韓国ハンビッ原発 格納容器コンクリートで大量の穴発見


<韓国ハンビッ原発1・3・4号機の閉鎖を要求>

格納容器コンクリートで大量の穴発見

ヨン・ソンロク (脱核新聞8月号より)

霊光(ヨングァン)にあるハンビッ原発は今、「ボロの継ぎはぎ」という言葉がぴったり当てはまる。格納容器コンクリートのいたるところで発見された穴はセメントで埋められ、腐食した内部鉄板は接ぎ当てられた。それにもかかわらず、「安全性に異常はなし」として原子炉を再稼動する方針だ。

ハンビッ原発4号機の格納容器コンクリートでは、この3年間で、14cmを超える穴(孔隙・すき間)が96ヶ所、14cm以下の穴が23ヶ所、見つかった。また、格納容器の内部鉄板(CLP)でも、腐食などで厚さが薄くなった部位が120ヶ所発見された。さらに、上部ドームの連結付近で高さ20cmの環型孔隙(格納容器の15段の上部全体にコンクリート打設をしなかったことが原因とされる)が発見された。

そして、今回もまた、ハンビッ4号機格納容器コンクリートの主蒸気配管ライン部分で、157cmにも達する大型の穴が見つかった。主蒸気配管ライン部分は、一般的な格納容器コンクリートの厚さ(120cm)よりも厚い167.6cmだ。したがって、157cmの穴があったということは、正常な部分わずか10cmだけを残して大きく空いていたということだ。

ハンビッ4号機では5月に、深さ38cmの穴が見つかった後、追加点検に入った。7月3日に深さ90cmの穴が見つかり、この穴を詳細に調査した結果、最終的にこの穴の大きさは、横330cm、縦97cm、深さ157cmであることが確認されたのだ。

ハンビッ1号機で原子炉出力急上昇事故、ハンビッ3号機で相次いで火災発生、ハンビッ4号機で超大型の穴が発見されたことから、「ハンビッ核発電所対応湖南圏共同行動」(以下、湖南圏共同行動)は、ハンビッ原発1・3・4号機の廃止を要求する行動を開始した。7月29日には、霊光のハンビッ原発の正門前で記者会見を開き、ハンビッ1・3・4号機の即時廃止と責任者の処罰を要求した。

8月1日には、全羅北道に所在する67の市民・社会・労働団体などが全羅北道庁で記者会見を開き、ハンビッ1・3・4号機の廃止と全羅北道民の保護対策の確立を要求した。記者会見の公示から1日で67の団体が集まったことは、この問題に対する地域の市民社会の関心が非常に高いことを示している。

ハンビッ1号機では5月に、原子炉出力計算ミス、無資格の作業者の原子炉制御棒操作ミスなどによって原子炉の出力が急上昇する事故があった。ハンビッ3号機では、昨年11月、格納容器内の電気コンセントの火災事故、今年の7月11日には放射性廃棄物処理場の乾燥機で火災発生、格納容器のコンクリート部分で98個の穴が見つかるなど、安全を脅かす事柄が続いて発生している。

湖南圏共同行動は、ハンビッ4号機で157cmの穴が発見されたにもかかわらず、事業者である韓国水力原子力が「格納容器の構造的な安全性には問題がない」と主張したことに対し、強く反発している。湖南圏共同行動は、韓国水力原子力・原子力安全委員会・産業資源部に対し、「国民の安全を優先しなければならない国家基盤施設の運営事業者として、また、国民の権限を代わって遂行する公共機関として、ハンビッ1・3・4号機の廃止を決断すること」を要求した。

湖南圏共同行動には「霊光核発電所安全性確保のための共同行動」「核のない社会のための高敞郡民行動」「脱核エネルギー転換全北連帯」「核のない世界光州全南行動」「井邑緑の党」が参加している。

また、「ハンビッ原発安全性確保民官合同調査団」は、ハンビッ3・4号機は、格納容器のコンクリートをすべて調査・検証できていないため、他の穴やグリス漏れの可能性があり、格納容器が100%安全だとは判断しがたいという立場を示している。

(ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.159より)

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信159号(8月20日発行、B5-28p)もくじ

・ノーニュークス・アジアフォーラム2019 in台湾 ― 開催のお知らせ
・「台湾は 原発がなくても 電力は不足しない」(台湾環境保護連盟ほか)
・韓国ハンビッ原発 格納容器コンクリートで大量の穴発見 (ヨン・ソンロク)
・第6回持続可能性についての南々フォーラム@香港 参加報告 (藤岡恵美子)
・シノップ原発事業、新たなパートナーと継続を模索 (森山拓也)
・インラサラ氏・スピーキングツアー in沖縄&日本 (吉井美知子)
・東電代表執行役を「違法行為差止め」で提訴 (木村結)
・志賀原発の運転差止めを求め株主が提訴 (北野進)
・審査請求から逃げまくる原子力規制委員会、
特重なしの稼働を許すな (木村雅英)
・再稼働阻止全国ネットワーク≪サポーター会員加入≫のお願い (沼倉潤)
・私たちの未来を問う広島原爆「黒い雨」裁判 (湯浅正恵)
・芦浜原発阻止20周年記念出版「芦浜闘争私記」(柴原洋一)
・台湾を知る集い ☆郭金泉さんと脱原発を語ろう (谷本洋子)

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