非核亞洲論壇30年

高成炎(台湾環境保護連盟)

         1995年、第3回NNAF、3万人デモ

非核亞洲論壇(NNAF)は、アジア各国で開催され、反原発運動の国際的な連携を強化し、多くの政策転換を実現した。

私は数多くのNNAFに参加してきた。とくに、第3回NNAFは1995年9月に台湾で開催されたが、当時、私は環境保護連盟の副会長を務めていたため、NNAFの主催を担った。2011年、福島原発事故後の日本開催NNAFでは、呂秀蓮元副総統の参加を促し、福島災害地の視察を実施した。私はその後、『福島核災啓示録』を執筆・出版した。

NNAFは、発足から30年にわたり、アジア地域において核エネルギーの見直しとエネルギー転換を推進する重要な役割を果たしてきた。各国の草の根運動を結びつけ、長期的な影響を持つ成果を数多く生み出した。NNAFの中心的な議題は、地震が原発に及ぼす危険性、核廃棄物処理の問題、核エネルギー政策の影響、そして草の根抗争の国際的な連携である。その影響を以下にまとめる。

1. 核エネルギー危機の顕在化と抗議活動の拡大

2007年の日本・新潟地震は柏崎刈羽原発の安全問題を浮き彫りにし、NNAFは「地震と原発」というテーマに関心を寄せるようになった。

2011年の福島原発事故は反原発運動の大きな転換点となり、台湾第四原発阻止への闘い、インド・クダンクラムの非暴力闘争、韓国サムチョクの原発計画反対運動といった、アジア各国の抗争をさらに拡大させる契機となった。

NNAFは現地調査や住民交流、国際会議を通じて、原発がもたらす環境および社会的リスクを広く周知させた。

2. 政策変革と草の根運動の強化

ここ十数年間で、NNAFは政策の変革を促進し、2014年の台湾第四原発建設の凍結、2016年のベトナムにおける原発建設計画の撤回、2018年の韓国における原発拡張計画の中止を実現させた。

これらの成果は、NNAFが草の根運動を支援し、現地の住民と活動家に国際的なプラットフォームやリソース、自信を提供したことによるものである。

フィリピンのバターン原発やインドネシアのムリヤ原発の反対運動においても、NNAFは地域の運動を持続的な力へと変えて、住民たちは原発をくい止めてきた。

3. 国際連携とアドボカシー活動

NNAFは、アジア諸国の反原発運動の国際的連携を促進し、各国が原発情報や運動の成功事例を共有する場を提供することで、核エネルギーのリスクに対する一般市民の認識を高めた。

また、国際的な結束と協力を強化し、集団的行動を通じてアジアでの原子力産業の拡大を阻止してきた。

さらに、福島原発事故による汚染水の海洋放出に反対する国際署名運動など、世界規模のアドボカシー活動も展開し、110カ国から8万人以上の署名を集めることに成功した。

4. 無核化と平和的発展の推進

NNAFの30年間の活動は、無核化が決して達成不可能な目標ではないことを証明してきた。国境を越えた協力と草の根の力によって、NNAFはアジアにおける環境正義と平和的発展を推進する中心的なプラットフォームとなった。

今後も国際社会との連携を深め、政策変革を促進する使命を果たし、地球規模での無核化をめざして尽力していくものである。
(「台湾環境」25年2月号より、抜粋)

1995年、第3回NNAF、3万人デモ

***********************

★ノーニュークス・アジアフォーラム通信192号
(25年2月20日発行、B5-28p)もくじ

・第21回ノーニュークス・アジアフォーラム in 台湾 - 開催のお知らせ    
・非核亞洲論壇30年 (高成炎)
・脱核運動の知彼知己  (キム・ヒョヌ)
・[脱核新聞座談会] 尹錫悦弾劾の局面で、脱原発運動は何をすべきか (キム・ヨングクほか)
・大統領弾劾の政局のなかでも原発の寿命延長、着々と進む (小原つなき)
・インドネシアは再び原子力の夢を見るか? (安部竜一郎)
・Nuclear-Free Future Award(核のない未来賞)を受賞 (S.P.ウダヤクマール)
・15万筆超えのインパクト ― 新潟県民は県民投票を求めている (水内基成)
・能登半島地震から14か月 ― 地震と原発避難 ― (堂下健一)
・能登半島地震から1年経っても地震は続く (川原登喜の)
・上関町で生きていく子供たちの為に  (清水康博)
・六ヶ所再処理工場とむつ中間貯蔵施設の現状 (山田清彦)
・核ごみ文献調査報告書が完成 (高野聡)
・福島原発事故被害は今 (宇野朗子)
・老朽原発の延長認可の違法性について初めての司法判断 (柴山恭子)
・使用済み核燃料の行き場はないぞ! 老朽原発うごかすな! (木戸惠子)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisuke アット rice.ocn.ne.jp