・保証を求めて、被爆体験者訴訟、黒い雨原爆被害追加訴訟、ビキニ被ばく船員訴訟、被爆2世訴訟、ALPS処理汚染水差止訴訟、311子ども甲状腺がん裁判、原発事故被害者・避難者・原発被ばく労働者訴訟などの、国や核加害者を裁判に訴える行動に連帯する。われわれは、また、同様の行動を求めている世界の核被災地の人々と連帯する。
17.われわれは、第1回核被害者世界大会が核保有国と原子力産業の犯罪責任を追及し(1987年ニューヨーク決議)、また軍産複合体に損害補償の責任を負わせるとしたこと(1992年ベルリン決議)、先住民らが参加した世界ウラン公聴会が、諸政府、その責任ある部署、国際企業やその他の企業、組織、共同体、個人に対し、核開発による身体的、文化的ジェノサイドから守るための先住民固有の自己決定権を認識し、被害の責任を負うことを約束して被害者に対して補償を行うことを求めたこと(1992年ザルツブルグ宣言)を想起する。さらに、われわれは、「原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島」がトルーマンを含む被告たち15名全員の有罪を確定したこと(2007年7月)を確認する。
18.われわれは、加害者が責任を認めて謝罪し、過去の被害への補償をし、核被害者と核被災地への社会的保障を提供し、これ以上核被害を地球上に起こさないことを保証することを求める。また、これまでの加害行為を反省することを強く要求する。
19.われわれは、核汚染の被害を受けた先住民の諸権利を守るために、先住民の自己決定権や、環境や発展に関する諸権利などを定めた「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を各国政府が遵守することを求める。
20.核被害こそが最大の環境破壊であることをわれわれは認識した。1998 年に採択したオーフス条約(環境に関する、情報へのアクセス、意思決定における市民参画、司法へのアクセスに関する条約)に留意し、クリーンで健康な環境へのアクセス(利用可能にすること)、情報へのアクセス、意思決定における市民参画、司法へのアクセスは普遍的人権であることを確認する。われわれは、2021年10月に国連人権理事会がクリーンで健康的かつ持続可能な環境をもつことが普遍的人権であることを認識したこと、また、翌年の2022年7月に国連総会が、クリーンで健康な環境へのアクセスは普遍的人権であると宣言する決議を採択し、日本や、アメリカなどの核武装国を含む161の国と地域が支持したことを歓迎する。この決議は、全ての人にとって健康な環境を守るための取り組みを拡大するよう、各国政府、機関や組織、そして企業に求めている。われわれは政府や国際組織・国内組織、企業に対し、全ての人にとって健康な環境を約束するよう要求する。
21.われわれは、日本国憲法前文の「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」を想起する。
22.原発・核燃料サイクルを「核の平和利用」と言うのは欺瞞である。1953 年、アメリカのアイゼンハワー大統領は、核兵器開発をより一層推し進め、軍事用原子炉を発電に転用した原発による経済的利潤の追及(核の民生利用)でも国際的優位を目指し、国連での「平和のための核(アトムズ・フォー・ピース)」宣言を行った。われわれは、「核の軍事利用」と「核の民生利用」が原子力産業を通じて密接につながっていること、さらに劣化ウランを使用した放射能兵器など核利用の全段階で大量の核被害者を生み出してきたことを認識した。われわれは、ウラン採掘から核廃棄物管理に至るまで、核燃料の製造や原子力発電、再処理を含め、「軍事」「民生」を問わず、医療用を除き、全ての核利用に関連する全ての過程を直ちに中止し、廃棄することを求める。
23.われわれは、劣化ウランを利用した兵器の製造・保有・使用を禁止することを求める。
24.われわれは、核の利用がある限り放射能災害の発生を防ぐことはできず、増え続ける核廃棄物の処理・処分の見通しは全く立たないうえ、核汚染は長期にわたり、不可逆的なものであり、環境の原状回復は不可能ということから、人類は核エネルギーを使ってはならないと認識した。
25.われわれは、今回の世界核被害者フォーラムを契機として、核被害者の情報を共有し、芸術などを含むさまざまな方法やメディアなどの媒体で発信し、共に連帯して闘っていくことを確認した。
26.われわれは、2015年の世界核被害者フォーラムとこの2025年の世界核被害者フォーラムの成果をもとに、以下の世界核被害者の権利宣言2025を世界に発信するため、広島宣言を採択する。
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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信197号
(25年12月20日発行、B5-32p)もくじ
・フィリピン・市民団体連合は、ADBの「危険な逆行」を非難
― 原発推進は負債と災害を招くと警告する ― (非核バターン運動)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3397
・世界81団体、ADBの原発融資解禁決定に抗議声明
「長期的なリスクとコストが途上国の人々にのしかかる」 (満田夏花)、共同声明:アジア開発銀行(ADB)の原発支援解禁に抗議する
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/3406
・「世界核被害者フォーラム」報告 (井上まり)、「世界核被害者フォーラム」広島宣言
・コリ2号機の寿命延長承認に対する声明 (韓国エネルギー正義行動)
・反対:第二原発・第三原発の再稼働 (台湾全国廃核行動プラットフォーム)
・インドネシア・ゲラサ島での原発建設は拒否、
バンカ・ブリトゥン州住民は環境を守るために団結
・韓国とトルコ、原子力分野の協力で覚書
・上関町、使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画の今 (三浦みどり)
・無謀な再稼働に走る日本の原子力事業に未来はない (後藤政志)
・新潟県知事「柏崎刈羽原発再稼働容認」判断とその後 (中山均)
・北海道知事の泊原発3号機再稼働への同意は容認できない (川原茂雄)
・「東海第二原発廃炉デー大集会」開催 (沼倉潤)
・関西電力の美浜原発新増設に反対する (山本雅彦)
・11.30「原発つづけるための乾式貯蔵NO!全国集会@高浜」に400人が結集 (木原壯林)
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