ノーニュークス・アジアフォーラム通信・号外より
ヨンドクからみなさまへ
パク・ヘリョン(ヨンドク核発電所反対汎郡民連帯・対外協力委員長)
脱核新聞読者と、ヨンドクを応援してくださる全国の脱核市民のみなさま
皆が「不可能だ」と言っていた「ヨンドク核発電所誘致の賛否を問う住民投票」が、11月11~12日に行なわれました。
人口4万に満たない海辺の小さな美しい町、ヨンドク。11,209人の投票参加と10,274人の反対票という驚くべき結果を得ました。開票の瞬間を迎えられただけで、あふれる涙を抑えることができませんでした。この驚くべき結果をともに創り出してくださった、この間ヨンドクに来てくださった数千人の脱核市民と、ヨンドクにお住まいの郡民のみなさまに、心からご挨拶もうしあげます。「ありがとうございました。決して忘れません」
「ヨンドクが核発電所の新規建設地に選ばれたことを知っている人はほとんどいない」という話を数年間聞かされてきました。住民すら行政の報復が怖くて息を殺していた数年の間にも、多くの人々がヨンドクを訪ねてくださいました。住民も報道も注目してくれませんでしたが「ヨンドク核発電所反対」の叫びをやめませんでした。
数ヶ月間、署名を集めてまわるなかで、住民投票が終わってからの住民たちとの対話のなかで、わかってきたことがあります。住民たちが何の反応も見せなかった「ヨンドク脱核希望バス」や大小の集会、「市」の立つ日の情宣、十数人でつないできた一人デモなど、数年間続けてきたことの一つ一つを、ヨンドクの住民たちは覚えてくれていたということです。韓水原が猛烈な非難を浴びせてきた「外部勢力、見慣れぬよそ者」たちの「市」での情宣と署名集めの記憶を、住民たちは希望として受け止めていたのです。「私たちを助けてくれる人がこんなにたくさんいるなんて、実にありがたい人たちじゃないか。そんな人があんなに多いのに、何で核発電所を作ろうとするのかの?」
原発よりも核発電所という名の方が通りがいいヨンドク住民は、いまや政府の話ではなく、核発電所反対活動をする汎郡民連帯の話を信じ信頼する人々となりました。「黄色いチョッキ」が近づけば固くなっていた顔が、今は手を先に差し出してあいさつをするほどです。
「連中が何て言ってるって? ダメだってか? そんでも最後まで反対せにゃ」。住民たちにとっては、政府の言う「全登録住民の33.3%の投票率が必要」という法的基準値など、重要でもなく意味もありません。なぜなら、これこそ政府のウソッパチ論理だということを、住民投票の過程を通じて見てきたからです。
「自主住民投票」には多くの困難がつきまといました。核発電所を阻止せねばという切迫感のため、「できもしないことにこだわっている」という外部の視線と、住民の意志を力強く結集させることができない内部の力量を克服せねばなりませんでした。「行政が行なわないなら住民投票実現は難しい」という一部の団体の持続的な批判も、「民間主導の住民投票」を決意することを難しくしました。
挫折のたびに痛みをともにし、住民投票成功のために汗を流した多くの顔、瞬間がありました。いつになく暑かった真夏の炎天下に署名集めに参加してくださった方たちの汗まみれの顔が思い出されます。「この一歩一歩の先にあるのが、たとえ住民投票成功でなくとも、この道をともに進むのだ」と歩んでくださり、つらい瞬間にも肩をたたきながら「がんばれ、やり抜くんだ」と激励してくださった心づかいを忘れてはいません。なにより20ヶ所の投票所を動かすために全国から駆けつけてくださった数百の脱核市民のみなさまと、徹夜で開票作業をしてくださった先生方に、ヨンドク住民は熱い感謝を送ります。今日のヨンドクをともに創ってくださった全国の連帯者のみなさまに、心からの感謝を送ります。
ヨンドク住民は「政府の原発建設強行と最後まで闘う」という希望と意志を育んでいます。今後もさらに堅い連帯と希望でヨンドクを守り、この地が核から守られることを願って。いかなる現場よりも連帯の力が大切だったヨンドクから。
今後も連帯の力でともに「ヨンドク脱核」「韓国脱核」を実現してゆきましょう。ありがとうございました。
(「脱核新聞」 12月号より、訳:功能大輔)
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ノーニュークス・アジアフォーラム通信
号外もくじ
(16年1月20日発行)B5版12ページ
●原発事故被害者の闘いを伝え、アジアの友人とつながる(佐藤和良)
●世界中の人に知ってほしい(木幡ますみ)
●福島から、原発をとめるアジアの皆さまへ(橋本あき)
●韓国ヨンドクからみなさまへ(パク・ヘリョン)
●ミャンマーで小水力セミナー
(大津定美)
●台湾で考えたこと(黄積希)
●西川福井県知事の高浜原発再稼働同意はウソで塗り固められている
(若泉政人)
●福島原発事故の教訓と、住民の声に根差して、高浜原発3・4号の再稼働反対の運動を強めよう(避難計画を案ずる関西連絡会)
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