「放射能汚染水海洋投棄反対、全国漁民大会」ー 全国漁民2000人、第2回全国行動の日に参加 ー

ミンギ(環境運動連合) 

国会前で6月12日、放射能汚染水海洋投棄阻止行動が主催した「第2回全国行動の日」に、全国の漁民2000人が集まった。まさにこの日、日本政府が汚染水海洋放流の2週間試運転を開始した。

日本政府は汚染水問題をめぐって嘘をくり返している。とくに「福島漁民および関係者の理解と同意なしに汚染水放流はしない」という約束も破った。最近、福島近隣3県の漁民が明らかにした「汚染水放流に断固反対する」という立場と、太平洋を巡る世界市民の反対にもかかわらず、今夏の海洋放流を固守している。

チュ・ヘグン全国漁民会総連盟会長は「この集会は全国漁民の声を集めて放流を防ぐための場」とし、「韓国政府と政界は何の対策もない。国民が感じる恐怖と脅威を解決してほしい」と訴えた。

連帯発言をした公共給食協同組合のキム・ウンジュ理事長は「汚染水海洋投棄は、水産業従事者にも、水産物を消費する国民にも、青天の霹靂のようなことだ。現在と未来の生存と健康の問題であり、政府と国民が共に対応して、必ず防がなければならない」と述べた。

キム・ジョンシク全国漁民会総連盟副会長は「国が私たちを守ってくれなければ誰が守ってくれるだろうか。私たちを守ってほしいとソウルに集まった」「私たちの生活の基盤である海を奪われることはできない。漁民が団結して力を集めよう」と強調した。

続いて集会参加者たちはプラカードを掲げてウェーブを行った。

日本福島の小野春雄漁民のメッセージが読まれた。「海は漁師の仕事場だ。ところが汚染水海洋放出によって、再び福島原発事故直後のような悪夢をくり返すことになりそうだ」「海洋放出以外の方法はいくらでもある」。

釜山、全羅南道、慶尚南道各地の漁民発言が続いた。

釜山から来たヤン・ジョンモ漁民は「私たちが、食べていける、生きていけるよう、国を導いていく方々がきちんと政策を展開してほしい」と訴えた。

全羅南道から来たパク・ジョンヒ漁民は「汚染水投棄が始まれば、消費減少で、漁民が荒波とたたかって獲ってきた魚、昼夜を問わず養殖場で育てる海苔など、水産物は売れなくなるだろう。政府と国会議員は、汚染水を絶対に防いでほしい」と求めた。

慶尚南道から来たナム・ナムテ漁民は「政府は汚染水放流を積極的に阻止せよ。水産物消費不振と価格下落にともなう漁民の苦痛に共感し、被害を補償せよ」と強調した。  

「放射能汚染水海洋投棄阻止・第2次全国行動の日」「全国漁民大会」共同決議文

福島原発汚染水海洋投棄を阻止せよ! 漁民みんな死ぬ!

日本政府が公言した放射能汚染水の海洋投棄が目前に迫っている。放射能汚染水の海洋投棄を控え、漁民が感じる恐怖は大きくならざるをえない。一生、海だけを見つめ、海を通じて暮らし続けてきた韓国漁民たちは、生活の基盤である海が汚染され、水産物が売れなくなるという恐れと絶望感を感じている。

5月に、環境運動連合が行った汚染水放流に対する国民アンケート調査で、85%の国民が「放射能汚染水海洋放流に反対する」と答えた。また、72%の国民が「汚染水が捨てられれば水産物の消費を減らす」と答えた。汚染水が海に捨てられれば韓国漁民の憂慮が現実になることを示した世論調査の結果だ。

福島原発の汚染水による被害は、果たして誰が責任を負わなければならないのか? 海で生計を立てている漁民たちなのか?


政府は、日本政府の汚染水海洋投棄を容認する態度を捨て、汚染水海洋投棄を阻止せよ!


私たちは、地球と生態系を破壊する放射能汚染水投棄計画に反対する。私たちは放射能汚染水の海洋投棄を防ぐために、最後まで連帯して闘争する。


一 私たちは、日本の放射能汚染水海洋投棄に強く反対する!
一 日本政府は、地球と海を滅ぼす放射能汚染水投棄計画を中止せよ!
一 日本政府は、陸上での長期保管などの解決策を講じろ!
一 韓国政府は、汚染水海洋投棄を防ぐため、国際海洋法裁判所に直ちに提訴せよ!


2023年6月12日
全国漁民会総連盟、放射能汚染水海洋投棄阻止共同行動           <抜粋>

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信182号
(23年6月20日発行、B5-28p)もくじ

・汚染水を海に流すな!5.16東京行動に、のべ1,200人
  「流すな!」の声を大きく広げよう (佐藤和良)

             
・東京で響き渡る「原発汚染水を海洋放出するな」 (チェ・ギョンスク) 

   
・「海洋放出するな!」「海を汚すな!」福島県民たちが東電前や国会前で抗議行動 
  韓国の女性たちも「陸上保管続けろ」と連帯のアピール(民の声新聞より)

 
・放射能汚染水海洋投棄阻止「全国行動の日」に1万人 (ミンギ)

        
・「福島原発汚染水海洋投棄反対国際書簡」発表

                
・「放射能汚染水海洋投棄反対、全国漁民大会」
  ― 全国漁民2000人、第2回全国行動の日に参加 ― (ミンギ)


・「海は、私の生業であり、人生そのもの」 (キム・ヨンチョル) 

      
・トルコ・アックユ原発に核燃料を搬入:「チェルノブイリの日」に市民が抗議
 (森山拓也)
  
・高レベル核廃棄物・最終処分場の候補地になって50年の対馬 (鍵本妙子)

  
・被爆地が軍拡にお墨付きを与えてはならない (木原省治)

         
・川内原発の寿命延長に反対する (小川みさ子)

              
・東京電力に原発の運転資格なし、運転禁止命令の継続は当然だ (菅井益郎)

 
・どうする?原発のごみ全国交流集会で政策転換の提言 (末田一秀)

     
・老朽原発延長の審査で安全性は担保されない (草地妙子)

         
・原発再稼働で電気代が下がるという宣伝にだまされないで (佐藤みえ)

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4.13グローバルアクション 「STOP汚染水の海洋放出」

「これ以上海を汚すな!市民会議」(コレウミ)が呼びかけ、全国各地、世界各地で、スタンディング等がとりくまれました。その一部を紹介します。
【各地の多くの写真】 → https://www.facebook.com/koreumi

いわき
東京
ニューヨーク
パリ
フィジー
マーシャル諸島
ソロモン諸島
ニュ-ジーランド

フィリピンの漁業者と反原発団体が福島原発の汚染水の海洋放出に反対

(Philstar 4月13日)
沿岸地域の漁業者と「非核・非石炭バターン運動」などの団体が13日、マニラの日本大使館とフィリピン外務省の前で、130万トンの放射能汚染水の太平洋投棄に反対する抗議アクションを行った。漁師のパブロ・ロサレス氏は「日本の計画は、フィリピンの消費者に漁獲物の購入を警戒させ、漁業者の生活に影響を及ぼします」と警告した。「放射能汚染水を海に放出する日本の計画は、人々に食料を供給し、何百万人もの人々に生計の源を提供している海をゆっくりと殺すでしょう」と、日本大使館前で述べた。非核・非石炭バターン運動のコーディネーターであるデレック・チャベ氏は、フィリピン政府に対して、環境への脅威をもたらす日本の計画に反対するよう求めた。

マニラ(日本大使館前)

韓国の市民団体「尹錫悦政権は福島第一原発の汚染水放出に明確な立場を表明せよ」

(ハンギョレ新聞 4月14日)
プサンの複数の市民団体が13日、尹錫悦政権に対して、福島第一原発の放射能汚染水の海洋投棄阻止に積極的にとりくむよう求めた。「汚染水の海洋放出は、日本に近いプサン市民の安全と命を脅かし、漁業者と水産業従事者の生存権を奪うだろう」
プサン(日本領事館前)
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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信181号
(23年4月20日発行、B5-32p)もくじ

福島の教訓を生かせ、バターン原発を解体せよ (デレック・チャベ)
 
・「老朽化した原発を延長するな」韓国で集会 (キム・グァンス)

       
・安全な世界、コリ2号機の閉鎖から! 核のない世界へ行進しよう!

      
・ネッカーヴェストハイム原発前に300人のデモ隊が集結 (イェンス・ニシング)


・ドイツ「脱原発」達成

                          
・放射性廃棄物処分場論争がオーストラリア連邦裁判所で開始 (ミシェル・マディガン)

 
・オーストラリアに原子力潜水艦、その多くのリスク (デイブ・スウィーニー)


・台湾第二原発廃止にあたっての全国廃核行動平台意見書

           
・4.13 グローバルアクション「STOP汚染水の海洋放出」

          
・福島汚染水放流阻止のための韓国 YWCA声明


・強行して作った概要調査前の寿都町住民投票はいつ (槌谷和幸)

      
・年度末、柏崎刈羽原発をめぐる状況 (小木曽茂子)

            
・3.10 島根原発2号機運転差止仮処分申し立て (芦原康江)

        
・「被災原発」である女川原発を再稼働してはならない (多々良哲)

      
・ストップ!川内原発20年延長運転、塩田知事に県民投票を望む (鳥原良子)


・高浜原発4号機事故と原発回帰 (宮崎宗真)

              
・老朽原発うごかすな! 関電本店~高浜原発リレーデモ (木戸惠子)

    
・GX脱炭素電源法の問題点 (満田夏花)

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福島の教訓を生かせ、バターン原発を解体せよ

デレック・チャベ(非核バターン運動)


 NFBM(非核バターン運動)は、2011年3月11日の福島第一原発事故から12年目に際して、3月11日、12日、18日に一連のイベントを開催しました。これらは、原子力エネルギーが地域社会や地球にもたらす実際の危険や害についての認識を高めるためのNFBMのキャンペーンの一環として実施されました。


 福島原発のメルトダウン、未曾有の大災害は、どんな原発も安全ではないことを証明しました。「歴史の教訓を学べないものは、それをくり返す運命にある」のです。


 NFBMは、フィリピン国民、とくに政府に対して、原発事故から学び、原子力災害の危険と害から国民を守るため、非核の立場を貫くよう、主張しています。


 その意味で、福島原発事故を記憶することは不可欠です。3月11日のNFBMラーニングセッションを皮切りに、12日にはサイクリングイベント、18日にはプレスフォーラムを開催しました。


 12日のサイクリングイベントには、バターン州のさまざまな自治体から50人の若者が参加しました。サイクリングは、バターン原発のゲートから、バランガイ・ナグバラヨン、ポブラシオンに向かってスタートしました。ポブラシオンでは短いプログラムが行われ、サイクリストたちは福島の悲劇とバターン原発の修復に反対するキャンペーンの必要性について議論しました。


 18日には、国内の反原発派の仲間たちとのプレスフォーラムが開催されました。オンライン学習会では、福島原発事故が、人々、公衆衛生、生活、環境に与えた深刻な影響と悲劇に焦点を当てました。また、東京電力の放射能汚染水の太平洋への放出計画についての最新情報も語られました。CNIC(原子力資料情報室)のケイトリン・ストロネル氏が講師を務め、バターンの3人の若者が討論に加わりました。参加者は、バターン州のさまざまなコミュニティや大学から集まった約50人の若者でした。


 同じ3月18日、NFBMはマニラで反原発派の仲間とともに、東京電力が計画している130万トンの放射能汚染水の太平洋投棄の危険性を論じたメディア公開フォーラムにも参加しました。放射能汚染水投棄に反対する声明文が採択されました。日本政府の支援を受けた東京電力の太平洋投棄計画を阻止するために、他の太平洋島嶼国とともにする反対行動計画も発表しました。


 NFBMは、福島原発事故の際、そしてその後も、日本の福島の住民たちが経験した恐ろしい体験を強調してきました。また、NFBMは、バターン原発の再建計画に対する住民たちの長年の反対と決断を強調し、政府に対し、再生可能で安全かつクリーンな、より持続可能なエネルギー源への移行を開始するよう呼びかけています。

バターン原発のゲート前で

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信181号
(23年4月20日発行、B5-32p)もくじ

福島の教訓を生かせ、バターン原発を解体せよ (デレック・チャベ)
 
・「老朽化した原発を延長するな」韓国で集会 (キム・グァンス)

       
・安全な世界、コリ2号機の閉鎖から! 核のない世界へ行進しよう!

      
・ネッカーヴェストハイム原発前に300人のデモ隊が集結 (イェンス・ニシング)


・ドイツ「脱原発」達成

                          
・放射性廃棄物処分場論争がオーストラリア連邦裁判所で開始 (ミシェル・マディガン)

 
・オーストラリアに原子力潜水艦、その多くのリスク (デイブ・スウィーニー)


・台湾第二原発廃止にあたっての全国廃核行動平台意見書

           
・4.13 グローバルアクション「STOP汚染水の海洋放出」

         
・福島汚染水放流阻止のための韓国 YWCA声明


・強行して作った概要調査前の寿都町住民投票はいつ (槌谷和幸)

      
・年度末、柏崎刈羽原発をめぐる状況 (小木曽茂子)

            
・3.10 島根原発2号機運転差止仮処分申し立て (芦原康江)

        
・「被災原発」である女川原発を再稼働してはならない (多々良哲)

      
・ストップ!川内原発20年延長運転、塩田知事に県民投票を望む (鳥原良子)


・高浜原発4号機事故と原発回帰 (宮崎宗真)

              
・老朽原発うごかすな! 関電本店~高浜原発リレーデモ (木戸惠子)

    
・GX脱炭素電源法の問題点 (満田夏花)

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オーストラリアに原子力潜水艦、その多くのリスク

デイブ・スウィーニー(オーストラリア自然保護基金)

オーストラリアは、3月13日、2030年代より、3680億ドル(約33兆円)をかけて米国と英国から原子力潜水艦を購入する契約に署名した。オーストラリアは、核兵器を持たずに原子力潜水艦を保有する唯一の国になる。

これは、間違いなく地域の緊張を高め、オーストラリア国民と近隣諸国にとってのリスクを増大させるだろう。近隣諸国は、AUKUS(アメリカ、イギリス、オーストラリアの三国軍事同盟)に深い懸念を抱いている。オーストラリアは米国の戦争計画に巻き込まれることになるのだ。

生活費の高騰が国中の多くの人々に影響を与え、深刻な環境危機がある中、AUKUSの取引は、人間や環境に対する緊急のニーズから巨額の資金を遠ざける。AUKUSは国会で審議されることもなかった。

また、オーストラリアの港や海域で将来起こりうる原子力潜水艦事故のリスクがある。原子炉で使われる高濃縮ウランへのアクセスに関する深刻な核不拡散上の懸念もある。使用済み核燃料を、何千年もの間、どのように管理するつもりなのか、政府は明確にしていない。

原子力潜水艦導入は、以下のようなリスクにもつながる。

▼オーストラリア国内での原発建設。

▼オーストラリアが核兵器を保有すること、あるいは使用を助長すること。(オーストラリアは、国連の核兵器禁止条約に署名する必要があるのに)。

▼原子力潜水艦の使用済み核燃料の処分を引きがねに、オーストラリアに「国際的な高レベル放射性廃棄物処分場」がつくられること。

これらの可能性も排除しなければならない。

3月31日に、ジャビルカ封鎖闘争25周年記念式典が開催された。1998年3月、5000人以上が非暴力直接行動による封鎖に参加し、500人以上が逮捕された。ジャビルカ鉱山は結局開発されず、ウランはいまだ地中に埋もれたままだ。

何十年もの間、私たちは核のない未来をめざして運動してきた。私たちは、原子力技術が高価で、汚く、危険であり、オーストラリアにとってまったく不適切であることを知っている。

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福島の教訓を生かせ、バターン原発を解体せよ (デレック・チャベ)

・「老朽化した原発を延長するな」韓国で集会 (キム・グァンス)

       
・安全な世界、コリ2号機の閉鎖から! 核のない世界へ行進しよう!

      
・ネッカーヴェストハイム原発前に300人のデモ隊が集結 (イェンス・ニシング)


・ドイツ「脱原発」達成

                          
・放射性廃棄物処分場論争がオーストラリア連邦裁判所で開始 (ミシェル・マディガン)

 
・オーストラリアに原子力潜水艦、その多くのリスク (デイブ・スウィーニー)


・台湾第二原発廃止にあたっての全国廃核行動平台意見書

           
・4.13 グローバルアクション「STOP汚染水の海洋放出」

         
・福島汚染水放流阻止のための韓国 YWCA声明


・強行して作った概要調査前の寿都町住民投票はいつ (槌谷和幸)

      
・年度末、柏崎刈羽原発をめぐる状況 (小木曽茂子)

            
・3.10 島根原発2号機運転差止仮処分申し立て (芦原康江)

        
・「被災原発」である女川原発を再稼働してはならない (多々良哲)

      
・ストップ!川内原発20年延長運転、塩田知事に県民投票を望む (鳥原良子)


・高浜原発4号機事故と原発回帰 (宮崎宗真)

              
・老朽原発うごかすな! 関電本店~高浜原発リレーデモ (木戸惠子)

    
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西オーストラリア・マルガロックのウラン採掘反対

  星埜 恵
 
西オーストラリア州のマルガロックという場所でウラニウム採掘をする計画に先住民コミュニティと支援者による反対運動が行われていることを、日本に住む人はどれだけ知っているだろうか?


11月25日に西オーストラリア州の反核団体、Nuclear Free WAが主催する抗議行動が州都パースで行われ、地域先住民がスピーチを行い、支援者たちがプラカードを掲げて採掘計画への反対を表明した。


抗議バナーには「オーストラリアのウランが福島で使われた」と書いてある。

撮影:Nuclear Free WA

原発を容認するということは、先住民の土地を汚すこと、コミュニティを破壊することにも加担することだ。「Resist Nuclear Colonialism(核植民地主義に抵抗しよう)」というバナーの言葉にもうなずかされる。

現在西オーストラリア州に住む筆者が、今マルガロックで何が起きているのかを現地の記事などを参考にしながらまとめてみた。

原発のないオーストラリアは、その裏側でウランの推定埋蔵量が世界最大、生産量も世界屈指のウラン鉱床大国だ。


日本も長年ウランを調達してきた北部準州のレンジャー鉱山は、2021年に約40年にわたる操業を終了した。


現在操業中のウラン鉱山は、南オーストラリア州のオリンピックダム鉱山とフォーマイル鉱山で、操業停止中の同州ハネムーン鉱山も2023年に操業再開が計画されている。


西オーストラリア州では、未だウラン鉱山が操業したことはないが、前州政権が四つのウラン鉱山開発を認可している。そのうち三つは認可期限切れとなったが、残るマルガロック鉱山は2025年の操業をめざして開発が進められている。


西オーストラリアのカルグーリー市から東230kmにあるマルガロックのウラン鉱山は、1977年より日本の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が調査探鉱した際に発見されたもので、「エンペラー」「ショーグン」「アンバサダー」からなる鉱化帯から構成されている。


日本の原発にオーストラリアからのウランが使われていたことは知っていたけれども、わざわざ先住民の地にずけずけと入り込みウランの探鉱にすら関わっていたことは知らず、驚いた。抗議活動で掲げられていたバナーに書かれていた「核植民地主義」に、日本は長年がっつり関わってきたということだ。


マルガロック鉱山計画は、元々ヴィミー・リソーシズ社が着手していたが、今年になってナミビアのウラン鉱山開発を進めるディープイエロー社と合併した。


西オーストラリア州の環境保全団体CCWAの記事によれば、ディープイエロー社の取締役会議長に就任したクリス・サリスベリー氏は、資源大手リオ・ティント社出身で、2020年に先住民の文化遺産であるジュウカン渓谷(西オーストラリア)を爆破・破壊し世界的な批判を浴びたときの責任者として引責辞任した人物。


さらにディープイエロー社のCEOは、ナミビア・マラウイでのウラン採掘事業を行うパラディン社の社長を長年務めた人物。パラディン社のウラン採掘事業は、労働者の死亡、ウラン濃縮物の流出、労働者のハンガーストライキ、地域河川への排水、地元警察の労働者への催涙スプレー使用事件などを引き起こしている。


あまりにも人権感覚も環境意識も0どころかマイナスすぎるこういった人物がマルガロックのウラン事業にかかわっているという時点で、同じようなことがここで起こってしまうのではないかと地域住民や環境団体が不安を持つのは当たり前だろう。


この地域は絶滅危惧種のサンドヒルダナートという小動物の生息地域であり、その生態系が破壊される懸念があるのはもちろんのこと、周辺地域の人々の生活環境、水や空気にどのような影響を与えるかは未知数で、大きな懸念事項だ。


また、この地域の伝統的所有者であるUprli Uprli Nguratjaの人々は、1953年から63年にかけてのイギリスによる原爆実験中に南オーストラリアを逃れてマルガロックの近くに定住した、オーストラリア最初と思われる環境難民の子孫である。


ウラン採掘によって破壊されるかもしれないマルガロック周辺は、核産業によって影響を受けた人々との歴史的つながりのある地域なのだ。そんな場所を、その人々を、また核の汚染にさらすことは絶対に許してはいけないことだと思う。


日本の原発を稼働させることは、先住民の土地を奪い、そこに住む人々や動物の環境を破壊することにつながっている。


さらなる核植民地主義に加担しないために、私たちはオーストラリアの地で声を上げる人たちとともに、原発の廃炉とウラン採掘の反対を一緒に手をつないで求めていくことで、状況をともに変えていきたい。変えていきましょう。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信179号
(12月20日発行、B5-24p)もくじ

韓国政府は2023年以降、コリ原発2号機を皮切りに、老朽原発18基の寿命延長と、使用済み核燃料の原発敷地内乾式貯蔵を、セットで進めようとしています。

・韓国、地域の無限犠牲を強要する高レベル放廃物法の議論を中止せよ
  (エネルギー正義行動)

・韓水原が住民に謝罪、コリ2号機の寿命延長、蔚州郡公聴会延期 
  (ヨン・ソンロク)

・コリ2号機の寿命延長、声が聞こえなくても強行した 「偽公聴会」

  (同上)

・全国民を対象に「核発電所閉鎖署名運動本部」発足

・韓国、甲状腺がん共同訴訟控訴審・記者会見文
  (甲状腺がん共同訴訟市民支援団)

・西オーストラリア・マルガロックのウラン採掘反対 (星埜恵)

・タイ、オンカラックでの研究炉建設計画に反対する理由
  (ナコンナヨック市民協会)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2651

・トルコ、アックユ原発1号機の工事は最終段階へ、
  シノップでもロシアが原発建設を計画 (森山拓也)

・900人が怒りの「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」、御堂筋デモ
  (木原壯林)

・九電、川内原発20年延長を申請-意見広告運動に協力を-
  (向原祥隆)

・第36回伊方集会、未来を守らぬ原発政策に抗議と「避難」体験
  (大野恭子)

・多くの核施設と軍事施設をかかえる青森県の戦慄 (中道雅史)

・東電幹部の刑事処罰こそが脱原発への一里塚 (水戸喜世子)

・福島原発事故を起こした東京電力に
  世界一の原発を動かす資格があるのか (小木曽茂子)

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オンカラックでの研究炉建設計画に反対する理由

Suthee Rattanamongkolgul、Prasong Pansri(ナコンナヨック市民協会)

TINT(タイ原子力技術研究所)は、ナコンナヨック県オンカラックで2万kWの研究炉を建設する計画を進めています。
私たちは、同県の多くの住民たちとともに、以下の理由でこの計画に反対しています。10月12日、タイ国家人権委員会に訴えました。

オンカラック住民とタイ国家人権委員会との話し合い、10月12日、ナコンナヨックで

1.原子炉事故の際の責任法がないこと。
TINTは、事故の可能性に備えて被害者に補償する保険があると主張しています。しかし、タイの安全基準に対する意識は低いです。TINTがどのように原子力災害の責任を負うことができるのか、という疑問があります。


2.TINTは、計画のフィージビリティ・スタディ(実行可能性調査)について明確にしていない。
TINTは、2010年に調査が実施されたと説明しています。しかし、それは今回の計画の2万kWではなく、1万kWの研究用原子炉に対して行われたものです。
1回目と2回目の公聴会が、2019年と2020年に行われましたが、フィージビリティスタディの報告書は非公開とされました。私たちは どのように調査が行われたのかわかりません。長期的な負の影響についてどのように考慮しているのでしょうか。


3.TINTは、原子炉を建設する理由として、放射性同位元素を含む医薬品である「放射性医薬品」を、自家用に、さらに病院へも販売するためであると発表しました。


4.TINTが、オンカラックを研究炉建設地として使用することに反対です。オンカラックは、洪水が時々起こる大河から600mであり、土地は軟弱で、地震のリスクがあり、地下水位が高く、コミュニティが密集しています。また、ナコンナヨック県の経済は観光収入に依存しています。


5.TINTは、第1回と第2回の公聴会で、建設予定地からわずか5km以内の利害関係者のみを招待しました。

TINTは人の話を聞かないので、状況はかなり悪いです。彼らは最終的な公聴会を終わらせようとしています。そうなれば、研究炉建設計画が進んでしまう可能性があります。私たちは反対します。

*Suthee Rattanamongkolgulは医学博士。ナコンナヨック市民協会会長であり、ナコンナヨック大学講師でもあります。
*Prasong Pansriはナコンナヨック市民協会の秘書であり、オンカラックの私立大学で情報工学の講義をしています。
2人は20年近くオンカラックに住んでおり、家は建設予定地から5kmです。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信179号
(12月20日発行、B5-24p)もくじ

韓国政府は2023年以降、コリ原発2号機を皮切りに、老朽原発18基の寿命延長と、使用済み核燃料の原発敷地内乾式貯蔵を、セットで進めようとしています。

・韓国、地域の無限犠牲を強要する高レベル放廃物法の議論を中止せよ
  (エネルギー正義行動)

・韓水原が住民に謝罪、コリ2号機の寿命延長、蔚州郡公聴会延期 
  (ヨン・ソンロク)

・コリ2号機の寿命延長、声が聞こえなくても強行した 「偽公聴会」

  (同上)

・全国民を対象に「核発電所閉鎖署名運動本部」発足

・韓国、甲状腺がん共同訴訟控訴審・記者会見文
  (甲状腺がん共同訴訟市民支援団)

・西オーストラリア・マルガロックのウラン採掘反対 (星埜恵)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2657

・タイ、オンカラックでの研究炉建設計画に反対する理由
  (ナコンナヨック市民協会)

・トルコ、アックユ原発1号機の工事は最終段階へ、
  シノップでもロシアが原発建設を計画 (森山拓也)

・900人が怒りの「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」、御堂筋デモ
  (木原壯林)

・九電、川内原発20年延長を申請-意見広告運動に協力を-
  (向原祥隆)

・第36回伊方集会、未来を守らぬ原発政策に抗議と「避難」体験
  (大野恭子)

・多くの核施設と軍事施設をかかえる青森県の戦慄 (中道雅史)

・東電幹部の刑事処罰こそが脱原発への一里塚 (水戸喜世子)

・福島原発事故を起こした東京電力に
  世界一の原発を動かす資格があるのか (小木曽茂子)

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ハンビッ原発3・4号機の格納容器の空隙問題、根本的な安全性確保できぬまま再稼働

小原つなき(韓国・脱核新聞編集委員)

ハンビッ原発の門の前で抗議、22年3月10日

尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は、文在寅(ムン・ジェイン)前政権の「形だけ脱原発」政策を完全に廃棄し、原発大国への道を歩み出そうとしている。新規原発の建設や老朽原発の寿命延長などに積極的な意欲を示し、原発の割合を32.8%まで拡大することを打ち出している。

こうしたなか、格納容器の空隙問題で5年以上運転を停止しているハンビッ原発4号機にも拍車がかかり、再稼働は今や秒読み状態となっている。

■ ハンビッ原発3・4号機の格納容器の空隙問題

全羅南道・霊光(ヨングァン)郡にあるハンビッ原発4号機は、2017年の定期検査中に深刻な欠陥が相次いで明らかになった。格納容器の内部鉄板(ライナープレート、厚さ6㎜)の腐食やコンクリートの空隙が多数見つかったのだ。とくに、格納容器の最上段と上部ドームへの連結部位には約20cm幅の空隙が格納容器全体を一周(137m)する形で見つかった。また、蒸気発生器からは20年間放置されたと推定されるハンマーが見つかった。

その後の調査で18年には、主蒸気系配管の貫通部の下部コンクリート(厚さ167.6cm)に、わずか10cmを残した形で深さ157cm(縦90cm、横330cm)にも及ぶ大型の空隙が追加で見つかった。4号機の格納容器の欠陥は、コンクリートの空隙だけにとどまらず、コンクリートの鉄筋露出やグリス漏れにも及んだ。同様の欠陥は、4号機と共に建設された3号機でも見つかった。

韓国の原発において、格納容器の欠陥問題のはじまりは、2016年6月に遡る。ハンビッ2号機で格納容器の内部鉄板に腐食による穴(1~2mm)が見つかった。その後、ハンビッ1号機でも50ヶ所で内部鉄板の腐食が見つかった。

当初、原子力安全委員会と韓国水力原子力は「内部鉄板の腐食は、ウェスティングハウス社が韓国で建設した初期の原子炉のみに限られ、韓国型の原発であるハンビッ3・4号機以降に建設された原発には及ばないであろう」という見解を示していた。しかしその後、腐食はハンビッ4号機でも大量に見つかった。しかも、問題は、上記のようにコンクリートの空隙へと深刻に発展していった。

これに対し、17年11月「ハンビッ原発安全性確保のための民官共同調査団が構成され、全面的な調査(18年4月~19年6月)が始まった。同時に、韓国のすべての原発を対象に格納容器の健全性調査が行われた。

こうした調査の結果、ハンビッ原発3・4号機の格納容器の欠陥は、韓国のその他の原発に比べて圧倒的に多いことが明らかになった。とくに、コンクリート空隙は全国で発見された数の75%以上がハンビッ原発3・4号機に集中していることがわかった。

           鉄板 腐食空隙鉄筋 露出グリス 漏れ
3号27212418440
4号2981402315
合計57026420755

■ 空隙の最大の原因は、建設当時の手抜き工事

ハンビッ原発3・4号機(各100万kW)は、1989年12月に建設が始まり、95年3月と96年6月にそれぞれ稼働した。それまでの原発とは違い、韓国内の企業が主導して建設される「韓国型原子炉」として注目された。しかし、技術も経験も不足するなか無理な建設が進められた。

格納容器の欠陥の根本原因は当時の建設の過程にあるといえる。たとえば、工事期間を短縮するため24時間の連続作業が行われるなか、無許可でコンクリート工場の運営が行われたり、禁止されている冬場でのコンクリート打設が平然と行われた。そのほかにも、図面を無視し現場で即席で設計を変更したり、資材などの品質に対する管理監督を省略したりするなどの不正行為が当たり前のようにくり返された。

当時、工事に従事する作業者や地元住民らは、デモ、籠城、国会請願など、ありとあらゆる方法でくり返し抗議を続けた。しかし、事業者である韓国電力は、住民の声に耳を傾けるどころか、逆に住民を脅迫して反発を鎮静し強引に工事を進めたという。ハンビッ原発3・4号機に欠陥が生じることは、建設当時から目に見えたことだった。

そして、韓水原の社長は、2018年の国政監査の際、当時指摘されていた手抜き工事が事実であることをついに認めた。

■ 地域住民と環境団体、「安全性は確認されていない」

しかし、その後、韓水原と原安委は、拙速な安全性審査と補修工事を経てハンビッ3・4号機を再稼働させることを急いだ。そして、3号機は20年11月に再稼働した。その際、霊光地域の住民は、4号機のドーム部分に対する精密な調査の実施や手抜き工事に対する真相究明などを柱とする7つの要求事項を提示し、3号機の再稼働に条件を付けた。しかし、7つの約束はほとんど守られないまま、拙速でうわべだけの調査が行われた上で、4号機の再稼働への手続きが進められてしまった。

地域住民と環境団体等は、格納容器の欠陥など、手抜き工事で建設されたハンビッ3・4号機の安全性は立証されていないと主張し、こうした状況では4号機の再稼働を容認することはできないという立場を表明している。

韓水原は、ユン政権の原発推進政策にも後押しされ、原安委の最終承認を経て遅くとも11月中には4号機を再稼働する方針を明らかにしている。

ハンビッ原発1・2号寿命延長反対、光州市で

■ 老朽原発の寿命延長にも

それ以外にも、ハンビッ原発を抱える霊光では、ユン政権下で押し進められる原発推進政策によって老朽原発の寿命延長にも今後対応を迫られることになる見通しだ。

ユン政権は、任期内に18基の原発の寿命を延長することを掲げている。現行では、設計寿命40年を越えて稼動させる場合には、原発事業者は設計寿命満了日の5~2年前に原子力安全委員会に「安全性評価報告書」を提出しなければならない。しかし、9月15日の原子力安全委員会で、「安全性評価報告書」の提出期間を10~5年前に前倒しする原子力安全法施行令改定案が議決された。

ユン政権の任期内にできるだけ多くの原発の寿命延長を確定することがねらいで、こうなると18基の原発が寿命延長の手続きに入ることになる。ハンビッ原発も例外ではなく、ハンビッ1・2号機も近く寿命延長の手続きに入ると見られている。

これに対して、霊光をはじめとする全羅南道各地や霊光から約35kmの光州広域市の市民社会団体で作る「核のない世界・光州全南行動」は、今年6月から、「霊光ハンビッ原発寿命延長反対のための光州・全南1万人署名運動」を行っている。

福島原発事故の記憶も薄れ、ユン政権下での「原発必要悪論」が世論を占め始めるなか、署名運動を通じて、少しでも多くの人が原発の問題に関心を持ち、脱原発の世論が再び広まることを願っている。

*<小原つなき> 2000年に大学の交換学生として全羅南道・光州の全南大学社会学科に在籍後、韓国に移住。光州環境運動連合に勤務し、福島原発事故以降は地域の脱原発活動に参加。現在は、2012年に発刊した脱核新聞の編集に参加している。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信178号(10月20日発行、B5-24p)もくじ

・ハンビッ原発3・4号機の格納容器の空隙問題、
  根本的な安全性確保できぬまま再稼働 (小原つなき)

・地域住民をいけにえにする核廃棄物敷地内貯蔵基本計画と
  特別法案を廃棄せよ (脱核ウルサン市民共同行動)

・オーストラリア・放射性廃棄物処分場建設計画に反対し、
  ポートオーガスタで一丸となって抗議デモ (ベサニー・アルダーソン)

・バターン原発の復活を許さない (Nukes Coal-Free Bataan)        

・フランス・ビュールより、寿都町の住民の皆さんへの連帯メッセージ      

・KKのKKについて (桑原三恵)                 
・GX 実行会議における柏崎刈羽原発6,7号機再稼働方針確認への抗議と撤回の要請
 

・東海第二原発事故がおきれば被害地元の再稼働反対運動 (佐藤英一)    

・元原発作業員の訴えに反響 ― 京都・大阪・福岡講演ツアー報告 ― (池田実)

・原発事故12年目 ― 汚染水問題の向こうに私がみる希望 (宇野朗子)   

・川内原発の運転延長申請に強く抗議する (ストップ川内原発! 3.11鹿児島実行委員会)

・日本弁護士会連合会シンポジウムでのスピーチ
  (子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会/三木信香)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisukeアットrice.ocn.ne.jp

「コリ2号機閉鎖! 老朽原発寿命延長反対! 6.18全国脱核行動 宣言文」「脱核新聞・創刊100号へのメッセージ」

      40年稼働した核発電所 「もうやめたい、休みたい」
    コリ2号 (点滴)ユン・ソギョル政府  脱核新聞100号より 

韓国では、2023年コリ2号、24年コリ3号、25年コリ4号、ハンビッ1号、26年ハンビッ2号、ウォルソン2号、27年ハヌル1号、ウォルソン3号、28年ハヌル2号、29年ウォルソン4号、計10基が設計寿命を迎えるが、新大統領は寿命延長するとしている。

6月18日、釜山駅前広場で、「コリ2号機閉鎖! 老朽原発寿命延長反対! 6.18全国脱核行動」が開催された。コロナウイルスまん延のなか、400人が参加した。集会を終えた参加者たちは釜山駅から光復路までデモ行進した。

コリ2号機閉鎖! 老朽原発寿命延長反対! 6.18全国脱核行動 宣言文40年間、お疲れさま。さようなら、コリ2号機!

17年6月18日、5年前の今日は、韓国初の原発であるコリ1号機が永久停止した日だ。40年間稼動してきたコリ1号機の永久停止は、脱核社会と安全な世の中を念願する釜山(プサン)、蔚山(ウルサン)、慶尚南道(キョンサンナムド)の800万市民がともに成し遂げた成果だった。そして5年前の今日、釜山で文在寅前大統領は「安全なエネルギーへの転換を通じて、脱原発時代に進む」と約束した。あれほど熱望してきた核のない安全な世の中に向かって一歩進むかのようだった。

しかし、5年が経った今、尹錫烈(ユン・ソギョル)政府は、「原発強国」という政策を推進している。尹錫烈大統領は候補時代から、原子力産業界の利益だけを代弁し、国民の安全と生命の声には耳を傾けてこなかった。その上、まるで原発が気候危機の解決策であるかのように主張し、経済成長だけを掲げ、気候危機を正義的な方法で解決する意志がないことを端的に表わしている。

その中でも、2030年以前に設計寿命が満了する老朽原発10基の寿命延長は、国民の不安と安全を全く考えない計画だ。釜山のコリ2号機は、ユン政府が推進する老朽原発寿命延長の最初の対象だが、寿命延長ではなく永久停止して廃炉を進めなければならない。40年の寿命を守って稼動を停止し、来年4月には安全に廃炉するのが当然だ。今日、全国から集まった私たちは、老朽原発の寿命延長に反対し、コリ2号機の閉鎖を促そうと思う。

4月4日、韓国水力原子力(以下、韓水原)はコリ2号機の定期的安全性評価書を原子力安全委員会に提出し、本格的なコリ2号機の寿命延長手続きに突入した。しかし、その始まりから手続き上の違法性が明らかになった。本来は、設計寿命が満了する2年前に定期的安全性評価書を提出しなければならないが、韓水原は期限に1年も遅れて提出したのだ。

それだけでなく、コリ2号機の寿命延長は、安全性も経済性も担保できない。

コリ2号機は、1983年に稼動が始まって以来、計29件の故障が発生し、台風や豪雨のような自然災害によって原子炉停止などの事故が発生した。さる6月3日には、コリ2号機の内部遮断器で火災が発生し、自動停止した。

このように老朽化した原発の安全性を確保するためには、最新技術基準を適用し、設備を改善しなければならない。これには莫大な費用がかかるため、原発が他のエネルギー源より経済性があるという主張は事実とは異なる。

また、原発の寿命を延長すれば、使用済み核燃料すなわち高レベル核廃棄物もさらに増える。現在、コリ原発の使用済み核燃料はすでに約85%が飽和し、2031年には完全に飽和する見通しだ。全国24基の原発で毎年750トンの高レベル核廃棄物が発生しているが、これをどこでどのように処理すればいいのか対策も立っていない。

政府は、高レベル核廃棄物(使用済み核燃料)を原発敷地内に(乾式)貯蔵し、原発最大密集地域であるこの地域を核廃棄場にするという計画を持っているだけだ。これさえも市民社会と地域住民を排除したまま非民主的に決定され、進められている。原発最大密集地域である釜山、蔚山、慶尚道だけでなく霊光(ヨングァン)、蔚珍(ウルチン)のような原発立地地域を永久的な核廃棄場にするというユン政府の試みを決して容認してはならない。

原発現地の住民たちは数十年間、原発事故の危険の中で暮らしながら、放射能による健康被害を受けている。危なかしく密集している大規模原発で電気を生産し、他の地域、とくに首都圏に送電するために、超高圧送電塔が立てられ、村と共同体を破壊した。今後は、原発地域が高レベル核廃棄物の貯蔵場になるかも知れないという不安の中で闘っていかなければならない。さらに台風や洪水や山火事のような気候災害は原発の安全も脅かしている。

このように危険で不平等で非民主的なエネルギー生産の構造を変えていかなければならない。老朽原発の寿命延長ではなく、再生エネルギーの拡大と、安全で正義の転換を始めなければならない。40年間稼動した古い原発を再利用するという政策ではなく、高レベル核廃棄物に対するきちんとした対策づくりを進めなければならない。

コリ1号機が永久停止した5年前の今日のように、来年4月8日は、コリ2号機が稼動を停止する日にならなければならない。

今日この場に集まった私たちは、コリ2号機の閉鎖と老朽原発の寿命延長禁止、そして正義のエネルギー転換に向けて、共に力を合わせて連帯していく。

ユン・ソギョル政府は

老朽化した原発の寿命延長を禁止せよ!

コリ2号機の閉鎖を決めろ!

原発振興政策を直ちに廃棄せよ!

安全と正義のエネルギー転換を約束せよ!

2022年6月18日
コリ2号機閉鎖を促す釜山市民行動、脱核市民行動、気候危機非常行動、宗教環境会議、脱核慶南市民行動、脱核釜山市民連帯、脱核蔚山市民共同行動、韓日反核平和連帯


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【脱核新聞・創刊100号へのメッセージ】 「韓日脱核連帯しよう、原発寿命延長をとめよう」 反核アジアフォーラム日本事務局・佐藤大介 (脱核新聞22年6月号より)

2012年から脱核新聞を毎号読んでいます。韓国各地の運動状況を知ることができます。 毎月編集して発行するのは大変ですが、脱核新聞は脱核勝利の必要条件の一つだと思います。

反核アジアフォーラム通信(隔月)に、いつも脱核新聞の記事から、日本語訳を掲載しています。

女性たちが立ち上がると運動は広がるし、強くなります。チェルノブイリ事故以後、世界中がそうでした。韓国公害追放運動連合の女性たちが1988年に訪日して私たちと交流したときから、韓国と日本の脱核運動の「行ったり来たり」が始まりました。翌89年、日本でもヨングァン3・4号機建設反対署名を集めて韓国に届けました。

「推進派は活発に国際連帯をしているので、反対派も国際連帯しなければならない」と、韓国側から提案を受け、1993年に第1回反核アジアフォーラムを日本で開催しました。8カ国30人が九州・四国など7コースに分かれ、原発現地など全国28カ所で集会を開きました。翌94年の第2回フォーラムは韓国で開催され、日本からは36人が参加しました。ヨングァン、コリ、ウルチンなどで住民たちとともに集会とデモを行いました。第9回フォーラム(2001年)ではウルサンなどでデモ、第15回(2012年)ではサムチョクとヨンドクでデモをしました。第20回は2020年に韓国で行われる予定でしたが、コロナウイルスにより延期となりました。反核アジアフォーラムは各国持ち回りで、台湾、インドネシア、フィリピン、タイ、インドでも行われてきました。

フォーラムのとき以外にも、これまで多くの韓日の人々が交流してきました。クロプ島・トクチョク島核廃棄場建設反対闘争(95年)、ヨングァン5・6号機建設反対闘争(96年)などに、日本から多くの活動家が応援参加してきました。プアン核廃棄場反対闘争(2003~04年)のときには新潟県の仲間も参加し、「巻原発建設反対・自主住民投票」の経験を伝えました。プアン闘争は「みんなが主人公」のすばらしい闘争でした。学ぶところが実に多いです。日本の多くの学者も韓国で講演しました。「核発電と日本(日本と原発)」などの映画も韓国で上映されました。

韓国からも、とくに福島事故以後、現地をふくめ多くの活動家が来日して交流してきました。

21年1月と2月、福島汚染水海洋放出反対「韓日ズーム集会」に、それぞれ150人、200人が参加し、韓日共同声明を発表しました。その後、汚染水海洋放出反対の国際署名(110ヵ国8万人)を集め、国際同時行動が行われました。

第2回フォーラム以来のキム・ボンニョさんや、小原つなきさんほか、これまで通訳してくれた方々に本当に感謝します。

日本で2030年までに40年の寿命を迎える原発は計11基です。そのうち4機は現在稼働中で、7機は10年以上稼働を停止しています。それぞれの現地住民と都市の人々が連携して、集会、デモ、署名、裁判などで、「老朽原発うごかすな」「再稼働反対」の運動を展開しています。

老朽化した原発の寿命延長は、日本と韓国をはじめ世界各国で2020年代の最大の課題です。これを止めなければ、どこかで必ずチェルノブイリや福島のような事故がくり返されるでしょう。

原発の寿命延長は、日本と韓国で連動しています。互いに影響し合います。韓日の原子力マフィアは連携しています。

私たち韓日の脱核運動は、互いに学びあい、励ましあいましょう。新規原発を稼動させず6基の原発の寿命延長をせず2025年に原発ゼロを実現する台湾に続きましょう。少しでも早く「原発」時代を終わらせましょう。

원문 原文:https://www.nonukesnews.kr/news/articleView.html?idxno=10079

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信176号(6月20日発行、B5-24p)もくじ

・韓国:コリ2号機閉鎖! 老朽原発寿命延長反対! 6.18全国脱核行動 宣言文

・脱核新聞・創刊100号へのメッセージ(佐藤大介)

・フィリピン:私たちは、二度、バカにされるのか?(Nukes Coal-Free Bataan)

・バターン原発は電力危機を解決しない(AGHAM)

・タイ:地元団体はオンカラック研究炉建設に反対(バンコクポスト)

・ロスアトムとの協力をやめよう -ロシアへの制裁のなかでの原子力-(エコ・ディフェンス)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2616

・理解と合意なき汚染水海洋放出設備工事の中止を!(大河原さき)

・「311子ども甲状腺がん裁判」第1回口頭弁論・原告意見陳述(原告2さん)

・311子ども甲状腺がん訴訟第1回期日(中野宏典)

・泊原発に差し止め判決、すみやかに廃炉を(川原茂雄)

・川内原発20年延長阻止へ、意見広告運動に協力を(向原祥隆)

・老朽美浜3号機の再稼働を許すな(宮下正一)

・5.29「原発のない明日を -老朽原発このまま廃炉!大集会 in おおさか-」に 2100 人、美浜3号機再稼働阻止に向けてさらに前進を(木原壯林) 

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ロスアトムとの協力をやめよう ーロシアへの制裁のなかでの原子力ー

エコ・ディフェンス  5月27日

 エコ・ディフェンスはロシアの環境保護団体。2014年にロシア政府によって「外国エージェント(代理人)」のレッテルをはられ、以降、政府の攻撃の標的となり、多額の罰金を科されるなど圧迫を受けてきました。今回、勇気ある文章を発表しました。抜粋を掲載します(原文では、スウェーデン、チェコ、ドイツ、フィンランド、フランス、ハンガリー、スロバキア、ブルガリア、エジプトなどの状況の記述もあります)。

ロスアトムはロシア国営原子力企業だが、2月24日のロシアのウクライナ侵攻後、直接的には制裁の対象になっていない。約350社の複合企業であるロスアトムは、原発等を輸出して毎年数十億ドルを稼いでいる。諸国は、ロシアのガス、石油、石炭の輸入に対して課している制裁措置と同様に、ロスアトムとの契約を解消すべきである。

ロスアトムは、海外で受注した35の原発を建設(または計画)しているが、そのほとんどが、ロシア国家からの極めて手厚い資金援助がなければ、建設が不可能な国々である。ロスアトムの役割は、政治的な道具のようなものである。

ベンダー(製造元)固有の技術は、ベンダー固有の燃料とメンテナンスへの依存を生み出し、ガス配送と同じように、ロシアはこの依存関係を政治的影響力の武器として行使している。国庫を自由に使い、ロシア大統領自身が外国の指導者との会談で交渉することで、ロスアトムは、エジプトやバングラデシュのような貧しい顧客のために安いローンを提供する。これが、西側諸国の主要なライバルに対するロスアトムの競争力である。

欧州では今のところ、ハンガリー、スロバキア、チェコ、フィンランド、ウクライナで稼働しているVVER(ロシア型加圧水型炉)に、ロスアトム傘下の核燃料製造会社TVELが核燃料を供給している。

トルコでは、ロスアトムがアックユにVVER1200(加圧水型、120万kW)を、4基同時に建設中である。ロスアトムが、建設資金を提供し、完成したプラントを所有し、生産されたエネルギーを固定価格で販売する、いわゆるBOO(Build Operate and Own)方式で実施されている。コスト試算は200億ドルから最大250億ドルである。

1号機の運転開始は2023年に予定されている。しかし今、アックユ原発建設の資金調達が問題視されている。

インドのクダンクラム原発では、すでに1・2号機が稼働中で、3~6号機、4基のVVER1000の建設が進行中である。2022年4月現在、3号機では原子炉圧力容器が設置され、昨年12月には6号機の原子炉建屋の最初のコンクリート打設が行われた。

他の国のプロジェクトと同様、建設はロシアの融資で支援されている。2019年時点で、3号機と4号機の総工費64億ドルの見積もりのうち34億ドル、および、5号機と6号機の50億ドル超の費用の大部分をカバーする42億ドルが信用供与されることになっている。

ロシアのウクライナ侵攻が始まってから3ヶ月の間に、ロスアトムとの提携がいくつか解消された。

ロスアトムはフィンランドのハンヒキビ原発の建設契約を失い、スウェーデンの電力会社バッテンフォールはロシアからの核燃料の追加納入を拒否、チェコも同様で、多国籍企業ウレンコとフランスのオラノ(旧称アレヴァ)も協力を解消した。

欧州委員会の後押しを受けて、多くの欧州諸国が、ロスアトム傘下の核燃料製造会社TVELと決別し、ウェスチングハウス社の核燃料に切り替える道を進んでおり、これが実現すれば、TVELの欧州核燃料市場での存在感はほぼ消滅することになる。

ロスアトムの主要プロジェクト、つまり海外で原発建設を請け負っているプロジェクトは、長期的には苦境に立たされる可能性が高い。その理由の一つは、ロシアの銀行に対する制裁措置により、ロスアトムが建設資金を調達したり、ロシアが原子炉購入の顧客に約束した融資を継続する能力が著しく損なわれる可能性があることである。もうひとつは、同じ制裁措置によって、建設に参加する協力事業者への支払い能力が損なわれる可能性があることだ。トルコ、インド、エジプトはいずれ、こうした混乱が、自国内で建設中のロシアの原発の進捗に影響を与えることになるかもしれない。

原発の建設や核燃料の取引を通じてロスアトムに関与している企業(ゼネラルエレクトリック、EDF、シーメンス、韓国水力原子力など)は、すでにロスアトムとの関係を絶った企業に加わらなければならない。

戦争は毎日多くの人命を奪っている。

世界はこれ以上、原子力を必要としていないのだ。

着色:ロスアトムが何らかのプロジェクトを実施している国。19年末までで74か国と政府間協定を締結。うち20か国は、原子力施設建設のための協定。

original : https://ecdru.files.wordpress.com/2022/05/shunningrosatom-v1.pdf

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信176号(6月20日発行、B5-24p)もくじ

・韓国:コリ2号機閉鎖! 老朽原発寿命延長反対! 6.18全国脱核行動 宣言文
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2621

・脱核新聞・創刊100号へのメッセージ(佐藤大介)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2621

・フィリピン:私たちは、二度、バカにされるのか?(Nukes Coal-Free Bataan)

・バターン原発は電力危機を解決しない(AGHAM)

・タイ:地元団体はオンカラック研究炉建設に反対(バンコクポスト)

・ロスアトムとの協力をやめよう -ロシアへの制裁のなかでの原子力-(エコ・ディフェンス)

・理解と合意なき汚染水海洋放出設備工事の中止を!(大河原さき)

・「311子ども甲状腺がん裁判」第1回口頭弁論・原告意見陳述(原告2さん)

・311子ども甲状腺がん訴訟第1回期日(中野宏典)

・泊原発に差し止め判決、すみやかに廃炉を(川原茂雄)

・川内原発20年延長阻止へ、意見広告運動に協力を(向原祥隆)

・老朽美浜3号機の再稼働を許すな(宮下正一)

・5.29「原発のない明日を -老朽原発このまま廃炉!大集会 in おおさか-」に 2100 人、美浜3号機再稼働阻止に向けてさらに前進を(木原壯林) 

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisukeアットrice.ocn.ne.jp

ウクライナの人々は原子力災害を回避するために街頭に立った。アメリカの人々も同じことをするか

ポール・ガンター、リンダ・ペンツ・ガンター (Beyond Nuclear 3.20)

3月2日、印象的なニュース映像がインターネット上に掲載された。ウクライナのザポリージャ原発へのアクセス道路を、原発作業員や一般市民が封鎖している映像だ。ロシア軍が進攻する中、駐車中のタンクローリーやトラック、緩衝材や土嚢を背景に、立ち尽くす人々の姿。

その24時間後、ザポリージャ原発の補助棟が炎に包まれた。ロシア軍が発砲し、最終的に原発を制圧したと報じられた。

SNSでは、ザポリージャ原発で事故が起きればヨーロッパが終焉するとの警告が飛び交い、ウクライナのゼレンスキー大統領もそのように述べた。同国の外相は、旧ソ連とヨーロッパに放射性物質のプルームを飛ばし現在でも人体に悪影響を及ぼしている1986年のチェルノブイリ事故の10倍以上の核惨事になると警告した。

ザポリージャ原発を守るために、ロシアの軍事力に抗して一般市民が立ち上がるのは勇気のいることだった。しかし、原発のような危険なものが、敵対する、しかも経験の浅い人たちの手に渡るというのは、受け入れがたいリスクであった。

それは、ウクライナの人々がすでによく知っているリスクだ。専門家の手であってもチェルノブイリ原発事故を引き起こした。それでもウクライナは原発にこだわり、現在では電力供給の半分を4カ所の商業用原子炉15基でまかなっている。その中で、ザポリージャは6基の原子炉を持つヨーロッパで最大の原発である。破損すれば、チェルノブイリ原発事故をはるかに超える放射能が放出される。だから、ウクライナの人々は原発を守ろうとしたのだ。

米国での反原発運動の立ち上がり

今から約45年前の1977年5月1日、ニューハンプシャー州の海沿いの静かな町シーブルックで、まだ建設されていない原発を心配して2000人の人々が同じ思いを抱いた。

彼らは、非暴力的な不服従と合意による意思決定の訓練を受け、集会会場から原発建設予定地まで行進し、平和的な占拠を達成した。2日後、彼らは州をまたがる警察によって排除され、1400人以上が逮捕され、バスに積め込まれた。米国史上最大の集団逮捕であった。

この行動は、「ハマグリ同盟」と呼ばれるグループによって組織された。ハマグリ同盟は前年の1976年に一握りの活動家たち(ポール・ガンターもその一人だった)によって結成された。ハマグリ同盟は、シーブルックの湿地帯に2基の原子炉を建設する計画に直接対応するものだった。ニューハンプシャー州のパブリック・サービス・カンパニーによるシーブルック原発は、人口の多いビーチリゾートであるハンプトンに近い先住民の埋葬地の上に建設される予定だった。

アメリカの反原発運動の火付け役となるハマグリ同盟が最初にやったことは、馬車に人形劇の舞台を作ることだった。アインシュタインの言葉「村の広場に原子力の事実を運ばなければならない」に触発されたのである。「そこからアメリカの声が聞こえてくるはずだ」というアインシュタインの言葉をヒントに、彼らは州内を歩き回り、次々と町の広場で原子力の危険性を訴えるショーを行っていった。

そして10日後、ハマグリ同盟はシーブルックに到着した。1976年8月1日、非暴力直接行動の訓練を受けた活動家の集団が、建設予定地で最初の占拠活動を行った。彼らは、カエデ、ヒマワリ、トウモロコシの苗木を植えて、この地を自然に還した。これがハマグリ同盟の最初の直接行動で、18人が逮捕された。以後、さまざまな行動が展開された。

1977年メーデーのシーブルック原発建設予定地占拠で逮捕された1400人は、州内のいくつかの拘置所に移送された。そこで彼らは、2週間にわたって集団で拘束された。拘置所の中で彼らは、原子力に関するシンポジウム、ネットワーク作り、訓練を行った。大衆組織化にとってこれまでで最大の機会ととらえて活動した。

最終的には、原発予定地の平和的封鎖で4000人以上が逮捕された。結局、シーブルック原発は2基のうち1基しか稼働しなかった。

ハマグリ同盟の大胆な行動の後、大規模なイベント、デモ、非暴力占拠、封鎖が、ニューヨーク州ロングアイランドのショアハム原発建設予定地からカリフォルニア州サンルイスオビスポのディアブロ・キャニオン原発建設予定地まで全米に押し寄せた。

そういった過程で、電力会社4社が破綻した。

反原発運動は、1979年にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催された「No Nukesコンサート」をはじめとするフェスティバルに結集した。同年の株価大暴落から50年目の記念日には、何千人もの活動家が、原発からの撤退を訴え、ウォール街を封鎖した。

1976年から90年にかけて、全米で発表された原発建設計画の半分近くが、中止または放棄された。この過程は、1979年のスリーマイル島原発事故によって、さらに強化された。しかし、原子力産業が急激に衰退すると、それに反対する大規模な市民運動の勢いも衰え始めた。

2012年3月22日、バーモント・ヤンキー原発で行われた1000人以上の集会では、130人が逮捕された。その日、拘束された最高齢者は、当時92歳だった小柄な運動家、フランシス・クロウだった。これまで何度逮捕されたかと聞かれ、「まだ十分じゃない」と答えた。バーモント・ヤンキー原発は2014年12月29日に永久閉鎖となったが、クロウはさらに5年、100歳まで生きた。

何が変わったのか?

原発のロビー団体は、時代に適応しながらプロパガンダを転換してきた。1950年代、原発は「平和利用」「安い発電コスト」だった。1990年代は、「安全、クリーン、信頼できる」だった。そして今、原発は「気候変動の解決策」である。

本格的な新規原発の建設は、以前と同じように財政的な大失敗をもたらすことを理解し、原子力ロビーは2000年代半ばの「原子力ルネサンス」という夢物語を捨てた。

そのかわりに、老朽化し劣化した原発を稼働させ続けるために、何百億ドルもの税金の補助金を確保しようと必死になっている。そして、寿命80年にもわたる連続的な免許更新が行われている。

同時に、以前は却下された古いアイデアであるSMR(小型モジュール原子炉)を宣伝するキャンペーンを復活させている。原子力ロビーによれば、SMRは気候変動から救ってくれるという。この業界は、レトリックから「不都合な真実」を徹底的に排除している。たとえば、SMRは「規模の不経済」があり、連邦政府の手厚い補助金がなければならない。

気候変動運動家の一部も、「原発反対」を受け入れずにいる。原発の継続的な使用を支持し資金を提供することは、自然エネルギーへの資金を奪い、実際に気候変動を悪化させるという十分な証拠があるにもかかわらず、である。

原発は共和党と民主党の寵児であり続け、老朽化した原発を稼働させるために何百億ドルも投入し、新しい原子炉の研究開発に何十億ドルも投入しようとしている。

ロシアのウクライナ侵攻は、原発での事故や核災害の現実的な恐怖の認識を高めたが、原子力産業の良心を刺すことはないだろう。それどころか、原子力産業はホワイトハウスに駆け込み、バイデン政権に安価なロシア産ウランの輸入を継続するための免除措置を維持するよう懇願しているのだ。この国に残る93基の原子炉に供給されるウランのほぼ50パーセントは、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタンから輸入されている。安価なロシア産ウランの供給がなければ、米国の原発は、より安価な再生可能エネルギーによる電力市場の競争激化で、さらに遅れをとることになり、原発の閉鎖が加速される可能性がある。

アメリカの市民はこれまで、原子力産業の成長に立ち向かい、一定程度くい止めてきた。その教訓を生かし、ハマグリ同盟が再び動き出した。メンバーも年を取り、白髪も増え、なかには亡くなった人もいる。「たいまつ」を次の世代に渡す準備はできているが、その前にもう一度火をつけなければならない

original:
https://beyondnuclearinternational.org/2022/03/20/ukrainians-took-to-the-streets-to-avert-a-nuclear-disaster/?fbclid=IwAR1pA-2yZNLLb9nLBA9ToWiFsKZj_azt6ki7Y-nMhTy53o0sM0c3ubepa5U


ノーニュークス・アジアフォーラム通信175号(4月20日発行、B5-32p)もくじ

・バターン原発復活に反対する (Nukes Coal-Free Bataan) 

・原発をめぐるトルコの主な出来事 (森山拓也)

原子力災害に終止符を (トルコ反核プラットフォーム)

福島核事故11年・脱核プサン市民連帯記者会見文 

・老朽化した原発の寿命延長を撤回せよ (脱核ウルサン市民共同行動)

・インド:原子力省、23年以降の国産PHWR 10基の建設計画を国会で発言

・ベトナム:16年の原発計画中止は賢明な選択、国会議長

・ウクライナの人々は原子力災害を回避するために街頭に立った
  アメリカの人々も同じことをするか (ポール・ガンター、リンダ・ペンツ・ガンター)

片桐なおみさんを、新潟県知事に (小木曽茂子)

4.16さようなら原発首都圏集会報告 (井上年弘)

・雨の中、300人の結集で「STOP!女川原発再稼働」を訴える (舘脇章宏)

・海洋調査から見えてきた福島の海の現状と、汚染水海洋放出に対する監視体制 (水藤周三)

・飯舘村原発被害者訴訟・原告意見陳述 (伊藤延由)

・ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.162~174 主要掲載記事一覧   

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