両国の「反日」と「嫌韓」フレームは悪循環 ー 脱原発に国境はない。韓日反核連帯が必要 ー 小原つなき

汚染水の海洋放出に対して国際的に懸念の声が集まっていますが、これに関して日本と韓国の間で起きている状況は非常に複雑です。日本と韓国の反原発運動を熟知する筆者によるこの論考は、韓国のネットメディア「レディアン」(5月25日付)と脱核新聞に掲載され、大きな反響を呼びました。問題のありかが明確に描き出されていますので、ぜひとも日本の方々にも読んでいただきたい内容です。筆者の小原つなきさんは光州在住で脱核新聞編集委員。(原文:韓国語)

日本政府は4月13日、福島第一原発で発生する放射能汚染水の海洋放出を閣議決定した。国内外の反対世論にもかかわらず、「汚染水は十分に浄化した後、基準値以下にまで希釈して放出するので安全だ」との詭弁をくり返している。海洋放出以外に方法はないとし、むしろ原発サイトから海洋に汚染水を放出することは昔からの国際的慣行であると強調している。

日本から最も近い韓国で抗議の声が高まるのはごく当然のことだ。発表と同時に、脱原発を主張する市民社会団体をはじめ、漁業組合や大学生組織など各界が強く反対し、各地で連日、記者会見やキャンペーンなどがくり広げられている。国民的関心も高い。

韓国では、福島原発の汚染水を海洋放出することは「核テロ」だと訴えている。本来、人類が「核」を扱うこと自体が「テロ」だと言えるかもしれない。核が開発されて以来、今日まで数多くの「核テロ」が全世界でくり返されてきた。米ソ冷戦のあいだには、核保有国によって2000回を超える核実験がくり返されてきた。再処理関連施設でも、大量の汚染水が海に放出されてきた。中・低レベル核廃棄物の海洋投棄も1993年に禁止されるまでくり返された。「軍事的」であれ、「平和的」であれ、人類が核を扱う以上、核テロは、「日常」であった。

このような背景をふまえ、日本政府は、今回の汚染水海洋放出の決定に関してIAEAと米国の強固な支持を取り付けて、海洋放出を公然と正当化する手段を備えた。日本国内ではマスコミが、日本政府や東京電力の主張をそのまま代弁し、海洋放出を正当化することに加担している。

日本の保守的なマスコミは、韓国で一部の運動団体が旭日旗を破ったり燃やしたりしながら、「汚染水は日本が飲め」のような刺激的なスローガンを叫んでいる様子を積極的に報道している。韓国の人たちが海洋放出に反対する声を、「反日」運動のフレームで日本の世論に紹介することによって、汚染水問題の本質をあいまいにする絶好の機会としているのだ。

国民的感情の対立を、先にそそのかしたのは日本の政治家たちだ。一部の政治家による、「汚染水は飲んでも大丈夫だ」とか、「中国や韓国なんかに言われたくない」などの妄言は、韓国の人たちの感情を刺激するのに十分だった。汚染水の本質的な問題点を後にしたまま、両国で、「反日」と「嫌韓」という感情の対立が作られたのだ。このような民族主義的な感情対立をあおるのは、かえって汚染水問題の核心がわかりにくくなるという逆効果として作用する恐れが大きい。

一方、韓国で一部の運動団体が、福島原発事故の放射能による被害に関して、奇形動植物の写真など、正確でない「にせ」の情報を利用して不安感を増幅させていることも憂慮すべき点だ。たとえば、よく登場する奇形の写真のなかで、頭が二つあるサメの写真は、福島事故が起きる前の2008年にナショナル・ジオグラフィックで公開された写真だ。奇形ひまわりの写真も肥料の過多摂取などが原因であることが明らかになっている。その他にも、日本の有名芸能人たちの突然死や癌による死亡などに関しても「放射能被ばくのせい」という根拠のはっきりとしないうわさが事実のごとく語られる場合がある。

このような「怪談」に一番大きな傷を受けるのは、実際に被ばくによる被害を被っている人たちだ。放射能による被ばくは様々な危険性を内包する一方、その因果関係を証明することは非常に難しい。因果関係が明らかでないということを口実に、加害者である東京電力と日本政府は様々な放射能被害に対する責任を回避してきた。今回の汚染水の海洋放出の決定は、放射能被害を無視してきたこれまで態度のくり返しだ。したがって、確認されていない「怪談」を真実のごとく話すことは、海洋放出を中止させるのに全く役に立たない。むしろ韓国内での海洋放出反対の主張を、「非常にレベルの低いもの」として歪曲するのに口実を与えるだけだ。

同じ脈絡から、「汚染水の海洋放出容認=親日」というレッテルを貼り付けることも、話をさらに複雑にする。韓国の原子力安全委員会は、すでに昨年10月、福島汚染水の海洋放出について、「意味のある影響は現れないだろう」いう見解を明らかにしている。さらに、原子力マフィアの一員である韓国原子力学会もまた、4月26日、「汚染水は日本の主張どおり処理水と呼ぶことが正しく、放出しても韓国に及ぼす影響は無視できる水準だ」と主張した。このような立場を打ち出すのは、彼らが決して「親日だから」ではない。日本政府が指摘したように韓国の原発からも、放射能汚染水が日常的に海洋に放出されているためだ。

日本の主張どおり、とくに重水を使用する月城(ウォルソン)原発では、他の原発よりもはるかに多くのトリチウムが液体と気体の状態で自然界に放出されているのは事実だ。これは、原発を運営するすべての国で日常的に起こることで、各国の原子力関連機関は一様にこのようなやり方を正当化している。だから、程度の差をもって、とくに韓日の市民たちの間で、その点について議論するのはあまり望ましくない。量がどれ程にせよ、核種が何にあるでせよ、「毒」は、「毒」だからだ。それによって、被害と苦しみを受け続けているのは、両国の市民すべてだ。

韓国政府が、今後どのような戦略で日本政府を圧迫することができるかも懸念すべき点だ。最近、韓国政府は問題の解決に向け、韓日両国が協議する場を構築することを日本政府に打診し、日本政府が受け入れる意向を明らかにした。しかし、韓国政府が協議を有利に運ぶというよりは、むしろ、海洋放出に太鼓判を押す機会として日本に利用されるのではと懸念する声が聞かれる。

もし、韓国政府がこの問題について引き続き生ぬるい態度を取ったとしても、これをもって現在の韓国政府が「親日的」と批判するのも間違っている。文在寅政府の問題点は、脱原発を宣言しながらも、国内の核問題についてずっと不徹底で中途半端な二重的態度をとり続けていることだ。

文在寅大統領は最近開かれた韓米首脳会談で、原発産業の推進と輸出に関しての協力を約束するなど、脱原発と原発推進の政策のあいだを行ったり来たりしている。

とにかく、福島の汚染水の海洋放出は決して容認できず、必ず阻止しなければならない。しかし、韓国内で日本政府の決定を覆す有効な方策を探すのも容易ではない。依然として、一番重要なのは、日本の市民自らが日本政府や東京電力の蛮行を阻止する力をつけていくことだ。

汚染水の海洋放出は、福島原発事故の収拾作業の一環として行われる過程の中の一部に過ぎない。汚染水の海洋放出を防ぐためには、根本的に日本政府が提示している「廃炉ロードマップ」を全面的に再考することから始めなければならない。廃炉ロードマップは30~40年以内に事故現場をすべてきれいさっぱりに取り除くという、現実的に不可能な構想を前提としている。これが、日本政府が汚染水処理を急ぐ一番大きな理由だ。

これに対して、日本の市民社会は包括的な観点から多様な代案を提示している。韓国でもすでに多く紹介された「陸上長期保管」や「モルタル固化」などだ。追加的な汚染水の発生を防ぐために、事故が起きた原子炉を水ではなく空気で冷却する案もまた、日本の市民社会の核工学専門家たちが積極的に提起している。

残念ながら日本の市民社会の力は強くない。汚染水の海洋放出に反対の世論が60%を超えるともいわれるが、具体的な反対の声は日常的によく聞こえてこない。社会の過ちに対して市民が積極的に声を上げ、社会を変えていく底力を持っている韓国市民社会との大きな違いだ。だから、韓国をはじめ全世界の人々が共に声を出し、日本の脱原発運動陣営と市民たちに力を貸してほしい。昨今、韓日関係が急速に悪化したことにより、市民レベルで良好に続いてきた様々な交流までも打撃を受けている。日本政府と保守的なマスコミが、連日、「嫌韓」感情を煽っていることも事実だ。悪循環だ。

過去の先輩たちが繋いできた韓日の反核連帯の歴史は長くて深い。アジア地域の反核運動の連帯のために作られた「ノーニュークス・アジアフォーラム」は1993年、韓国の提案で始まった。それ以降、ほぼ毎年アジア各国で開催されており持続的な信頼と絆が構築されてきた。

脱原発は長期戦だ。韓国と日本の慢性的な感情対立を乗り越えて、各国が真っ向から核マフィアと闘っていくために、お互いを激励して応援できればどれほどすばらしいだろうか。脱原発の道に、国境はない。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信170号
(6月20日発行、B5-28p)もくじ

・汚染水を海に流すな! 6.2国際共同アクション
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2178
               
・理解と合意のない汚染水の海洋放出処分を中止し、陸上保管とトリチウム分離技術の実用化を求める要請書 (脱原発福島ネットワークほか) 

・福島県農林水産業・消費者の協同組合の共同声明                

・原発処理水の海洋放出「人権にリスク」 国連特別報告者            

・両国の「反日」と「嫌韓」フレームは悪循環 (小原つなき)            

・9年目に、ヨンドク原発建設計画、白紙化 (イ・ホンソク)           

・新古里5・6号機は、建設地選定・耐震設計など違法性が明確だ (キム・ソクヨン)  

・寿都町長選挙で「地層処分にNO!」 (小野有五)              

・柏崎刈羽原発反対50年 (矢部忠夫)                    

・「柏崎刈羽原発の『設置許可取り消し』を求める署名」へのご協力を訴えます
(柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会) 

・関電株主代表訴訟第2回口頭弁論・陳述 (畑章夫)              

・若狭の老朽原発の危険性 (山本雅彦)                   

・「6.6老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」に1300人が結集 (橋田秀美)

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福島原発事故10年・韓日インターネット共同行動 ― 汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!

日本政府が、福島第一原発汚染水の海への放出調整を進め、決定しようとしているなか、1月に韓国側からインターネット共同行動の提案がありました。韓国46団体(下記*)と、武藤類子、川井康郎、満田夏花、伴英幸、佐藤大介のよびかけで、1月20日にスタート集会、2月1日に国際署名開始、2月9日に韓日共同討論会を開催しました。


■ スタート集会 (1月20日、Zoom、韓日150名)

「韓日の参加者150人が、Zoomで同時接続して、脱核(脱原発)を念願する多様なプラカードを持つオンライン・パフォーマンスを進行した。また、韓日共同声明、福島汚染水海洋放出反対の国際署名、インターネット共同行動を提案した」(プサン日報 1.20)

「韓日インターネット共同行動を、全国紙のキョンヤン新聞、連合ニュースなどをはじめ、いくつかのメディアが報じた。ネットの画面を共有しながら同時にプラカードを掲げたり、スローガンを叫んだりといったアクションを自分も初めてやったが、まあ初めてだったこともあってか、なかなか新鮮で楽しかったし、それなりの連帯感も味わえた(下の録画の37~38分)。ネット空間と現実が融合した、ウィズコロナ時代の国際連帯社会運動の一つの形なのかもしれない」(高野聡/ソウル在住)

【録画45分】http://urx3.nu/0YoD

*福島原発事故10年・準備委員会(キリスト教環境運動連帯、労働者連帯、緑色党、緑色連合、大田脱核希望、仏教生態コンテンツ研究所、仏教環境連帯、社会変革労働者党、サムチョク核発電所反対闘争委員会、市民放射能監視センター、子供コープ生協 (강남, 강서, 도봉노원디딤돌, 서대문마포은평, 서울, 송파)、エネルギー気候政策研究所、エネルギー転換フォーラム、エネルギー正義行動、霊光核発電所安全性確保のための共同行動、円仏教環境連帯、ウォルソン原発隣接地域移住対策委員会、正義党、政治するオンマたち、済州脱核道民行動、参与連帯、天道教ハンウル連帯、天主教男子長上協議会正義平和環境委員会、天主教イエス会社会使徒職委員会、天主教議政府教区環境農村委員会、天主教創造保全連帯、緑を描く、脱核慶州市民共同行動、脱核プサン市民連帯、脱核新聞、脱核エネルギー教授会、脱核エネルギー転換全羅北道連帯、韓国YWCA連合会、韓国天主教女子修道会長上連合会 JPIC文科委員会、ハンサルリム連合、核のない社会のための大邱市民行動、核のない社会のための忠清北道行動、核のない世界のための高敞郡民行動、核のない世界・光州全南行動、環境運動連合、環境財団、環境正義)

■ 韓日共同討論会(2月9日、Zoom、同時通訳、韓日200名以上)

「有意義だった、継続的に開催してほしい」「内容が充実していた」「韓日それぞれ約100人が参加する集会というのは画期的」などの感想が寄せられました。

★内容
司会 : ファン・デグォン(霊光核発電所安全性確保のための共同行動)
○ 発表:「福島原発事故以降の日本の原発と脱原発運動の現状」伴英幸(原子力資料情報室)
「福島10年、韓国の原発政策と脱核運動の課題」イ・ヨンギョン(エネルギー正義行動)
○ ディスカッション:「トリチウム汚染水を海に流さないで」満田夏花(FoE Japan)
「福島原発事故は終わっていない」後藤政志(元東芝原子炉格納容器設計者)
「慶州ウォルソン原発のトリチウム漏れ」イ・サンホン(慶州環境運動連合)
「脱原発を早めるための法制度改善を中心に」ホン・ドクファ(忠北大学社会学科教授)
○ 自由討論(約40分)

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信168号
(2月20日発行、B5-24p) もくじ

・「福島原発事故10年、汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!」国際署名
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2046

 
・「福島原発事故10年・韓日インターネット共同行動
― 汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!」
            
・慶州ウォルソン原発のトリチウム漏れ (イ・サンホン)
             
・2020年の脱核課題は 2021年に続く (韓国・脱核新聞編集委員会)
https://nonukesasiaforum.org/japan/archives/2019

        
・ロシアの反核運動:諸問題、抗議活動とそれに対する報復の数々(後編)
(ロシア社会エコロジー連合/地球の友ロシア)

・柏崎刈羽原発 再稼動問題の要点 (佐々木寛)
                 
・子どもたちに核のゴミのない寿都を (2) (本田英人)
             
・1.24 関電本店前大集会 (松原康彦)
                     
・宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判(宗教者核燃裁判) (内藤新吾)                    

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韓国 2020年の脱核課題は 2021年に続く

韓国・脱核新聞編集委員会  (脱核新聞84号より)

1.使用済み核燃料管理政策の「密室」公論調査


2019年5月に市民・社会(団体)や利害当事者を排除して発足した産業通商資源部(経産省にあたる)の「使用済み核燃料管理政策再検討委員会」は、19年11月から専門家の意見収集を始めた。

また、使用済み核燃料中長期管理政策に関する全国からの意見収集は、2020年5月23日から8月2日まで実施され、「月城(ウォルソン)原発使用済み核燃料の乾式貯蔵施設」(以下、マクスター)建設の可否を問う慶州地域の意見収集は、6月27日から7月19日までの3週間行われた。

専門家で構成された検討グループの11名は20年1月に、「形式的な手続きとして行われる公論調査(公論化)を廃棄すること」を要求し、辞退の記者会見を開いた。

全国の市民・社会は5月23日、全国の意見収集のための説明会の開催に抗議し、14地域中、12地域でデモをした。慶州地域住民説明会は、住民と市民社会の抗議で白紙に戻された。

その過程でチョン・チョンファ再検討委員長は、6月26日、公論調査の公正性の担保が難しいとし、委員長職を辞任した。

産業部と再検討委は、キム・ソヨンを新任再検討委員長に任命し、「コロナ19」を言い訳に密室の中の公論調査を続けた。

全国脱原発陣営は、政府に抗議し、大統領府の前で「使用済み核燃料のでたらめな公論調査の無効を宣言」した。

再検討委は21年上半期に「使用済み核燃料管理政策意見収集の最終勧告報告書」を産業部に提出する予定だ。

2.5万人が参加した蔚山住民投票

蔚山(ウルサン)市は、月城(ウォルソン)原発の基準放射線非常計画区域内に属し、約100万人が暮している。しかし、産業部と再検討委は、マクスター建設賛否意見収拾の過程から蔚山を排除した。

蔚山市民社会と労働組合などはこれに抗議し、「月城原発の使用済み核燃料保存施設(マクスター)の追加建設賛否を問う蔚山北区住民投票」を実施した。住民投票は5月28日から6月6日まで、事前投票、オンライン投票、本投票と、3段階で行われた。蔚山北区有権者の17万5138人のうち、5万479人(28.82%)がこの投票に参加した。投票者のうち、94.8%に当たる4万7829人がマクスター建設に反対した。

住民投票運動本部は住民投票以後、大統領府が投票結果を受け入れるよう求め、7月27日から8月25日まで、大統領府前で座り込みをした。

蔚山北区住民投票では、本投票の投票所を34か所に設置した。また、選挙事務員とボランティアは合計1081名が参加した。延べ3千人を越えるスタッフで開催した自主住民投票であった。

3.マクスター建設反対のたたかいは現在進行形

産業部と再検討委員会は、7月24日、慶州地域の意見聴取の結果を発表した。「145人の市民参加団のうち、81.4%がマクスター建設に賛成した」と。

産業部はこれを首相に報告し、首相は計画通りにマクスター建設をすすめることを指示、韓水原は7月31日にマクスターの建設着工式を行った。

しかし、慶州(キョンジュ)市と陽南面(ヤンナムミョン)、蔚山市の住民と市民団体は、「市民参加団」に韓水原の利害当事者が20人以上参加した事実を証拠として提示した。募集団の分布を反映しない市民参加団の構成など、公論操作疑惑を提起した。陽南・慶州・蔚山住民と市民団体は、産業部と国会に「公開検証」を要求したが、行われなかった。

住民と市民団体は今でも、月城原発の前で「マクスター反対」毎週ピケットデモと、海上デモなどをしている。全国833人の市民は、原子力安全委員会を相手にマクスター建設許可の取り消し訴訟も行っている。

4.台風で止まった核発電所

9月4日の台風9号の影響で、古里(コリ)1~4号機と新古里1・2号機の外部電源を喪失し、非常ディーゼル発電機が起動した。このうち運転中だった4基が運転停止した。新古里3号機も、台風で屋根の一部が損傷し、大気補助変圧器が停電した。9月7日の台風10号の際には、月城2・3号機もタービン発電機が停止し、運転停止した。

原子力安全委員会は、古里1~4号機は機械用変圧器に塩分が吸着し「フラッシオーバ」現象が発生し、スイッチヤードにある遮断機が開放され、外部電源を喪失したと発表した。新古里1・2号機は、送電するジャンパー線が送電塔に近づいたことによってフラッシオーバが発生し、外部電源を喪失したとした。

市民社会は真相調査委員会の設置を求めたが、原安委は再稼働を容認した。

新古里3・4号機は、7月23日の集中豪雨の際にも、スイッチヤード管理棟と送電設備が浸水した。

5.大田、都心の河川に放射能が流れる

20年1月、大田(テジョン)市の都心に位置する韓国原子力研究院の周辺の雨水管と河川の土壌で、セシウム137、セシウム134、コバルト60などの放射性物質が検出された。研究院の裏手の雨水管の入口では、セシウム濃度が最高138ベクレル/kgまで検出されており、これは平均濃度の59倍に達する。

3月20日、原子力安全委員会は、原子力研究院でセシウム汚染水が毎年約400~500リットルずつ、30年で1万5千リットル、河川に流れたと発表した。原子力安全委員会は、放射性物質が原子力研究院の内部の廃棄物自然蒸発施設から流れたことを確認した。

6.古里原発1号機の解体計画の公聴会

韓国水力原子力㈱が、20年7月1日から60日間、「古里1号機の最終解体計画書」の供覧と説明会を行った。さらに、住民たちの要求によって11月20日から、釜山広域市、釜山機張(キジャン)郡、蔚山市蔚州(ウルチュ)郡、蔚山広域市を対象に公聴会を行った。

韓水原は、2022年に古里1号機の解体計画が承認されれば、2025年までに使用済み核燃料を搬出し、2031年には敷地の復元に着手、2032年12月に解体を終了するという計画だ。

古里1号機の解体計画に関する全ての説明会や公聴会では、住民たちが「使用済み核燃料を十分に処分できないなら、完璧な解体とは言えない」と反発した。これに対し韓水原は、使用済み核燃料を政府政策に則って処分すると述べた。使用済み核燃料の処分をめぐって今後の難航が予想される。

7.霊光ハンビッ原発3号機、再稼動

格納容器で空隙が多数発見された霊光(ヨングァン)のハンビッ3号機が、20年11月14日から再稼動した。

ハンビッ3号機は、2018年5月11日から始まった計画予防整備期間(919日)において、格納容器で空隙、グリス漏油、鉄板腐食などが確認された。韓水原は124か所の空隙と、184か所の鉄筋露出部を反映した構造健全性評価を通じて、格納容器の健全性に異常がないことを確認したと発表した。

しかし、脱核エネルギー転換全羅北道連帯と全羅北道民衆行動などは、「3号機の構造健全性評価は、拙速・不良・セルフ評価であり、グリス漏油による亀裂要素と空隙の進行性の有無が反映されなかった」と主張した。また、建設工事の欠陥の責任を問わなければならない韓国電力技術㈱に、構造健全性評価を任せた過ちを批判して、責任者処罰を要求した。

8.ハンビッ原発5号機、原子炉ヘッド不良溶接

ハンビッ5号機の原子炉ヘッドの貫通管の不良溶接が、20年7月25日に初めて確認された。当時、作業者は、溶接材質が作業指示書に書かれたインコネル690材質ではない、ステンレス材質であることを確認し、7月26日の真夜中にこれを報告した。原子力安全委員会は、2日後の7月29日になって、不良溶接部の削除および再溶接を許可した。

当時、原子力安全委員会と韓水原は、これを作業者のミスだとした。しかし、10月29日、情報提供者を通じて、原子炉ヘッド不良溶接が、すでに明らかになったもの以外にも存在するということが分かった。

以降、原子力安全委員会は、84の原子炉ヘッドの貫通管のうち、3つの不良溶接を確認した。また、25の貫通管は映像不良などで確認できていない。さらに、原子力安全委員会は、手抜き工事に関連して、12月1日、光州(クァンジュ)地検に捜査を依頼した。

市民社会は原子力安全委員会が、7月に不良溶接をきちんと検証せず、作業の再開を許容したことに対して批判し、真相調査や責任者処罰を要求している。

9.新古里原発5・6号機訴訟、新古里原発4号機訴訟

グリーンピースと全国の市民など合計560人が原子力安全委員会を相手に提起した新古里5・6号機建設許可処分取り消し訴訟の二審判決が、2021年1月8日、ソウル高等裁判所で行われる予定だ。

この訴訟は、2016年9月に始まっており2019年2月に行われた一審(ソウル行政裁判所)では、重大事故の場合の放射線影響に対する評価が正しく行われなかったことなど、原子力安全委員会の一部の違法を認めたが、建設を中断した場合の損失が大きく、公共福利のために建設許可を取り消すことができないという「事情判決」を下した。

これとは別に、新古里4号機の運転許可取り消し訴訟も進行中だ。この訴訟は蔚山、釜山、慶州などを中心に全国732人が共同訴訟に参加し、2019年5月1日、原子力安全委員会相手に起こした訴訟であり、現在、一審裁判が進められている。

10.甲状腺がん共同訴訟、一審の最終段階

甲状腺がん共同訴訟の一審裁判が詰めの段階にさしかかっている。20年10月14日、釜山地方裁判所で裁判が開かれて以後、未だ弁論期日は決まっていないが、裁判部は、弁論を終結する意向をちらつかせた。

核発電所地域対策委員会らは、11月3日、「甲状腺がん被害者国会証言大会『ここに人がいる』」を開催した。核発電所地域対策委と市民社会は一審の裁判終結に先立って989人の嘆願書を集めており、これを裁判部に提出する予定だ。

この訴訟を触発した「ギュンド家族の訴訟」は、一審では勝訴したが、二審で敗訴、最高裁に上告したが、最高裁は、「審理不続行」として上告を棄却した。ギュンド家族の訴訟の二審で裁判部は、原発の周辺地域の住民の甲状腺がんの発病について、原発が排出する放射性物質との因果関係を証明できないとし、韓国水力原子力の側の主張を認めた。

11.福島原発汚染水対応

日本政府は、20年10月末、福島原発汚染水の海への放流の決定を延期した。11月20日、在韓日本大使館当局者は韓国の記者たちとの懇親会で「断言はできないが、今年中に放流案を決定する可能性がある。2022年夏頃を放流の時点として想定している」と明らかにした。

汚染水海洋放出の計画に対して、日本をはじめ、国際的な反対の声が高まっている。環境運動連合は「福島汚染水の海洋放流反対キャンペーン」を進行中であり、グリーンピースも持続的な反対活動をしている。

日本の市民団体である原子力資料情報室は、汚染水貯蔵タンク増設、または汚染水固体化を代案として提示している。

福島汚染水の海への放出について、福島県内の基礎自治体の約70%が「反対」および「慎重な対応」を要求している。

12.「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」

核廃棄物のドラム缶の模型をトラックにいっぱい積んだ「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーン団は、10月24日から9泊10日の日程で、釜山・蔚山・慶州・蔚珍・大邱・霊光・大田・ソウルを走り回った。

キャンペーン団は、「使用済み核燃料管理政策の再検討」の問題点と核廃棄物の実態を市民に知らせ、社会的責任を訴えた。

キャンペーン団は、各地域で脱原発団体と共同して、核廃棄物のドラム缶を押して街頭行進をくり返し、サイレンが鳴ると地面に倒れるというパフォーマンスを行った。

しかし11月2日、警察の制止のため、彼らは大統領府前の広場にはドラム缶を押して入ることができなかった。同日、全国の脱原発団体は、大統領府への進入路で「拙速・でたらめ・密室 公論調査(公論化)の無効を宣言」する記者会見を開いた。警察は同日、記者会見を集会法違反とし、環境運動連合の活動家に出頭要求書を送った。    (訳/小原つなき)

「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーン、9泊10日の旅

核廃棄物がなくなるその日まで
「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーン、9泊10日の旅

キム・ヒョンウク(釜山エネルギー正義行動)  脱核新聞83号より

 核廃棄物ドラム缶の模型をトラックに載せた「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーンが、10月24日に釜山(プサン)を出発し、ソウルまで10日間のキャンペーンをくり広げた。蔚山(ウルサン)、慶州(キョンジュ)、蔚珍(ウルチン)、大邱(テグ)、霊光(ヨングァン)、大田(テジョン)を経由し、核廃棄物の問題を全国の市民にアピールした。
 釜山で開催した出帆式には、コロナ禍にもかかわらず60人あまりが参加した。そのあと、20個の核廃棄物ドラム缶の模型を引きながら3kmほど離れた宋象賢広場まで行進し、「10万年の責任」である核廃棄物の問題点を釜山市民にアピールした。市民からは、「(コロナ禍の)こんな時期に集会を開くなんて」「道路まで占拠して」などという批判の視線も注がれたが、実物大の「核廃棄物ドラム缶の模型」は、釜山市民らの脳裏に焼き付いたはずだ。実は、前日の夜、ドラム缶を載せたトラックをマンションの駐車場に止めておいたところ、警察に通報されるというハプニングもあった。結局、深夜にトラックを他の場所に移さなければならなかった。翌25日、釜山の代表的な観光地である海雲台や広安里海水浴場で、ダイイング・パフォーマンス(死のパフォーマンス)をし、蔚山に向かった。

 蔚山市北区では、今年の6月に民間主導で行われた住民投票で、94.8%の住民がマクスター(使用済み核燃料の乾式貯蔵施設)の建設に反対するという結果がでた。しかし、マクスターの追加建設は決まってしまった。それでも蔚山市民たちは挫折せず今も熱烈にたたかっている。毎週月曜日には、慶州のナア里の住民たちと共にマクスター建設反対のスタンディングを行っている。
 蔚山では26日に記者会見を開き、蔚山市庁前の車道を30人あまりが行進した。道路全体の車線を占拠したときは、少々解放感のようなものも感じられた。

 次の慶州で、「月城(ウォルソン)原発隣接地域移住対策委員会」のファン・ブンヒさんは「キャンペーンを見た多くの慶州市民が、漠然としていた核廃棄物のイメージを現実のものとして感じることができたようです。心の奥底で回避し忘れようとしていた存在を自覚することになったと思います。今回のような「核廃棄物ドラム缶行進」を、今後も、月に一度でも実施できればと思います」と語った。ファン・ブンヒさんの切実な思いが伝わってきた。

●「私、知っているよ、これ核廃棄物でしょ」

 ドラム缶を載せたトラックは、また走り始めた。蔚珍に到着した晩、私たちは、明日の記者会見に出席する方が運営する宿舎に泊まった。蔚珍社会政策研究所の所長がわざわざ宿舎を訪ねてくれて、蔚珍の現在の状況を私たちに説明してくれた。蔚珍は、新ハンウル原発3・4号機の建設計画が撤回されて一安心していたが、先日、郡議会の原発特別委員会が文書を発表したという。「新ハンウル原発3・4号機の建設の再推進を要求」する内容だ。こうした中、私たちキャンペーン団が蔚珍に来てくれたのは大変ありがたいと彼は言った。そして、彼は「全国の脱原発活動家たちと連携し、核廃棄物の問題についてももっと深く地域社会で議論しなければならない」と語った。
 蔚珍では地域住民と密接に話をすることができ、最も記憶に残った。
 また、蔚珍市場では、露店商のおばあさんたちが予想以上に、キャンペーンに興味を示してくれた。「私、知っているよ、これ核廃棄物でしょ」といいながら、マッコリをくれた。喜んで一杯いただき、歌も一曲歌ったら、これまでの疲れがすっかり解消した。
 10月28日は、大邱に向かった。大邱では懇談会が設けられた。大邱は反核運動が「不毛の地」だと言われてきたが、2011年の福島事故以後から現在まで毎週「脱原発火曜デモ」をくり広げている。合計で264回に及ぶという。懇談会では、新規の原発建設と原発の寿命延長の禁止を法制化しなければならないという意見を交わした。「脱原発基本法」草案を作り、実際に法制定まで進めることができれば、核廃棄物の問題に全国のすべての市民が正しく責任を負うことになるのではと感じた。

● 投げつけたい核廃棄物

 29日、霊光を訪れた。キャンペーン団が釜山を出発し霊光に到着するまでのあいだに、霊光にあるハンビッ原発5号機がまた稼動停止した。180日間の整備期間中に数百億ウォンをかけて蒸気発生器を交換して、再稼働するやいなや数日後に問題が生じたのだ。全羅道では数年前から「『核廃棄物をソウルに持って行け』という運動が必要だ」と主張されてきた。原発で生産される多くの電気はソウルと首都圏のために作られているにもかかわらず、その責任は原発が立地する地域住民たちに押し付けられようとしているからである。しかし原発立地地域の活動家たちにとって、「核廃棄物をどこかに持っていけ」という言葉を簡単に発することはできない。核による危険と不平等を誰よりもよく知っているからだ。本当に核廃棄物を投げ出したくなってしまった。
 30日、大田に向かった。大田の韓国原子力研究院の前で、地域の政党や市民社会団体らとともに記者会見を行った。
 ソウルへと向かう途中の世宗市では、産業通商資源部(経産省にあたる)の核廃棄物処理再検討委員会(以下、再検討委員会)が行った全国民の意見収斂の結果を発表する説明会と討論会が行われた。私たちは、世宗市政府総合庁舎に向かった。私たちは、「止めろ!でたらめ公論調査」と、声を張り上げて叫び、各地域の声明書も朗読した。しかし、再検討委員会は、「公論調査で国民の60%が『原子力の持続的な発展が必要だ』という結論を出した」と発表した。我々は抑えられない憤りを胸に、終着地のソウルに向かった
 31日、終着地のソウル駅では多くの人たちが私たちを出迎えてくれた。核のドラム缶の模型を引っ張って駅舎の中に入った。国会議事堂前にも行った。

 11月1日には、朝から雨が降り始めるなか、ソウル大学正門を訪れた。光化門(クァンファムン)では、雨が激しく降っていたが、パフォーマンスを始めると、うそのように雨がやんでくれて、まるで我々を助けてくれているようだった。

● 大統領府前の噴水広場、公権力が私たちを阻止

 11月2日、ついに大統領府前に到着した。しかし大統領府に行く道は険しかった。警察に囲まれ、一歩も動くことができなかった。警察は「集会はだめ、道路占有もだめ」で、何もかもだめだと主張した。私たちも一歩も引くことはできなかった。これ以上怒りを我慢できなかった。この日は、「脱原発市民行動」や「高レベル核廃棄物全国会議」など全国の脱原発団体が産業部の推し進めた再検討委員会と公論調査の過程を糾弾する記者会見を行った。各地の原発地域の住民も集まった。大統領府前では、ダイイング・パフォーマンスをしなかった。警察の前で、通り過ぎる市民もない中、パフォーマンスを行う理由はなかった。
 原発40年間の歴史の苦痛と痛みをだれよりも知っているからこそ、簡単に口にしたくなかったその言葉、「持って行け、核廃棄物」。みんなが責任を負わなければならない核廃棄物をどうするのか、国民すべてが自分の問題として共に悩み、その責任について共に話し合おうと、釜山を出発し全国を回り、ついに大統領府前まで行ったのに、結局、「持って行け核廃棄物、大統領が責任を負え」はスローガンだけで終わった。大統領府の前の噴水台広場には、結局、進入できなかったのだ。
 「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーンの9泊10日の旅は、こうして終わった。私たちは、いつか再び、核廃棄物の問題を訴えるためにソウルに向かうはずだ。10万年の責任を真剣に議論するその日まで、これ以上核廃棄物が発生しないその日まで、私たちは止まらないだろう。キャンペーン団と各地域で出会った皆さんに心から感謝します。

― 解説 ―
 現政権は、前朴槿恵政府が作った「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」の問題点を認識し、2017年に「公論調査を通じて使用済み核燃料政策を再検討する」とした。
 2018年、主管部署である産業通商資源部は、市民社会と原発地域をメンバーに迎えて「再検討準備団」を構成した。しかし、産業部は再検討準備団内で合意しなかった事案を残したまま、2019年5月、一方的に市民社会と原発地域を排除し、「使用済み核燃料管理政策再検討委員会」を発足させた。
 再検討委員会は、月城原発使用済み核燃料保存施設である「マクスター」追加建設について、「地域実行機構」を構成したが、放射線非常計画区域内に含まれる蔚山市を地域実行機構の構成から除外した。
 また、再検討委員会と慶州地域の実行機構が20年7月に「建設賛成が多数」という結果を発表した「月城原発使用済み核燃料保存施設の建設賛否を問う地域公論調査」では、慶州市民だけで構成した145名の市民参加団のうち、韓国水力原子力(株)の利害当事者が20名以上参加したという「公論操作」疑惑が浮上している。
 「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーンは、現政権が「国民と疎通し、核廃棄物管理政策を樹立する」と約束した計画が、拙速で不誠実に実施されていることを批判し、高レベル核廃棄物の危険と社会的責任を市民に知らせるという趣旨で企画された。 (訳/小原つなき)

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信167号
(12月20日発行、B5-32p) もくじ

・ロシアの反核運動:諸問題、抗議活動とそれに対する報復の数々<前編>
 (ロシア社会エコロジー連合/地球の友ロシア)

・「大韓民国の津々浦々まで持って行け、核廃棄物」キャンペーン
 (キム・ヒョンウク)
  
・光州で世界人権都市フォーラム「原子力発電所と人権」 (キム・ジョンピル)
    
・オーストラリア上院が放射性廃棄物処分場計画を拒否
       
・子どもたちに核のゴミのない寿都を! (本田英人)
                
・「県民は同意していない!」
― 村井宮城県知事の女川2号機再稼働の「同意」に抗議の嵐 ― (舘脇章宏)
       
・原発バックフィット・停止義務づけ訴訟 
(青木秀樹) 
              
・12月4日 大阪地裁判決
原告勝訴! 大飯原発3・4号の設置許可取り消しを国に命じる
(島田清子)     

・「老朽原発うごかすな!」10・11・12月連続闘争 
(木原壯林)            

・老朽原発再稼働の地元同意に当たって慎重な検討を求める申し入れ 
(関電の原発マネー不正還流を告発する会・関電株主代表訴訟原告団・脱原発弁護団全国連絡会)                                   

・第2次「黒い雨」広島地裁判決控訴に抗議し 取り下げを求める共同声明に賛同を   

・東日本大震災と福島原発事故を題材にした小説を語る(6) (宇野田陽子)    

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韓国 自然災害に無防備な原発 ― 台風により10基の原発で事件・事故 ―

ヨン・ソンロク (韓国・脱核新聞より)

コリ原発

自然災害により、原発はいともたやすく停止を余儀なくされた。至上最大規模といわれた今回の台風は、主に韓半島の東海岸に位置する原発の安全に大きな影響を及ぼした。台風や大雨、猛暑など、今後ますます頻繁になると考えられる異常気象に備え、原発の安全対策を強化し、早急な脱核が必要だという指摘がでている。

台風9号「メイサーク」によって、9月3日と4日、釜山の古里(コリ)原発1・2・3・4号機と新古里原発1・2号機で、外部電源を喪失する事故が発生した。発電所の外部電源が切れると同時に、これら6基の原発のすべての緊急ディーゼル発電機が起動した。このうち運転中だった4基は自動停止した。

新古里3・4号機は、稼動が中断することはなかったが、変圧器の停電が発生し、新古里3号機のタービン建屋の屋根の一部が破損した。

6基の発電所の外部電源が喪失した正確な原因は、9月14日まで発表されなかった。韓国水力原子力(韓水原)と原子力安全委員会は、送変電の設備異常、塩分流入などが原因だという一部の内容を発表した。

9月7日には、台風10号「ハイシェン」の影響で、慶州の月城(ウォルソン)原発2・3号機が稼働中断した。タービン発電機が停止したため、原子炉の出力を減少させ運転を停止した。

続いて7日午後、慶北の蔚珍(ウルチン)にあるハンウル原発1・2号機の液体放射性廃棄物の蒸発器で放射線警報が発生した。14日現在、ハンウル1・2号機は正常稼働中であり、韓水原と原子力安全委員会は、放射能の外部漏れはないことを明らかにした。

原発の外部電源の喪失事故は大きな事故につながる可能性がある。原子力安全委員会によると、現在、国内の原発は、外部電源の喪失に備えて、各号機ごとに緊急ディーゼル発電機2台と代替交流発電機、1MW級の小型移動型発電機を備えている。また、発電所ごとに3.2MW級の移動型発電車を備えている。緊急ディーゼル発電機は、自動起動が可能であり、代替交流発電機は、運転員が手動で操作しなければならない。

台風によって原発の事件・事故が多く発生したことで、専門家のあいだでは、事故原因の調査を事業者と規制当局のみに任せず、外部の調査委員会を構成する必要があると指摘している。韓水原が台風に備えて事前に原子炉を手動停止しなかったことも批判の対象となっている。

原発が台風で一時停止したのは今回が初めてではない。2014年には局地的集中豪雨により古里2号機の循環ポンプ室が浸水し原子炉が停止した。2003年9月の台風「メミ」の際には、古里1〜4号機と月城2号機が停止する事故があった。

■ 釜山と蔚山で原発の安全対策強化を要求
― 原発の早期閉鎖と脱原発を訴える ―

9月3日と7日に直撃した台風により、国内原発26基のうち10基で事件・事故が発生した。これにより、釜山と蔚山(ウルサン)をはじめ全国で、原発の安全対策の強化と、早期閉鎖など早急な脱原発と、透明な情報公開などを政府に求める声が高まっている。

脱核釜山市民連帯は、台風9号「メイサーク」により古里原発の稼動が中断される事故が起きるやいなや、緊急に声明を出した。続いて9日には釜山市役所で記者会見を開き、政府に早急な脱原発の推進を促した。記者会見では「台風の被害がでた日から悪夢のような日々を送っている」と訴え、釜山市に対しても対策を促した。「釜山市は、原子力安全条例を通じて、原発事故の危険から市民の安全を積極的に保護する任務を明文化したにもかかわらず、今回の件について釜山市民に何の情報も通知せず、現場調査や事態の把握にも積極的に動かなかった」と批判した。そして、これら原発の被害状況を市民が直接確認し、原因と後続措置の状況が正しく確認され履行されるように、官民合同の真相調査団を構成することを要求した。

脱核プサン市民連帯の記者会見

■ 原子力安全委員会に安全対策の強化を要求する公文書提出、
蔚山市には外部調査委員会の構成を要求

脱核蔚山市民共同行動は、9月3日、4日、7日と相次いで3回にわたって声明を発表した。そして10日には、原子力安全委員会に公文書を送り、公式懇談会の開催と安全対策の強化を要求した。また、原発の安全性を高めるために、▲外部電源喪失に備えた緊急発電設備の強化、▲集中的に立地する原発の安全性評価の実施、▲原発再稼働への自治体の同意権を明記する法改正、▲放射能漏れに対応した「行政機関の対応マニュアル」のほか、「市民行動マニュアル」の作成と配布の義務付け、▲気候危機による安全設備の強化と放射能漏れ事故対応マニュアルの強化、▲テロ防止のための原発の設備強化などを要求した。

脱核蔚山市民共同行動は、報道機関に配布した3日の声明で、気候危機と台風に対し原発は安全性を担保することができないとし、政府に対し、月城2・3・4号機と古里2・3・4号機の早期閉鎖の決断を促した(月城1号機と古里1号機は寿命によりすでに閉鎖されている)。4日には、古里3・4号機で外部電源の喪失が追加的に発生すると、「6基すべての外部電源を喪失するのは初めての事態」であり、原発の安全基準の強化を促し、市民の知る権利のために原発の事件・事故に関して携帯のメッセージ通知を行なうように促した。7日には、月城2・3号機でタービン発電機の異常が確認されたことにより、蔚州郡と蔚山市が先頭に立って外部調査委員会を構成しなければならないと促した。

また、環境運動連合とエネルギー正義行動、緑の党なども声明を出し、「気候危機の時代において、原発は危険を抱えているに過ぎず、決して代案とはならない」と主張し、政府に早急な脱原発を促した。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信166号(10月20日発行、B5-20p)もくじ

・韓国 自然災害に無防備な原発
― 台風により10基の原発で事件・事故 ―  (ヨン・ソンロク)

・トルコ シノップ原発、肯定的な環境影響評価に市民が抗議 (森山拓也)

・フィリピン 「バターン住民は原発再開を断固拒否する」

・声明:日立製作所の英ウィルヴァ原発事業からの完全撤退を歓迎
(FoE Japan)

・核のごみ最終処分場の建設は許さない (佐藤英行)

・女川原発の再稼働を止めよう! 9.26宮城県民大集会の報告 (多々良哲)

・「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」に1600人が結集 (木原壯林)

・関電原発不正マネー 検察捜査で真相に迫れるか (末田一秀)

・「黒い雨」控訴に関する抗議声明 (ひだんれん他)

・東日本大震災と福島原発事故を題材にした小説を語る(5) (宇野田陽子)

・【声明】いまこそ日韓関係の改善を

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「民衆の長いたたかいの歴史のうちの、ほんの一部分」 佐藤大介(反核アジアフォーラム日本事務局)インタビュー

韓国・脱核新聞 19年12月号(聞き手・まとめ/ヨン・ソンロク編集委員、原文:韓国語)

第20回反核アジアフォーラム韓国開催準備のために、佐藤大介さんが11月に韓国を訪問した。彼は、ソウル、光州(クァンジュ)、蔚山(ウルサン)、プサンをまわり、韓国の脱核活動家たちに反核アジアフォーラムの歴史と目標、意義を説明した。
彼がどんな生活を送ってきたか知りたくて、個人史を含んだインタビューを行なった。

■ 韓国5・18光州抗争の「映像」に接して、朝鮮語学科ぐるみの断食闘争

佐藤さんは、金芝河の詩集を1976年に書店で偶然目にした。死刑囚の詩集だとしてその本を買ったが、韓国の政治状況は全く知らなかった。そして1977年に大阪外国語大学の朝鮮語学科に入る。

1980年6月、日本に5月光州抗争の映像が入ってきて、各地で上映会が行なわれた。そして彼は、死刑宣告された金大中らを救援する運動を始めた。朝鮮語学科の学生たち数十名で断食闘争をした。彼は、金大中が死刑になり、韓国に暗黒の時代がくれば、光州市民や学生たちを二回殺すことになると思った。彼は光州で死んでいった人々を大切にするならば何でもしなければならないという気がした。朝鮮語学科ぐるみの断食闘争は、めずらしい運動で、毎日新聞、雑誌「世界」などで紹介された。当時、全港湾労組も韓国民衆に連帯し1日ゼネストを行なった。

■ 被曝労働現場に日雇い労働者を紹介しない合意

佐藤さんは1981年に労働福祉センターに就職した。大阪の釜ヶ崎、2万人の日雇い労働者の街だ。彼は全港湾労組に所属した。全港湾労組は、建設業、日雇いなど色々な職種を組織していた。

彼は福祉センターで、仕事の紹介、労災相談、賃金未払い相談などの業務を行なった。原発の定期検査などでのずさんな被曝労働についての相談もたくさんあった。彼は労働組合として当局と交渉をくり返し、被曝する現場には日雇い労働者を紹介しないことで1982年に合意した。その合意は今でも維持されているという。

■ 日本で解雇撤回要求する韓国労働者闘争に連帯

日本の左派労働組合は、経済闘争だけでなく、反戦・反核・反原発、そして日韓連帯運動も行なってきた。佐藤さんは1980年代、全港湾労組として、反原発運動、日韓連帯運動を行なった。日本のアジアスワニーという会社が韓国の工場を撤収し、韓国労働者が日本まで行って解雇撤回を要求する闘争をしたとき、彼はこの闘争を支援した。

■ 1988年から反原発国際連帯

佐藤さんは1990年代以降、労働組合運動より反原発運動に集中したという。日本各地の原発現地で反対運動する住民たちから学ぶことが多かったという。

韓国反核運動との交流は1988年から始めた。当時、アジア各国で原発を推進するために、そして、日本がアジア各国に原発を輸出するために、日本原子力産業会議が主導して「アジア地域原子力協力国際会議」が行なわれていた。日本がパブリックアクセプタンス(住民受容)のノウハウなどを他国に教えていた。たとえば韓国や台湾の原発PR館は日本のPR館とそっくりだった。

そのころ韓国の反核活動家から反原発国際連帯をしようという提案を受けた。推進派が活発に国際連携しているので、反対派も国際連帯しなければなければならないと。それが反核アジアフォーラム出発点になった。

■ 韓国と日本が率先して反核アジアフォーラム開催

第1回反核アジアフォーラムは日本で、第2回反核アジアフォーラムは韓国で開催することにした。日本の多くの団体、人々が、反核アジアフォーラム実行委員会を作った。第1回反核アジアフォーラムは1993年、日本にアジア各国から30人を招いて、4人ずつチームを組んで7つのコースをまわり、全国28か所で集会を行なった。反核アジアフォーラムは、常に原発現地を重要視することとした。

第2回反核アジアフォーラムは1994年に韓国で開かれた。霊光(ヨングァン)、古里(コリ)、蔚珍(ウルチン)の原発現地や、核廃棄場建設に反対した固城(コソン)、清河(チョンハ)などで集会を行なった。

以後、反核アジアフォーラムはほとんど毎年、台湾、インドネシア、フィリピンなどの地で、今まで開催されている。

■ 運動的な哲学

佐藤さんは加害者になりたくなかったという。1965年の韓日協定以後に日本企業が韓国を搾取する状況があった。そのため日本が韓国の独裁政権を支えてきた。日本がアジア民衆を搾取する経済構造もあった。また、原発は貧しい労働者を被曝させ、貧しい地域に建設される。都市住民は加害者と言える。

彼は、放射能の被害者にも加害者にもなりたくないと、日本の多くの人たちとともに、1992年から2018年まで、インドネシア・台湾・ベトナム・インド・トルコへの原発輸出に反対するキャンペーンをした。署名運動、三菱・日立・東芝の不買運動、国会での質問、政府交渉、対象国から活動家を呼んで集会、対象国を訪問して集会などだった。

彼は「民衆の長いたたかいの歴史のうちの、ほんの一部分」「いつかは原発も核兵器もなくなる」という。

佐藤さんとイ・サンボム蔚山環境運動連合事務局長(写真左上)は、2000年に新古里(シンゴリ)3・4号機建設反対闘争で縁を結んだ間柄だ

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信165号(8月20日発行、B5-24p)もくじ

・韓国 全国の市民社会、使用済み核燃料の公論化に対し無効を宣言 (ヨン・ソンロク)

・「民衆の長いたたかいの歴史のうちの、ほんの一部分」
佐藤大介インタビュー (韓国・脱核新聞)

・アルメニアの原発に攻撃の脅し (山崎久隆)

・被災原発・女川原発2号機の再稼働をめぐって (篠原弘典)

・広島原爆「黒い雨」裁判:その全面勝訴と国の控訴を考える (湯浅正恵)

・コロナと原発事故 (石地優)

・関電株主代表訴訟へ ~ めちゃくちゃでっせ関電 ~ (滝沢厚子)

・東日本大震災と福島原発事故を題材にした小説を語る(4) (宇野田陽子)

・「老朽原発うごかすな大集会 in おおさか」(報告とお願い)

・老朽原発うごかすな (中野宏典、小熊ひと美、けしば誠一、木村雅英、
堀田美恵子、中沢浩二、瀧川順朗、柳田真)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
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全国の市民社会、使用済み核燃料の公論化に対し無効を宣言

使用済み核燃料「でたらめ公論化」を中断せよ! 慶州でデモ・ダイイン、7月18日

韓国の産業通商資源部(経産省にあたる)の「使用済み核燃料管理政策再検討委員会」が、月城(ウォルソン)原発の使用済み核燃料の一時貯蔵施設(マクスター、乾式)増設のための地域公論調査の最終結果を7月24日に発表した。「選ばれた慶州市民参加団145人の81.4%がマクスター増設に賛成した」とのことであるが、この公論調査は操作された疑いがある。月城原発に隣接する陽南面(ヤンナムミョン)住民の反対は、39名中たったの1人だった。6月にハンギルリサーチが陽南面住民891人を対象に調査した結果では、55.8%が反対していたので、意図的に賛成住民を中心に市民参加団を構成した疑いがあるのだ。また、市民参加団に韓国水力原子力の協力会社の従業員が数十人参加していたという状況も明らかになっている。

■ 「全国の市民社会、使用済み核燃料の公論化に対し無効を宣言」

ヨン・ソンロク (韓国・脱核新聞より)

全国の市民社会、宗教界、地域、専門家、政党などは、産業通商資源部が推進した「使用済み核燃料の管理政策に関する再検討」 全国公論化と地域公論化に対して無効を宣言した。彼らは、公論化を推進した再検討委員会が公正性と透明性などを喪失し、産業部が公論化を失敗に導いたと主張した。

文在寅政府は発足初期に国政課題の一つとして、「高レベル放射性廃棄物(使用済み核燃料)管理基本計画」の再検討を進めることを明らかにした。これは、朴槿恵政府が樹立した高レベル放廃物の管理政策が核産業界の立場を一方的に代弁したものであり、再公論化を通じた政策の見直しが必要だという市民社会の要求を現政権が受け入れた結果だった。

しかし、核産業界の主管部署である産業通商資源部は、公論化を推進するなかで、再検討委員会の人員構成に関して原発立地地域と市民社会の代表者などの利害当事者を排除した。市民社会は、文在寅政府のもとで行なわれる公論化も、スタートから中途半端な公論化となることを憂慮し、再検討委員会の人員の再構成などをくり返し要求してきた。しかし産業部は公論化を強行した。

産業部は、全国公論化を通じて、全国民とともに、国家的な難題である使用済み核燃料の処分案に対する話し合いを進めなければならないにもかかわらず、永久処分場が確保できないまま稼動されている核発電の問題点について国民に知らせるどころか、核発電所敷地内に「臨時貯蔵施設(乾式)」を建設することに問題の焦点を矮小化していった。

産業部が、市民社会の不参加のもと公論化を強行する中で、1 年以上再検討委員会を率いてきたチョン・チョンファ委員長をはじめ、委員 15名のうち、5人が辞任する事態となった。チョン・チョンファ委員長は、「慶州月城原子力発電所の使用済み核燃料貯蔵施設の増設可否を問う月城地域実行機構」が、再検討委員会と相談もしないで意見収斂の内容を一方的に変更したとし、公正性と透明性を担保できないと主張した。

「密室操作公論化 無効」

● 使用済み核燃料の問題の核心を国民に正確に示さないなら、対政府闘争は避けられない

7月30日、大統領府前で開かれた「使用済み核燃料でたらめ公論化の無効宣言」と題された記者会見では、「高レベル核廃棄物全国会議」のファン・デグォン代表が冒頭発言で、「ろうそく革命を通じて誕生した政府を前に、ろうそくを再び掲げる心情でこの場に立った」と吐露した。また、「脱原発を約束した大統領の下で、このようなでたらめな公論化を推進した産業部を到底理解できない」と批判した。彼は「もし、このすべての過程が産業部の過ちなら、大統領が産業部長官を解任しなければならない。また、もしこれが大統領の意思なら、対政府闘争をするしかない」と怒りをあらわにした。彼は「再検討委員会は、核廃棄物の臨時貯蔵施設の推進にしか目がない」「公論化は、韓水原の社内施設として勝手に管理することができる臨時貯蔵施設の建設を容認するためのものだ」と批判した。

緑色連合のチョ・ヒョンチョル代表は、「産業部の公論化過程を見る中で、この政権が暴力的になったと思った」と切り出した。彼は「産業部が、高レベル核廃棄物の中長期政策について全国の意見を汲み上げる前に、地域の公論化を終えたのは、産業部が公論化の目的を月城核発電所の敷地内に臨時貯蔵施設の建設を進めることに焦点を当てている証拠だ」と主張した。彼は「再検討委員会が、使用済み核燃料に関する全国的な議題はそっちのけにして、地域の議題だけにこだわり、とくにマクスター(使用済み核燃料貯蔵施設)の増設にのみ熱中した」と批判した。彼は合意を破って一方的に密室で推し進めた公論の過程は、真の公論化にふさわしくないと批判した。

環境運動連合のチェ・ジュンホ事務総長は、「こんなに重要な問題について市民たちはろくに知ることもできず、また、産業部はこれを伝えるための努力をしていない」と批判した。また、「核発電所の問題の本質について明らかにしないまま処分問題を論議し、核発電所の周辺地域の住民の被害と苦しみを無視しつづけている」と指摘した。

参与連帯のシン・ミジ選任監査は、「高レベル核廃棄物の問題は、市民の安全と直結する問題であり、一度や二度の議論で決定できるような問題ではなく、議論の対象を地域住民に縮小してはならない」と指摘した。また、「時間がかかっても文在寅政府は、まともな公論化の場を作り直さなければならない」と主張した。

● 国民参加のない一方的な発表では、気候危機と脱原発の大転換は難しい

宗教環境会議のヤン・ギソク共同代表は、気候危機と核発電問題について、「世界各国が苦境に直面する中で、数日前、韓国政府は『グリーン・ニューディールに160兆ウォンを投資し、韓国社会における大転換の契機にする』と断言したが、どれほど多くの費用を投資しても、アプローチしなければ気候危機と核発電問題において、韓国社会は変化せず、依然として危険である」と主張した。また、「核廃棄物問題も一時保存ではなく、核発電所存亡そのものについて国民が悩む時間を作るべきだ」とした上で、「それが行なわれるとき、韓国社会が持続可能な社会に進むための大転換となる」と話した。また、「政府が依然として民主的でない方式で少数の選別された人たちのなかで意図された結論を導き出そうとする行為は社会変化を引き出せない」と指摘した。

このほかにも進歩党のキム・ジェヨン代表や、緑の党のソン・ミソン運営委員長も記者会見に参加し、産業部の公論化の問題点を指摘し、でたらめな公論化は無効であることを宣言した。

「慶州月城原子力発電所使用済み核燃料貯蔵施設に関する地域公論化」の懸案地域から、「月城核廃棄場反対 蔚山(ウルサン)住民投票運動本部」のイ・ウンジョン共同代表が、産業部と再検討委員会の問題点を指摘した。イ・ウンジョン代表は、月城原発から半径7km~30km圏域に位置する蔚山市民の意見を収れんしないことに対して、文在寅大統領は産業部に責任を問い、まともに公論化を推進するよう働きかけなければならないと要求した。

「月城原発核廃棄場追加建設反対 慶州市民対策委員会」のイ・サンホン執行委員長は、「朴槿恵大統領のもとで行なわれた公論化よりもひどい公論化を、これ以上続ける意味があるでしょうか?」と疑問を投げかけ、「文在寅政府は、多くの市民たちの期待や熱望、努力と汗と信頼を裏切った公論化を中断しなければならない」と訴えた。彼は「2005年に行なわれた中・低レベル放射能物質廃棄場の誘致に関する慶州市住民投票で私を絶望させたのは、誘致が決まったことよりも、むしろ盧武鉉政府のもとで行なわれた広範な不正投票だった」と当時を回想した。加えて、「現在、生徒が学ぶ社会教科書には、中・低レベル放射能物質廃棄場の慶州市住民投票が、大韓民国初の住民投票で、民主的葛藤解決の模範事例として紹介されているのを見るたびに血が逆上する」と主張した。彼は「なぜ民主主義は、民主政府のもとでさらに蹂躙されなければならないのですか」と訴え、「でたらめな公論化によって再び核廃棄場が慶州に建設されるのを黙ってみているわけにはいかない」と切実な思いを伝えた。彼は、文在寅大統領が慶州地域での公論捏造の真相を明らかにし、公論捏造の犯罪者を厳罰することを要求した。

全国の市民社会、宗教界、地域、専門家、政党などは、市民宣言文を通じて、「今回の公論化は、民意を徹底的に無視して歪曲した」「慶州地域の公論過程で行なわれたハンギルリサーチの調査結果では、慶州市陽南面(ヤンナムミョン)の住民の過半数以上が核廃棄施設の増設に反対したにもかかわらず、産業部の地域公論化の過程では市民参加団の陽南面住民の反対が 39名中たったの1人だったことは『公論操作』である」という疑惑を提起した。

また、蔚山市の人口のうち約100万人が放射線非常計画区域内に属しているにもかかわらず、核廃棄場の増設の可否を問う意見収集対象から除外したことも、今回の公論化過程の大きな誤りだと指摘した。蔚山の場合、産業部と再検討委員会が蔚山市の意見を収れんしなかったため、民間主導で住民投票を実施し、5万人以上が投票に参加して94.8%が使用済み核燃料貯蔵施設の追加建設に反対したが、この住民投票の結果は全く反映されなかった。

全国の市民社会などは、熟議の過程の拙速性に加えて、公論操作の疑惑まで提起されている慶州地域の意見聴取の結果は無効であり、徹底した真相究明を通じて、産業部と再検討委員会および地域実行機構の責任者は処罰されなければならないと要求した。

全国市民宣言への参加者は、「核廃棄物に対する責任ある管理計画を掲げることよりも、慶州月城の核廃棄物臨時貯蔵施設の追加建設という目的を達成するための手段として公論化を利用した産業部を糾弾する」「私たちは、民意も熟議もなく、公正性と透明性、客観性と収容性など、どれ一つ満たしていない密室での公論化、使用済み核燃料管理政策を根本的に準備できない公論化は無効であることを宣言する」と叫んだ。

全国市民宣言への参加者は、朴槿恵政府に続き、再び破綻した公論化をくり返した政府に次のような要求事項の履行を促した。

「でたらめ公論化の無効宣言」

【全国市民宣言参加者の要求事項】
1. 慶州地域の意見聴取の結果は無効だ。 公正性検証委員会を構成し、慶州地域公論の操作疑惑の真相を調査せよ。
2. 慶州月城臨時貯蔵施設(マクスター)建設反対 94.8%、蔚山北区住民投票の結果を受け入れよ。
3. 文在寅政府の国政課題である「使用済み核燃料管理政策の再検討」を破綻させた産業部長官を解任せよ。
4. 核廃棄物の問題について全国民が熟考して共に討論する過程を通じて、解決策を見出せる形での公論化を再設計せよ。
5. 大統領直属の独立的な機構として、地域と市民社会などの利害当事者が参加するまともな公論化として再スタートせよ。
(訳/小原つなき)

 

UAEのバラカ原発:炉型、時期、場所、すべてが誤り

2018年3月、1号機前で(文在寅大統領も)

UAEのバラカ原発:炉型、時期、場所、すべてが誤り
JP Casey(Power Technology 20年4月17日)

UAE(アラブ首長国連邦)は、同国初のバラカ原発について、数か月以内に稼働を開始する予定であると発表した。バラカ原発はUAEの電力需要に中心的な役割を果たすことを期待されているが、地政学的に緊迫した状況下での実用性、安全性に関する疑問は残されたままだ。

アブダビ首長国のガルビヤ地方から53キロ離れた地点に位置し、200億ドルをかけたこの事業が開始されたのは2012年。ついに完成の時が近づいている。韓国電力公社などの韓国企業連合によって建設され、APR1400という炉型の原子炉4基から成るこの原発の出力は560万kWにのぼり、UAEの電力需要の四分の一を満たすことになる。

バラカ原発は、「増大し続けるエネルギー需要に応える」「二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーの割合を増やす」「完成すれば世界第6位の規模となるこの原発が、中東のエネルギー革命の幕を切って落とす」などと、期待を込めて語られている。

しかしそうした華々しい主張の背後で、このプロジェクトは議論の的となり続けている。マクロの視点からは、このような地政学的に緊張感の高い場所に原発を建設すること自体が帯びる固有の危険性があげられる。バラカ原発そのものに対しては、格納容器のコンクリートに亀裂、空隙が生じていることなどだ。このプロジェクトに関しては、批判の声が上がり続けている。

バラカ原発に関して極めて懐疑的な見解を持つ専門家の一人、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン上席研究員のポール・ドーフマン博士は言う。

「原子力分野への投資が大規模な財政損失を生み出すという事実を考えると、人びとはバラカ原発建設には『他の隠された理由』があるのだろうかと疑問に思うでしょう。とくに湾岸諸国にとっては、原発は経済的にごく小さな意味しか持たないように見えます。砂漠地域の王国なのだから、太陽光発電については世界で最も恵まれた環境を手にしています。太陽光発電は原発よりもずっと安価な投資額と発電コストが可能なのに」

一方、世界原子力協会(WNA)の上級報道官ジョナサン・コブ氏は、「バラカ原発はすべての必要な要件を満たしており、韓国電力公社からの強力な安全認証が出ています。韓国電力公社が設計開発したAPR1400型原子炉は、実際に2016年から韓国で運転開始されています」と述べる。

「FANR(アラブ首長国連邦原子力規制機関)による精査のみならず、1号機は『起動前審査(PSUR)』にも合格しました。これは、世界原子力発電事業者協会(WANO)によって策定された国際的な基準によって運用されている審査です」とコブ氏は語る。

しかし、ドーフマンはそれらの安全性に関する認証に再び疑念を投げかける。原子力産業においては安全性に関する規制については概して緩やかなアプローチがとられているからである。

「原子炉の設計は進化しましたが、バラカ原発にはそれに伴って追加されるべきカギとなる安全機能が追加されていないのです。フランスのアレヴァ社の最高経営責任者はバラカ原発の設計に関して『エアバッグとシートベルトのない車』と表現しました。バラカ原発の設計は、事故あるいは飛行機の衝突や、軍による攻撃の場合の大規模な放射性物質の放出に対しては不十分な防衛しか持ちあわせていないのです。とりわけ心配なのは、コアキャッチャーがないということです。緊急炉心冷却装置の故障が発生した場合に、コアキャッチャーがあれば圧力容器から溶け出してきた核燃料を支えることができるのです。その上、4基とも格納容器のコンクリートに亀裂、空隙があり、設置されているパイロット式逃がし安全弁も欠陥があります」

彼はさらに、2013年に発覚した一連のスキャンダルによって韓国電力公社の評判が損なわれていることも指摘する。韓国の原発において、部品の安全性に関わる書類を偽造(2287件)したとして、安全審査に関わる上級職員らが実刑を受けた。最終的には100人が起訴され、韓国で運転中だった23基のうち6基が2012年から14年にかけて閉鎖を余儀なくされた。

UAEはこの原発建設で韓国電力公社と200億ドルで契約した。それは他の入札企業の提示額よりもかなり安い金額だった。これも不安な点だ。2008年、シナプス・エナジー社が、新規原発建設は110万kW規模の原発1基あたり90億ドルまで跳ね上がるだろうと予測した。この予測に従えば、バラカ原発の建設費用は450億ドル程度となり、韓国電力公社がこの原発に投資した額の2倍以上となる。

不確実な安全性認証は、これらのリスクにもかかわらずバラカ原発を承認した世界の原子力規制機関の信用を著しく損なう可能性がある。ドーフマンは、この原発の窮状は、「義務的であるよりも裁量的」である原子力規制の本質を明るみに出していると語る。原発をもった国のみが、運転と安全性の基準を守る責任を負わされ、強大な国際組織はそれを支援しないという構図になっているのだ。

「国際原子力機関(IAEA)は、誰にでも命令できるわけではない。イラン、パキスタン、イスラエルなどで起きてきたことを見ればわかるとおりです」

原発の安全性というのは、他のエネルギー源による発電とは全く異なるありかたで、各国の政策やその地域の地政学と分かちがたく結びついているといえる。

ドーフマンが指摘するのは、イエメン内戦の例だ。反政府勢力のフーシ派が2015年に、アブドラッボ・マンスール・ハーディー大統領を倒した。そして、フーシ派は17年、UAEのイエメン内戦への干渉に対する警告として、バラカ原発に向かって巡行ミサイルを発射したと発表した。

核施設に対して軍事攻撃が加えられた場合、明白な政治的、人道的緊急事態になるということが予想される。

「19年のフーシ派によるサウジアラビアの石油精製施設に対する軍事攻撃でもわかるとおり、緊迫した湾岸諸国の戦略的地政学は、地球上の他のどの地域よりも、原発建設をより論争の的としています」と、ドーフマンは語り、その地域で暮らす人々やその地域の安定性に対して原発が課す脅威は解決されないままであると要約した。

「バラカ原発が本格的に発電を開始したら、意図されたものであれ偶発的なものであれ、大きなリスクが発生するでしょう。バラカ原発は、誤った時代に、誤った場所に建てられた、誤った原発です」

 

韓国各地で福島原発事故9周年の記者会見

ヨン・ソンロク  (脱核新聞より)

3月11日、福島原発事故から9年目を迎え、韓国各地で事故を記憶し、脱原発を求める記者会見が開かれた。ソウルでは様々な団体が連帯するネットワーク組織である脱核市民行動が日本大使館の前にある平和の少女像の前で記者会見を行なった。原発立地地域である慶州(キョンジュ)、蔚山(ウルサン)、プサン、霊光(ヨングァン)でも、各地で記者会見を開き、地域の懸案事項を糾明し、脱原発を求めた。コロナ19の感染で困難に直面しているテグと慶州は、インターネットでの記者会見を行なった。緑の党など政界も論評を発表し、福島事故9周年の意味をふり返った。

■ ソウル、原発から一刻も早く退却しよう

ソウルなど各地域の31団体のネットワーク組織である脱核市民行動は11日、平和の少女像の前で、日本政府の事故収束作業の問題点を指摘し、東京オリンピックの開催は、多くの人を放射線にさらすことになるだろうと述べた。また、日本政府は福島事故の教訓を忘れ去っているが、韓国の最大野党の未来統合党も、永久停止した月城(ウォルソン)原発1号機の再稼働を求めるなど、「脱原発政策の廃棄」を総選挙の公約として発表したことを強く批判した。

さらに脱核市民行動は、福島の事故が示したように原発はたった一度の事故でも取り返しのつかない被害を与えるだけでなく、高レベル核廃棄物は処理方法がなく深刻な状況だとし、月城2・3・4号機の早期廃炉を要求した。そして、脱核宣言文を読み上げ、「私たちの安全と未来のために、原発から一刻も早く退却する道を共に歩もう」と述べた。

■ 慶州、マクスターに関する住民投票を慶州市に公式要請

慶州共同行動は、3月11日の記者会見で、慶州市と慶州市議会に対して、月城原発に使用済み核燃料の乾式貯蔵施設であるマクスターを建設することへの賛否を問う住民投票を公式要請した。

また、住民の意見集約のために昨年11月21日に設置された「月城原発地域実行機構」の10人の委員の構成をめぐり意見対立が激しく、発足から4カ月が経っても市民と全くコミュニケーションをとらないなど信頼性と公正さを失ったと指摘し、解散を求めた。

そして、マクスターの追加建設は慶州市民に多大な影響を及ぼす政策であるだけに、住民投票を通じた意見集約だけが意見対立を最小化することができるとし、26万人の市民が公論化の主役として参加できる唯一の方法は住民投票であると、その提案理由を説明した。

慶州共同行動は、11日に慶州議会議長と慶州市長へ「月城原発のマクスターに関する住民投票要求書」を渡し、3月20日までの回答を求めた。

住民投票要求に向け、3月12日から27日の午前8時30分から1時間、慶州市役所前で出勤時間に合わせたプラカードアピールを行なう予定だ。さらに、共同行動に参加する13団体は、3月から住民投票を要求する横断幕掲示運動を開始した。3月18日で97回となる脱原発巡礼は住民投票を要求する内容で行なう計画だ。脱原発巡礼は、毎週火曜日の午後2時に慶州駅広場から出発する。

■ 霊光、リスクを認める社会は不可能なのか

3月11日は、全羅南道霊光郡にあるハンビッ原発4号機が運転を停止してから1029日目となる。2017年5月18日に計画予防整備と呼ばれる点検作業を開始したハンビッ4号機の格納容器で、157cmに達する巨大な空隙など、121個の空隙が発見された。ハンビッ3号機の格納容器でも124個の空隙が発見され、整備中だ。

「ハンビッ原発対応湖南圏共同行動(全北、全南、光州)」は3月11日、霊光郡ハンビッ原発正門前で、「リスクを認める社会は不可能なのか?」というタイトルで記者会見を行なった。湖南圏共同行動は、ハンビッ1号機が昨年原子炉出力が急上昇する事故があったにもかかわらず再稼働中であり、3月6日には低圧給水加熱器のチューブから漏水が発見されたと指摘した。続いて「私たちが立っている正門の後ろでおぞましくそびえ立つ原発建屋の中に隠されたリスクは1つや2つではない」と述べ「なぜ私たちはこのようなリスクを取り除くことができないまま、不安の中で暮らさねばならないのか」と反問した。そして、ハンビッ1・3・4号機の閉鎖を要求し、福島事故による命の痛みと苦しみに慰労の意を伝えた。

■ プサン、不可逆的な脱原発実行要求

脱核プサン市民連帯は3月11日、プサン市役所の前で記者会見を行なった。市民連帯は、ムン・ジェイン政権が福島の警告と韓国の地震という脅威の前で脱核時代を宣言したものの、新コリ5・6号機の建設が再開され、脱核時代は60年後に延期されたと批判した。

また、現政権が国民の生命と安全に言及しながら、他国に原発を輸出し、他国民の生命と生活を脅かす矛盾した事態となっていると指摘した。

市民連帯は、韓国の核廃棄物の半分以上を抱えながら暮らす月城住民、甲状腺がんなど様々な病気に苦しむ原発周辺地域住民、送電塔建設の犠牲となった住民の苦悩について言及した。さらに、原発で働く下請け労働者の声は小さいながらも存在していると述べ、この苦痛は将来の世代にまで及びうると指摘した。そして、一日も早く原発時代から抜け出すことが福島事故の教訓だと強調した。

■ 蔚山、持続可能な生き方をめざし 脱原発をしよう

脱核蔚山市民共同行動は3月11日、蔚山市役所のプレスセンターで記者会見を行なった。蔚山共同行動は、まず、福島事故から9年が経過した日本の状況を説明した。

蔚山共同行動は、韓国社会が放射能災害に直面した場合、どのような事態に見舞われるかを推察してみたが、蔚山市と区・郡のマニュアルを確認した結果、災害弱者や一般住民の避難方法が現実的ではないと指摘した。

また、産業通商資源部が推進する「使用済み核燃料管理政策再検討」の公論化は、蔚山市民を意見集約から排除していると述べ、使用済み核燃料管理政策再検討委員会と慶州実行機構の解散を要求した。

そして、全国民的に原発と核廃棄物の処分方法に関する公開討論を行なうことを求め、持続可能な生き方をめざし、脱原発への大きな道へ進もうと述べた。
(訳/高野聡、次の記事も)

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【脱核プサン市民連帯 記者会見文】

福島を記憶せよ! 不可逆的な脱原発の実行を求める!

2011年の今日、福島原発事故が発生しました。9年が経ちましたが、放射能に汚染された海と土、水と大気は回復していません。除染作業が終わったとされる福島では依然として強い放射能の警告音が鳴り響きます。

日本政府は自然と人間の営みを徹底的に破壊した福島原発事故の記憶を消そうとしています。福島の復興を叫びながら、東京オリンピックを推進しています。福島は終わっていません。福島は9年の間、原発が人類の生存と命を破壊することになるという警告のメッセージを送り続けています。福島を記憶し、福島が送るメッセージに、人類は、原発を止めるという具体的な行動で応えなければなりません。

韓国は40余年もの間、答えのない核のゴミを生み出し人類を脅かす原発を稼働し続けてきました。福島の警告、地震という現実的な脅威の前に、コリ原発1号機は永久停止し、ムン・ジェイン政権は脱原発時代を宣言しました。しかし脱原発時代はコリ1号機の永久停止で止まりました。新コリ5・6号機は公論化という名の下、建設が再開され、脱原発時代は60年後に延長されました。また、国民の生命と安全に言及しながら、他国に原発を輸出し、他国民の命と生活を脅かす矛盾した事態が発生しています。

答えのない核のゴミに関しては、再公論化によってしっかりと10万年の責任について話し合わなければならないという市民社会の要求が、議論の見直しをもたらしました。しかし、昨年5月に発足した再検討委員会は、もっぱら臨時貯蔵施設の建設によって原発の稼働が止まらないようにすることのみに汲々としています。

総選挙が近づくと、脱原発を宣言したことはないと言い出す「共に民主党」議員の発言が飛び出すかと思えば、核融合の科学者を候補に担ぎ出す事態まで起こりました。

脱原発宣言は、政治家、官僚、産業界、メディア、学者などいわゆる核マフィアの強固なつながりを断つという、従って二度と脱原発から後退したり、逆行してはならないという宣言でなければなりません。しかし私たちは、脱原発時代を宣言したムン・ジェイン政権下で、脱原発に矛盾した行動、後退と逆行を目撃しています。脱原発政策は可逆的であってはなりません。私たちは不可逆的な脱原発政策の実行を強く要求します。

韓国の半分以上の核のゴミを抱えながら生きていかなければならないウォルソン住民と、原発により生業を奪われた住民を忘れてはなりません。原発と甲状腺がんの関連性について、放射能基準値だけを云々する者たちに「私たちの体が証拠だ」と憤り、叫ぶ住民たちを忘れてはなりません。送電塔問題をたどってみると原発に行き着いたと言い、脱原発の教えを伝えてくれたミリャンのおばあさんやおじいさんの声は今もはっきりと生き続けています。原発で命を削りながら被曝労働をしている下請け労働者の声は小さいながらもこの社会に存在しています。

原発に苦しめられてきた人々の声は、原発の歴史と共に存在してきました。そしてその苦しみの声は、現世代だけでなく将来の世代にまで継続せざるをえません。一日でも早く原発の時代をやめなければなりません。それが福島事故9周年の教訓であり警告です。

世界中で気候危機非常事態が宣言されています。現在まで人間が作ってきた、人間が順応してきたシステムへの問題提起をしなければなりません。

今までのシステムは、無限の利潤を求めて無限の競争をし、過剰に生産するシステムでした。生産の原動力となる燃料は、石油や石炭など、自然に対する略奪や搾取を基盤としてきました。それとともに、クリーンで安全で安いエネルギーという触れ込みで、原発も現在のシステムと共存し、核マフィアの権力を堅固なものとしてきました。

脱原発と気候危機への対応は切っても切り離せない関係にあります。システムと構造を根本的に変えない限り、解決への道は開けません。

「未来がないのに勉強に何の意味があるんだ」と街頭へと繰り出す少年・少女の声に注意を傾けなければなりません。将来世代が作り出そうとしている世界は、現在のシステムを打破してこそ可能です。現世代が作り出し、順応してきたシステムに対して、ノーと言いましょう。将来世代と共に、脱原発時代を開き、正義にかなったエネルギー転換によって、持続可能な未来を作っていきましょう。
2020年3月11日
脱核プサン市民連帯

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信163号(4月20日発行、B5-24p)もくじ

・韓国各地で福島原発事故9周年の記者会見
(ヨン・ソンロク)

・福島を記憶せよ! 不可逆的な脱原発の実行を求める!
(脱核プサン市民連帯)

・福島の教訓を忘れないで
(台湾・全國廢核行動平台)

・東海第二原発の再稼働の是非を問う「県民投票」の実現をめざして
(姜咲知子)

・宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判
(大河内秀人)

・関電役員の追加告発人を募集中
(末田一秀)

・新潟県津南町議会が「除染土再利用の省令案の再考を求める意見書」を採択
(小木曽茂子)

・福島第一原発事故によるタンク貯蔵汚染水の陸上保管を求める共同声明

・『ノー・ニュークスで生きる権利-原発メーカー訴訟から新しい社会へ』
(島昭宏)

・東日本大震災と福島原発事故を題材にした小説を語る(2)
(宇野田陽子)

・老朽原発うごかすな
(アイリーン・美緒子・スミス、吉田めいせい、稲村守、高橋精巧)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。購読料:年2000円。
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韓国2019年 記憶すべき脱原発ニュース

韓国「脱核新聞」より

「2019年 記憶すべき脱原発ニュース」を日付順にまとめました。文在寅政権が脱原発政策を発表したにもかかわらず、原発の建設と運転許可が続いており、原発技術関連産業と輸出計画は依然として拡大中です。また、最低でも10万年間の責任を議論しなければならない高レベル核廃棄物管理政策の見直しが拙速に進められています。脱核新聞は「2019年 記憶すべきニュース」をまとめることで、改めて問題を想起し、各地域や現場でくり広げられるであろう2020年の闘いに少しでも力となれればと思います。
(まとめ:ジョン・スヒ、ヨン・ソンノク、キム・ヒョヌ、パク・ヒョンジュ、イ・ホンソク)(訳:高野聡)

1.核廃棄物の搬入が中断した慶州(キョンジュ)の中・低レベル核廃棄物処分場

2019年1月から慶州の中・低レベル核廃棄物処分場への核廃棄物搬入が中断された。これは原子力研究院による核種分析のエラーのためであり、規制当局の原子力安全委員会は、原子力研究院が15年以降に処分場へ運んだ核廃棄物を調査した結果、2600個のドラム缶のうち、2111個のドラム缶で3260件に及ぶ核種分析のエラーが検出されたと発表した。処分場を運営する原子力環境公団は核廃棄物の試料を採取して分析しており、結果は近々出る予定だ。一時期、処分場にあるすべての核廃棄物を取り出して再調査すべきだという問題提起や、韓国水力原子力と原子力安全委員会の責任も問うべきだとの主張もあったが、現在は沈静化した状態だ。

2.安全処置が不十分ながらも新コリ4号機に運転許可

19年2月1日、原子力安全委員会は、蔚山(ウルサン)の新コリ原発4号機の運転を承認した。加圧器安全放出バルブの漏洩などがあったにもかかわらず、原子力安全委員会は、主要設備の安全性確保を放置したまま、本格審査1日のみで運転許可を下した。

脱原発陣営は4月に蔚山を中心に「新コリ原発4号機運転許可処分取り消し訴訟」を開始した。訴訟人団の募集期間は一週間しかなかったが、全国で732人の市民が訴訟に参加した。訴訟は現在、ソウル行政裁判所で進行中であり、20年1月9日、2次弁論が行なわれる予定である。

一方、韓国水力原子力は19年12月6日に新コリ3・4号機の竣工式を行なった。

3.違法にもかかわらず工事を中止しない新コリ5・6号機

19年2月14日、ソウル行政裁判所行政第14部は、グリーンピースと市民599人が提起した「新コリ原発5・6号機建設許可処分取り消し訴訟」で、欠格事由のある原子力安全委員会委員が建設許可の決定に参加した点、放射線環境影響評価書にシビア・アクシデントの記載が抜け落ちている点を認定し、違法であると判断した。

しかし、建設を中断する場合、複雑な法律的争点が発生する上、建設中断による損失が大きいという理由をあげ、建設を継続してよいという「事情判決」を下した。

これに対し訴訟団は直ちに控訴し、ソウル高等法院で11月19日に控訴審3次弁論が行なわれた。現在新コリ5・6号機の工事は続いており、11月28日に5号機の原子炉が設置された。

4.ハンビッ1号機原子炉出力急上昇事故

5月10日、霊光(ヨングァン)にあるハンビッ原発1号機の出力が急上昇する事故が発生した。韓国水力原子力は、ハンビッ1号機の熱出力が18%急上昇したにもかかわらず、すぐに原子力安全委員会に報告せず、12時間近く運転を停止しなかった。

また、韓国水力原子力は運転を停止しなかった理由について、「原子炉出力急上昇の事実を知らなかった」と原子力安全委員会に虚偽の報告をした。

検察の捜査の結果、 韓国水力原子力はハンビッ1号機の再稼働の時期が延期になることを懸念し、無資格者が制御棒を操作した事実を隠して、不正確な資料と虚偽の陳述書を提出して調査に混乱を与えた。その結果、韓国水力原子力の関係者7人が起訴された。

しかし原子力安全委員会は根本的な改善策のないままハンビッ1号機の再稼働を許可し、11月2日には1号機が再稼働した。

霊光、高敞(コチャン)、光州(クァンジュ)、全州(チョンジュ)、井邑(ジョンウプ)など湖南(コナン)圏の市民団体と脱原発団体はハンビッ1号機の閉鎖を要求している。

5.プサン市機張(キジャン)の研究炉に運転許可。大田(テジョン)のハナ炉研究炉で相次ぐ自動停止

5月10日、原子力安全委員会はプサン市機張郡の研究用原子炉(熱出力1万5千kW)の建設を許可した。この研究炉は2022年3月までに完成する予定で、建設費は4389億ウォンにのぼる。プサンの市民団体は機張研究炉の運転許可取り消しを求めている。

大田にあるハナ炉研究炉(熱出力3万kW)は12月6日、再稼働の3日後に再び自動停止した。これを受け、廃炉を主張する市民社会の声はさらに大きくなった。ハナ炉はトリチウムやヨウ素などの気体放射性廃棄物の排出量が商業用原発並みに多い。

6.でたらめな高レベル核廃棄物見直し議論

産業通商資源部(産業部)が5月29日に「使用済み核燃料管理政策再検討委員会」を設置し、見直しの議論を進めている。再検討委員会は11月21日に「月城(ウォルソン)原発使用済み核燃料慶州地域実行機構」と協約式を結び、慶州実行機構を発足させた。全国の脱原発陣営は、再検討委員会と慶州地域実行機構の解体を求めている。産業部は、慶州地域実行機構を通じて、使用済み核燃料の「乾式貯蔵施設」を建設するかどうかを決定する予定だ。

しかし慶州実行機構は慶州市民だけで構成されているため、となりの蔚山(ウルサン)市の住民が強く反発している。蔚山市は月城原発の放射線非常計画区域内に人口100万人以上が居住している。蔚山市の中区庁、北区庁、東区庁などは市民団体とともに再検討委と慶州地域実行機構を批判する記者会見を開いた。

現在の高レベル核廃棄物の見直し議論は最終処分場が確定されるまで、使用済み核燃料を各原発立地地域が保管することを前提としている。国民が核廃棄物の問題をどのようにとりくむか議論する前に、核廃棄物の問題を地域住民に押しつけるものだ。

さらに悪いことには、再検討委は「乾式貯蔵施設」の問題を原発が所在する自治体が決定できるようにすることで地域社会に大きな対立と混乱を引き起こしている。

7.三陟(サムチョク)指定告示解と新蔚珍(ウルチン)3・4号機論争

5月31日、産業部は三陟の大津(テジン)原発予定地の指定告示を解除した。しかし、同じく新規原発の予定地に指定されている盈徳(ヨンドク)では、まだ告示が撤回されていないままだ。

このほか、新蔚珍(新ハヌル)3・4号機も白紙化の手順が正常に進んでいない。新蔚珍3・4号機は建設工事に着手してはいないが、2017年2月に産業部が発電事業を許可した状態だ。

現行の電気事業法は、事業者が法に違反したり、欠格事由がある場合にのみ、発電事業の許可を取り消すようにしている。文在寅政権は第8次電力需給計画を策定する際に、新蔚珍3・4号機は今後の電力生産がないものとみなして、再生可能エネルギーの拡大政策を打ち立てた。しかし政府は新蔚珍3・4号機建設白紙撤回の措置を迅速に行なっておらず、論争となっている。

原発「推進」陣営は、地域経済と原発産業活性化のために新蔚珍3・4号機の建設が必要だとして50万人の署名を大統領府に渡した。

8.低線量被曝労働の労災認定と不認定。原子力安全委員会の規定、一部の疾病は労災不認定

19年、注目すべき原発労働者の業務上疾病判定があった。低線量放射線被曝を業務上の疾病に認めたのだ。勤労福祉公団は7月3日、月城原発の日雇い労働者として勤務したAさんの血小板減少症(骨髄異形成症候群、白血病の一種)を業務上の疾病と認定した。勤務期間中の放射線被曝は基準値(実効線量1年累積基準値50mSv)以下だったが、血小板減少症は被曝により発症したと判断したのだ。

一方、勤労福祉公団は、月城原発で327日間働いて放射線にさらされたキム・ジョンイル氏の「ホジキンリンパ腫」については労災認定をしなかった。がん発症との関連性の根拠が弱いという理由だが、現在この件は訴訟へと至り、第二審が進行中である。この判定には、原子力安全委員会の「放射線作業従事者等の業務上の疾病範囲」の規定が影響を及ぼしたという指摘もある。この規定は、ホジキンリンパ腫を業務上の疾病の範囲から外している。

9.157cmの巨大な穴が発見されたハンビッ4号機

7月24、霊光(ヨングァン)のハンビッ4号機の格納容器のコンクリートで157cmに達する巨大な空隙(すき間)が発見された。格納容器のコンクリートの厚さが167cmなので、10cmの壁で原発を20年もの間稼動してきたということだ。

原子力安全委員会は、2016年6月にハンビッ2号機格納容器の鉄板の腐食が発見されて以来、全国19基の原発の格納容器で空隙と鉄板の腐食が生じていないか点検してきた。その結果、19年9月までに鉄板の腐食は10基で777カ所、空隙は8基で295カ所発見された。一方、霊光では「ハンビッ原発の安全性確保官民合同調査団」を組織し、韓国水力原子力と原子力安全委員会が発見できなかった安全上不安な点などを相次いで発見するという成果をあげた。霊光を除く他地域の原発の鉄板とコンクリートの状態に関する情報は詳細に伝えられていない。

10.警察庁長官、密陽(ミリャン)と青島(チョンド)に謝罪

7月25日、警察庁長官が密陽と青島の送電塔建設反対住民に直接会い、警察が行なった人権侵害について謝罪した。これは「警察庁人権侵害事件真相調査委員会」の勧告に従ったものだ。

真相調査委は、送電塔の建設強行とそれに伴う警察を大規模に動員した暴力的鎮圧、住民の取り調べや監視、通行制限、カメラ撮影、住民への買収などの人権侵害に関する事実を確認した。真相調査委は、警察庁長官の公式謝罪のほか、再発防止に向け、情報警察の業務と役割を統制する方法、住民通行権の保障、集会やデモの安全対策、カメラ撮影の規則改正など制度の補完を行なうよう勧告した。さらに密陽・青島の住民の精神的・身体的健康被害に関する実態調査を行ない、その結果に従った治療方法を策定することを勧告した。

しかし、警察庁長官の謝罪以外には、勧告に対する警察庁や政府の履行はまともに行なわれていない。

11.一審勝訴判決を覆したキュンド一家訴訟二審判決。最高裁に上告

8月14日、2012年に始まったキュンド一家訴訟の二審判決があった。一審の判決(訳注:14年10月、コリ原発近隣住民の甲状腺がんについて原発との因果関係を認めた)と異なり、二審の裁判所は、低線量放射線被曝とがん発症の関係は証明できず、科学的・医学的・生物学的根拠が不足だとし、キュンド一家の訴えを棄却した。訴訟団は直ちに上告し、現在最高裁判所の判決を待っている。

一方、キュンド一家の一審勝訴後に進められていた全国の原発立地地域住民による甲状腺がんの共同訴訟は、キュンド一家の二審判決の結果を見てから再訴することにしていたが、二審敗訴を受け裁判を延期した状態だ。

12.月城1号機の永久停止いまだ確定せず

慶州の月城原発1号機は、2012年に設計寿命(30年)を終えた。2015年に多くの物議を醸しつつ寿命の延長が決定されたものの、15年と16年に慶州・浦項(ポハン)大地震が発生した。裁判所は17年2月に、原子力安全委員会の「月城1号機の寿命延長」の決定は違法との判決を下した。

文在寅政権は新コリ5・6号機公論化の直後、「エネルギー転換ロードマップ」を発表し、月城1号機の閉鎖を約束し、これを第8次電力需給基本計画に反映させた。そして18年6月、韓国水力原子力は、理事会で月城1号機の永久停止の決定を行ない、19年2月に原子力安全委員会に月城1号機永久停止に向けた「運転変更許可申請書」を提出した。

しかし原子力安全委員会は、事業者が運転を中断したにもかかわらず、永久停止の決定を出さずにいる。(訳注:19年12月24日に原子力安全委員会は月城1号機の永久停止を決定した)

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信162号(2月20日発行、B5-24p)もくじ

・韓国2019年 記憶すべき脱原発ニュース  (脱核新聞より)
・トルコ、くすぶり続けるシノップ原発建設の動き (森山拓也)
・南オーストラリア・キンバでの放射性廃棄物処分場建設計画に500人が抗議
・伊方原発3号機差し止め仮処分決定に歓喜
― そして、電源一時喪失 燃料冷却43分停止 ― (大野恭子)
・被災した女川原発の再稼働を阻止しよう (舘脇章宏)
・「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」に集まろう (橋田秀美)
・ドキュメンタリー映画『サマショール 遺言 第六章』公開によせて (豊田直巳)
・演劇に原発を (くるみざわしん)
・東日本大震災と福島原発事故を題材にした小説を語る(1) (宇野田陽子)
・ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.144~161 主要掲載記事一覧
・NNAF 27年VTR  ― Korean/日本語/English//Mandarin ―

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