広瀬隆、韓国で巡回講演「地震帯の原発の危険を語る」
- キム・ボンニョ(円仏教環境連帯)
韓国では試運転1基を含めて25基の原発が運転中である。9月12日、月城(ウォルソン)原発6基が動いている慶州(キョンジュ)でマグニチュード5.8の内陸地震が発生した。韓国の全地域で揺れを感知するほどの地震で、慶州への観光客が激減して観光業界が打撃を受けている。
正義党と円仏教環境連帯などは、広瀬隆さんを招待して10月24日から29日まで、国会議員会館・ウルサン・慶州・釜山で「地震帯に乗っている原発 - 韓国で地震発生、原発は大丈夫なのか」巡回講演会を行なった。
「阪神大地震の時から地殻変動期に入っているので、韓国でも地震が起きる。釜山・ウルサン・慶州辺りでは60くらいの活断層があり、マグニチュード7程度の地震がほぼ間違いなく起きる。大きい直下地震では耐震設計も意味がないし、韓国の原子炉の耐震基準は196ガルに過ぎない」「段差7メートルの大地震の痕跡が慶州にあるが、これは地震大国である日本の最大段差6メートルより大きいものだ」「2012年に梁山(ヤンサン)断層が活断層だということを確認したにもかかわらず、当局は隠蔽した。原発周辺人口密集度世界一で、大地震発生10分後に地震を知らせる国、大地震で原発事故が起きたら、みなさんは避難できるのか・・・」
原発現地では、広瀬さんがパワーポイントの画面をかえるたびに、聴衆から嘆きと溜め息がでた。ウルサンのある女性は、広瀬さんの講演の映像を60個のUSBにコピーして朴クネ退陣デモの上京バスへ渡して見せた。
韓国で地震関連の大衆講演会は初めてで、ハンギョレ新聞と釜山日報は広瀬さんのインタビューを大きく報道し、地方テレビ放送と脱核新聞や、オーマイニュースなどネット上の媒体でも講演の内容が紹介された。
一週間後ソウルで開かれた国際エネルギーシンポジウムで、ソウル市長は、月城原発6基と釜山の古里原発6基の運転中断要請宣言を出した。その数日後には、元郡長が新規原発を誘致したヨンドク郡の郡長が、原発建設推進業務を中断するという宣言をした。
これらの動きは、止まらない余震と広瀬さんの講演の影響だと思う。地震警告のための訪韓は成功したと思う。しかし、原発ゼロになるまでは安心できない毎日である。
「地震や津波は天災だが、原発震災は人災である」という広瀬さんのことばが忘れられない。
この文章を書きながら朴クネの弾劾案が通過したというニュースを聞いた。韓国語で弾劾と脱核の発音はほぼ同じである。「弾劾を越え脱核へ!」「やられる前に脱核!」。土曜日の明日、また広場で掲げる横断幕だ。
(ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.143より)
●広瀬隆、韓国で10月、連続講演会(国会、慶州、ウルサン、プサン)
「地震帯上の原発、その危険を語る」(同時通訳はキム・ボンニョさん
・国会議員会館での講演2時間の映像。1分20秒以降は日本語で聞けます
https://drive.google.com/file/d/0BzZ4y6DIL7m4MzU4VXNZYmZsQ3M/view
・プサンでの講演2時間の映像。韓国語と日本語、両方で聞けます
https://www.youtube.com/watch?v=UVNjxR0cNzw
************************
★ノーニュークス・アジアフォーラム通信143号(12月20日発行、B5-26p)もくじ
●国会は日印原子力協定を承認してはいけない!
●「日印原子力協力協定」に反対する共同アピール
●「日印原子力協定阻止キャンペーン2016」 11月の活動 (松久保肇)
●広島市長、長崎市長が、日印原子力協定 交渉中止を要求
●インドの新聞に掲載「福島の女たちからモディ首相への手紙」
●日印原子力協定について (原発ゼロの会)
●ベトナムの原発計画:中止のワケ (吉井美知子)
●広瀬隆、韓国で巡回講演「地震帯の原発の危険を語る」(キム・ボンニョ)
●盈德郡守、「原発業務推進、中断」決定 (パク・ヘリョン)
●東電賠償・廃炉費用、老朽炉廃炉費用の託送料金上乗せについて (原発ゼロの会)
●みんなが米山って書いたから、10月16日は脱原発記念日 (小木曾茂子)
●柏崎原発現地でも「再稼働反対」が過半数に! (矢部忠夫)
●泊原発再稼働阻止・大間原発建設反対10月集中行動 (佐藤英行)
●闘争の歴史を次世代に伝える - 海山原発闘争勝利15周年記念集会 (柴原洋一)
●原発メーカー訴訟原告団設立 (大久保徹夫)
年6回発行です。購読料(年2000円)
見本誌を無料で送ります。事務局へ連絡ください
sdaisukeアットマークrice.ocn.ne.jp
★NNAF通信・主要掲載記事(No.1~143) http://www.nonukesasiaforum.org/jp/keisaikiji.htm
★本『原発をとめるアジアの人々』推薦文:広瀬隆・斎藤貴男・小出裕章・海渡雄一・伴英幸・河合弘之・鎌仲ひとみ・ミサオ・レッドウルフ・鎌田慧・満田夏花http://www.nonukesasiaforum.org/jp/136f.htm