ハンビッ原発3・4号機を廃止せよ

井上年弘さんと、通訳のキム・ボンニョさん

「ハンビッ原発ゲート前集会に参加しました」

井上年弘(原水爆禁止日本国民会議)

「ハンビッ原発1号機再稼働反対と3・4号機廃止のための汎国民大会」が、10月19日にハンビッ原発(霊光原発)ゲート前の広場で開かれ、韓国各地から200名の仲間が集まりました。

集会は、原発による犠牲者への黙とうから始まり、続いて「核のない世界」光州・全南行動本部議長で作家の黄大権(ファン・デグォン)さんが「この時代で一番大事なことは気候問題よりも原発問題だ。しかしマスコミはそのことを一切報道しない。国民をバカにしている」、あまりにも問題が多い原発に対して、「地球のためにも脱原発が必要だ!」と訴えました。

円仏教の地元の教区長は、脱原発の必要性を訴えながら、韓国で問題となっている米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)配備撤回を求める発言もしました。

全羅北道井邑市の原発特別対策委員会は、「原発から31㎞離れ、30㎞圏外で避難計画はない。しかし放射能は30㎞で止まらない」と福島原発事故を踏まえながら発言しました。

訪韓して参加した私からは、日本はすでに廃炉の時代に入っており、福島原発事故以降21基もの原発が「廃炉」となり、原発輸出もとん挫、原子力政策・核燃料サイクル政策が破綻している現状を報告し、今後も引き続き日韓両国の連帯を強化し、共に脱原発を勝ち取ろうと訴えました。

集会後、放射性廃棄物のドラム缶の模型を背負った人たちを中心に、「決議文」を原発関係者に渡しながら、1時間余りゲート前を封鎖し続けました。

ゲート前集会で脱核新聞を読む子どもたち

「ハンビッ原発1号機再稼動反対と3・4号機廃止に向けた決議文」

今年5月、ハンビッ原発1号機で発生した原子炉出力急上昇事故では、けっして起きてはならない重要な過ちが3つあった。核反応度の値の計算ミス、熱出力制限値の5%超過、即時停止命令の失敗だ。

原子力安全委員会(原安委)は、原発の安全に直結するこれらの致命的ミス発生の根本的な原因の究明をせずに、調査結果および拙速な再発防止対策を承認し、その不十分な対策さえも実施を後回しにしたまま、あわてて再稼動を許可する決定をした。その過程で 原安委の専門委員の技術検討を省略しただけでなく、住民の同意はおろか公式の説明会も一度もなく、一方的な決定がなされた。

そして、7月にハンビッ原発4号機の格納容器コンクリートで発見された157cmの巨大な空隙(すき間)は、全国民を驚愕させた。現在までに、国内の原発で発見された空隙の94.2%(278件)がハンビッ原発であり、その内245ヶ所がハンビッ3・4号機に存在する。

格納容器の内部鉄板の腐食の発見件数も60%がハンビッ1・2・4号機に集中しており、3・4号機では格納容器の構造的な亀裂が懸念される鉄線潤滑油(グリース)漏れが数十件発見された。

ハンビッ原発では原発の最後の防護壁である格納容器だけに問題があるのではない。4号機では、原発の核心的な設備である蒸気発生器内部で重大事故につながりうるハンマーと鉄片が発見された。この他にも、ハンビッ1・3・4号機には一つ一つ列挙するのも難しいほど多くの問題が山積している。

さらに憂慮すべきことは、こうした原発の安全性に致命的な問題を、原安委と韓国水力原子力(韓水原)が20~30年も発見できずに放置していたことだ。

ハンビッ1・3・4号機は、手抜きの建設から、運用、点検、管理・監督、規制全体にわたり、多事多難そのものだ。今すぐ重大事故が起きてもまったく不思議ではないくらい危険な状況だ。

それでも原安委と韓水原は、まともな原因究明や根本的な安全対策をせずに、「安全上の問題はなく、補修して再稼動する」という言葉だけをくり返している。原発を安全に運営し管理する能力も資格もない破廉恥で無責任な韓水原と原安委に、私たちの尊い命を預けることができないことはさらに明白となった。

もしこのままハンビッ1・3・4号機が再稼働してしまったらチェルノブイリと福島の次の犠牲は、私たちになるかもしれない。

取り返しのつかない惨劇が起こることのないよう、私たちはハンビッ1号機の再稼働を阻止し、3・4号機を閉鎖させるために尽力することを決意し、国民の尊い命と安全を守る責務がある政府に要求する。

1. 根本的な原因究明。安全対策の履行。
住民同意のないハンビッ1号機の再稼働決定を撤回せよ!

2. 独立した調査委員会を組織し、ハンビッ1・3・4号機の真相を調査せよ!

3. ハンビッ3・4号機を補修しても無意味だ。即刻閉鎖せよ!

4. 規制に失敗した原安委を、住民や市民社会が参加する技術と安全中心の民主的な規制機関に再編成せよ!

2019年10月19日
ハンビッ原発対応湖南圏共同行動
脱核市民行動

「霊光(ヨングァン)住民は正しかった。真相究明と名誉回復の措置が必要」

キム・ヨングク(霊光原発安全性確保のための共同行動) 「脱核新聞」より

ハンビッ原発3・4号機は1980年代末に設計された韓国初の国内主導型「標準原子炉」だ。しかし建設過程で、手抜き工事に関する情報が住民に相次いで入ってきた。キム・ヨングク霊光共同行動・執行委員長は、韓国電力が、手抜き工事の問題を提起した住民たちを「不純分子」の立場に追いやるなどの過ちを犯したことに対して、謝罪し、名誉回復も行なうべきだと主張する。キム・ヨングク氏にインタビューを行ない、ハンビッ原発建設過程での手抜き工事疑惑に関する内容を整理した。(まとめ:ヨン・ソンロク編集委員)
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1990年代前半に建設されたハンビッ3・4号機では、耐久性に欠陥があるインコネル600という合金素材が蒸気発生器細管や原子炉上蓋など4000ヶ所余りに使用された。当時、霊光の住民はこれに関する設計の問題点を指摘した。

また、現代建設がハンビッ3・4号機の建設を行なったが、無許可でコンクリート工場を運営した。それだけでなく、公共機関が発注する工事は1月と2月の冬季にはコンクリートの打ち込みをしてはならなかったが、ハンビッ3・4号機は1月にも工事を行ない、しかもそれは24時間作業し続ける突貫工事だった。極寒の冬の夜にセメントを流し込んだが、コンクリート固化作業がまともに行なえるはずがなかった。

監督者がきちんといることはなく、韓国水力原子力(韓水原)も規制機関も夜通しの作業をまともに監督することのない中で作業が進行した。

「空隙(すき間)がたくさん発生するに違いない」という情報提供が非常に多くなされた。しかし韓国電力は「不満を抱いた建設労働者が虚偽情報を提供したまでだ」と主張した。

業者は格納容器の建設に必要な鉄筋も間引きした。

でたらめな設計、コンクリートの手抜き工事、鉄筋の間引き、いい加減な管理監督、やっつけ仕事の溶接など問題が非常に多かった。やっつけ仕事の溶接とは両側から配管を接続し、配管が余れば切断し溶接して、足りなければ他の配管を切って取り付けることだ。溶接した所は継続して劣化管理をしながら溶接の健全性を管理しなければならないが、やっつけ仕事だったのでその部分が見つからないまま、設計図面にただ従ったため、でたらめな所を検査することになる。本来は不適合処理をすべきだが、そうすると設計変更をしなければならず、工事期間が長くなるのでしなかった。

霊光では1990年から96年まで、住民がデモ、座り込み、国会請願などを数え切れないほど行なった。手抜き工事の霊光3・4号機の核燃料装填阻止闘争や5・6号機の建設反対闘争へとつながった。「霊光原発追放協議会」が集会を主導した。この協議会の構成はカトリック、円仏教、農民会、農業経営者連合会、霊光社会運動協議会、佛甲寺などが参加し、霊光郡議会が中心となって国会請願をした。90年から96年までに、のべ約10万人がデモに参加した。

ハンビッ5・6号機建設反対闘争へと話が移るが、1994年3月に5・6号機の環境影響評価書の草案の供覧が始まった。5・6号機は温排水の低減施設が決まらない状態で環境影響評価を行なった。住民は5・6号機の建設許可を出さないよう霊光郡に要求した。4号機と5号機の間には地質学的に破砕帯があり、これも問題だった。

霊光住民は96年3月に原発の前で、約5000人が集まって5・6号機建設反対集会を行なった。その過程でトラクターで原発の正門に突入したところ、警察が催涙弾を放った。煙を浴びれば目にしみなくなるという俗説があったため、住民は火をつけた。そして手抜き工事をしながら安全だと喧伝する広報館の壁に腐った乳汁を投げつけた。

その後、集会の主導者として、私をはじめ、カトリック核追放委員会事務局長、農民会幹事の3人が逮捕・取調べを受け、1審裁判で実刑1年6ヶ月を受けた。また、霊光聖堂のパク神父も実刑1年6ヶ月、さらに光州全南核反対団体のキム氏など多くの人が被害にあった。

最近、ハンビッ原発では、立て続けに、格納容器コンクリートの空隙が発見された。とくに、官民合同調査団の調査を通じて格納容器に大規模な穴が発見された。建設当時、住民が主張していた手抜き工事が確認されたということだ。

政府は、手抜き工事の実態と、おろそかな管理監督規制で現在まで運転され続けた実態について、徹底的に調査する必要がある。そして、この件に関して霊光住民が正しかったと確証すべきだ。政府は、韓水原に対して何らかの措置を行ない、霊光住民の名誉回復をどのように行なうかについて住民と協議をしなければならない。

キム・ヨングクさん

*1996年の闘争時、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパンは不当逮捕への抗議声明を出し、カンパも届けた。現地での集会には、故大庭里美さん、続いて故浜本弘也さんが参加し、それぞれ連帯アピールを行なった。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信161号(12月20日発行、B5-24p)もくじ

・インド北東部でウラン採掘に反対する先住民族カーシの闘い
・ハンビッ原発ゲート前集会に参加しました (井上年弘)
・ハンビッ原発1号機再稼動反対と3・4号機廃止に向けた決議文
・「霊光住民は正しかった。真相究明と名誉回復の措置が必要」(キム・ヨングク)
・(台湾)「蘭嶼、25.5億元の補償金を断る。核廃棄物の搬出を求める」
・南オーストラリア州での放射性廃棄物処分場建設計画に反対 (ANFA)
・(トルコ)「アックユ原発反対!」 メルスィン反核プラットフォーム・声明
・「老朽原発うごかすな!」行動・2ヶ月半の報告 (木原壯林)
・東海第二原発再稼働反対行動 (永野勇)
・原発は不正な金なしに動かない
― 3272名が関電の原発マネー不正還流を告発 (末田一秀)
・中国電力が海上「ボーリング調査」準備作業を開始 (渡田正弘)
・『原発をとめるアジアの人びと』が英訳されました
・若狭で市民の手による自然エネルギーの共同発電所が始まります (松村志保)

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