オーストラリアに原子力潜水艦、その多くのリスク

デイブ・スウィーニー(オーストラリア自然保護基金)

オーストラリアは、3月13日、2030年代より、3680億ドル(約33兆円)をかけて米国と英国から原子力潜水艦を購入する契約に署名した。オーストラリアは、核兵器を持たずに原子力潜水艦を保有する唯一の国になる。

これは、間違いなく地域の緊張を高め、オーストラリア国民と近隣諸国にとってのリスクを増大させるだろう。近隣諸国は、AUKUS(アメリカ、イギリス、オーストラリアの三国軍事同盟)に深い懸念を抱いている。オーストラリアは米国の戦争計画に巻き込まれることになるのだ。

生活費の高騰が国中の多くの人々に影響を与え、深刻な環境危機がある中、AUKUSの取引は、人間や環境に対する緊急のニーズから巨額の資金を遠ざける。AUKUSは国会で審議されることもなかった。

また、オーストラリアの港や海域で将来起こりうる原子力潜水艦事故のリスクがある。原子炉で使われる高濃縮ウランへのアクセスに関する深刻な核不拡散上の懸念もある。使用済み核燃料を、何千年もの間、どのように管理するつもりなのか、政府は明確にしていない。

原子力潜水艦導入は、以下のようなリスクにもつながる。

▼オーストラリア国内での原発建設。

▼オーストラリアが核兵器を保有すること、あるいは使用を助長すること。(オーストラリアは、国連の核兵器禁止条約に署名する必要があるのに)。

▼原子力潜水艦の使用済み核燃料の処分を引きがねに、オーストラリアに「国際的な高レベル放射性廃棄物処分場」がつくられること。

これらの可能性も排除しなければならない。

3月31日に、ジャビルカ封鎖闘争25周年記念式典が開催された。1998年3月、5000人以上が非暴力直接行動による封鎖に参加し、500人以上が逮捕された。ジャビルカ鉱山は結局開発されず、ウランはいまだ地中に埋もれたままだ。

何十年もの間、私たちは核のない未来をめざして運動してきた。私たちは、原子力技術が高価で、汚く、危険であり、オーストラリアにとってまったく不適切であることを知っている。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信181号
(23年4月20日発行、B5-32p)もくじ

福島の教訓を生かせ、バターン原発を解体せよ (デレック・チャベ)

・「老朽化した原発を延長するな」韓国で集会 (キム・グァンス)

       
・安全な世界、コリ2号機の閉鎖から! 核のない世界へ行進しよう!

      
・ネッカーヴェストハイム原発前に300人のデモ隊が集結 (イェンス・ニシング)


・ドイツ「脱原発」達成

                          
・放射性廃棄物処分場論争がオーストラリア連邦裁判所で開始 (ミシェル・マディガン)

 
・オーストラリアに原子力潜水艦、その多くのリスク (デイブ・スウィーニー)


・台湾第二原発廃止にあたっての全国廃核行動平台意見書

           
・4.13 グローバルアクション「STOP汚染水の海洋放出」

         
・福島汚染水放流阻止のための韓国 YWCA声明


・強行して作った概要調査前の寿都町住民投票はいつ (槌谷和幸)

      
・年度末、柏崎刈羽原発をめぐる状況 (小木曽茂子)

            
・3.10 島根原発2号機運転差止仮処分申し立て (芦原康江)

        
・「被災原発」である女川原発を再稼働してはならない (多々良哲)

      
・ストップ!川内原発20年延長運転、塩田知事に県民投票を望む (鳥原良子)


・高浜原発4号機事故と原発回帰 (宮崎宗真)

              
・老朽原発うごかすな! 関電本店~高浜原発リレーデモ (木戸惠子)

    
・GX脱炭素電源法の問題点 (満田夏花)

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